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ライド講習を体験、下田社長にもインタビューみんなが集まる場所「サイクルベース」に込められた、あさひのスポーツサイクルにかける思い

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 スポーツサイクルの普及を進める「スポーツ・スペシャリティー・ストア」(SSS)を展開するあさひは、今年から各SSS店舗で走行会やメンテナンス教室など、スポーツサイクル人口の裾野拡大へ様々な働きかけを行っている。編集部が参加してその意義に迫るとともに、「サイクルベースあさひ」のルーツについて、社長の下田佳史氏にインタビューし、2年前から始まったスポーツサイクルへの取り組みの狙いについて迫った。

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スポーツサイクルの選び方をアドバイスするサイクルベースあさひ川越店の中務真悟店長(中央)と赤間遼副店長(右) Photo: Naoi HIRASAWA

「どこを走ったらいいの?」走りながら講習

 「『ロードバイクを買ったけれど、どういうところを走っていいかわからない』『車道を走るのは怖い』そんな人たちの後押しをしたい」。

 SSSが設けられているサイクルベースあさひ川越店の中務真悟店長が、初心者向けイベントで目標にしていることだ。操作や基礎テクニックを覚えてから短いライドに出かける講習を開催していて、6月18日に参加したのは74歳の岡田宏俊さん。犬の散歩で自転車に乗るくらいだったが、もっと遠くまで乗ってみようと、スポーツサイクルの購入を検討していて、この日が2回目の参加だ。

スタッフが前後について、声をかけながら走行をサポートする Photo: Naoi HIRASAWA

 店を出発し、まずは交通量の多い道路を避けながら、入間川サイクリングロードへ向かった。路側帯のある道路では、岡田さんから「白線のどちら側を走ればいいんですか?」と質問が飛んだ。先導する赤間副店長は「自転車は基本的に右側を走るんですよ」と優しい口調で答えながら、初心者には意外に知られていない交通ルールを伝えていく。

 サイクリングロードに到着すると、きれいに舗装され、景色の開けたロケーションで、自然と脚も軽やかに。中務店長は後ろから岡田さんの様子を見ながら、「疲れていませんか?」「(時速)25kmまで上げてみましょうか」などこまめに声をかけ、爽快感を味わえる走りを促した。

「白線の右側を基本的に走ります」など交通ルールを教えながら住宅街を抜ける Photo: Naoi HIRASAWA
パンク修理の手順を教える中務真悟店長(左) Photo: Naoi HIRASAWA
サイクルベースあさひ川越店は、広い店内の奥に「スポーツ・スペシャリティー・ストア」のスペースが設けられている Photo: Naoi HIRASAWA

 前回よりも長い約20kmを走りきり、気持ちのいい汗をかいた岡田さんは「このくらいがちょうどいい」と満足そうで、「前と後ろに入ってもらえると、いろいろ教えてもらえる。交通ルールとか、クルマに乗っていてもわからないこともある」とサポートがあるからこそ、安心してロードバイクを体験できたようだ。ライド後はパンク修理の練習をしたり、ロードバイクとクロスバイクの違いを教わったりと、スポーツサイクルにたっぷり親しんだ。

 あさひのSSSがこの春から始めた「ライド講習」。サイクリングビギナーにも敷居が低く親切なあさひの真相を探るべく、今回編集部は「サイクルベースあさひ」のルーツに迫った。

もともとはスポーツサイクルのプロショップ

1981年、スポーツバイクプロショップだった「あさひ千里店」 (あさひ提供)

 「全国のまだスポーツサイクルに乗ったことがない人に楽しさを感じてほしい」。下田佳史社長の思いは、自宅兼ショップだった「あさひ千里店」の時と目標は同じだった。現在は全国に450店舗ある同店(2017年6月現在)が、もともとスポーツサイクルのプロショップだったことを知るサイクリストは多くはないかもしれない。

85年、「サイクルベースあさひ」に名称が変わったころ (あさひ提供)

 下田社長の父・下田進前会長が、1972年、おもちゃと自転車のお店を始め、1981年にスポーツサイクルのプロショップへ業態転換した。すぐに国内でもトップクラスのスポーツサイクル、トライアスロンショップになり、多くのサイクリストが集まるコミュニティーになっていった。そこで生まれたクラブチーム「ミネルヴァ」はシマノグリーンピアロードのチームロードで2年連続優勝する強豪チームになった。BMXチームの「POPEYE」もそこで生まれた。

 「当時はインターネットもないので、クラブ員たちが今日はどこに行った、何分で走ったなど、直接情報交換していましたね。母親もクラブ員にコーヒーを出したりして、みんなが集い共感し合える場所を歓迎していました。ショップが1階で2階が住まい。両親が忙しいので、私はクラブ員の方に箕面の山、琵琶湖、小豆島などに連れていってもらって育ちました」と大規模な業務形態の現在からは考えられない、家族経営のショップだった昔を振り返る。

あさひの下田佳史社長は、往復約40kmの通勤も自転車を利用するほど、根っからの自転車好きだ Photo: Takashi DAIBO

 中学生になった下田社長は太陽の塔で有名な万博公園の外周を使ったレースに出場するようになり、ますますスポーツサイクルにのめり込んでいった。お店も地域の自転車好きが、ライドの前後に気軽に集まるコミュニティースペースとして、ますます盛り上がっていった。そして85年、下田進前会長が地域のサイクリストが集い、情報発信していくコミュニティースペースとして店名の最初に『サイクルベース』と付け加えた。その当時の熱気を今も「あさひ」で働く牛尾美砂さんが振り返る。

 「たまたま通りがかった琵琶湖でトライアスロン大会を見たとたんに、ロードレーサーに心を奪われ、自転車雑誌の広告を見てお店(あさひ)を訪問しました。ウェットスーツも作ってもらったり、スタッフの人の優しさから、いつしか常連客となっていました。そして、自転車に向かう私の強い気持ちを察してか下田(進)前会長から『うちで働かないか』とご縁をいただきました」と当時のことを語った。

スポーツサイクルへの思いを話す下田佳史社長 Photo: Takashi DAIBO
サイクルベースあさひの玄関に掲げられた社史の前でほほ笑む牛尾美砂さん Photo: Takashi DAIBO

名選手が巣立ったあさひ

 もともと下田家の自宅だったという2階までが売り場になり、そこでウェア用品を担当することになった牛尾さんは、販売だけでなく、クラブ員たちとも一緒の時間を過ごすようになった。「趣味が仕事になって幸せでした。ご飯を食べるように自転車に乗るような『ほんまもん』の人々が集まってきていたので、当時の熱気はすごかったです」と振り返る。

 社会人はもちろん、当時は学校に自転車競技部も少なく、「サイクルベースあさひ」は高校生、大学生の自転車少年たちにとっても貴重な交流の場だった。牛尾さんはそこで「世話役」的な存在になった。

80年代後半、ロードレースに出場する牛尾美砂さん(牛尾さん提供)
あさひ千里店時代に店頭に立つ牛尾美砂さん。店内には大量のシューズやつるしのフレームが並んでいる(牛尾さん提供)

 「高校生たちは学校を終えて、そのままお店に来てお弁当を食べて、走りに出かけていましたね。夏休みともなると、店をベースに朝から一日中。今はイタリアで監督をしている『しんいちくん』のことも思い出します」と話す。

 UCI(国際自転車競技連合)プロコンチネンタルチーム「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」監督の福島晋一氏も千里にあった「サイクルベースあさひ」でロードレーサーを購入し、巣立っていった一人だ。福島氏のブログにも牛尾さんが登場。「牛尾さんは、高校生の自分には憧れのお姉さん的存在の方で親切に相談に乗っていただいた」とその家族的な雰囲気に感謝の気持ちを綴っている。たくさんの買い物をするわけではないが、お店はスポーツサイクルを始めようとする少年たちに優しく接した。プロショップ時代から誰もが入りやすく、敷居が低い店だった。

社内に30の自転車サークル

大阪府寝屋川市に当社初の大型自転車専門店「サイクルベースあさひ寝屋川店」オープン (あさひ提供)

 1989年にチェーン展開の基盤となる初の大型自転車専門店「サイクルベースあさひ寝屋川店」がオープン。盛況だったプロショップからシティサイクルメインの大型チェーン店への業態の変化について、下田社長はこう語る。「当時はスポーツサイクルは非常に高価なもので大事に扱われていたが、シティサイクルは、使い捨て同然に扱われていた。このままではいけない、楽しさを伝える前に、日常で使う自転車も、もっと大切にしてもらいたい」。そういった思いから、アフターサービスの充実したお店を展開し、専門の知識、技術をもった人材を育てることにも注力していった。

 そこから約30年で社員、パート合わせて約3,000人(2017年2月)という大企業に育ち、自転車への理解、文化、環境も整ってきて再びスポーツサイクルに力を入れるSSSに力を注ぐことになった。

 下田社長は社員一人ひとりを「さん」付けで呼び、日本全国の店舗を飛び回って鼓舞して回るなど、その家族(社員)を大切にする姿勢は創業時と変わらない。さらに2年前からSSSを作り始めたのと同時に、社内の自転車サークルの設立、ネットワーク化も進めていた。

社内ネットワークで閲覧できる自転車サークルの一覧表の一部 「自転車を楽しむ」をモットーにしたサークルのトップページ (あさひ提供)

 社内の自転車サークルは全国で約30もある。ロードバイクサークルからマウンテンバイクダウンヒル専門のサークル、美食ライドクラブ、アニメの聖地巡礼するグループなど、自転車に関するあらゆる団体が、各地でライドイベントを行っている。以前から、それぞれ有志で点在していたが、2年前にスポーツサイクルに力を入れるようになってから、様々な活動をシェアできるように社内ネットワークを構築、横のつながりを重視した。全国に広がるあさひスタッフが、各地の魅力をサークルを通じて、社内で共有している。

あさひの自転車サークルの活動。様々な社員が全国から集まってくる (あさひ提供)

 オンラインで検索できる社内イベントのトップページやライドスケジュールの緻密な工程表は、旅行会社が作ったようなきめの細やかさで、そのままガイドツアーができるようなレベルのもの。遠いイベントにも家族を連れて参加することが可能だ。

 「まずは社内で楽しむ。次にSSSでその楽しみをお客様に提供していく。中にはインストラクター資格を持っている社員もいますし、社内でしっかり教育し、お客様にサイクリングツアーを提供していきたいと思っている。自転車本体を売るだけでなく、自転車に乗ってどういうエクスペリエンス(体験)ができるかが重要」とSSSの目指す役割を説明した。下田社長自身、46歳になった今でも週2回は自宅から往復40kmをロードバイクで通勤し、本社の社長室までビンディングシューズとロードバイクウェアで上がっている。

あさひ本社の屋上には芝生の庭園とスポーツサイクル用バイクラックが完備されていた Photo: Takashi DAIBO 

 「店舗力」、「人間力」、「商品力」を柱にあさひのSSSに迫った取材も最後に近づき、下田社長とともにあさひ本社の屋上へ足を踏み入れた。2010年完成の新社屋の屋上には芝生の庭園が広がり、日陰のバイクラックにはスポーツバイクが並んでいた。同フロアの屋内にはロッカーとシャワーが完備。「自転車の楽しみ方を伝えるには社員が楽しんでいなくてはだめ」と言わんばかりのうらやましい自転車環境だった。

2016年、台湾一周サイクリング「FORMOSA900」を完走した下田佳史社長 Photo: Kenta SAWANO

 2017年6月現在、全国にSSSは21店舗オープンしている。「スポーツサイクルを提供できる環境になれば、もっと気軽に楽しんでもらえる環境になる。楽しまれる方が増えれば、自転車を取り巻く環境も変わっていく」と将来的には全店舗でスポーツサイクルを強化。今後はサイクリストへのSSS発のサイクリングツアーも視野に入れているという。

 ライド講習やメンテナンス講習も全国のSSSで行っていく。下田社長は「実際にサイクリストが集まり、顔を合わせてコミュニケーションできるのはいつの時代でも貴重だし楽しいこと。そんな『サイクルベース』の『ベース』(基地)になっていきたいんです」と、第1号店が約30年以上前にできた時と同じ思いを抱き続けている。時代と共に業態は変わっても、この信念だけは変わらない。

「あさひチャリメン応援キャンペーン2017」6月22日~7月30日開催

 あさひが2016年に立ち上げた「チャリメン推進プロジェクト」は、世の中のお父さんに自転車の魅力やメリットを知ってもらい、スポーティに自転車を楽しむ“チャリメン”を普及させるために、自転車がますます楽しめるようなコンテンツ情報を届けてきた。日々の運動不足から健康・フィットネスへの関心が高い「働く男性」に、もっと気軽に自転車を取り入れてもらいたいという思いから「あさひチャリメン応援キャンペーン2017」を実施する。

「あさひチャリメン応援キャンペーン2017」概要
■スポーツサイクル購入特典
実施期間:6月22日(木)~7月30日(日)
実施店舗:全国のサイクルベースあさひ各店 
内容:スポーツサイクル・ヘルメット同時購入で、購入金額より1,000円OFF

■ビギナー向けスポーツサイクル体験試乗会/ショートライドツアー
スポーツサイクルの選び方から、乗り方のコツまでビギナー向けの講習会と、近隣のコースをスポーツサイクルに試乗しながら巡る、ショートライドツアーを実施。
■サイクルベースあさひ(スポーツスペシャリティストア)
日時:第1回 2017年7月1日(土)/第2回2017年7月8日(土)/第3回2017年7月15日(土)

会場:スポーツスペシャリティストア各店
※事前予約制となりますので、詳細は各店へお問い合わせください。
http://www.cb-asahi.jp/sports/

アンケートに答えて「ウェルドタイト」バイククリーナーをゲット!

ウェルドタイトの「バイククリーナー 1L スプレーボトル」 ©サイクルベースあさひ

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事を読んでCyclist読者の皆様は、どのような感想をお持ちになったでしょうか? アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で5名様に、イギリスの老舗自転車用品メーカー・ウェルドタイトの「バイククリーナー 1L スプレーボトル」をプレゼントします。
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2017年7月17日(月)正午まで(当社が電子的に応募内容を受け取った時刻を基準にします)
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プレゼント企画への応募受け付けは当連載期間中4回実施予定ですが、応募していただけるのはお一人様につき1回限りとさせていただきます。
【応募方法】
アンケートにご回答いただいたうえで、ご連絡先などの必要事項を記入し、「送信」ボタンを押してください。確認画面が表示された時点で、応募が成立します。
【当選について】
・応募締切後、厳正な抽選により当選者を決定し、ご記入いただいたメールアドレス宛にCyclist編集部から当選を通知いたします。
【その他】
選考結果は当選者に対し、登録していただいたメールアドレス宛にメールで直接連絡します。応募の際は連絡可能なメールアドレスをご利用ください。
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