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クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017 第8ステージ2勝目をあげたフルサングが逆転総合優勝 ポートは猛追も10秒届かず

by あきさねゆう / Yuu AKISANE
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 クリテリウム・デュ・ドーフィネは6月11日、最終第8ステージがアルベールヴィルからプラトー・ド・ソレゾンまでの115kmで争われ、終盤に単独アタックを決めたヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム)が逃げ切ってステージ2勝目をあげた。リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)に1分15秒の差をつけ、獲得したボーナスタイム10秒が大きく影響し、逆転で総合優勝を決めた。2連覇中だったクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)は最後の上りで失速し、総合4位に転落した。

最終ステージを制し、逆転総合優勝を飾ったヤコブ・フルサング Photo: Yuzuru SUNADA

序盤からフルームが自らアタック

 ツール・ド・フランス前哨戦は、とうとう最終ステージを迎えた。スタート地点のアルベールヴィルは、1992年冬季オリンピックの開催地として有名であり、ツールでもお馴染みの街だ。走行距離115kmと短いながらも、1級山岳セジー峠、2級山岳アラヴィ峠、1級山岳コロンビエール峠と立て続けに上りと下りが現れ、息をつく間もなく超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの山頂へとフィニッシュする難関ステージとなっている。

 最近のステージレースではこのような短くアップダウンの激しいコースがよく組み込まれ、序盤から激しいレース展開になりやすい。今年のツールでも、第13ステージで全長101kmにもかかわらず1級山岳を3回通過する難関ステージが登場する。

 スタートして間もなく始まる1級山岳セジー峠の上りでは、20人以上の逃げが生まれた。迫りくるメイン集団を振り払おうとペースが上がるなか、トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が単独で飛び出すことに成功。そのまま先頭で山頂を通過してダウンヒルへと突入していった。

 メイン集団では、マイヨジョーヌのポートを擁するBMCレーシングに攻撃を加えるため、チームスカイが中心となってペースアップを図る。フルームが自らアタックを仕掛ける場面もあり、BMCレーシングのアシスト陣は早くも全滅してしまった。

序盤で単騎になり苦しい展開に追い込まれたリッチー・ポート Photo: Yuzuru SUNADA

 ガロパンが単独でリードを築いたまま、2級山岳アラヴィ峠の上りへ入った。集団のスピードが緩んだため、BMCレーシングのアシスト陣が数人集団復帰を果たしたものの、すぐにアタック合戦が活性化。またもやフルームが自らペースを上げたこともあり、BMCレーシングのアシスト陣は再び遅れてしまう。もはや、ポートは援軍を見込めない状況で、マイヨジョーヌを守らねばならなかった。

 アラヴィ峠もガロパンが先頭通過を果たし、次なる1級山岳コロンビエール峠に向けてダウンヒルをこなしていく。いつの間にかメイン集団は20人ほどまで絞られており、この中には総合トップ10圏内の選手は全員揃っていた。

単騎のポートにエースたちが攻撃

アタックしたアレハンドロ・バルベルデ(先頭) Photo: Yuzuru SUNADA

 下りでガロパンを吸収し、コロンビエール峠の上りに差し掛かるや否や、エース級選手たちによるアタック合戦が始まった。アシストを失っているポートには為す術がなく、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム)、ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール)、ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)、フルサングら危険な選手たちを逃してしまう。

 ポートを徹底的にマークしているフルームはここでは動かなかった。すると、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がアタックを仕掛け、ポートとフルームからリードを築いた。

 バルベルデとアルの2人が先頭を走り、30秒差でバルデ、フルサング、マーティンのグループが続き、さらに30秒ほど後方にコンタドール、その20秒ほど後ろにポートとフルームという状況になった。そのリードが保たれたまま、頂上付近でフルームがアタック。ポートを置き去りにすると、得意のダウンヒルで先行するフルサングやコンタドールたちのいるグループに一気に追いついた。

 ここに一度は千切れたはずのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)が追いついてきて、フルームのために先頭牽引を担った。クウィアトコウスキーの献身的な働きもあり、バルベルデとアルを吸収した。フルームとポートの差は1分20秒まで広がり、フルームがバーチャルリーダーとなった状況で、超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの上りへと突入していった。

マーティンのアタックに反応したフルサング

 フィニッシュまで残り10km。先頭集団には総合タイムの良い順に、フルーム、フルサング、アル、バルベルデ、バルデ、コンタドール、マーティン、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAE・チームエミレーツ)、ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル)、サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)の11人が残っていた。

クリストファー・フルームを先頭に峠を上るエース級の選手たち Photo: Yuzuru SUNADA

 最も総合優勝に近いフルームが先頭グループを率いて、得意のペース走行を見せると、この日攻撃的に走り続けたバルベルデや、イェーツが千切れてしまった。後方のポートは単独ながらも、得意のダンシングを多用しながら猛然と詰め寄ってくる。残り7.5km地点ではタイム差は50秒まで縮め、ボーナスタイムを含めても再びポートがマイヨジョーヌを守ることができるタイム圏内へと迫ってきた。

 すると、マーティンがアタックを仕掛け、フルサングが反応し、2人が飛び出す格好となった。先頭で牽き続けていたフルームは反応できなかった。フルサングはフルームに対して13秒差、ポートとは1分15秒差だ。今度は、フルサングが逆転総合優勝を目指してフルームとポートに対して差をつけにかかった。

 フルームのペースが上がらない状況ではあったが、コンタドールがついていけずに千切れてしまった。バルデ、マインティーズ、ブッフマンがアタックを仕掛け、フルームを置き去りにしていく。フルームの総合優勝が遠のくなか、残り3kmでポートがとうとうフルームに追いついた。総合争いは先頭をひた走るフルサングと、ポートの2人に絞られた。タイム差は1分15秒前後を推移。両者とも口を開き、苦悶の表情を浮かべながら必死の走りを見せていた。ボーナスタイムを含めた秒単位の攻防が続く。

ダニエル・マーティンを置き去りにして独走に持ち込んだヤコブ・フルサング Photo: Yuzuru SUNADA

 フルサングはマーティンを置き去りにし、快調にペダルを回し続けていった。マーティンも決定的に遅れることなく、何とかフルサングが視界に入る位置で粘りの走りを見せていた。それでもフルサングのペースは落ちることなく、そのままフィニッシュ。力強い走りでステージ2勝目をあげ、ボーナスタイム10秒を獲得した。あとは、ポートとのタイム差次第で、総合優勝者が決まる。

 ステージ2位は12秒遅れでフィニッシュしたマーティン、そして3位には27秒遅れでマインティーズが入ってきた。肝心のポートは1分15秒遅れのステージ7位となり、この瞬間フルサングの逆転総合優勝が決まった。

ツールに弾みをつけたアスタナ

 アスタナにとって今シーズン初の総合優勝だ。チームメイトのアルも総合5位で完走し、大成功のドーフィネとなった。ジロ・デ・イタリアでは、目立った活躍ができなかっただけに、ツールに向けて良い弾みとなるレースになっただろう。

逆転でマイヨジョーヌを獲得したヤコブ・フルサング Photo: Yuzuru SUNADA

 総合2位はわずか10秒差でポートだった。とはいえ、ポートのヒルクライムは抜群に素晴らしかった。ツールに向けて仕上がりは上々と言えるだろう。総合3位はマーティンが入った。終盤のアタックが実り、前日の総合8位から一気にジャンプアップを果たした。そして、フルームは総合4位へと転落した。昨年までの力強い走りは陰を潜め、ツール3連覇に向けて不安を残す結果となった。

 新人賞はブッフマンが守り抜き、無事に時間内に完走したクーン・ボウマン(オランダ、ロットNL・ユンボ)が山岳賞に、アルノー・デマール(フランス、エフデジ)がポイント賞を確定させた。

 日本人勢では、新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)が総合82位で完走し、チームに尽くした別府史之(日本、トレック・セガフレード)は最終ステージ途中でリタイアとなった。

第8ステージ結果
1 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) 3時間26分20秒
2 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +12秒
3 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAE・チームエミレーツ) +27秒
4 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +44秒
5 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分1秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +1分2秒
7 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1分15秒
8 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分36秒
9 ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル) +1分41秒
10 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +3分30秒
103 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +26分22秒
DNF 別府史之(日本、トレック・セガフレード)

個人総合(マイヨジョーヌ)
1 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ プロチーム) 29時間5分54秒
2 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +10秒
3 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +1分32秒
4 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ) +1分33秒
5 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) +1分37秒
6 ロマン・バルデ(フランス、アージェーデュゼール ラモンディアール) +2分4秒
7 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) +2分32秒
8 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAE・チームエミレーツ) +3分12秒
9 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム) +4分8秒
10 ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル) +4分40秒
82 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) +1時間5分1秒

ポイント賞(マイヨヴェール)
1 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 59 pts
2 フィル・バウハウス(ドイツ、チーム サンウェブ) 47 pts
3 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー) 36 pts

山岳賞(マイヨアポワ)
1 クーン・ボウマン(オランダ、ロットNL・ユンボ) 44 pts
2 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ プロチーム) 29 pts
3 ベン・スウィフト(イギリス、UAE・チームエミレーツ) 29 pts

新人賞(マイヨブラン)
1 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) 29時間08分26秒
2 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAE・チームエミレーツ) +40秒
3 ティシュ・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) +5分31秒

チーム総合
1 アージェーデュゼール ラモンディアール 87時間44分22秒
2 ロット・ソウダル +7分27秒
3 アスタナ プロチーム +8分36秒

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