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工具はともだち<115>なし地と鏡面どっちがいいの? 表面の仕上げの違い 

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 工具のお話しをしているとよく聞かれる質問がありますが、その中でも多いのが表面の仕上げの違いと「なし地」と「鏡面」のどちらがいいのか?という質問です。

 ピンとこない方も多いと思いますので、もう少し丁寧に説明しますと、「なし地」とは表面がざらっとした感じで色は渋めの銀色です。KTCだとスタンダードな製品の仕上げが「なし地」となります。それに対して「鏡面」とは、読んで字のごとく鏡のように磨かれた仕上げの事で「ミラーフィニッシュ」と呼ばれたりします。KTCだとネプロスの仕上げが「鏡面」です。この二つの仕上げ、見た目は大きく違うのですが、実はどちらが絶対に優れているという訳ではありません。今回の「工具はともだち」はこの仕上げの違いについてご説明したいと思います。

なし地(右)と鏡面の仕上げ ©KTC

 まず、二つの作り方から見て行きましょう。「鏡面仕上げ」の場合は表面処理の前に時間を掛けて磨きあげた後に表面処理である「めっき」を施します。KTCでは、研磨用の石と研磨剤を製品と一緒に研磨用の機械の中に入れて磨いています。また、それで磨ききれないような箇所は手作業で磨きを掛けたりします。表面がきれいに磨かれた製品に「めっき」を施すと鏡のようにきれいな製品が出来上がります。

鏡面仕上げのネプロスのロングコンビネーション ©KTC

 ネプロスの正式名称が「ミラーネプロス」となっているのはこれが由来です。「鏡面仕上げ」はなんとなく想像できるかもしれませんが、「なし地」仕上げはどうして作っているかと言うと製品を機械の中に入れ、表面に小さな鉄球を当てることで、あのなんとも言えない渋い感じに仕上がります。

 そして、「鏡面仕上げ」よりは短い時間で磨き工程を経た後、「めっき」を施されます。ここでお気づきの方もいると思いますが、実は「なし地」も「鏡面」も「めっき」工程に違いはありません。「なし地」と「鏡面」は「めっき」にも違いがあると思われがちですが、実は同じ設備で同じように「めっき」されるのです。つまり、仕上がりの違いはズバリ磨きの工程にあるのです。

 次は機能面の違いを説明しましょう。「なし地」を好きな方は「なし地は表面にざらつきがある分すべり難く感じる」と言います。逆に言えば「鏡面はツルツルしていて滑りやすく感じる」と言う訳です。一方で「鏡面」が好きな方は「鏡面は油をふき取り易い」と言います。つまり、作業が終了した後「鏡面」だと、さっと一拭きで拭き取れて、拭き取りが楽だと言う訳です。

 確かに、「なし地」はデコボコしている分、油が拭き取り難く、拭き残した油で逆に滑るという現象が起きることもあります。ただ、いずれにしても、油手で回せばどちらも滑るので、実際はそれ程大きな差はないと思います。滑るという点でそれ程差が無いとすると、拭き取り易さの面から「鏡面仕上げ」に若干、分があるようですが、それも、わずかな差だと思います。

なし地仕上げのKTCの自転車用薄口コンビネーションレンチ ©KTC

 このように、実際はどちらかが一方的に優れているという事はないので、どちらを選ぶかは結局のところ「好み」という事です。こういう結論だと「いや、そんな事はない!」と、お叱りを頂くかもしれませんが、本当に機能や性能に大きな差があるとすると、大抵は淘汰されてしまいますから、これだけ長きに渡りどちらも生き残っている事が何よりの証拠かもしれません。

 また、比較的、ヨーロッパメーカーには「なし地」が多く、アメリカメーカーには「鏡面」が多いというように国や地域による傾向もありますので、「なし地」か「鏡面」のどちらが好まれるかは、トイレットペーパーの「ダブル」か「シングル」かの違いのように、関東では「ダブル」が関西では「シングル」が好まれるのと同じようなものなのではないかと筆者は考えています。

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重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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