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期間限定も、常設を願う声も多数「ここへ来れば誰かに会える」ラファ福岡が広げた九州のサイクリストの輪

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 ロンドン発のサイクリングウェアブランド「Rapha」(ラファ)が4月8日から期間限定のポップアップ「ラファ福岡」をオープンした。1カ月間の開店で九州はもちろん、全国からサイクリストが集まった。ライドに出やすい好環境、開放的な雰囲気で熱心な九州のサイクリストのハブ的存在になったラファ福岡は5月7日に、一旦その役割を終えるが、多くのファンが、常設を願った。Cyclist編集部が訪問し、ラファ関係者や集まったサイクリストの声を聞いた。

明るい店内で地元サイクリストとスタッフの会話も弾む Photo: Natsuko MORIYAMA

ゆったりとした空気流れる清川

ラファ福岡出店に尽力した丹野篤史さんとスタッフとしてサービスするラファの前アンバサダーでもある福永脩子さん Photo: Kenta SAWANO

 「ポップアップ」とは、ラファによると「ライドの主催やロードレースのLIVE放映、妥協のないコーヒーの提供など、ライダーとファンのどちらにとっても楽しめる最高の空間を提供する、期間限定のクラブハウス。(中略)Raphaの製品を体感したり、Raphaの世界観について知る」場所とある。その言葉通りに初めて訪れる多くのサイクリストが人とのつながりを求めて訪れた。現在日本にある路面店「ラファ東京」「ラファ大阪」も最初はポップアップからスタートした。地域に根ざし、地域のサイクリストが集まる場所になり、常設となっていった。

通りに面した全面ガラス張りの明るい店構え Photo: Kenta SAWANO

 「ラファ福岡」は福岡の中心・天神から南に約2km、自転車で約15分南に走った清川という町にある。天神は正直とても走りやすい環境ではなかったが、清川周辺まで走るだけでゆったりとした空気が流れていて自転車も走りやすく、また停めやすくなる。ラファ福岡の出店先の選出に奔走したラファ・アンバサダーで、カメラマンの丹野篤史さんは、「以前は福岡の最先端のセレクトショップがあった大名が全国チェーンの店が多くなり、今最先端の人が集まるのが、この辺りです」と清川の地を選んだ理由を話した。

アンバサダーでカメラマンの丹野篤史さんの作品も自転車とともに展示されている Photo: Kenta SAWANO
Zwiftを楽しめるcanyonのバイクも設置されている Photo: Kenta SAWANO

Zwift体験やコーヒー豆の販売も

広々とした店内にシンプルなディスプレーで賞品が展示 Photo: Kenta SAWANO

 清川ロータリープレイスという名前の広がりのある空間の1階に、ラインアップを絞った商品がシンプルなレイアウトで並んでいる。ラファ・ジャパンの松見幸生さんは「東京、大阪の店舗よりはエッセンスを凝縮したラインナップに絞っています」と新製品を中心とした商品が並ぶ。

 店内には体験型オンラインサイクリング「Zwift」(ズフィフト)、ハーマンミラー製のソファや、スツールなど、より自転車とショップが密接に関わり、リラックスしやすい場所を提供する。東京や大阪のストアよりもゆったりとした時間が流れているように感じる。地元福岡のCoffee Countyとコラボしたコーヒー豆の販売も行われている。

ラファと地元の名店「Coffee County」がコラボしたコーヒー豆も販売 Photo: Kenta SAWANO
運が良ければ「Coffee County」の江口啓太郎さんのドリップしたコーヒーも味わえる Photo: Natsuko MORIYAMA

 福岡のサイクリストが集まる自転車店、カフェと言えば正屋(MASAYA)とそのカフェ「5CAFE」が有名だ。ラファ福岡ができたことでさらに選択肢が増え、サイクリストの流れが変わったという。「ラファに行けば誰かに会えるんじゃないか。そんな気持ちにさせてくれる場所」と北九州市在住の谷村康寿さんは話す。

地元サイクリスト「新たな出会い生まれた」

レースのライブビューイングも満員状態 Photo: Atsushi TANNO

 また、福岡市の稲員栄一さんはこれまでラファの製品を購入したことがなかったが、ライドイベント「Rapha Prestige」に初参加するためにラファに寄ったところ、その居心地の良さに通うことになったという。「サイクリスト同士の繋がりはチームかショップが核になるものがほとんどだと思います。ラファというウェアブランドを媒介とした繋がりは既存の集まりにはない新たな出会いを生むきっかけになりました」と買い物だけでない価値観の共有を求めて訪れるようになった。

 その一つが週末に行われるソーシャルライド。海も山も楽しめる最高の環境がラファ福岡にある。東に走れば、海岸沿いに走る糸島半島、南に走れば油山、脊振山など気軽にヒルクライムに出かけることができる。「5km走れば自然の中に行けるお店はなかなかないと思います」と丹野さんは語った。福岡県の中島友子さんは「一緒にライドしたことがない方と走れたり、店頭では顔見知りぐらいだった方と色んなお話がゆっくり出来たり、今の私の自転車ライフにおいて、たくさん刺激をもらえた所でもあり、ラファ福岡に行けばみんなが居るという安心感がある癒しの場でした」と話した。

ラファ福岡発着のソーシャルライドでは、店から少し足を延ばすだけで絶景が広がる Photo: Rapha Racing
毎週末のソーシャルライドでは、初めて会うサイクリストが交流を深めた Photo: Rapha Racing

 もともと、九州のサイクリスト、選手たちは仲が良く、グループ間、チーム間の交流も盛んだと、九州を訪れるたびに感じていた。その結びつきは昨年、熊本・大分地震でも一層強くなった。その下地作りにもラファが大きく貢献したと感じる。昨年5月震災直後にラファが行ったチャリティーライド「Ride For Kumamoto」(ライド・フォー・熊本)には、様々なメーカー、様々なジャージを来た九州中のサイクリストが集まった。募金をしながら、被災地を走り、団結をさらに深めた。

170着近くの九州中の自転車チームのジャージが集まった「Teams of Kyusyu」展 Photo: Kenta SAWANO

圧巻ジャージ展「Teams of Kyusyu」

 その一端を見ることができたのがラファが4月15~23日に開催した「Teams of Kyusyu」という九州中の過去、現在の自転車チームのジャージ、約170着を集めたインスタレーション(展示)だ。キュレーションも担当した丹野さんは九州各地のサイクリストにジャージの貸し出しをお願いしたとこと「最初は100着程度を想定していましたが、いつの間にか170着になっていました」と驚くほどのジャージが集まった。

鹿児島出身でブリジストン・アンカー・西薗良太選手の日本TTチャンピオンジャージも展示 Photo: Kenta SAWANO
様々なジャージが歴史を物語る「Teams of Kyusyu」展 Photo: Kenta SAWANO

 ウールでできた1960年代の名もないチームから「本人が勝手に送りつけてきました」(丹野さん)という2016年全日本ロード選手権個人TT王者の西薗良太選手からも「ナショナルチャンピオンジャージ」が貸し出された。アマチュアから日の丸ジャージまで、年代を問わずありとあらゆるジャージが集まった。もちろんほぼ全部がウェアブランド・ラファ以外の製品。ラファの懐の深さがあったからこそできる企画だった。

 熊本県から足を伸ばし、自身が所属するチームジャージを見に来た森山夏子さんは「自転車乗りでない友達も楽しんでくれた素晴らしい企画です。お店も街に溶け込み、新しい交流が生まれるきっかけになっているように感じます」と歓迎した。

「苦痛の先にある栄光」に触れる

Samson + Cherubimビルダーズ トークショーで。左からケルビムの今野真一さん、ラファ・ジャパンの矢野大介さん、サムソンの原田徹朗さん Photo: Atsushi TANNO

 企画展だけでなく、欧州自転車レースのライブビューイングや、Samsonのフレームビルダー原田徹朗さんとCherubimの今野真一さんのトークライブなども頻繁に開催され、そのどれもが満員になり、福岡や九州のサイクリストの意識の高さが垣間見られた。

 期間中、何度も足を運んだという稲員さんは「ラファの提唱する『苦痛の先にある栄光』の片鱗を触れ、それに共感する多くのサイクリストと出会うきっかけになりました。常設されていればラファの提唱するフィロソフィーがより多くの人に浸透し、さらに多くの出会いに繋がる場となる可能性があったのではないかと思います」といつの日かの再オープンを願った。そう思った九州のサイクリストは少なくないはずだ。

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