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キャニオン初! 女性向けラインナップ取材記<前編>各国女性ジャーナリストたちがドイツへ集結 最新鋭の自転車工場に「オーマイゴッド」

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 4月半ばのある日、筆者に招集がかかった。「キャニオンの取材へ行ってほしい」――バイクブランド「Canyon」(キャニオン)へは、筆者はこれまでも何度か縁がありドイツ・コブレンツの本社へ取材に訪れてきたが、今回の取材は筆者が“ドイツ在住であるから”という以前に“女性だから”という理由らしい。狐につままれたような気持ちで荷造りを済ませ4月20日、現地へ赴きパーティー会場へ行ってみると、驚いた。会場に集まった20人ほどのジャーナリストは、ほとんどが女性だった。そう、私たちは「キャニオン初、女性向けバイクのラインナップ発表」に立ち会うため、欧州各国から集ったジャーナリストだったのだ。

キャニオン初の女性向けラインナップ発表に欧州各国から女性ジャーナリストが駆けつけた。写真はキャニオン新工場訪問の様子 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

プロ選手も駆けつけた発表会

 自転車関連、さらにはバイクブランドの取材で女性ジャーナリストが大多数というのは珍しい。見渡すと、女子ロードレースの世界最高峰「ウィメンズワールドツアー」に参戦するプロロードレースチーム「CANYON//SRAM RACING」(キャニオン・スラム レーシング)のリザ・ブレナウアー(ドイツ、Lisa Brennauer)とティファニー・クロムウェル(オーストラリア、Tifferny Cromwell)の姿も見えた。

右から、発表会場を訪れたプロロードレースチーム「キャニオン・スラム レーシング」のリザ・ブレナウアー(ドイツ)とティファニー・クロムウェル(オーストラリア) Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 ブレナウアー、クロムウェル共にパーティー前日の19日、ベルギーで行われたワンデイレース「フレーシュ・ワロンヌ」(La Flèche Wallonne Féminine)に参戦し終えたばかりだ。声をかけるとクロムウェルは「フレーシュ・ワロンヌはいまいちだったの」と振り返りつつも、週末の「リエージュ~バストーニュ~リエージュ」(Liege – Bastogne – Liege Femmes)へ向けて「気分は上々よ」と気持ちを切り替えていた。

 キャニオン・スラム レーシングの始動が発表されたのは、2015年12月末。ウェアブランド「ラファ」が生み出した躍動感あふれるチームのデザインは、彼女らが駆るバイクのデザインへも反映された。揃いのデザインでビシっとキマった姿はかっこよかったが、あれは女性向けモデルではなかったのか?

「キャニオン・スラム レーシング」のチームキットは躍動感あふれるデザイン ©Canyon Bicycles / Tino Pohlmann
発表会場ではドリンクを片手に屋外で談笑タイムも設けられた Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 キャニオンではこれまでウーマンを指す「WMN」を冠したバイクラインナップが存在していたが、クロスバイクの1モデルを除いて扱いとしては「ユニセックスモデル」。つまり既存モデルは女性専用のジオメトリーではなく、あくまで男性モデルが女性向けにデザインされたものだったという。

 ブレナウアーやクロムウェルをはじめとするチームは初のシーズンをそんなユニセックスモデルで走り終え、すでに2017年シーズンをスタートしている。発表が待たれるキャニオンの女性向けライナップは5月4日に解禁、レースでは5月11日〜14日の「ツアー・オブ・カリフォルニア」でお披露目となる。新製品の詳しいレポートは4日掲載予定の本連載「後編」をご期待いただきたい。

和気あいあいと工場内撮影

工場へ入る前に防護用のシューカバーにに魅せられる女性たち。写真撮影に暇がない Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 発表に訪れた女性ジャーナリストたちがバイクの次に興味を持ったのは、コブレンツ郊外の新工場。モダンでクリーンな外装はステレオタイプな工場のイメージとは随分異なり、スタイリッシュなキャニオンのバイクのイメージに重なる。フォトジェニックとみたのか、さっそくセルフィーをパチリ。また工場へ入る前に装着する防護用のシューカバーも関心の対象で、着用イメージを撮影したりと見学ツアーが始まる前からワイワイと賑やかだ。

 実は筆者が昨年8月に新工場を訪れた際は撮影は一切NGだったのだが、今回は自由に撮影が許可された。誰もがスマホやカメラで撮影をしたり、インスタグラムやフェイスブックに写真をアップしたりと、いとまがない。さらに雰囲気が始終和気あいあいとしていて、筆者も前回とは違った雰囲気を楽しめた。

工場長の説明を聞くジャーナリストたち Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
ダンボールや機材の間を縫って新工場内を見学 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
高さ40mはあるというキャニオン新工場の倉庫エリア Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
熱心に写真撮影。上から下まで箱がずらりと並んだ風景は壮観だ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 一行が最も沸いたのは、出荷待ちのバイクが収められた箱が並ぶ倉庫。天井まで高さ40mもある棚にこの先3週間のうちに発送が予定されているバイクが所狭しと並び、その間を全棚の製品に届くフォークリフトが行き来する。倉庫へ一歩踏み込むや、「オーマイゴッド!」「さすがドイツ企業」などの感嘆まじりのコメントが飛び交った。

 新工場では、フレームやパーツの状態から組立て、試走、パッケージングまでを担っている。新工場ではおよそ260人のスタッフが勤務し、作業はシフト交代制。ピーク時(夏)には日に約700台を世界140カ国のユーザー向けに発送しているのだという。効率的かつ正確な作業を支える秘訣は、パーツひとつひとつに配されたバーコードや65秒〜70秒毎にバイクを次の工程へと引き渡す流れ作業用のシステムといった最新鋭の設備。そのシステムを運営するため、自転車工場にあって10人〜12人のIT部門スタッフがいるそうだ。また、スタッフら全員が作業に慣れ、軌道に乗るのに6カ月はかかったという。

バイクが65秒〜70秒毎に動いていく流れ作業ライン Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
新工場のスタッフはおよそ260人。女性も働いている Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
工場内を見渡せる場所で立ち止まり、工場長に質問を投げかける一行 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
池田祐樹選手が所属する「トピーク・エルゴンレーシングチームUSA」と同じカラーデザインのMTBを発見 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
始終和やかな雰囲気だった新工場見学。この後はいよいよ試乗へ向かう Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

誰かが必ず声をかけてくれるのは女性ならでは

上りで置いてけぼり。“一人旅”を楽しんでいた筆者をスタッフがカメラを手に追う Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 工場見学の後はいよいよ試走へ。試走は周回およそ34kmのコースと、コブレンツまでの片道ライドおよそ30kmの2部構成で、それぞれバイクを1台ずつ計2台試すことができる設定だ。拠点となったのは、コブレンツ市街からおよそ20km離れたモーゼル川沿いの町。ホテルが備わる趣のあるレストランを貸し切って軽食、ランチ休憩が用意され、着替えスペースも設けられた。

 ランチ休憩のメニューは今取材のための特別メニューで、デザート盛合せまで登場。食事中はわいわいと食べていた女性陣がデザート中は静かになり、一同笑いに包まれる場面も。胃袋も心も満たした素敵な時間だった。そしてしっかりと休憩をとってしまった後に待ち構えていたのは、脚の“売り切れ”と上り坂地獄――と言っても、筆者には地獄だっただけで、ほかのメンバーはスルスルと上っていってしまった。

レストランを貸し切ってのスペシャルランチ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
デザート盛合せはこのとおり Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA
「楽しんで走ろう」と英メディア「バイクレーダー」のエファ・グラスさん Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

 救いだったのは、スタッフ以外にも「大丈夫?」と声をかけてくれるライダーたちがいたことだ。男性に混じって走る場合、これはあまり見られない行為と筆者は感じている。ましてや自転車関係のジャーナリストなれば、脚に自信のあるライダーばかり。筆者は幾度か男性ジャーナリストたちとの試走を経験してきたが、マシンを最大限試すためか、あるいは競争心に駆られるためか、あっという間に置いていかれるのが常だった。「レースじゃないんだから楽しんで走ればいいんだよ」と、温かい言葉をかけてくれたのは、英メディア「バイクレーダー」のエファ・グラスさん。アクションカメラを身に着けながら、実際に楽しそうに走っているのが印象的だった。

→<後編>キャニオン初の女性用バイク、詳細が明らかに!《試走レポートも“速報”》

シュルテ柄沢亜希シュルテ柄沢 亜希(しゅるて・からさわ・あき)

1982年生まれ、ドイツ在住。東京を拠点に4年間記者生活を送った後、フリーランスへ。書くこと、レポートすることが生きがい。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をドイツ・ハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。ブログ「ドイツのにほんじん」ほか、多媒体にて執筆中。

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