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両者とも自らの不注意が原因かドイツのトライアスロン女子選手が自転車事故で死亡 MotoGP・ヘイデン死亡の翌日に

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 スポーツ界を代表する2人の選手が自転車事故により、イタリアで命を落とした。5月22日にMotoGPの元王者ニッキー・ヘイデン(アメリカ、35歳)が死亡し、翌23日はトライアスロン女子選手、ユリア・フィッレナー(ドイツ、31歳)が亡くなった。皮肉なことに2人は同じ病院に入院していた。最先端の技術を誇る病院だったが、残念な結果になった。

自転車事故で死亡したニッキー・ヘイデン(左、Photo: Shusaku MATSUO)とユリア・フィッレナー(右、Photo: FITRI)

スピードの出しすぎと前方不注意

 イタリアでは自転車が絡む交通事故が減る傾向にあるにも関わらず、スポーツ選手が犠牲となる事故が連日のように伝えられた。ジロ・デ・イタリア開幕目前の4月22日には、ジロに出場予定だったイタリアを代表する選手、ミケーレ・スカルポーニ(アスタナ プロチーム)が亡くなった。また5月9日には、隣国のモナコでクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)がクルマに衝突されたが、こちらは幸いにかすり傷程度で済んだ。こうしたニュースが伝えられる中、さらに不幸の連鎖が続いてしまった。

4月22日に死亡したミケーレ・スカルポーニ =ブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージ、2016年8月23日Photo: Yuzuru SUNADA

 しかし、クルマのドライバーの不注意かスピード違反による事故が多い中で、今回の事故の原因は少し違うようである。報道などによると、警察が防犯カメラの映像を分析したところ、ヘイデンは一時停止を無視し、猛スピードで県道に進入したことがわかったとされる。走ってきたクルマと衝突し、意識不明の重体で入院したが、意識が戻らないまま死亡した。映像からは携帯音楽端末をいじっている様子がうかがえたという。

 一方、フィッレナーはラヴェンナで行われたトライアスロン大会を終え、人気のある市民レース「グランフォンド・ノヴェコッリ」の参加を控え、コースで練習していたとされる。その最中、下りで前を走っていたトラックと接触。前輪がトラックに引っかかり、80m以上引きずられた。その結果、複数カ所の骨折を負って入院先で両足を切断。23日に死亡が確認された。臓器がすでに提供されたと報道されている。

 この二つの事故から次のような共通点がうかがえる。練習中でかなりのスピードを出していたことと、前方注意を怠ったことである。両者ともにまだ30代で世界が誇るスポーツ経験者にもかかわらず、自ら事故を招き、結果として命を落としてしまった。

日本でも相次ぐ重大事故

 今年に入って、日本国内でも練習中または大会の最中に重大な事故や死亡事故が相次いでいる。1月21日にトライアスロン選手の小林大哲さんがバイクの練習中に、道路脇の崖下へ転落し死亡。また、2月26日に静岡県で行われていたサイクリングイベント「第3回南伊豆グランフォンド」に参加していた女性は崖から転落し、頭や上半身などを強く打ち、意識不明の重体となった。

 これらの事故から、街中だけでなく、危険があらゆるところに潜んでいるとわかる。プロ選手もホビーレーサーも事故と無縁ではなく、過信による一瞬の判断ミスで命を落とすこともある。常に自転車が危険な乗り物だと意識をしないと、不幸な結果を免れない。

イタリアで高まる安全対策への意識

 相次ぐ事故を重く見たイタリア警察が、クルマのドライバーだけでなく自転車に乗る人にも向けた啓発ビデオを作り、ジロ・デ・イタリアを放送する各局で放映している。内容は、ドライバーとサイクリスト両者の言い訳を集めたもの。両者にスポットを当てた初めての試みで、深く考えさせるものとなっている。

イタリア警察の啓発ビデオの日本語訳

「みなさん、自分に対する責任だけでなく、他人に対する責任を忘れていませんか。でも(事故が起こると)聞こえてくるのが言い訳ばかり。
車の運転はスポーツだ!
自転車は遊びだろう?
飲んでもアルコールはすぐ消えるさ!
自転車のライトは邪魔!
ヘルメットのせいで髪の毛はめちゃくちゃだ!
何も聞こえなかったよ。
何も見ていなかったよ。
毎年1万8000人のライダーが交通事故に遭う。
言い訳はもういらない。
#iovogliopedalaresicuro (安全に自転車に乗ろう)」

 日本では2015年の6月1日に実施された道路交通法改正から、危険運転をする自転車への取り締まりが強化されたはずである。でもよく見てみると、現状としては警察が見過ごしていることが多い。実はイタリアも、取り締まりを行う警察官が足りないという同じ問題を抱えてきた。

 罰則の強化だけでは対策は不十分だとわかったイタリア警察は逆に教育に力を入れ、学校を中心に回り、若いころから安全意識を覚えさせる対策が強化された。時間がかかるが確実な方法だとわかってきたからだ。

 ジロ・デ・イタリアの会場では、イタリア警察がスタートとゴール地点で子ども向けに自転車乗り方教室を開いた。さらに自転車の魅力を見せるため専用バスを用意しコース見学させ、子どもたちがチャンピオンを間近に見られるようゴールに専用スタンドを設ける取り組みも行っている。

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