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ジロ・デ・イタリア2017 第1ステージサルデーニャ島で幕開けの第100回ジロ 第1ステージはペストルベルガーが大金星

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 2017年最初のグランツールとなる、ジロ・デ・イタリアが地中海に浮かぶサルデーニャ島で開幕した。今回は第100回の節目の大会として、3週間でイタリア全土をおおよそ巡るルート設定となっている。5月5日に行われた第1ステージでは、ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)がラスト1km手前で抜け出し、そのまま逃げ切り勝利。個人総合首位の証であるマリアローザに袖を通した、今大会最初の選手となった。

ラスト1km手前から抜け出し、そのまま逃げ切り勝利を挙げたルーカス・ペストルベルガー Photo: Yuzuru SUNADA

幾多の悲しみを乗り越え3週間の戦いへ出発

 第100回記念大会の目玉の1つとして、2007年以来の開幕地となったサルデーニャ島。同島で3ステージこなした後、南のシチリア島へと舞台を移すこともあり、昨秋のコース発表の段階から、両島の英雄であるファビオ・アール(アスタナ プロチーム)とヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)が大会の顔でもあった。しかし、地元・サルデーニャ島での開幕に強い意気込みを見せていたアールがけがのため、ジロ出場を断念。

ファンがミケーレ・スカルポーニ追悼の横断幕を掲げる Photo: Yuzuru SUNADA

 アールに代わって、アスタナ プロチームのエースを務める見通しだったミケーレ・スカルポーニ(イタリア)が、4月22日のトレーニング中に事故に遭い死去。自転車界全体が大きな悲しみに包まれた。

 それでもグランツールらしく、華やかに開幕を迎えようとしていた今大会だったが、バルディアーニ・CSFから出場予定だったステファノ・ピラッツィ(イタリア)、ニコーラ・ルッフォーニ(イタリア)が、競技外検査で禁止薬物の陽性反応が検出。チームは2選手を出場メンバーから除外。7人でスタートラインにつく判断を下した。

 そんな悲しみや怒りを乗り越え、100回目のジロはスタートの時を迎えた。サルデーニャ島北西部の街・アルゲーロに設けられたスタートラインでは、スカルポーニの席を空け8人で出走するアスタナ プロチームのメンバーが最前列に並んだ。スカルポーニ追悼セレモニーとして、しばしの黙祷ののち、アスタナの選手たちがプロトンに先んじてスタート。故人の功績を称えながら、全195選手が3週間の戦いへと旅立った。そして、彼らを見送る中に、本来は総合優勝候補に名を連ねるはずであったアールの姿もあった。

3週間の戦いへと出発するプロトン Photo: Yuzuru SUNADA

6人がレースをリード

 第1ステージは、オルビアまでの206km。主催者発表の難易度は星2つ。同島北部の海岸線を進むルートは、細かなアップダウンこそあるものの、勝負はスプリンター有利の予想。4級山岳ポイントが3カ所に設定され、そのうちフィニッシュまで約20kmのポイントにあたる、サン・パンタレオは最大勾配12%と、このステージでは一番の難所となった。

バルト・デクレルクを先頭に進むメイン集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 序盤の飛び出しに成功し、レースをリードしたのはミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニ・CSF)、チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)、マルチン・ビアウォブウォツキ(ポーランド、ツェツェツェ・スプランディ・ポルコヴィツェ)、パヴェル・ブルット(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)、ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、チーム ディメンションデータ)、エウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール トリエスティーナ)の6人。28km地点で7分20秒差になったのを機に、メイン集団が本格的にタイム差のコントロールを開始。オリカ・スコット、ロット・ソウダル、クイックステップフロアーズといった、エーススプリンターを擁するチームがアシストを出し合ってレースを進めた。

 逃げグループでは、山岳ポイントを巡る争いが熾烈となった。68km地点に設けられた、この日最初の4級山岳では、ベネデッティが1位通過。2つ目となる、90.2km地点の4級山岳では、中腹から独走に持ち込んだテクレハイマノをベネデッティが猛追。頂上を目前にキャッチしたベネデッティが再び1位で通過した。

メイン集団内でレースを進めるヴィンチェンツォ・ニバリ(中央) Photo: Yuzuru SUNADA

 これらの動きを機に、マエストリが脱落。5人となった逃げグループは、残り70kmとなったところでメイン集団に対し、約2分のリードで先を急いだ。

 メイン集団は、逃げを射程圏内に捕らえたこともあり、いったんペースを落ち着かせる。2分前後のタイム差を維持しながら、フィニッシュまでの距離を減らしていく。追撃に本腰を入れたのは、このステージ最後の4級山岳の上りが始まってからだった。

 その4級山岳では、逃げのメンバーが三たびポイント獲得を目指して激しく争う。ここもベネデッティがスピードの違いを見せて1位通過。これにより、フィニッシュすることを条件にこの日の山岳賞ジャージ獲得が決まった。

スプリント濃厚から一転 混乱した集団から抜け出す

 逃げグループはビアウォブウォツキが遅れ4人となるが、残り10kmを切ってからも粘りを見せる。メイン集団もスピードを緩めることなく、着々とタイム差を縮めるが、展開次第では逃げ切りもあり得る状況に。何とか残り5kmで12秒差とし、結果的に残り4kmを切ったタイミングで吸収した。

 その直後から、コースはフィニッシュに向けてテクニカルに。残り3km手前の右コーナーでは落車が発生。これにより集団後方では渋滞が起き、スピードの上がった前方との中切れが発生した。

 スプリント勝負を見据えて主導権を握るのは、UAE・チームエミレーツ、オリカ・スコット、トレック・セガフレードといったところ。そんな状況下で集団先頭に躍り出たのは、ボーラ・ハンスグローエのジャージ。各チームのトレインがポジションを整えている間にスルスルと抜け出し、集団との差が開き始めた。わずかに上り基調となった残り1km付近でさらに加速。次々現れるコーナーも巧みに抜けていく。

 難しいコースに混乱するメイン集団をよそに、独走で最後のストレートにやってきたボーラのライダー。たびたび振り返って後方をチェックしたが、残り100mを切って勝利を確信。最後の50mは両手を広げ、勝利をアピールしながらフィニッシュラインにたどり着いた。

ポティウムで勝ち名乗りを受けたルーカス・ペストルベルガー Photo: Yuzuru SUNADA

勝ったのは25歳のペストルベルガー

 スプリント勝負と見られていた今大会初日を制したのは、25歳のオーストリア人ライダー、ペストルベルガー。昨年プロデビューした選手で、今年は3月に行われたE3ハレルベークで5位と健闘。その時も終盤にメイン集団から抜け出し、上位フィニッシュしていた。グランツールはもとより、プロキャリア通じても初勝利だ。

 名うてのスプリンターたちを差し置いての勝利となったが、ペストルベルガーもスプリントトレイン牽引のつもりで集団先頭へ出たという。「リードアウトのつもりが、チームメートがどこかではぐれてしまった。無線でそのまま行くよう指示が出たので、チームのため、自らのプロ初勝利のため、マリアローザのために全力で走った。この勝利を実感するまで何週間もかかると思う。それくらい信じられない」と喜びを語った。

オーストリア人ライダーとして初めてマリアローザに袖を通したルーカス・ペストルベルガー Photo: Yuzuru SUNADA

 これによりペストルベルガーは総合首位に立ち、オーストリア人ライダーとして初のマリアローザ獲得。同時にポイント賞と、25歳以下対象の新人賞も獲得。マリアチクラミーノとマリアビアンカも手にした。また、この日はベネデッティが山岳賞のマリアアッズーラもゲットしており、ボーラ・ハンスグローエが4賞を独占した。

 70位までがペストルベルガーと同タイム扱いでのフィニッシュとなったが、総合優勝候補のうちステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNL・ユンボ)が残り3km手前の集団落車をかわした際に後方に取り残され、13秒遅れに。早くもビハインドを背負うこととなった。

 6日に行われる第2ステージは、オルビアからトルトリまでの221km。主催者発表の難易度は星2つで、中盤から後半にかけて3級と2級の山岳ポイントが設定される。レース後半は下りと平坦で構成され、フィニッシュに向かってハイスピードになることが考えられる。この日勝利したペストルベルガーはマリアローザを着用してスタートラインにつくこととなる。

第1ステージ結果
1 ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 5時間13分35秒
2 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) +0秒
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +0秒
4 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) +0秒
5 サーシャ・モードロ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +0秒
6 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、チーム ディメンションデータ) +0秒
7 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) +0秒
8 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、チーム ディメンションデータ) +0秒
9 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) +0秒
10 フィル・バウハウス(ドイツ、チーム サンウェブ) +0秒

個人総合(マリアローザ)
1 ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 5時間13分25秒
2 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) +4秒
3 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +6秒
4 パヴェル・ブルット(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) +8秒
5 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、トレック・セガフレード) +10秒
6 サーシャ・モードロ(イタリア、UAE・チームエミレーツ) +10秒
7 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、チーム ディメンションデータ) +10秒
8 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) +10秒
9 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、チーム ディメンションデータ) +10秒
10 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) +10秒

ポイント賞(マリアチクラミーノ)
1 ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 50pts
2 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) 35pts
3 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、チーム ディメンションデータ) 32pts

山岳賞(マリアアッズーラ)
1 チェザーレ・ベネデッティ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) 9pts
2 エウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール トリエスティーナ) 4pts
3 ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、チーム ディメンションデータ) 3pts

新人賞(マリアビアンカ)
1 ルーカス・ペストルベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ) 5時間13分25秒
2 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) +4秒
3 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) +10秒

チーム総合
1 ボーラ・ハンスグローエ 15時間40分45秒
2 トレック・セガフレード +0秒
3 UAE・チームエミレーツ +0秒

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