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大人気イベントをCyclist記者が実走取材快晴の中、絶景コースを快走「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド2017」

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 北アルプスを望む絶景を走るロングライドイベント「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド2017」が5月21日、長野県松本市を発着点に行われた。申し込み受付開始すぐに1500人の出場枠が埋まってしまうという大人気イベント。お天気に恵まれた中、安曇野の初夏を満喫する一日をCyclist編集部記者が初体験した。

北アルプスをバックに疾走。奥には長野冬季五輪で使われた長野白馬ジャンプ競技場が見える Photo: Ikki YONEYAMA

前日から充実の会場 完走するぞ!

 アルプスあづみのセンチュリーライド(以下AACR)は、松本市郊外の梓水苑をスタート・ゴールに、白馬村までを往復するセンチュリー(100マイル=約160km)ライドだ。フルコースを走る160kmクラス以外に、途中で折り返す120km、80km、片道80kmを走って電車で戻ってくるサイクルトレインクラスなど、走力に応じて参加することができる。

 2009年の初開催以降、コースの景観の美しさやエイドの充実などが評判を呼び、エントリー開始からすぐに定員に達するという。そこで今年からは4月と5月の2回開催とし、募集定員を倍増させた。例年開催されてきた5月大会は「緑のAACR」という名称に。4月に初開催された「桜のAACR」に続き、“第9.5回大会”として、10年目を迎える来年に向けて盛大に行われた。

ウエイブワンは、AACRのオフィシャルジャージを販売。売り上げの一部は白馬村のスポーツ振興のために寄付される Photo: Ikki YONEYAMA
スペシャライズドブースでは、最新モデルの試乗や、シューズの試着、SNSキャンペーンなど盛りだくさん Photo: Ikki YONEYAMA

 大会前日の会場では参加受付だけでなく、スポンサーブースが軒を連ねた。5月大会の冠スポンサーであるスペシャライズドのブースでは、最新バイクの試乗やSNSキャンペーンを展開。ワコーズの和光ケミカルのブースでは駆動系を中心に洗浄と注油を行うサービスも。ほかにもマヴィックのメカニックサービスや、ウェアのウエイブワン、スポーツアロマコンディショニングのケアコーナーなど、ロングライド前の準備が「何でも揃う」前日会場だった。

ワコーズのブースでは、駆動部分の洗浄・注油を行うケミカルニュートラルサービスが好評 Photo: Ikki YONEYAMA
松本空港ロータリークラブによる、ポリオ撲滅のための寄付運動も行われた Photo: Ikki YONEYAMA

 ステージでは、大会実行委員長の元マウンテンバイクプロライダー、2000年シドニー五輪元日本代表の鈴木雷太さんや、テレビ『チャリダー』でおなじみの2004年アテネ五輪元日本代表、竹谷賢二さんらのトークを実施。いかに安全に、あるいは楽にAACRを完走するかのレクチャーなどが行われた。

鈴木雷太実行委員長は、安全に走るためのポイントと、しっかり完走するためのペース配分をレクチャー Photo: Ikki YONEYAMA
竹谷賢二さんは、バイクフィッティング、ポジショニングの観点から、長距離を走りきる上手な乗り方を伝授 Photo: Ikki YONEYAMA

朝日の中、続々スタート

 大会当日、まだ薄暗い午前5時前。スタート地点には数百人の参加者が集結した。約1500人の参加者は7つのグループに分かれ、朝5時から7時までかけて時間差でスタートしていく。ゴールの制限時間は一律で午後5時となるため、脚に自信のないライダーは、早くスタートしたほうが時間的に有利だ。最初にスタートするのは「Sクラス」の300人。クラス名のSはスペシャルの意で、スペシャルなスタート時刻とスペシャルな安全装備がセットになった参加枠だ。

最前列に並んだ皆さん。スタートが待ちきれない! Photo: Ikki YONEYAMA
朝日の中、続々とスタート Photo: Ikki YONEYAMA

 例年スタートの時刻は若干肌寒いというが、この日は予想最高気温が32℃と高めとあって、朝も上着不要の「涼しい」程度の気温だった。スタートラインに並んで約10秒ごとにスタートしていくSクラスに混じって、記者もスペシャライズド・ルーベのバイクにまたがって、早朝の安曇野へとペダルを漕ぎ出した。

 序盤のコースは松本盆地の西の端を通る県道25号線が中心で、中心部よりも若干標高が高くアップダウンも多め。上りは楽チンではないが、まだスタート直後で体力もあり、早朝で涼しいので快適に走れる。1時間弱で最初のエイドステーション、国営アルプスあづみの公園穂高エイドに到達する。公園の入口に向かう道路は、雄大な北アルプスを望む絶景。多くのライダーが脚を止めて記念撮影をしていた。

第1のあづみの公園穂高エイドへの入口は、最初の絶景ポイント Photo: Ikki YONEYAMA

近づく北アルプスの絶景

 前半のエイドステーションとなる2カ所の国営アルプスあづみの公園内は、普段自転車で乗り入れできない遊歩道がコースになっていて、いわゆる「道路」とは異なる景色が楽しめる。公園内のアップダウンを抜けていくと、お待ちかねのエイドステーションだ。穂高エイドではジャム塗り放題の米粉パン、大町エイドでは伝説のネギ味噌おにぎりが目玉。スイーツや野菜なども。まだあまりお腹は空いていないかも知れないが、先は長いのでしっかり食べておこう。各エイドでは次のエイドまでの距離が掲示されているので、ペースを作りやすい。

第1エイドでは米粉パンに3種類のジャムがつけ放題! Photo: Ikki YONEYAMA
少しずつ、北アルプスの雪山が近づいてくる Photo: Ikki YONEYAMA
第2エイドでは人気のネギ味噌など5種類のみそおにぎりを用意 Photo: Ikki YONEYAMA
マヴィックのメカニックサービスが各エイドや移動サポートカーでメカトラブルに対処する Photo: Ikki YONEYAMA

 大町を過ぎると木崎湖、青木湖の湖畔エリアを通過して、いよいよ白馬盆地へと下っていく。ここまで景色は目まぐるしく変わってきたが、とにかく共通するのが「緑のまぶしさ」だ。普段コンクリートに囲まれて過ごしている目からすると、信じられないほどの生き生きとした新緑に包まれ、今回からの大会名「緑のAACR」そのものの景色を体感できる。

木崎湖のほとりを抜けていく Photo: Ikki YONEYAMA
神奈川県から約50人という大所帯で参加の「グローブ」の皆さん Photo: Ikki YONEYAMA
どのエリアでも新緑がまぶしい Photo: Ikki YONEYAMA
思わず美しい山々に目がいく Photo: Ikki YONEYAMA

 白馬村へと入ると、北アルプスがぐっと近くなる。折り返し地点が近づくと同時に、気温も徐々に上がってきた。白馬駅の裏を抜けて下り、真っ青な松川の流れ沿いに上っていくと、最も北アルプスが間近に感じられる絶景ポイントだ。

東京・青梅から参加の「たのさく」さんは3回目の参加。自然の素晴らしさや、地元のエイドの優しさが好きだそう Photo: Ikki YONEYAMA
目の前一面に北アルプスが広がる絶景ポイント。思わず脚を止めてしまう Photo: Ikki YONEYAMA

深い緑の中を上り、美麻へ

 折り返しポイントとなる白馬エイドでは、甘い紫米のおにぎりと熱々の白馬豚汁を食べ一休み。復路は往路と重なるルートも若干あるが、ほぼ異なる道で新鮮に走ることができる。佐野坂峠や美麻に向けてのルートなど、まとまった上りもあり、ここまでの疲労や気温上昇も手伝って、感覚的には後半が6割くらいに感じた。日差しは強まり日陰も少なく、緑の照り返しが若干うらめしくもなる時間帯。大町美麻エイドへの上りは若干長いが、勾配はそれほどでもなく、上りきった場所にあるエイドの後は、長いダウンヒルが待っている。

ようやく折り返し。高原の風景の中を抜けていく Photo: Ikki YONEYAMA
往路と復路が重なるポイントでは、互いに手を振り励ましあう Photo: Ikki YONEYAMA
木崎湖付近で、特急列車と遭遇 Photo: Ikki YONEYAMA
深い緑の中、少々長めの美麻への上り。後半の頑張りどころ Photo: Ikki YONEYAMA

 下りきってしばらくは平地のルート。田園地帯を抜け、さらに高瀬川沿いを走る。おおよそ20~25kmごとにエイドステーションが設けられているが、美麻エイドから次の安曇野エイドまでは、最長の35.6kmの距離を要する。日差しが真上から照り付けて日陰も少ない。道端のコンビニで「自主エイド」休憩を取っているグループも多く見かけた。

美麻から下ると、しばらくは平野部を走る Photo: Ikki YONEYAMA
平野部は田んぼが多い Photo: Ikki YONEYAMA
麦畑の緑がまぶしい Photo: Ikki YONEYAMA

 川沿いを外れると、今度は住宅の多い小道を通る。さまざまな安曇野の情景を体験してきたが、これもまた新鮮な景色だ。やがて最後のエイドステーション、安曇野エイドに到着する。ゴールまで残り18.7km、約1時間だ。水分補給だけでなく、顔や体を冷水で流して、しっかり暑さのダメージを抜いておこう。この近辺は水道水が冷たいのがありがたい。

住宅の多いエリアをのんびり抜けていく。のどかだが振り向くと北アルプスも Photo: Ikki YONEYAMA
最終の安曇野エイドでは、スッキリ甘いりんごジュースを補給 Photo: Ikki YONEYAMA
残りわずかだが、暑さと疲労もピーク Photo: Ikki YONEYAMA

ゴールは思わずガッツポーズ

 最後は再び山麓線に少し上った後、田園地帯を抜けてゴールへと向かう。このエリアは一時停止ゾーンが少なくないので、思っていた以上に時間がかかる。混雑する時間帯に走る際には、思った以上に時間がかかる可能性があるので要注意だ。最後の右折待ちから会場に入ると、ゴールゲートが待ち構えている。撮影や取材をしつつも、記者も午後3時ごろ無事ゴールすることができた。

 続々とゴールするなかには、お揃いのウェアを着た女性ばかりの集団がいた。ロード初心者からAACR120kmの完走を目指す、スペシャライズド・ジャパンの女性向けプログラムの参加者だ。スペシャライズドアンバサダーの丸山八智代さんの指導で、昨年9月から半年間のトレーニングを積み、今日が晴れの本番だそう。

 初めて100km以上を走ったという50代の加藤厚子さんは、「何とか走りきることができて嬉しいです」と笑顔。半年の講座では、ビンディングペダルの使い方や坂の楽な走り方のほか、公道を走るうえでの集団走行や手信号なども学び、普段の自転車に乗る際の意識も変わったという。

「100km地点」で記念撮影 Photo: Ikki YONEYAMA
120kmコースチャレンジを見事完走。達成感があふれる Photo: Ikki YONEYAMA

 サイクルトレインクラスの参加者も、白馬から復路を電車で移動したあと、最寄駅から8kmほどを走ってゴールする。全体の半分ほどの距離ながら、白馬地域の景色も間近に楽しめる、お得なコースだ。

 ゴール後は仲間と記念撮影をするグループがステージ前に列をなす。千葉から80kmクラスに参加した河瀬まり子さんは、上りと暑さに苦戦したと話しながらも、無事に完走証を手にしてニッコリ。「アルプスがとても綺麗で、空も綺麗だった。道も走りやすかった。来年は4月の“桜のAACR”を走ってみたい」とロングライドの魅力を満喫したようだ。

友人と3人で参加した河瀬まり子さん(左)。ステージで完走記念写真 Photo: Ikki YONEYAMA
往路を走ったあと、復路は電車で楽々のサイクルトレインクラス Photo: AACR実行委員会

走り終えた瞬間から、来年が楽しみに

 さて最後に、記者自身のライド振り返りを。10年前には週に何度も1日100km以上を走っていたが、最近5年ほどは年に1回100km以上走るかどうかとあって、若干不安を抱えつつスタートした。だがフューチャーショックを装備したスペシャライズド・ルーベは想像以上に快適。練習不足からくるお尻の筋肉痛以外、身体のダメージはほとんど感じることなく、一日走ることができた。ペースは全体で10時間走ることを前提に、呼吸は多少頑張りつつも、脚の筋肉はあまり使わない走りを心がけた。

記者の装備一式(あとはスマホ)。天気が良かったので上着などは持たなかった。モバイルバッテリーは結局使わなかった。パンは食べたが嵩張るので無くてよかったかも Photo: Ikki YONEYAMA
バイクはスペシャライズド・ルーベを使用。ステム下のヘッド部分が2cmストロークする「フューチャーショック」を搭載 Photo: Ikki YONEYAMA

 補給はミニようかんを4つ、ジャム系の菓子パンを1つ携行。エイドが充実していたので、前半は携行食に手は付けなかったが、後半100km付近から一気に空腹感が出て、ようかん2つとパンを消費した。後半のエイドの補給は軽いものが中心なので、前半のエイドで多めに補給を摂るほうがいいかも知れない。ただコース沿いに何軒かコンビニがあるので、自主休憩も前提にしておけば、携帯の補給食はほとんど持たなくて大丈夫そうだった。

 コースはアップダウンがそれなりにあるものの、軽いギアを使えばこなせる範囲なので、時間をかけて前に進みさえすれば、上級者でなくても完走は十分可能だ。とはいえ気になるのは制限時間。今回は初めてで時間が読めず、取材もしながらなので急ぎのペースを心がけた。2回目からは、もう少しのんびり楽しめるかも知れない。などと走り終えた時には、もうリピーターの気持ちになっていた。

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