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「ツィーナー・バイクフェステバル 2017」レポート開催日拡大でパワーアップしたイタリアのMTBイベント 試乗ツアーで勾配42%の激坂に挑戦

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「ツィーナー・バイクフェステバル」は試乗・試着し放題。今回筆者は「スコット」のMTBで女性向けツアーに参加してきた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 イタリア北部のリーバで4月28日から5月1日、マウンテンバイク(MTB)イベント「Ziener BIKE Festival」(ツィーナー・バイクフェステバル)が開催された。ツィーナー・バイクフェステバルは、ユーザーが直接新製品に触れ、無料で試乗すことができるのが特徴。欧州でのMTBのシーズンインを祝すにふさわしい時期のMTBイベントということもあって、4万5千人の来場者で賑わった。そんな来場者同様、筆者も試乗に挑戦してきた。

「試乗しないなんてもったいない!」

 昨年のツィーナー・バイクフェステバルでは、クローズドな場所でプロMTB選手のユリア・ホフマンさん(Julia Hofmann)からMTBの基本的な乗り方の手ほどきを受けた筆者。1年越しのイベントでは、やはり昨年取材をして興味を持った“サイクリストのためのヨガ”をするつもりでいた。ところが2017年はヨガ教室がなくなっていた。「どうしよう?」と思っていると、主催者代表のオリバー・クラウス氏(Oliver Kraus)から「バイクを試乗しないなんてもったいない! 各社がツアーをしているから気軽に聞いてみるといいよ」という力強いコメントをもらった。

来場者で賑わうツィーナー・バイクフェステバル会場 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
「業界にとって欧州一の重要なイベント」と主催者代表のオリバー・クラウス氏 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
今年も会場でプロMTB選手のユリア・ホフマンさんに会うことができた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 そう、ツィーナー・バイクフェステバルの最大の特徴は、各社のMTB関連製品を試せることにあるのだ。試乗車はおよそ1000台、出展ブランドはバイク・アパレル・アクセサリーなど300ほど。クラウス氏は、「ツィーナー・バイクフェステバルは、欧州でMTBシーズンが始まってから最初の大きなイベント。多くのブランドがここへ新製品を持参してきている。ということは例えばMTBファンが自分のバイクを持ってこなくても、トレイルを楽しむことができるんだ」と紹介した。

会場周辺はトレイルに恵まれている。ガルダ湖から山肌を見るとうっすらと道が確認できた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 ガルダ湖の最北に位置するリーバは、岩山に囲まれたリゾート地。トロピカルな雰囲気を求めて隣国オーストリアやそのまた隣のドイツからの観光客が多く訪れ、また土地柄ウィンドサーフィンやセイリング、ロッククライミングといったスポーツの拠点としても親しまれてきた。MTBについても、中級者以上向けの上質なトレイルに恵まれている。開催地がイタリアにも関わらず、主催者は旅やヨット、自転車といった雑誌を手がけるドイツの出版社ということもうなずける。

 「アウトドア関連の見本市『ISPO』(イスポ)や自転車関連の見本市『ユーロバイク』ほど大規模ではないけれど、MTBに特化し、ライダーと企業が直接顔を合わせコミュニケーションを取ることができる貴重なイベント。また第24回目となる今年も、地域の協力態勢があるからこそ開催できている。業界にとって欧州一の重要なイベントと言えるんじゃないかな」(クラウス氏)

シューズを試着してトレイルへ

スコットのブースで女性向けかつ初心者もOKのツアーを発見 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 自身でMTBを所有したことがない筆者にとっても、試乗できるまたとないチャンス。クラウス氏のアドバイスに後押しされブースを巡ってみると、「Scott」(スコット)のブースで女性向けかつ初心者もOKのツアーを発見。さっそく参加してみることにした。

 とはいえ普段ロードバイクに乗っている筆者は、MTBの装備を持ち合わせていない。アウトドアアパレル・アクセサリーブランド「Vaude」(ファウデ)のブースを通りかかると、「フラットペダル用シューズ」「テストステーション」のパネルが目に入った。尋ねると、試着希望者に新作シューズ「Moab low AM」(モアプ・ロー・オールマウンテン)を貸し出していて、試着したままライドへ出かけることも可能だという。ちょうどその時中年のご夫婦がトレイルから戻ってきたところで、「履き心地よかったわ!」と泥がはねたシューズを返却しているところだった。

「フラットペダル用シューズ試着できます」という内容のパネル Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ファウデのブース奥には試着用のシューズがずらり Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ファウデのフラットシューズは、試着したままライドへ出かけることも可能。泥がはねたシューズを返却中のご夫婦 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
試着可能なシューズは、フラットペダル用の「モアプ・ロー・オールマウンテン」 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
筆者もロードバイク用のシューズから履き替えました Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
希望者に最適なサドルを計測して試乗させてくれるサドルブランド「SQ Lab」のブース Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 なんとも太っ腹…と思っていると、シューズばかりでないらしい。各ブースをよく見てみると、バイクの試乗以外にもサドルやバックパックなど、あらゆるものが試着・試乗の対象となっていたのだ。会場を出ればすぐにトレイルへ向かうことができて楽しみながらテストすることができるとは、ツィーナー・バイクフェステバルがユーザーに人気のはずだ。

女性向けツアーに参加

スタート前に参加者へ向けて注意事項を説明するカトリン・シェーンさん Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 スコットのツアーに集まったのは8人。最初に簡単な自己紹介タイムがありそれぞれのMTB歴を話すと、どうやら全くの初心者は筆者のほかに1人。ほかは「いつもはオーストリア山中を走っています」「数年ぶりにチャレンジします」といった顔ぶれだ。ツアーグループにはサポートとして女性MTBチーム「SCOTT CONTESSA」(スコット・コンテッサ)から、カトリン・シェーンさん(Kathrin Schön)、カリナ・モアさん(Carina Mohr)が同行し万全な体制だ。

 筆者が試乗することになったのは、29er「Scale(スケール) RC 900 world cup」の2017年モデル。カーボンフレームはMサイズで約970gと軽量設計であることに加え、フロントサスペンションのみのハードテイルのということでMTB初心者には扱いやすいタイプだ。スケール RC 900 ワールドカップには女性モデルもラインナップされているものの、今回は貸出機として並んでいたユニセックスモデルに乗ることになった。

スコットの「スケール RC 900 ワールドカップ」を試乗。初心者の筆者はトレイル入口でUターン Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 トレイルへ入る前に、全員が基本的なトレーニングを体験した。両ペダルを水平にしたまま視線を上げ静止を試みる、2人のライダーが通り過ぎざまに手を握り合い静止する、後輪ブレーキをかけて停止する際にサドルの後ろ側に降りるといった内容。どれも、トレイルでのバランス・安全を確保するための練習だ。

2人のライダーが通り過ぎざまに手を握り合い静止するトレーニング。1人で静止するよりも難しい Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
停止する際にサドルの後ろ側に降りる練習は、坂のトレイルでの前方への転倒防止に大切 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

“苦行”が報われる時

上りでは“苦行”と思えた坂も、下りでは絶景を楽しめる道に Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 10kmほど走行したところで、本格的な上りに突入。ロッククライマーたちが張り付く岩を横目に、ひたすらマイペースでジリジリと上り続ける…。「ここから上りに入ります」という掛け声で、ライダーたちが停車し薄着に着替えた理由が初めてわかった。ロードバイクでは筆者が到底上れないような坂も軽やかなギアのおかげで“上れてしまう”ためか、これまでサドルの上では経験したことがないようなくらいに汗がブワッと吹き出してくるのだ。

 頭の中を“苦行”の文字がかすめた頃、「シーズン始めはわたしも心臓が飛び出しそうになるの」と声をかけてくれたライダーがいた。選手ではないが、彼氏がアルプス・チロルなど何日も同行するMTBガイドとあって初心者の気持ちをよくわかっているようだ。タフだと思っていた彼女も、よく見ると左右にうまく蛇行しながら上っていた。マイペースながらも着実に上り詰めた坂は、結局4kmほど続いた。最も辛かった1.8km区間は平均勾配10%、最大勾配42%もあり、「MTBはロードバイクと異なり個人技だ」と強く感じた区間でもある。

トレイルの入口近くでほかのグループがスタートするまで待機するツアーグループ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
筆者がトレイルに行けなかった理由…これが山を下りてくるトレイルの最終パートだ。難易度高め Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
岩の上にそびえ立つアルコ城もライドのルートから眺めることができた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 ツアーのライダーたちは、ハイエンドモデルをトレイルで試乗できる喜びと期待に溢れていた。トレイルは初心者向けではないということで初心者組は同じ道を引き返すことになっていたが、筆者もそんな様子を見ていたら少しでもその喜びを感じたくなった。様々な注意事項を頭に叩き込んでちょっとした未舗装の坂をくだってみると、気分爽快。“苦行”が報われた気持ちになった。さらにシェーンさんやモアさんからもめいっぱい褒められたことは、次への自信につながった。

“ミニトレイル”を下ってみる筆者。女性MTBチーム「SCOTT CONTESSA」のカトリン・シェーンさんが絶賛してくれているところ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

◇         ◇

 MTBライダーたちは、この楽しさを求めて山へ上るのだろう。今回出発前に把握していたツアー内容は、「最大高低差400m程度で2〜3時間」という紹介のみ。数字の上では確かにその通りだったが、体験してみなければわからない苦楽に圧倒された。ツィーナー・バイクフェステバルの会場へ戻ると、泥で汚れたバイクや生傷の割合が増えているものの、それでいて生き生きとしたエネルギーに包まれている気がした。

全てが泥だらけになって会場へ戻ってきたライダーたち Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
初心者組は、カーブの練習をしたりしながら来た道を下っていった Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
シュルテ柄沢亜希シュルテ柄沢 亜希(しゅるて・からさわ・あき)

1982年生まれ、ドイツ在住。東京を拠点に4年間記者生活を送った後、フリーランスへ。書くこと、レポートすることが生きがい。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をドイツ・ハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。ブログ「ドイツのにほんじん」ほか、多媒体にて執筆中。

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