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サイクリスト

ツール・ド・スイス2017 第7ステージ標高2780mの超級山岳でスピラクが独走勝利 2位に52秒差の総合首位に

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 ツール・ド・スイスは6月16日、第7ステージがツェルネッツからゼルデンの160.8kmで争われ、チームメイトの強力なアシストを受けたシモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)が超級山岳の中盤から独走に持ち込み、ステージ優勝を飾った。この日まで総合1位のドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェーデュゼール ラモンディアール)は大失速してしまったため、スピラクが総合首位に浮上し、2015年以来の総合優勝に大きく前進した。

集団の先頭を引くシモン・スピラク(カチューシャ・アルペシン) Photo: Yuzuru SUNADA 

中間スプリント争いはサガンに軍配

 スイス南部国境沿いを東へ進んできたプロトンは、スイスを飛び出しオーストリアのゼルデンへとフィニッシュする。フィニッシュ地点に至る超級山岳ティーフェンバッハフェルナーは、標高2780mと今大会で最も高い地点へと到達する。平均勾配9.5%の非常に強烈な上りが、14.2kmに渡って続く超難関コースだ。

 最終日には、28.6kmの個人タイムトライアル(TT)が控えているため、ポッツォヴィーヴォのようなTTがあまり得意でないピュアクライマーにとっては、ライバルたちに差をつける最後のチャンスだった。逆に、13秒遅れで総合3位のステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)や、22秒遅れで総合4位のスピラクのようなTTに強い選手は、逆転できる範囲内にタイム差を留めておきたいところだ。

 前日、前々日のステージでは序盤から長時間に渡ってアタック合戦が続いていたが、この日はスタートして15kmほどで大きな逃げが決まった。メンバーは総勢18人。2カ所ある中間スプリントでの加点を狙って、ポイント賞ジャージを着用するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、サガンと4ポイント差のマイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)が逃げに乗った。

 さらに、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)、ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)と言った、ステージ優勝を狙えるような強力選手も含まれていた。そのため、メイン集団をコントロールするアージェーデュゼール ラモンディアールは逃げ切りは容認せず、最大4分程度にタイム差を抑えていた。

 終盤が近づくにつれ、逃げ集団とのタイム差は縮小傾向にあった。1分15秒差程度まで縮まった残り30km地点では、1つ目の中間スプリントポイントを巡る争いが勃発。前日に引き続きサガンが圧倒的な力を見せ、先頭通過を果たし、マシューズは2位となった。

中間スプリントを争ったマイケル・マシューズ(手前)とペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA 

 続く2つ目の中間スプリントポイントでは、逃げ集団から飛び出していたウェレンスが先頭通過した。続いてサガン、マシューズの順で到達し、サガンはこの日9ポイントを獲得し、マシューズとのポイント差を広げることに成功した。

 その後、間もなく逃げが全てメイン集団に吸収され、いよいよ最後の勝負どころである超級山岳へと突入した。

マミキンとタラマエが強力アシスト

 序盤から9%前後の厳しい斜面が続くため、バーレーン・メリダがハイペースで牽引するメイン集団はあっという間に20人程度まで絞り込まれた。ベストスイス人ライダージャージを着用するマティアス・フランク(スイス、アージェーデュゼール ラモンディアール)が遅れてしまい、エースのポッツォヴィーヴォの周りには誰もアシストがいなくなってしまった。

 バーレーン・メリダに代わって、カチューシャ・アルペシンのマトヴィ・マミキン(ロシア)が先頭に立ってペースアップを図ると、フィニッシュまで10km以上残した上りの序盤にも関わらず、ポッツォヴィーヴォも脱落した。

 マミキンが仕事を終えると、レイン・タラマエ(エストニア、カチューシャ・アルペシン)が牽引を開始する。タラマエの牽きは凄まじく、総合8位のミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ)、総合6位のマルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム)、ヤン・ヒルト(チェコ、ツェツェツェ・スプランディ・ポルコヴィツェ)らが脱落。さらに強力な牽引は続き、ついにはヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、総合3位のクライスヴァイク、総合2位のダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム)たちを千切り倒してしまった。

 タラマエの圧倒的な走りの前に残ったのはエースのスピラクと、ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)だけだった。残り8.5km地点でタラマエが仕事を終えると、チームの想いを背負って、スピラクがアタック。ドンブロウスキーを置き去りにして独走を開始した。

ポイント賞ジャージを着るペテル・サガン Photo: Yuzuru SUNADA 

 遅れたライバルたちは、必死にペースを取り戻しながら前を追いかけるものの、時折ダンシングも混じえながら軽快に上っていくスピラクとの差は徐々に拡大傾向にあった。残り6km地点でスピラクとドンブロウスキーとの差は25秒、クライスヴァイクやカルーゾとのタイム差は1分程度まで広がった。

 クライスヴァイクが単独で先頭を追いかけようとしたものの、パワーは持続せず後続グループにあえなく吸収された。代わって単独で飛び出したのはイサギレだった。TTスペシャリストでもあるイサギレは、ようやく自分のペースで上ることができて、スピラクとのタイム差を徐々に縮め始めた。ドンブロウスキーに追いついたものの、残り2kmでスピラクとの差はまだ40秒あった。

 残り2km地点を越えると、本ステージの名物でもある1.7kmの長いトンネルへと突入していった。トンネル内に残り1kmを示すフラムルージュが設置されているという珍しい光景が広がっていた。ここでもスピラクは変わらずハイペースで突き進み、トンネル内のフラムルージュを駆け抜けていった。イサギレはスピラク以上のハイペースで追い上げて来ているが、残り1km地点でまだ27秒差開いていた。

 長い長いトンネルを抜けて、少し下れば、もうフィニッシュ地点だった。最後までペースが落ちなかったスピラクがステージ優勝を飾った。

 イサギレは終盤の追い上げも及ばず、22秒差のステージ2位。36秒差の3位にはドンブロウスキーが入った。総合上位勢のクライスヴァイクとカルーゾは共に1分4秒遅れで、ポッツォヴィーヴォは2分40秒遅れでフィニッシュしたため、リーダージャージはスピラクの手に渡った。

 総合2位のカルーゾに52秒差、総合3位のクライスヴァイクには1分5秒差をつけており、決してTTが苦手ではないスピラクにとって2015年以来の総合優勝が手の届く位置に来た。残り2ステージ、リードを守ることができるか注目である。

第7ステージ結果
1 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) 3時間58分36秒
2 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +22秒
3 ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) +36秒
4 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +1分04秒
5 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)
6 ヤン・ヒルト(チェコ、ツェツェツェ・スプランディ・ポルコヴィツェ) +1分07秒
7 レイン・タラマエ(エストニア、カチューシャ・アルペシン) +1分33秒
8 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +1分47秒
9 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チーム エミレーツ) +1分53秒
10 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +2分40秒

個人総合
1 シモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン) 26時間02分16秒
2 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) +52秒
3 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +1分05秒
4 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェーデュゼール ラモンディアール) +2分28秒
5 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE・チーム エミレーツ) +2分35秒
6 マティアス・フランク(スイス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +2分51秒
7 ミケル・ニエベ(スペイン、チーム スカイ) +2分54秒
8 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +3分51秒
9 マルク・ソレル(スペイン、モビスター チーム) +4分07秒
10 ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ プロチーム) +4分10秒

ポイント賞
1 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 27 pts
2 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) 19 pts
3 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ) 18 pts

山岳賞
1 ラッセノーマン・ハンセン(デンマーク、アクアブルースポーツ) 33 pts
2 ニック・ファンデルレイケ(オランダ、ロームポット・ネーデルランセ ローテライ) 32 pts
3 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシングチーム) 31 pts

チーム総合
1 アージェーデュゼール ラモンディアール 78時間25分52秒
2 モビスター チーム +4分16秒
3 カチューシャ・アルペシン +16分58秒

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【お詫び】

6月16日掲載の記事「スコットのMTB試 乗会が6月17、18日 に『富士見パノラマリゾート』『ふじてんリゾート』で開催」におきまして、掲載当初、場所を誤って記載しておりましたので、訂正いたしま した。ご迷惑をお掛けした読者の皆様、ならびに関係各位に深くお詫び申し上げます。

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