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自転車で楽しむ絶景と地元グルメ雄大な景色を眼前に、満開の桜の中を走り抜けた「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2017」

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 長野県松本市を発着に4月22、23日、人気のロングライドイベント「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2017」が開催された。当日は好天に恵まれ、満開の桜と雄大な北アルプスを間近に、1500人の参加者が安曇野の春を存分に自転車で楽しんだ。 (大星直輝)

アルプスと桜の絶景の中、緩やかなアップダウンを抜けて行く Photo: Naoki OHOSHI

大人気のイベント、今年から年2回開催に

 2009年に初開催された「アルプスあづみのセンチュリーライド」は、今年で9年目を迎えた。その景観の素晴らしさと、エイドステーションの充実度がクチコミで広まり、年を重ねるごとに参加希望者が増え続けている。主催者が運営上これ以上増やす事は難しいとする1500人の定員に対して、昨年の倍率は6倍を超え、多くのサイクリストが申し込みもままならないという悩ましい事態になっていた。

「見てくださいあの雪山」と笑顔があふれる Photo: Naoki OHOSHI
雄大な景色の中を走れるあづみの公園 Photo: Naoki OHOSHI

 そこで今年から、もっと沢山の人に参加して欲しいとの思いから、例年の5月に加え、初めて4月も行い、年2回のイベントの開催となった。この時期のスタート地点(松本市)が桜の満開時期となる事から「桜のアルプスあづみのセンチュリーライド2017」と名付けられ、5月開催は「緑のアルプスあづみのセンチュリーライド2017」となっている。

北アルプスをバックにトレインで走る参加者 Photo: Naoki OHOSHI
いよいよ近づいてきた北アルプスをバックに、松川大橋の前で記念写真を撮る参加者 Photo: Naoki OHOSHI

 4月のコースは松本市の梓水苑を出発した後、白馬市の岩岳スキー場にて折り返す、全長150kmのコース。20人のみ限定で2日間で走るクラスがあるが、その他1434人の参加者は、23日の一日で走りきる。12歳から77歳までの幅広い層が、青空のもとその健脚を披露した。

あまりの北アルプスの迫力に思わず脚を止め、感嘆の声をあげる Photo: Naoki OHOSHI

満開の桜を楽しみスタート

 22日のメイン会場では10社程のメーカーブースの他、名産の馬肉が食べられるブースもあり、参加者は桜の花びらが舞い散る中、地元のグルメを楽しんだ。メインステージではイベントプロデューサーの鈴木雷太氏のあいさつがあり「残雪の残る白馬の美しさと、桜の景色を楽しんでほしい」とエールを送った。その鈴木氏が「安全に走る事が何よりも大切」というように、その後のステージでは、ブリヂストンアンカーの元プロ選手である藤田晃三さんと清水都貴さんによる、安全に楽しむためのロングライド教室なども開かれた。

イベントブースには10社以上が集まった Photo: Naoki OHOSHI
馬肉ステーキはとてもジューシーで肉の旨味たっぷり Photo: Naoki OHOSHI
メインステージでロングライドの講習をする、藤田晃三さんと清水都貴さんとMC AKEさん Photo: Naoki OHOSHI
「これが食べたくて来ました」とネギ味噌おにぎりのパネルを手に笑顔の木山亜美さん。まだ自転車歴4カ月で最高走行距離も120kmなので、少し緊張しているそう Photo: Naoki OHOSHI

 23日の朝は気温1℃と低かったものの、雲一つない晴天で、参加者はみな笑顔でスタートを切った。スタート付近は桜が満開で、愛知から参加という今井唯さんと橋本裕之さん・里子さん夫妻は、「今年の名古屋は雨続きで桜が短かったので残念だった。ここで満開の桜を見る事ができて嬉しい」と笑顔で語ってくれた。

スタートの挨拶をする鈴木雷太氏は「くれぐれも安全走行で楽しんでほしい」といま一度確認した Photo: Naoki OHOSHI
スタート前の笑顔あふれるL組(女性グループ) Photo: Naoki OHOSHI
颯爽とスタート地点に現れたマヴィックのサポートバイク Photo: Naoki OHOSHI
スタート後すぐに桜満開の道を進む Photo: Naoki OHOSHI

充実のエイド、安心のサポート

 エイドステーションはコース上の約20kmごとに設置され、補給食になる土地の名産がふるまわれた。これを楽しみに参加している、という参加者が大勢いる程の「ネギ味噌おにぎり」は第2エイド「あづみの公園 大町エイド」にて登場。地元大町産のお米に信州味噌をのせて食べると、口一杯に味噌の香りが広がり、体にしみ込んでいくようである。「先にネギと味噌を混ぜちゃうと水っぽくなっちゃうから、ギリギリに混ぜるのがポイント。みんなが来るのを待って、今混ぜてるんだから」と、ボランティアの方も嬉しそうだ。

前半はいくらかのアップダウンがあるが、参加者もまだまだ元気だ Photo: Naoki OHOSHI
第1エイド。桜を眺めつつゆったり過ごす Photo: Naoki OHOSHI
第2エイドで念願のネギ味噌おにぎりを手に、笑顔がこぼれる Photo: Naoki OHOSHI
混ぜたてじゃないと水っぽくなっちゃくからと、参加者の人数に合わせて手際良く味噌とネギを合わせていく Photo: Naoki OHOSHI

 その他のエイドステーションでも、タケノコや野沢菜の入った信州おやきや、松川村の特産である玉大黒という黒豆入りの羊羹、信州そばに漬け物、冷や奴、草餅、しそゼリーなど、うっかり食べ過ぎになってしまうくらい、食べ物は充実している。それだけではなく、そこでふるまってくれる地元ボランティアの方々の笑顔がまたうれしい。今回東京から1人で参加したという野村敏礼さんも「素晴らしい景色の中で食べるご飯は格別」と眼前に迫る白馬岳を前に、信州そばを楽しんでいた。

ふかしたての信州おやきは、タケノコ入りと野沢菜入りの2種類。温かくてふわふわだ Photo: Naoki OHOSHI
第2エイドの黒豆ようかん。使われている黒豆は、地元松川村産の玉大黒という品種 Photo: Naoki OHOSHI
AACRジャージを着て東京から参加の野村敏礼さん。前から参加したくて、今回ようやくエントリーが通ったそう Photo: Naoki OHOSHI

 距離が進んでいくと、自然と脚の合った参加者同士がトレインを組み、力を合わせて前へと進む姿があちこちで見られるようになる。また、タンデム車(2人乗り自転車)で参加して、文字通り「力を合わせて」走る参加者も。

初めて会った参加者同士が、トレインを組めるのもイベントも魅力だ Photo: Naoki OHOSHI

 キャノンデールのタンデム車で参加の、鈴木康宏さんと娘の聖さん親子は、「タンデムは会話しながら乗れるのが魅力」だそう。また、カーボンとチタンのハイブリッドタンデム車で参加の鎌野篤・乃理子夫妻が乗るのは、デモンタブル(分割式)でパッキングするとスーツケースに収まるという、驚きのバイクだ。

 サポートはマヴィックのサポートカーやサポートカーが伴走したほか、エイドステーションなどではシマノのメカニックサービスがライド中のマシントラブルに対応していた。

メカトラブルのサポートは、シマノのメカニックサービスが対応 Photo: Naoki OHOSHI
キャノンデールのタンデム車で参加の、鈴木康宏さん・聖さん親子。康宏さんは、大会プロデューサーの鈴木雷太さんの高校時代の先生だったとか Photo: Naoki OHOSHI
カーボンとチタンのハイブリッドタンデム車で参加の鎌野篤・乃理子夫妻。これでブルベの最高峰、パリブレストパリにも夫婦で参加経験あり Photo: Naoki OHOSHI

北アルプスの絶景が間近に

 稲植え前の田んぼ脇を走り、安曇野を抜けて木崎湖、青木湖畔へと向かう。高瀬川の橋の上は絶景。撮影ポイントで多くの参加者が立ち止まっていた。第3の大町木崎湖エイドにはまだ残雪が残り、この辺りではまだ桜も開花前だ。寒い中では山菜汁が体を温めてくれる。穏やかな青木湖畔を抜け、小さな峠を抜けると、いよいよ折り返しの白馬はもうすぐだ。

稲植え前の田んぼ脇を走る参加者 Photo: Naoki OHOSHI
北アルプスの雪解けの清流、高瀬川 Photo: Naoki OHOSHI
絶景の青木湖畔は撮影と休憩ポイントに最適 Photo: Naoki OHOSHI
白馬に向けてまっすぐに進む道 Photo: Naoki OHOSHI

 折り返しを過ぎたあたりはコース上最も北アルプスに近づき、2932mの白馬岳を始めとする北アルプスはまだ冬の装いで雪をまとい、まるで迫りくる白い屏風のよう。多くの参加者が思わず脚を止め、愛車と共に撮影していた。77歳になる今大会最高齢の大塚昭さんは「こんなに好天の中で雪の北アルプスを見るのは初めて。迫力がすごい」と目をほころばせて喜んだ。

白馬に入ると、白馬小径の自転車案内が所々に見られる。この絶景の先が折り返しポイントだ Photo: Naoki OHOSHI
北アルプスを眼前に進む。サイクリストの夢のような最高の道 Photo: Naoki OHOSHI
コース横には長野オリンピックで使われたジャンプ台が Photo: Naoki OHOSHI

復路は快適トレイン

 復路は基本的に下り基調で、この日は追い風もあり快適に進む。巡航速度も上がり、トレインを組んで走る参加者が多く見られた。復路の大町木崎湖エイドでは、特別にと言って、限定で「こごみ」入りの味噌おにぎりも提供された。シャキシャキとしたこごみの食感が瑞々しい。味噌おにぎりはここでも大人気だった。さらに冷や奴がすっきりと体を元気にしてくれる。

復路の大町木崎湖エイドにてチームWAKO’Sの皆さん Photo: Naoki OHOSHI
特別にと言って、限定でこごみ入りの味噌おにぎりも提供された。シャキシャキとしたこごみの食感が瑞々しい Photo: Naoki OHOSHI
冷や奴がすっきりと体を元気にしてくれる Photo: Naoki OHOSHI
小川沿いの道を走ったりと、コースはバラエティーに富んでいる Photo: Naoki OHOSHI

 最終の安曇野エイドステーションでは、130km程走ってきた疲れと、残り20kmの距離の安堵感から、長めに休憩とる人が多く見られた。エイドでの補給には、安曇野産のしそを使ったしそゼリー。疲れて固形物が喉を通らなくなっても食べられるようにとの思いやりを感じる。さらにすっきりと冷えたりんごジュース。これももちろん安曇野産だ。

130km地点の安曇野エイドステーション Photo: Naoki OHOSHI
すっきりと冷えたりんごジュース。これももちろん安曇野産 Photo: Naoki OHOSHI
安曇野産のしそを使ったしそゼリー Photo: Naoki OHOSHI

別世界を味わいつくしてゴールへ

 最終のエイドステーションから残り10数kmは、広域農道を通ってゴールへ向かう。ゴール地点へのアプローチが近づくと、桜並木が迎えてくれた。無事150kmを走り切ってゴールする参加者たちは、充実の笑顔だ。熊本から1人で参加の野口ゆかさんは、「震災の時にこちらの方にもお世話になったので、熊本は元気になっていますとお礼の気持ちで参加しました。予想以上の桜と雪山の景色に、すごいすごいと感激しっぱなしでした」と、笑顔で語ってくれた

ゴール地点へのアプローチが近づくと、桜並木が迎えてくれる Photo: Naoki OHOSHI
無事150kmを走り切ってゴールする参加者たち Photo: Naoki OHOSHI
熊本から参加の野口ゆかさん Photo: Naoki OHOSHI
チーム「いんなーろー」の藤波さん(右)、田久保さん(中)、中川さん(左)。「150キロ走って達成感がある。別世界に来たような、都会では味わえない景色が見られてよかった」 Photo: Naoki OHOSHI

 雄大な北アルプスの麓を走る、恵まれた景観というアドバンテージは絶大だが、それだけではない「どうすればサイクリストに楽しんでもらえるか?」という事が、同じサイクリスト目線で徹底的に考えられている。参加者の満足度はゴール時の表情と、年々増える参加申込者の数に表れている。

 人気ゆえに申し込みのハードルは高いが、是非多くの人に走って欲しいイベントだ。今年から2回開催で参加枠が倍増したことは良いニュース。それぞれ異なる景色を2年越しで味わうのも楽しいだろう。

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