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サイクリスト

先頭集団から最後の上りで2人抜け出しジルベールがアムステル通算4勝目 クウィアトコウスキーをマッチスプリントで下す

by 米山一輝 / Ikki YONEYAMA
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 オランダで4月16日に行われたUCIワールドツアー「アムステル・ゴールド・レース」は、過去3勝を誇るフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が、最終盤で共に抜け出した2015年の勝者ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ)とのマッチスプリントを制して、通算4度目の優勝を飾った。日本から出場の新城幸也(バーレーン・メリダ)、別府史之(トレック・セガフレード)は途中リタイアに終わった。

フィリップ・ジルベール(右)がミカル・クウィアトコウスキーを下してアムステル通算4勝目 Photo: Yuzuru SUNADA

「カウベルグ」の位置が移動、新たなコース設定に

 3月後半からスタートした春のクラシックレースは、後半戦の「アルデンヌクラシック」3連戦へと突入した。石畳が多い前半戦の「北のクラシック」ではパワー系の選手が活躍するのに対し、丘陵地のアップダウンを舞台にするアルデンヌでは上りに強いパンチャーやクライマー系の選手が戦いの中心となる。

ラルス・ボーム(オランダ、ロットNL・ユンボ)ら12人の逃げ集団 Photo: Yuzuru SUNADA

 オランダのビールメーカー・アムステル社がメインスポンサーを務めるアムステル・ゴールド・レースは、今年で52回目を迎えた。マーストリヒト郊外の田園地帯を駆け巡るコースは、合計35カ所の急坂区間と、“1000のカーブ”と形容される曲がりくねった道が特徴。今年は距離が261kmとなり、最大の勝負所として知られる名物の「カウベルグ」の坂が、4回通過から3回通過に減り、最後の通過もゴール直前ではなく残り18km地点へと移動した。これまでカウベルグの戦いに勝負がほぼ絞られていたのを改め、幅広い選手にチャンスのある、より複雑でエキサイティングな展開を期待してのものだ。

 レースはスタート直後から12人の選手が逃げ集団を作った。コースはそれぞれ異なる大きな3つの周回と、最終の小さな周回で構成され、レース途中にフィニッシュ地点を3回通過する。最初の周回を終えた逃げ集団は、1回目のフィニッシュ地点をメイン集団に8分の大差をつけて通過した。

逃げ吸収からジルベールら8人が先頭に

 メイン集団は中盤以降徐々に逃げとの差を詰め始めたが、追走が本格化したのは2回目のフィニッシュライン通過後。BMCレーシングチームが集団先頭に立ち、猛烈な勢いでタイム差を削り始めた。今季絶好調で1週間前のパリ〜ルーベも制したグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー)で、この日のレースの勝利も狙う構えだ。

 タイム差は残り69kmで2分差、残り63kmで1分差となるが、ここからは逃げ集団も最後の粘りを見せ、ハイペースでの駆け引きがしばらく続いた。先頭では残り54kmのルーアベルグの坂で、ファビアン・グルリエ(フランス、ディレクトエネルジー)が単独抜け出したが、残り40kmで逃げは全員メイン集団に吸収された。

先頭集団形成のきっかけになったクルイスベルグでのティシュ・ブノートのアタック Photo: Yuzuru SUNADA

 そのままレースの勢いは止まらない。直後のクルイスベルグの坂で、ティシュ・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)がアタック。これにジルベール、セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)、ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)らが追随し、6人の先頭グループを形成した。

 少し遅れてさらにヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター チーム)が合流。先頭は8人になった。先頭とメイン集団が15秒前後の差で綱引きを続ける中、ゴールまで残り30kmを前に、メイン集団では昨年の優勝者のエンリーコ・ガスパロット(イタリア、バーレーン・メリダ)が落車してリタイアとなった。

クウィアトコウスキーが先頭に合流

メイン集団から単独ブリッジに成功したミカル・クウィアトコウスキーが先頭集団に加わる Photo: Yuzuru SUNADA

 追走するメイン集団では、残り28kmのケウテンベルグの上りで、ヴァンアーヴェルマートが自ら先頭に立ちペースアップ。この動きにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター チーム)も反応する。ここでさらに切れ味鋭いアタックを見せたのはクウィアトコウスキーだ。一気にメイン集団から抜け出たクウィアトコウスキーは、単独で先頭グループに追いつくことに成功した。

 クウィアトコウスキーが追いつき、2人が脱落した先頭は7人になった。これを追うのはヴァンアーヴェルマート、バルベルデらで、ここへさらにボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAE チームエミレーツ)らが加わった。先頭はバルベルデを待つロハス以外は均等に先頭交代してトップスピードで逃げ続けるが、追走はヴァンアーヴェルマートが積極的なものの、今一歩ペースが上がり切らない様子だ。

僅差で先頭集団に届かなかったグレッグ・ヴァンアーヴェルマート。追走も思うようにはいかなかった Photo: Yuzuru SUNADA

 先頭グループは協調体制のままカウベルグを越え、3回目のフィニッシュライン通過。残り16.2kmの最後の小周回へと突入した。先頭グループと追走グループの差は、残り10kmを切って30秒台から40秒、50秒と徐々に開き始め、先頭7人の逃げ切りが濃厚になってきた。最後の坂は残り6.5km付近の「ベメレルベルグ」だ。

最終決戦はジルベール対クウィアトコウスキー

 ベメレルベルグの上りで、まず仕掛けたのはクウィアトコウスキーだ。これに反応したジルベールが頂上手前でさらにアタックしたことで、2人が上り頂上で数秒先行することに成功した。追う5人はそれぞれ追走の動きを見せるが、それぞれ他の4人が足かせとなって僅かな差が縮まらない。

最後の上り、ベメレルベルグで抜け出した2人 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方先頭2人は協調体制。アムステル過去3勝(2014、2011、2010年)で2012年の世界チャンピオンのジルベールと、アムステル過去1勝(2015年)で2014年の世界チャンピオンのクウィアトコウスキー。王者2人の直接対決は追走を振り切り、ゴールのマッチスプリントへと持ち込まれた。

 残り1kmを切ると、クウィアトコウスキーが先頭交代を拒否。ジルベールが後ろを見ながら先行する形で互いにスプリントのタイミングを測った。残り300mで仕掛けたのはクウィアトコウスキー。しかしジルベールは落ち着いてこれに対応し、クウィアトコウスキーの後ろに付くと、加速して一気に抜き去った。ジルベールはしてやったりの表情でゴール。右手を「4」の形で掲げて4勝目をアピールした。

表彰台に立った上位3人。(左から)2位のクウィアトコウスキー、優勝のジルベール、3位のアルバジーニ Photo: Yuzuru SUNADA

 今年はすでにツール・デ・フランドルを制しているジルベール。タイプの異なる北のクラシックとアルデンヌクラシックの両方を同じ年に勝利するのは、1990年のモレノ・アルゼンティン(イタリア)以来の快挙だ。ここ数年は大きな勝利に恵まれなかったが、今季は新規一転チームを移籍。ビッグレースの中心に見事返り咲き、今後1週間で連続するアルデンヌの残り2戦、ラ・フレーシュ・ワロンヌ、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュに向けても主役の名乗りを上げた。

アムステル・ゴールド・レース 2017
1 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 6時間31分40秒
2 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チーム スカイ) +0秒
3 ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット) +10秒
4 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
5 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター チーム)
6 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チーム スカイ)
7 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) +14秒
8 ミファエル・ゴグル(オーストリア、トレック・セガフレード) +1分10秒
9 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1分11秒
10 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)

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