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レースごとに深まる自信アルデンヌクラシック3戦を終えた與那嶺恵理 ヨーロッパでの充実を語る

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 晴れがましい日本チャンピオンジャージをまとい、女子ロードレース最高峰リーグ「UCIウィメンズワールドツアー」を戦う與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ)。昨シーズン途中からフランスを拠点としたこともあり、いわば今年が初めてとなるフルシーズンのトップリーグ参戦となる。チームにも溶け込み、主力ライダーとしてシーズン前半のクラシック路線を戦った。そこで、4月23日のリエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファム後にインタビューを行い、ここまでの戦いと今後の展望について自己分析してもらった。アルデンヌクラシック3戦の結果とともにお伝えしよう。

アルデンヌクラシック3連戦を充実した形で終えた與那嶺恵理。ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム後にはこの笑顔 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

エースの上位進出に貢献

 アルデンヌクラシック3連戦に臨んだ與那嶺の結果は、アムステル・ゴールドレース(4月16日、121km)がトップから3分55秒差の50位、ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム(4月19日、120km)が4分27秒差の51位、リエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファム(135.5km)が2分50秒差の34位。なお、優勝は3レースともアンナ・ファデルブレッヘン(オランダ、ブールス・ドルマンスサイクリングチーム)だった。

 この3戦で與那嶺は、シャラ・ジルー(オーストラリア)のアシストが主な役割として与えられていた。そして、フレーシュでは5位に、リエージュでは7位と、それぞれジルーを上位へと送り込んだのだった。

アルデンヌの熱狂・難易度は世界選手権に匹敵

――リエージュ~バストーニュ~リエージュ・ファムを走ってみての率直な感想を聞かせてください

4月23日に行われたリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファムのコースレイアウト ©︎A.S.O.

與那嶺:アルデンヌクラシック3レースの中で、1番最後まで残れたレースでした。3つ目の上り(コート・ド・ラ・ロッシュ・オウ・フォーコーン、登坂距離1.3km、平均勾配11%)で後れてしまいましたが…。

 単純に力負けだったので、率直に走力が足りないのも分かりましたが、レースごとに自分の走りが、アルデンヌ週間で良くなっているのも実感できました。

――徐々によくなっていったというアルデンヌクラシックでの走り。この3連戦は與那嶺選手にとってどんなシリーズと映りましたか?

名物「ユイの壁」に立ち向かったラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム。フィニッシュ後に笑顔を見せる與那嶺恵理(手前右) Photo: FDJ - Nouvelle Aquitaine - Futuroscope

與那嶺:アムステルとリエージュは、今年からUCIウィメンズワールドツアーに採用されました。去年まではフレーシュだけだったアルデンヌクラシックが1週間に3連戦となったことで、私だけではなく、どのチームも、そしてどの選手もこの1週間は特別だという意識を持っていることを感じました。私もチームオーダーで3レースすべてに出場できたことは、とても良い経験でした。

 観客の熱狂度、コースの難易度は世界選手権に匹敵するものがありました。

女子チームとしては申し分ないサポート

――一昨年までは日本をベースとし、昨年は北米とヨーロッパ、そして今年はシーズン序盤からヨーロッパと、活動に目まぐるしい変化が生まれています。そのあたりを踏まえて、現在の体調やモチベーションはいかがですか?

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファムのレース後。チームメートに働きを讃えられる與那嶺恵理 Photo: FDJ - Nouvelle Aquitaine - Futuroscope

與那嶺:今シーズンは2月からヨーロッパでのレースがスタートし、コンディションを上げていくつもりだったのですが、シーズン序盤戦は天気もとても悪く、レースも当然ハードで…。正直言うと、アルデンヌに向けてはコンディションもメンタルも少し落ち気味になってしまっていました。

 ウィメンズワールドツアーに染まりきってしまうと、そこからの視点でしか自分を判断できなくなり、冷静に自分を客観視することができなくなってしまっていたのです。

 しかし、アルデンヌを前に武井(亨介)コーチがこちらに来て合宿をスタートさせた時に、時間をかけてミーティングを行い、思考も体もいい意味でリセットすることができました。それからは、心からこの舞台を楽しんで、ワールドツアーをまた走ることができるようになってきています。

――チーム(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープ)の体制や規模について教えてください

與那嶺:チームについては、女子チームとしては申し分ないサポートをしてもらっています。バイクも、遠征も、ステイ(寮)もすべて整っています。

 規模についていえば、予算は男子チーム(エフデジ)の10分の1です。そうした条件下で、最低限のスタッフ数で選手たちへのサポートを全力でしてくださっています。スタッフはみんな本当に大変だと思います。

 ちなみに、私たちがベルギーのレースに出場する際は、ホテルではなく大きな1軒家を借りて過ごしています。レースとレースの間にはみんなで料理をしたり、デザートを作ったりして、レース以外の面でも楽しく日々を送ることができています。

――現在使用しているバイクについても、ぜひ解説をお願いします

エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フチュロスコープの選手たちが跨るラピエール「ゼリウス」 Photo: FDJ - Nouvelle Aquitaine - Futuroscope

與那嶺:ラピエールのゼリウス(XELIUS)というモデルです。そうですね…どこが良くてどこが悪いとかは詳しく分かりませんが、少なくともプロトン内でのディスアドバンテージは感じません。ただ、コンポーネントがシマノ・アルテグラなので、これが最高峰のデュラエースだとベターなんですけどね。

 何より、チームのメカニックがとても信頼できる人なので、バイクについての心配はまったくありません。

全日本選手権を経てジロ・ローザ、世界選手権へ

――この先のビジョンやスケジュールについて教えてください

ラ・フレーシュ・ワロンヌ・ファム、レース後のひとこま。エースのシャラ・ジルーを5位に送り込み、チームメートと喜び合った Photo: Syunsuke FUKUMITSU

與那嶺:この先のビジョンは…まだわからないですね。1つ言えるのは、今年は大きな経験を積むことができている、ということです。

 しかし、ウィメンズワールドツアーは、お給料や生活、レースを含めて常にリスクが伴い、継続することが正直難しいサーキットなので…。プロトン内には、無給でレースしているなんて選手も多く存在します。「無給でも!」「レースができるなら!」「苦しくても!」という根性論は、私にはありません。それも踏まえて、先のビジョンが不透明だということです。

 レーススケジュールとしては、チームメイトがコンディションを崩したこともあって、当初の予定よりも私の出場機会が増えています。チャンスをもらえているとポジティブに捉えることもできますが、レースが多すぎると移動も増えて、コンディションが下がってくることも分かりました。そのため、レーススケジュールについては武井コーチとチームマネージャーとで調整してもらっています。

 次のレースは、4月29日のツアー・オブ・ヨークシャー(UCIウィメンズワールドツアー)。その後は、スペインでのステージレースを挟んで、ウィメンズツアー(イギリス、6月7~11日)に出て、全日本選手権のために帰国します!

――では最後に、今後の目標を宣言してください!

與那嶺:今後の目標ですか!? うーん…。

 狙うレースとしては、全日本選手権ですね。しっかりナショナルチャンピオンシップを連覇することを意識しています。全日本後はすぐジロ・ローザに行くので、個人総合では上位を狙いたいですね。そして、世界選手権はこれまで同様、トップ10を目指していきます。

 そして、来季はお給料をアップしてもらえるようにするのが目標です。そのためには、もちろん結果ですね!

與那嶺恵理の次なるターゲットは全日本選手権の連覇。そしてジロ・ローザ、世界選手権とビッグレースへと向かう Photo: FDJ - Nouvelle Aquitaine - Futuroscope

◇         ◇

 アルデンヌクラシックを終えた今、その走りから「来年はトップ10を狙っていける」と武井コーチも太鼓判を押す。女子ロードレース界の環境整備が進み、新たなレース開催も増えつつあるが、與那嶺の言葉からもプロライダーである自身へのこだわりがうかがえた。シーズン前半の山場を越え、今後どのような戦いぶりを見せていくのか、期待が高まる。

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