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工具はともだち<118>工具が壊れる意外な理由 ソケットの口径と四角側のサイズのバランス

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 どうもすっきりしない天気が続いています。この時期に雨が降らないとそれはそれで何かと問題ですので仕方がないのですが、サイクリストの皆様にとってはストレスがたまる時期かもしれませんね。また最近の自転車はカーボンなど、昔に比べてずいぶんとサビとは無縁の素材が多く使われるようになりましたが、そうは言っても金属部品はたくさんありますし、金属にサビはつきものです。

サビなくても存在する強度の限界

 雨に降られた時は水気を取ることや、ケミカルなどでのケアは大切です。工具にとってもこの時期はあまりいい時期とは言えません。濡れた自転車を整備した後などは、そのままにせず、自転車はもちろん、きちっと工具も拭いてあげて下さい。水気はサビにつながるやっかいなものです。油断をすると、次に使おうとしたら工具がサビていた、なんて事にならないように気を付けて下さいね。

 さて、金属部品にとってサビは大敵ですが、それがなければ非常に硬くて強いものだと皆さんは思われるでしょう。特に工具に使われているような特殊鋼と言われるようなものは、簡単には壊れないと思われがちですが、金属もある程度の力を加えると当然の事ながら壊れてしまいます。今日はそんな工具の強さの限界について説明したいと思います。

口径と差込角 ©KTC

 例えばラチェットやスピンナハンドルなど、ソケットなどと組み合わせて使う工具には注意が必要です。と言うのも、ラチェットやスピンナハンドルの場合、ソケットなどの後ろに差し込む四角側は一定の大きさなのに対し、ソケットの口径はボルトに応じて大きくなります。当然のことながら、口径側が大きくなればなるほど、その強さは増していき、ある一定のサイズを超えると四角側より口径側が強くなってしまいます。つまり口径側の強さはもっても、差し込み角である四角側が負けてしまう、つまり、破壊してしまう場合が出てくるのです。

六角に合わせて四角もサイズアップ

四角と六角どちらが強い? ©KTC

 四角側の大きさは6.3、9.5、12.7などがありますが、それぞれに六角側に負けてしまうサイズがあり、そのサイズを超えると注意が必要になります。例えば、サイクリストの皆さんがよくお使いになる9.5mm角の場合、製品により多少異なりますが、17mm以上のソケットになると口径側の方が強く設定されていて四角側が負けて差し込んだ四角(ドライブ角と言います)がねじ切れる可能性があります。

 もちろん、通常の締め付けトルクで締める程度で四角側がねじ切れる事はありませんが、サビついたりして固く締まったボルトを緩める際など、大きなトルクが必要な場合は注意が必要となるのです。

KTCのスピンナハンドル「BS3E」 ©KTC

 自転車の整備においてそうした大きなサイズをラチェットやスピンナハンドルで緩める事は少ないと思いますが、もしそうした場面に出くわした場合はワンサイズ上の工具、この場合12.7mm角の工具を使うようにして下さい。因みに一つ下のサイズ6.3mm角の場合は六角の二面幅12mmあたりが境界線となります。

 金属も強く見えますが、必ず限界があります。M5程度のボルト(ボルト径5mm)なら簡単にねじ切れますし、そうした経験をお持ちの方も少なくないと思います。たとえ熱処理をされた特殊鋼を使った工具でも必ず限界がある事を覚えておいて下さい。

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重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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