スマートフォン版はこちら

サイクリスト

ジュニアの松田祥位はU23のタイムを上回る西薗良太と與那嶺恵理が全日本TTを連覇 “本格”コースで争われた空力とパワー勝負

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧

 青森県階上町で6月23日開催された全日本選手権個人タイムトライアル(TT)で男子エリートを優勝したのは西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)だった。極限までエアロダイナミクスを追求したポジションと、自身が持つパワーを最大限に発揮した勝利で、地形やペース配分を研究しつくした西薗らしい勝ち方だった。女子エリートは與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ)が圧勝した。唯一ワールドツアーで走る選手が、26kmで1分半差という格の違いを見せつけたレースを披露。男女エリートともに昨年に続く大会連覇となった。

TT男子エリートを連覇した西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Norizo-*.

実力が出る“本格”コース

 階上町の公道に設定された1周13kmのTTコースは、風が吹きさらす見通しの良いストレートや、バリエーションに富んだコーナーで構成された本格的なレイアウトだ。注目が集まった男子エリートには30人がエントリー。12時からスタートした1組目では渡邊翔太郎(愛三工業レーシングチーム)が50分59秒でトップとなり、基準タイムを作った。2組目には昨年の大会上位選手が顔を揃え、1分間隔のスタートを待った。

NIPPO・ヴィーニファンティーニから唯一TTに出走した小林海は後半にペースアップし5位だった Photo: Shusaku MATSUO
ウォーミングアップで汗を流す西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO
4位に入った岡篤志(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 序盤に好タイムを出したのが宇都宮ブリッツェン勢。U23個人TTアジアチャンピオンの小野寺玲、昨年のU23個人TT2位の岡篤志、また、前大会4位だった鈴木譲が中間タイム計測で上位に並ぶ。しかし、最終走者の西薗がトップタイムを更新し、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)もそれに続いた。

 小野寺が3周を走りきり、トップタイムを更新するも、快走を続けた佐野が約1.4秒速いタイムでフィニッシュし暫定首位に躍り出た。しかし、後半に入り、さらにペースアップした西薗は、フォームを崩すことなくラストスパート。直前に更新された佐野のタイムをさらに上回るタイムでゴールし、2年連続、3回目のタイトルを手にした。

冷静にレースを振り返る西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO

 優勝した西薗は共同会見で「積み上げてきたものを出し切れたので良かったと思う。ロングのTTは最初から最後まで全開では勝てません。地形に合わせたペース配分や勝負の積み重ねで得た経験が重要。2012年に最初のタイトル取った後、2013年は1秒差で負けた経験があった。それだけタイトルを守るということは厳しいことだと認識しています。きょうは、途中でタイム差が思う通りに広がらなかったため、後半に勝負になる思った。自分のなかの走りとしてはベストでした。1位を取ることは毎回嬉しいが、それは佐野選手をはじめ、周りにいる強い選手を乗り越えることができたから。ロードレースではチームに貢献すると同時に、展開によっては勝ちを狙いたい。第一はチームの誰かが勝つこと」と振り返り、25日に開催されるエリート男子ロードレースへの抱負を述べた。

TT男子エリート表彰式。左から2位の佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、優勝した西薗良太(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)、3位の小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) Photo: Shusaku MATSUO

 2位だった佐野は「悔しいの一言です。タラレバはありません。明らかに負けは負け。そこまで実力を持っていけなかった。上りが激しくないコースなので、自分でも勝負できると思っていました。確かに勝負はできましたが、表彰台の真ん中には乗れなかった。過去、全日本TTでは確か5回?2位になった経験があり、やはり何か足りないのかもしれない。もっと勝負できると希望を持ちたい」と悔しさを滲ませた。

1分半差の勝利で3連覇達成

 女子エリートは昨年に2年連続の優勝を果たし、3連覇がかかる與那嶺の活躍が期待された。また、梶原悠未(筑波大学)がワールドツアーを転戦する與那嶺にどこまで食らいつけるかも注目が集まった。女子はコースを2周する計26kmで争われた。

2位に1分半の差をつけ圧勝した與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ) Photo: Norizo-*.
2位でフィニッシュした梶原悠未(筑波大学) Photo: Shusaku MATSUO

 最終走者から2番目に出走し、快走した梶原だったが、1周目を終えた時点で背後には1分後にスタートした與那嶺が迫った。2周目に入ると與那嶺は梶原を抜き、1分30秒の差をつけた圧勝での優勝となった。與那嶺の平均速度は43.22km/hだった。

 優勝した與那嶺は「正直ホッとしました。特にTTへ向けたトレーニングを行っておらず、1週間前に帰国してからは先日、イギリスで開催されたステージレースの疲労を抜くことが最優先でした。TTも今年初でしたが、優勝できたので安心しています」と笑顔で答えた。コーチの武井亨介氏は「圧勝はするとは思っていた。ワールドツアーを走る選手としてこれくらいの差はつけるべきだと思う。走りに関してはうまくまとめられたのが良かった点。怪我が怖かったけれど、丁寧に走り、目標も達成できました」と評価した。

3位の唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) Photo: Shusaku MATSUO
「今年初のTTで、疲労もあった」と明かす與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO

ダークホースがタイトル獲得

 U23男子は意外な“番狂わせ”となった。本命と前評判があった山本大喜(鹿屋体育大学)のタイムが序盤から伸びない。一方、好タイムを出したのが新城雄大(エカーズ)で、13kmのショートTTを16分42秒46でまとめ、トップタイムを叩き出す。順天堂大学の石原悠希が新城に迫るも、0.4秒詰めることができず、惜しくも暫定2位でフィニッシュ。タイム差は覆されず、大会初挑戦の新城がU23のタイトルを獲得した。3位にはフランスで活動する石上優大(AVC AIXOIS)が入った。

U23で初のタイトルを手にした新城雄大(エカーズ) Photo: Norizo-*.
U23男子の表彰式。左から2位の石原悠希(順天堂大学)、優勝した新城雄大(エカーズ)、3位の石上優大(AVC AIXOIS) Photo: Shusaku MATSUO

 新城は「いまだに信じられない気持ちですが、まずは勝ててよかったです。今年はU23最後の年なので、タイトルが欲しかった。“勝ち”を意識した練習をしてきました。どちらかというとロードレース中心に考えてトレーニングを行ってきましたが、TTも沖縄で乗り込み、ポジションも出してきたことが功を奏した形となりました。幸先がよく、明日のレースに弾みをつけられたと思います」と翌日のロードレースに向けて勢いをつけた。

 男子ジュニアは松田祥位(岐阜第一高校)がU23の優勝タイムを上回る時計を叩き出して優勝。松田はネイションズカップでも好成績を残しており、今後の活躍に期待がかかる選手。日本代表強化ヘッドコーチの浅田顕氏は「TTも強いが彼は上れる選手。先日もネイションズカップで山岳ポイントを果敢に取りに行った。間違いなく次世代の逸材」と太鼓判を押し評価した。

TT男子ジュニア表彰台。左から2位の佐藤健(九州学院高校)、優勝した松田祥位(岐阜第一高校)、3位の山本哲央(韮崎高校) Photo: Shusaku MATSUO

関連記事

この記事のタグ

全日本ロード2017

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載