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サイクリスト

ジロ・デ・イタリア2017 第4ステージ序盤から逃げたポランツェが独走でエトナ火山を制覇 総合勢には差がつかず

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 ジロ・デ・イタリア第4ステージは5月9日、チェファルからエトナまでの181kmで行われ、スタート直後から先行した選手のうち、終盤に独走態勢に持ち込んだヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ)が逃げ切り勝利。2015年大会の第5ステージ以来となる、ジロ通算2勝目を挙げた。個人総合首位のマリアローザは、メイン集団でフィニッシュしたボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)へと移動している。

独走でジロ2017第4ステージを制したヤン・ポランツェ Photo: Yuzuru SUNADA

4選手が最大8分のリード

 地中海に浮かぶサルデーニャ島で開幕した今年のジロは、移動日だった昨日を経て、南のシチリア島へと舞台を移した。事実上の第1週の始まりとなるが、今大会最初の上級山岳ステージが編成された。活火山でもあるエトナ火山の頂上を目指す1日は、スタート直後からの4人の逃げで始まった。

 先行するメンバーはポランツェのほか、パヴェル・ブルット(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、ジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、チーム ディメンションデータ)、エウジェニオ・アラファーチ(イタリア、トレック・セガフレード)。残り100kmの段階で、この日最大の約8分のリードを築いた。

海沿いを走るプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

 それ以降は、メイン集団が少しずつタイム差をコントロール。個人総合優勝候補を擁するチームがアシストを前方に送り込み、集団の統率を図った。

 スタートから90km地点に設定された2級山岳ポイントは、ヤンセファンレンズバーグが1位通過。後方から迫ったポランツェの進路をふさぐような格好となり、両者が言い争う場面も見られたが、通過順位への影響はなかった。メイン集団からは、山岳賞争いで首位に立つダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、チーム ディメンションデータ)が抜け出し、5番手で通過。2ポイントを加算した。

 124km地点と143km地点には中間スプリントポイントが設けられ、どちらもブルットが1位通過。5位までにポイントが与えられ、逃げメンバーに続いて5番手で通過したのは、いずれもマリアローザを着用するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)。ポイント賞争いを意識した動きを見せている。

メイン集団が活性化するも大きな動きは生まれず

 フィニッシュまで残り30kmを切ると、徐々にメイン集団から遅れる選手が出始める。勝負に絡む意思のない選手や、スプリンターたちがグルペットを形成し、完走を目指すスタンスをとる。一方のメイン集団は、オリカ・スコットやバーレーン・メリダのアシスト陣が前方を固め、ペースアップを図る。

 エトナの上りは、登坂距離約18km、平均勾配6%。最も勾配が箇所で12%と、まさにこのステージのハイライト。上り始める頃には逃げがポランツェとヤンセファンレンズバーグに絞られ、互いに逃げ切りを目指し登坂区間へと突入した。

 その頃メイン集団では、右コーナーを直進し数選手がコースアウトするハプニングが発生。この影響で、コース脇のガードレールに接触する選手や落車する選手が現れた。チーム カチューシャの選手が複数巻き込まれたほか、総合争いで期待されるステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)も落車。幸い大きなクラッシュには至らず、多くの選手がすぐにレース復帰を果たしている。

エトナの上りを懸命に走るヤン・ポランツェ Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭では、ポランツェがヤンセファンレンズバーグを引き離し独走を開始。フィニッシュまでの約17kmを逃げ切る構えだ。メイン集団では、マリアローザを着ながらアシストの動きを見せていたガビリアが役割を終えてペースダウン。今大会の第1ステージを制した、ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)も集団から遅れ、ゆっくりとフィニッシュを目指し始めた。

 数チームがメイン集団の主導権を争う状況でアタックしたのは、今シーズン限りでの引退を表明したパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ プロチーム)。すぐに捕まってしまったが、地元シチリア島で見せ場を作った。残り10kmを切ろうかというところでは、総合優勝候補の1人、ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ)の前輪がパンク。アシストのホイールを借りて懸命に追い上げ、無事に集団復帰を果たしている。

果敢にアタックを繰り出したピエール・ロラン Photo: Yuzuru SUNADA

 また、集団からのアタックが散発。ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)、ジェスパー・ハンセン(デンマーク、アスタナ プロチーム)、イゴール・アントン(スペイン、チーム ディメンションデータ)らがチャンスをうかがうが、いずれも集団がキャッチ。フランコ・ペリツォッティ(イタリア、バーレーン・メリダ)のアタックにウィネル・アナコナ(コロンビア、モビスター チーム)が反応する場面もあったが、いずれもレースを大きく動かすことはなかった。

ポランツェがエトナの上りを激走

 先頭を走るポランツェは、上半身を揺らし苦しそうにしながらも、序盤からの貯金を生かして逃げ続けた。メイン集団とのタイム差が劇的に縮まることはなく、ラスト1kmで45秒差。いよいよ逃げ切りが見えてきた。最後の厳しい区間もクリアし、フィニッシュまでの長い直線はウイニングライド。フィニッシュライン手前で勝利を確信し、高々と両手を突き上げてステージ優勝の喜びを表した。総合では遅れているため、上位進出はならないが、山岳ポイントを一気に稼ぐことに成功。このステージを終えて、山岳賞争いのトップに立った。

ポディウムで勝ち名乗りを受けたヤン・ポランツェ Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団は、残り3km手前でシチリア島の英雄ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が満を持してアタック。しかし勢いに欠け、すぐに捕まってしまう。直後にアントンとハンセンが再度飛び出しを図るが、これも失敗。

 さらには、トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ)が前方に上がると、ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)とイルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ)がすかさずチェック。ラスト1kmを目前にデュムランとピノは意識的に集団へと戻るが、前に残ったザカリンはその状況を知るや一気にペースアップ。

19秒差の2位でフィニッシュしたイルヌール・ザカリン Photo: Yuzuru SUNADA

 メイン集団に追う姿勢は見られず、ザカリンはそのまま単独2位でフィニッシュ。ポランツェとは19秒差だった。さらに10秒差でメイン集団がやってきた。最後はスプリントとなり、ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ)が先着。ステージ3位となり、4秒のボーナスタイムを獲得した。

 この結果、メイン集団内でフィニッシュしたユンゲルスが、チームメートのガビリアから引き継ぐ形でマリアローザをゲット。第3ステージで横風分断を誘発し、有力選手たちから先着していたのが奏功した。総合2位にはトーマスが浮上し6秒差。同じく3位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)以下、13位までが10秒差で続く。今のところ、総合優勝候補で大きく遅れた選手は出ていない。

個人総合首位に立ち、マリアローザに袖を通したボブ・ユンゲルス Photo: Yuzuru SUNADA

 10日に行われる第5ステージは、ペダーラからメッシーナまでの159km。中盤以降が平坦基調となり、スプリンター有利のコース設定。最終局面は、メッシーナ市街地を約1周半走ってフィニッシュとなる。

第4ステージ結果
1 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 4時間55分58秒
2 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) +19秒
3 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +29秒
4 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +29秒
5 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ プロチーム) +29秒
6 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +29秒
7 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +29秒
8 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +29秒
9 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +29秒
10 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +29秒

個人総合(マリアローザ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 5時間13分25秒
2 ゲラント・トーマス(イギリス、チーム スカイ) +6秒
3 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +10秒
4 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +10秒
5 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール ラモンディアル) +10秒
6 ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム) +10秒
7 トム・デュムラン(オランダ、チーム サンウェブ) +10秒
8 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +10秒
9 ミケル・ランダ(スペイン、チーム スカイ) +10秒
10 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +10秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 81pts
2 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、チーム ディメンションデータ) 74pts
3 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 72pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAE・チームエミレーツ) 43pts
2 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、チーム ディメンションデータ) 22pts
3 イルヌール・ザカリン(ロシア、チーム カチューシャ) 18pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 5時間13分25秒
2 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +10秒
3 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +10秒

チーム総合
1 キャノンデール・ドラパック 59時間6分18秒
2 UAE・チームエミレーツ +7秒
3 モビスター チーム +36秒

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