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サイクリスト

ジロ・デ・イタリア2017 第9ステージキンタナが山頂フィニッシュを制し総合首位に 大規模落車でトーマスやランダらが脱落

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリア第9ステージが5月14日、モンテネーロ・ディ・ビザッチャからブロックハウスまでの149kmで行われた。この日のハイライトでもあった1級山岳頂上フィニッシュを、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)が制覇。後続にタイム差をつけ、個人総合首位に浮上した。また、残り15km地点でモーターバイクとの接触をきっかけとする大規模クラッシュが発生。総合優勝候補と目されたゲラント・トーマス(イギリス)とミケル・ランダ(スペイン)のチーム スカイ勢、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)らが大きな後れを喫している。

1級山岳ブロックハウスの頂上フィニッシュを制したナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

大会前半の山場ステージ

 ここまで、スプリンターや逃げを得意とする選手たちに活躍の場が与えられてきた印象のジロだが、個人総合争いがいよいよ本番となった。

 イタリア半島を北進するプロトンはこの日、同半島の中央部を縦貫するアペニン山脈へと立ち寄る。目指すはスキーリゾート地としても知られるブロックハウス。残り40kmを切ってから徐々に上り始めるが、フィニッシュに向かって厳しい坂が本格化するのは残り13.6kmから。平均勾配9%、中腹で最大となる14%の上りが待ち受ける。ジロでは2009年以来の登場で、その際は当時リクイガスに所属していたフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、現バーレーン・メリダ)がステージ優勝している。

逃げグループを牽引するマッテーオ・モンタグーティ Photo: Yuzuru SUNADA

 迎えたレースは、序盤に9人が先行。さらに3人が追走を図った。逃げへの合流を目指した3人は、スピードを上げる先頭グループの動きに大苦戦。追走グループにピエール・ロラン(フランス)を送っているキャノンデール・ドラパックが、逃げ・追走ともに一掃すべくメイン集団の牽引を開始。これらの動きを把握した逃げメンバーは、一度引き離した追走3人の合流を容認。ここでいったん、プロトン全体の動きが落ち着く。

モビスター チームがメイン集団をコントロールする Photo: Yuzuru SUNADA

 それからは、メイン集団のコントロールをモビスター チームが担い、逃げグループとの差を調整。一時はタイム差が1分台にまで縮まったが、再調整して2分前後の差を保ちながら逃げメンバー吸収のタイミングを待った。

 距離を追うにつれ、勢いの差は明白となる。結局、残り22kmでメイン集団が逃げていた選手たちをすべて捕まえ、レースを振り出しに戻す。ブロックハウスの上りに向けて、各チームが総合エースのポジショニングに努めた。

メイン集団に大規模クラッシュが発生

 レースが大きな局面を迎えたのは、最後の上りに向けてメイン集団のペースが上がっていた残り15km地点だった。コース左脇に停車していた大会関係のモーターバイクをかわしきれず、集団前方を走っていたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、チーム サンウェブ)が接触。勢いそのままにバイクから投げ出され、近くを走っていた選手たちが次々と巻き込まれた。

 この中には、トーマスやランダ、イェーツが含まれ、勝負はこれからというところで足止めを余儀なくされた。イェーツはすぐに走り出したものの、落車ダメージの大きかったトーマスや、機材に不具合が出たランダはみるみる間にメイン集団との差をつけられてしまう。結果的に、この3選手はメイン集団に復帰することはできなかった。

 また、ケルデルマンも負傷しその場でリタイア。思わぬ形でメイン集団の人数が削られることとなった。

キンタナが繰り返しのアタックで本領発揮

 ブロックハウスの上りに入ってもレースの主導権はモビスター チームがキープ。特に、ビクトル・デラパルテ(スペイン)とウィネル・アナコナ(コロンビア)の強力な牽引によって、1人、また1人と集団からこぼれていく。残り9kmでは、ここまで5日間にわたってマリアローザを守り続けてきたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)が遅れ、タイミングをほぼ同じくしてティージェイ・ヴァンガードレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)も後方へと下がっていった。

左からナイロアレクサンデル・キンタナ、ヴィンチェンツォ・ニーバリ、ティボー・ピノ。前評判の高かった3選手が先頭に立った Photo: Yuzuru SUNADA

 そして、アナコナの引きが終わった残り7km、満を持してキンタナがアタック。これに続いたのはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とティボー・ピノ(フランス、エフデジ)。戦前からの前評判が高かった3人がついに先頭に立った。

 すると、残り6.5kmでピノがカウンターアタック。今度はキンタナがすかさずチェックに動き、ニーバリも一定のペースを守りながら2人の動きに対応する。

 それからは、キンタナが立て続けにアタックを繰り出す。すぐにチェックするのはピノ、テンポで追いつくのがニーバリといった構図だが、残り4.7kmでキンタナ渾身のアタックによって3人の先頭グループが完全に崩壊。差が開いたと見るや、数段階にわたってキンタナがペースアップ。

 後続では、キンタナらの先行を許してからもペースを守り続けた、トム・デュムラン(チーム サンウェブ)とバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)のオランダ人コンビが粘りを見せる。やがて、失速したニーバリを労せずパスし、2番手を走っていたピノにも追いついた。これを嫌ったピノがアタックすると、デュムランが反応。前を行くキンタナとは30秒前後の差で追い続けた。

 快調に飛ばしたキンタナは、最後まで力強いペダリング。フィニッシュラインを通過するまでしっかりと踏み続け、今大会初勝利を決めた。同時にマリアローザも奪取。個人総合優勝候補筆頭との呼び声も高いが、早くも首位に立った。

個人総合首位に立ちマリアローザに袖を通したナイロアレクサンデル・キンタナ Photo: Yuzuru SUNADA

 キンタナには届かずも白熱したステージ2位争いは、ピノが先着。3位のデュムランとともにトップから24秒差でのフィニッシュ。4位にはモレマ、苦しい走りとなったニーバリは何とか5位に踏みとどまった。そのほか、ユンゲルスは3分30秒差、イェーツは4分39秒差、トーマスは5分8秒差、ランダに至ってはこの日最大のグルペットからも遅れる26分56秒差でステージを終え、いずれも個人総合争いからは脱落する結果となった。

ステージ2位争いはティボー・ピノが先着 Photo: Yuzuru SUNADA
総合優勝候補のゲラント・トーマス(中央)は落車によって脱落 Photo: Yuzuru SUNADA

 個人総合首位のキンタナから、2位ピノが28秒、3位デュムラン30秒、4位モレマが51秒と、ここまでが1分差以内につける。15日は今大会2度目の休息日に充てられるが、続く後半ステージでこのタイム差がどのように影響するかが興味深い。その皮切りとなる第10ステージは、39.8kmの個人タイムトライアル。総合上位陣の形勢に大きな変化が生まれる可能性は大いにありそうだ。

第9ステージ結果
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 3時間44分51秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +24秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +24秒
4 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +41秒
5 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分0秒
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分18秒
7 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ プロチーム) +2分2秒
8 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ・アルペシン) +2分14秒
9 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ) +2分28秒
10 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2分35秒

個人総合(マリアローザ)
1 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 42時間6分9秒
2 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +28秒
3 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +30秒
4 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +51秒
5 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分10秒
6 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +1分28秒
7 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ・アルペシン) +2分28秒
8 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2分45秒
9 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター チーム) +2分53秒
10 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ) +3分6秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 191pts
2 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 160pts
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 129pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 44pts
2 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) 35pts
3 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) 27pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) 42時間8分54秒
2 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +45秒
3 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) +2分1秒

チーム総合
1 モビスター チーム 126時間26分41秒
2 アスタナ プロチーム +6分15秒
3 UAE・チームエミレーツ +7分57秒

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