スマートフォン版はこちら

サイクリスト

ブルーノで行く!アジア自転車旅<2>雨と食中毒のベトナム旅 工事現場で働き、2日連続のカラオケナイト

  • 一覧

 旅する自転車「BRUNO」(ブルーノ)が取り組むキャンペーン「BRUNOが応援する『旅』 ~世界の自転車旅をサポート~ 若者よ旅に出よ!」で挑戦者に選ばれた溝口哲也さん(20)による、香港からタイ・バンコクに向けてのアジア旅は、中国からベトナムへと進みます。雨や食中毒に悩まされた溝口さんを元気付けたのは、現地の人たちの温かさでした。

ベトナムでは見たことない地形が広がっていた Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

<1>春休み・アジア3000kmの旅がスタート

子供たちに元気をもらう

雨宿りしているとどこからともなく現れる子供たち。結局一緒に遊んで濡れてしまった Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 中国では電動スクーターに乗っている人が多い。彼らはだいたい30km/hで走っているので、自転車の私とよく並走する。その度に「ニーハオ」と挨拶するのがどことなく心地好い。電動スクーターに乗る母親の背中から顔を覗かせる子供は、とても可愛らしくて、にらめっこしながら自転車を漕いだ。上り坂になると、私は苦しくて顔を歪ませながら追いかけていくが、それが面白いらしく、キャキャキャとした笑顔が離れぬよう必死にペダルを踏み続けた。

 路面はお世辞にもキレイとは言い難く、時には国道でさえ未舗装路になってしまう。BRUNOの自転車はそんな悪路も難なく走行できるのだが、唯一の問題はフェンダーに泥が詰まってしまうことだ。泥が詰まる度に車輪を外して掻き出している。作業中にはどこからともなく子供たちがやってきては元気にはしゃいでいる。そんな彼らに元気を貰えるのだから、泥詰まりなど些細な問題に過ぎないのだ。

雨は止まない。自転車で走る楽しさも止まない Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
泥が詰まると車輪を外して掻き出す。すると子供たちが寄ってくる Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

国境を越え、ベトナムへ

国境を越えて中国からベトナムへ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 3月11日、中国からベトナムへ、初めての本格的な国境越えを迎えた。国境といっても小さな川が流れているだけである。本当に川の向こうがベトナムなのか?と不思議な感覚だ。しかし、一度その川を渡ってしまえば、当たり前だが、本当に別の国であることを実感させられた。 また、ベトナム人は中国人よりフレンドリーな人が多い印象を持った。言葉も食べ物も国を境にがらっと変わっているが、人々の性格の違いにも驚かされたのである。

 国境なんて誰かが勝手に決めた境目だろうと思っていたが、こうまでして変化があるのか。島国育ちの私にとって新鮮な体験だった。

泥が激しいので、バイク屋でオイルを貰ってきて注油 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 ベトナムに入っても、毎日灰色の低い空がシトシトと細かい雨を降らせている。そのせいか、熱帯ならではの葉の大きいヤシの木などが群生しているわりには暑くない。天気は悪いが、撮影した写真は灰色には染まらず、景色も出会う人も本当にカラフルに写る。色鮮やかな東南アジアは、自転車旅に適した環境なのだと思う。

 頻繁に野宿していたヨーロッパと違って、毎日ホテルを利用している。理由はホテルが安く、治安が悪い地域もあるからだ。宿泊費は一泊1000円しないことが多い。食費も一日500円くらいで済むことが多いので、金銭的にはかなり気が楽だ。

食中毒が導いた出会い

 ところが、油断していたら、激しい腹痛と吐き気に襲われた。食中毒だ。何を食べても、水を飲んでも吐き出してしまう。その日は午前中はベッドで丸くなりながら腹痛と格闘。走り出しても調子よく走ることができず、「今日という日は最悪だ」と思っていたところで、素晴らしい出会いがあった。

泊めてくれた工事現場の人たち Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 工事現場の作業員たちがゆらゆらと蛇行していた私を呼び止めて泊めてくれたのだ。言葉は通じないけど、試行錯誤してコミュニケーションを取りながら楽しい夜を過ごした。まるで、食中毒が導いたかのような不思議な出会いが「今日を良い日」にしてくれた。初めて出会ったベトナム人と満月の下、オートバイに2人乗りして疾走し、共にカラオケで熱唱した。一生忘れられない体験だった。

 次の日の午前中は皆と一緒に仕事をさせてもらうことにした。鉄棒を切断し、金具を作る仕事を任せてもらえたので、宿泊費と食事分くらいは働いて返せただろうか。まさか自転車旅の最中にベトナムの工事現場で働くことになるとは…。彼らとは良い仕事仲間になれた。

泊めてもらった次の日は工事現場で一緒に仕事をした Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
日本の支援を受けて建造されたという吊り橋 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 別れを告げて走り出せば、また出会いがある。今度はレストランで食事中のおじさん達の仲間に加えてもらい、2日連続でカラオケだ(笑)。だんだんベトナムが好きになってくる。

 その国の印象は出会った人の印象で決まるんだ。道路は汚いし、交通マナーは悪い、気を抜けば、ぼったくられていたりもするが、出会う人たちがそれらを上回る好印象を私に与えてくれたんだ。そんな彼らに感謝しながら旅をしている。

初めて会う言葉の通じない人たちと楽しく食事をする。会話手段はジェスチャーと笑顔(とお酒)だ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
2日連続のカラオケで夜遅くまでアドリブのベトナム語で熱唱する Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

大学の友人とハノイで再会

 ベトナムの首都ハノイに近づくに連れて交通量が増えてきた。道路は巻き上げられた砂埃で黄色く霞んで見える。排ガスに咳き込みながらも広大な田園地帯を通り抜ける。

山の上から街を見下ろすパゴダ寺院へ訪れた。屋根が特徴的だ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 自転車で走っているとたくさんの「ハロー!」が聞こえてくる。遊んでいる子供たちであったり、工事現場で作業している人たちであったり、お互いにハローと笑い合うだけでパワーを貰える。ときには遠く離れた田んぼから私に向けて声がけをしてくれるので、どこから声が飛んできたか探すのも大変だった。結局見つけられず、とりあえずハローと叫ぶこともしばしばあった。さらに、ただカメラを構えて風景を撮影しているだけで、みんな「俺を撮れよ!」と言わんばかりにアピールしてくる。

 ベトナム人は楽しい人たちだ。

泥が詰まっては車輪を外して取り除く。それを不思議がっていろんな人が寄ってくる Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
風景を撮っていると「私を撮って!」と声がかかる Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 私にはベトナム人の友達がいる。同じ大学の留学生ミン君だ。彼はこの春休みにベトナムに帰省していたので、ハノイで会う約束をしていた。いつも日本語で話していたが、現地の方とベトナム語で話している姿(当たり前だが)に驚きつつ、ハノイの観光名所に連れていってもらった。今までご飯を食べるにも言葉が通じずに苦労したが、彼が居ると、とても心強かった。ベトナム旅のノウハウをたくさん教えてもらえた。

大学の留学生、ミン君とハノイで再会 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
ミン君と彼の父親と従姉妹とハノイの街を歩いた Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 今回の旅では、大学の留学生の友達にすごく協力してもらっている。中国、ベトナム、ラオス、それぞれの留学生と一緒にルートを考え、道中では通訳をしてもらった。いろんな人が関わり合って、旅が成り立っているのだと実感させられた。

ハノイではバイクと車が行き交って混沌としている Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
レストランでは、いろんな料理が並ぶ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

温かいおもてなしにカムオーン

 ミン君と握手をして、完走したら日本で会おうと約束し、ハノイを出発した。ハノイから80km南西に向かうとホアビンという街に着いた。この街にはベトナム最大級のダムがある。ホアビンダムだ。高さ128m、幅970mの巨大な壁が姿を現す。日本の一般的なダムに比べて、かなりの大きさだ。なんとベトナム国内の電力のうち27%を発電しているそうだ。ダムに登ったり、対岸まで走ったりしているうちに暗くなってしまった。

ホアビンダムは大迫力だった Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
ベトナム料理のフォー。このお店で一泊した Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 ベトナム料理として最も有名なのが、米が原料のフォーと呼ばれるヌードルスープだ。街の至るところでフォー屋をみかけ、皆朝食に食べるそうだ。この日の夜にフォーをすすっていたら、店主のオヤジさんに泊まっていけと言われて、フォー屋さんに泊めてもらう。ヨーロッパでは、本当に大勢の人に出会って家に招待されたが、アジアではホテルが安いし無いと思っていた。けれど、皆本当に親切で、自転車で旅している私を気遣ってくれる。カムオーン(ありがとう)とベトナム語で伝えた。

関連記事

この記事のタグ

ツーリング ブルーノ ブルーノで行く!アジア自転車旅

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載