スマートフォン版はこちら

サイクリスト

ツール・ドゥ・ロワール=エ=シェール2017本場のレースで課題を残したキナン「格上相手にチーム全体で連携できていない」

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
  • 一覧

 UCI(国際自転車競技連合)コンチネンタルチーム、キナンサイクリングチームが出場した「ツール・ドゥ・ロワール=エ=シェール」(UCIヨーロッパツアー2.2)は4月16日の第5ステージで閉幕し、椿大志と野中竜馬が完走した。キナン勢は毎ステージ逃げを狙うなど活躍のチャンスをうかがったが、今後への課題を残す結果となった。

最終第5ステージ、ペースの上がる集団内で走る野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

雨乞が単独でスプリントに

集団でのポジションを上げる野中竜馬。この後落車に巻き込まれた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 第2ステージは、前半に2カ所の山岳ポイントが設けられるが、おおむね平坦基調。ハイスピードの展開が予想されたが、キナン勢は序盤から積極的に逃げにトライ。アタックを試みるが、プロトン全体のスピードが上がっており思ったように決まらない。その間、集団内でのポジションを上げようとしていた中西が落車するハプニングもあった。無事集団復帰を果たしたが、本場ヨーロッパの洗礼を浴びた格好だ。

 最終周回で逃げグループは吸収され、勝負は集団スプリントに。アレックス ・フレーム(ニュージーランド、JLT・コンドール)が優勝。キナン勢は、単独でポジション争いに加わった雨乞竜己が29位。途中まで好位置を確保していたが、フィニッシュを目前に番手を下げてしまった。

山本元喜は逃げでチャンスをうかがう Photo: Syunsuke FUKUMITSU
膝の故障でアルデンヌクラシック欠場となったジュリアン・アラフィリップが、フランスのチームで走る実弟の応援に駆け付けた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 椿、山本元喜、中西健児も同集団で、終盤に落車に見舞われた野中と阿曽圭佑は集団復帰はできなかったが、メンバー全員がフィニッシュし次へとつなげた。

粘りを見せた椿

 今大会最長211kmの第3ステージの特徴は、周回コースに含まれる急坂と未舗装区間、そしてトリッキーなコーナーが連続するヴァンドーム市街地。周回コースに入るとメイン集団は崩壊。キナン勢は、集団後方に位置していると脱落を余儀なくされる状況に苦しめられた。

 そんななか、粘りを見せたのが椿。メイン集団が逃げを捕まえた後も先頭グループで走り続け、そのままラスト1周の鐘を聞いた。最終周回は、フィニッシュに向けてスピードの上がった集団内で、後方から難所への突入を強いられ、ステージ優勝争いからは後退。結果的にトップから50秒差でのフィニッシュだったが、チーム最上位となり総合ジャンプアップも視野に入る形で終えた。

集団のペースアップに対応する阿曽圭佑 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
集団内で重要な局面に備える雨乞竜己 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 ステージ優勝は7人によるスプリントを制した、アルヴィド・デクレイン(オランダ、ベイビーダンプサイクリングチーム)だった。

 キナンは5人が完走したが、雨乞が終盤のサーキットを1周回残して除外となりリタイア扱いに。しかし、同時にコース除外となった数人が完走として扱われていることから、雨乞の第4ステージ以降の出走について、チームはオーガナイザーへ確認を求めた。

集団分断で3人がリタイア

 チームは前日の雨乞の扱いについて大会主催者に確認を求めたが、裁定は覆らず。正式にリタイアとなった。

 このステージはパレード区間が設けられず、号砲とともにリアルスタートに。逃げからレースを組み立てたい選手やチームが、レース開始早々スタートダッシュを利かせてコースへと繰り出していった。キナン勢は中西が好位置を確保。プロトン前方からアタックを試み、リードを奪いかけるが、その矢先に落車しコースアウト。レースへ復帰した頃には集団最後尾へと順位を下げてしまった。

スタートする椿大志 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 繰り返しやってくる激坂や、テクニカルなコーナーなどで人数が絞られるなか、メイン集団に位置したのが椿。やがて4選手が飛び出し、逃げグループを形成。それに続く集団で椿はレースを進めた。さらに後方の集団に野中、最後尾のグルペットで山本、阿曽、中西と続いた。終盤になるとメイン集団はいくつにも分断され、椿は後続のグループでフィニッシュを目指す形となった。

 石畳と激坂が含まれたモントリシャール市内のサーキットを走りきり、真っ先にフィニッシュへとやってきたのは5選手。最後はアレクサンダー・カンプ(デンマーク、チ ーム ヴェロコンセプト)がスプリントを制した。椿はトップから大きく離される形となったが、メイン集団でともに走っていた選手たちに続いてフィニッシュ。しばらくして野中もフィニッシュラインを通過した。一方、最後尾のグルペットで走り続けた山本、阿曽、中西はトップとの差によってタイムアウト扱いになった。

集団の先頭でコーナーを回る野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
この日のレース会場にはベルナール・イノー氏が現れた Photo: Syunsuke FUKUMITSU

本場の戦いから刺激

 最終日は、フランス・ロワール=エ=シェール県の県庁所在地であり、主要都市のブロワ市街地に設けられた1周7.5kmの周回コースが舞台。11周回・97.5kmのショートステージだが、丘の上に作られた街並みと、ロワール川沿いとを行き来するルートはアップダウンが繰り返される。2周目に5人の逃げグループが形成され、椿と野中はメイン集団で次の大きな動きに備えた。

コーナーを攻める椿大志。後ろには名城・ブロワ城が見える Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 早いペースで進むなか、椿と野中は集団の中ほどから後方に位置。それでも、終盤に入って集団内でのポジションを上げていく。残り3周回から2周回にかけては、野中が集団の前方を確保しチャンスをうかがった。最終周回に入ると、今度は椿がポジションを上げる。スプリント勝負が濃厚な状況で、最後のトライに転じた。

 結果的にポジションを下げてしまい、集団後方でのフィニッシュとなったが、問題なく完走。大会後半でのメンバーの相次ぐリタイアで、出走が2人になったが、ピンチを乗り切った。なお、ステージ優勝はスプリントを制したオーガスト・イェンセン(ノルウェー、チーム コープ)が挙げている。

 この大会の閉幕をもって、キナンサイクリングチームのフランス遠征も終わりを迎えた。チームとしては、リザルトなど目に見える結果こそ残すことができなかったが、位置取りはレースへの心構えなど、本場での戦いから大きな刺激を受けた。国内外のレースで結果を残すために必要なスマートさが今後への課題となりそうだ。

周回コース最大の登坂区間を走る野中竜馬 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
レースを振り返る(左から)野中竜馬と椿大志 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

■個人総合時間賞
1 アレクサンダー・カンプ(デンマーク、チームヴェロコンセプト) 18時間29分25秒
2 トロエス・ヴィンター(デンマーク、リワルプラットフォームサイクリングチーム) +17秒
3 ラスムス・グルドハマー(デンマーク、チーム ヴェロコンセプト) +21秒
4 ヨナス・ヴィンゲゴール(デンマーク、コロクイック・クルト) +41秒
5 トーマス・ロストラン(フランス、アーミー・ド・テレ) +42秒
6 ダミアン・ショー(アイルランド、アンポスト・チェーンリアクション) +53秒
52 椿大志(キナンサイクリングチーム) +8分8秒
113 野中竜馬(キナンサイクリングチーム) +29分15秒

椿大志のコメント

「5日間をトータルに振り返ると、調子のよさを感じられたので、この先に向けてコンディション面での不安はない。ただ、展開を読む力が試されるレースにおいて、そのあたりの勘が鈍っていた面は否めない。アジアや国内では、自分たちがコントロールする局面が多いが、格上のチームを相手にしたときにチーム全体で連携するところまでいけていないので、それは今後に向けた課題になる」

現在募集中のイベント情報

関連記事

この記事のタグ

キナン

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

イベント情報:御神火ライド

ツールド・フランス2017

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載