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サイクリスト

先取り!「四国一周1000キロルート」の旅<5・最終>足摺岬から道後温泉へ 最後のゴールはサイクリングパラダイス愛媛

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 4日間で「四国一周1000キロルート」をめぐる「四国一周サイクリング ぐるっとPRツアー」の最終日は四国最南端の足摺岬からスタートし、ゴールの愛媛県松山市を目指す。高知から愛媛に向かうにつれ、また一変する海や風土。たった4日前に出発した愛媛に懐かしさを覚えるほど、盛りだくさんだった道中に思いを馳せる。しかし、まだ残り約180km。四国3県を巡ってきたPR隊に愛媛はどんな表情を見せてくれるのか。PR隊はラストライドを噛みしめるようにペダルを漕ぎだした。

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ゴール地点の道後温泉で四国一周達成を喜ぶPR隊 ©愛媛県

「サイクリングアイランド四国」の夜明けぜよ

10日目のモデルルート。大月から宇和島までの80.2km ©愛媛県

 270度以上の大パノラマが広がり、「地球の丸さが実感できる」といわれる足摺岬の展望台。前日夕方に日の入りが見られなかったPR隊は、その無念を晴らすべく日の出をめがけて再び訪れることに。朝5時45分、眠たい目をこすりつつ、自転車で10分ほどの足摺岬展望台へと向かった。

 まだライトなしでは走れない夜道。灯台が夜空を切り裂くように周期的に強い灯りを放つ。ここ土佐清水市で生まれた「ジョン万次郎」の銅像が展望台近くに立っているが、暗い空の下ではシルエットしか見えない。

夜明けの空に浮かぶジョン万次郎の銅像のシルエット ©愛媛県

 「台風銀座」とも呼ばれ、しばしば暴風に見舞われる岬の岩肌は風と波に荒々しく削り取られている。追い打ちをかけるように繰り返し打ち付ける白い波が、夜明けとともに姿をあらわした。いまかいまかと水平線に視線を向けるPR隊。寒さもあいまって待ち時間がもどかしく感じた頃、水平線に重なる雲の隙間からようやくオレンジの光が見え始めた。

荒々しい波が打ち寄せる、早朝の足摺岬 ©愛媛県
日の出を今か今かと待つPR隊のメンバー ©愛媛県

 朝6時15分、冷え始めたPR隊の体を温めるように朝日が浮かび上がってきた。オレンジ色の暖かい光がPR隊の頬を染めてゆく。「やっと出てきたー!」とあちこちから歓声があがった。

「四国一周の夜明けぜよ!」 ©愛媛県

 「四国最南端の夜明けぜよ」と、誰かが土佐弁を使った坂本龍馬の名言になぞらえた。「夜明け」は始まったばかりの四国一周サイクリングにも重なる言葉。昇ってゆく朝日を眺めながら、これから多くの人がこの旅にチャレンジする姿を想像し、心の中で「サイクリングアイランド四国の夜明けぜよ」とつぶやいた。

展望台にある「最南端の標」で方角を確認 ©愛媛県

 展望台にある「四国最南端の碑」でこれから向かう愛媛県松山市の方角を確認する。いよいよツアー最後のライド。太陽の光を浴びてたっぷりエネルギーを充電したPR隊は元気に足摺岬を出発した。途中、自転車で巡礼中のお遍路さんらしきサイクリストを見かけた。漕ぎやすい服装に袖なしの白衣という出で立ちに、「先輩」を見たような気持ちになる。

最終日、足摺岬をあとにして愛媛県松山市に出発! ©愛媛県
自転車に乗ったお遍路さんの姿も ©愛媛県

やっぱり本場 愛媛の自転車フレンドリー

11日目、最終日のモデルルート。愛媛県宇和島市から松山までの105.4km ©愛媛県

 足摺岬を後にした一行は北上し、再び愛媛県へと足を踏み入れた。県西部、豊後(ぶんご)水道に面した宇和海(うわかい)の海岸線は典型的なリアス式海岸で、波が穏やかな深い入り江は真珠の養殖地としても知られる。

 朝日に照らされてキラキラと輝く海面。足摺岬から少し北上しただけなのに、まったく表情が異なる海。四国一周ではとにかくこの海の変化に驚かされる。

リアス式海岸をなす宇和海の沿岸。大小さまざまな岩礁が特徴的 ©愛媛県

 愛媛に入ると道路に現れるのが、サイクリングの道しるべ「ブルーライン」。このラインがあるかないかでは、旅の安心感がまったく異なる。

 さらに最近では、増加傾向にあるという海外からのサイクリストにも配慮し、標識には日本語の他に中国語、韓国語、英語の3カ国語が加わっていた。

愛媛県に足を踏み入れると道にブルーラインが登場 ©愛媛県
海外サイクリストに配慮した案内も ©愛媛県
愛媛県の「サイクルオアシス」になっている宇和島の道の駅「みま」にはレンタルサイクルも ©愛媛県

 また愛媛では県が取り組む地域振興事業の一環として、自転車フレンドリーな地元住民が提供する休憩スペース「サイクルオアシス」の整備が進んでいる。途中で立ち寄った宇和島の道の駅「みま」も「なんよ(南予)サイクルオアシス」で、サイクリングの拠点としてロードバイクとクロスバイクを貸し出している。

 そしてなんといっても愛媛で特徴的なのは柑橘類の種類の豊富さ。「道の駅」に並ぶ青果コーナーに柑橘類がぐっと増え、気分もほんわかオレンジ色に。サイクリストにはおなじみ(?)の愛媛のキャラクター「みきゃん」もお目見えだ。

柑橘の種類もぐっと豊富に。写真はシラヌヒ(不知火) ©愛媛県
愛媛のキャラクター「みきゃん」。心なしか「ゴールまであとちょっと!」と応援されている気分 ©愛媛県

 ここまでの全行程で天候に恵まれたが、最終日は快晴に加えて追い風というまさに最高のサイクリング日和に。西に細く迫り出した佐多岬半島の三崎港から愛媛県伊予市へと続く「せとかぜ街道」の一部を走ると、宇和海とはまた違う深いエメラルド色をたたえた瀬戸内海が視界に飛び込んできた。

穏やかな瀬戸内の海。海の変化で四国を一周したことを感じる ©愛媛県

 「出発前に聞いた、太平洋と瀬戸内海は全く違う顔を持っているという言葉がやっと自分のものとして表現できるようになった」という四国一周サイクリングPR大使の一青妙さん。「太平洋は青の色をベースとして、果てしなく広くどこまでも広がっていく雄大さがある。瀬戸内海はブルーグリーン。内海に浮かぶ島々や波際に上がる飛沫は遠慮気味で、太平洋に比べておとなしい」と、眼差しに自然と感情がこもる。

なだらかで走りやすい路面 ©愛媛県
追い風にのってどこまでも走りたい海沿いサイクリング ©愛媛県

愛媛の隠れ里、内子町を散策

 最終日のモデルコース半ばにさしかかる伊予長浜。ここには、国の重要文化財に指定されている橋長226mの跳ね上げ式可動橋、「長浜大橋」がある。1935年築で、太平洋戦争での機銃掃射の傷跡がところどころに生々しく残るも現役の存在感。地元では「赤橋」の愛称でも親しまれている。

国の重要文化財に指定されている「長浜大橋」 ©愛媛県
現存する道路開閉橋としては日本最古のもの ©愛媛県

 現存する道路開閉橋としては日本最古のもの。現在は船の往来はなくなったが、毎週日曜日に定期点検を兼ねて開閉を行っており、タイミングが合えばいまもその迫力ある様子を観ることができるという。

 そこから20kmほど内陸に入り、内子町(うちこちょう)へと向かう。途中、ランチで立ち寄ったのは「道の駅内子フレッシュパーク からり」。内子町で採れた新鮮な野菜や果物を販売しているほか、それらを使ってできたジェラートやパンなど地元産にこだわったグルメを堪能できる。

道の駅内子フレッシュパーク「からり」の一角にある「レストランからり」 ©愛媛県
すぐに売り切れる人気の「からりブレッド」 ©愛媛県

 ここ内子町は、江戸時代後期から明治にかけ和蝋燭「木蝋(もくろう)」の生産で栄えてきた町。「八日市・護国地区」では約600mの通りに町家や屋敷が伝統的建造物として保存されており、飲食店や雑貨店などとして再利用されながら当時の面影を色濃く残している。

伝統的建造物が保存されている内子町の「八日市・護国地区」 ©愛媛県

 自転車を下りてゆっくりと歩くと、浅黄色の土壁が目につく。地元の土で塗られたもので、白漆喰と黄土が織りなすコントラストが独特の温かい風景を作り出し、まるでタイムスリップしたかのような感覚を覚える。

「木蝋」の生産で栄えた当時の面影が色濃く残る ©愛媛県
ときにはサドルを下りてゆったり町並み散策 ©愛媛県
八日市護国の近くにある歌舞伎劇場「内子座」前で、千手観音にトライするPR隊 ©愛媛県

 保存地区の一角にある歌舞伎劇場「内子座」は、木造2階建ての瓦葺き入母屋作り、純和風様式の本格的な芝居小屋として1916年に建設された歴史的建造物。回り舞台や花道、桝席、楽屋などがあり、当時の建築技術が詰め込まれている。

 老朽化のため取り壊されそうになったところを地元住民の熱意で復原工事が行われ、芝居小屋として再出発を果たした。見学だけでも可能(有料)なので、時間に余裕があればぜひ館内にも足を踏み入れてはいかがだろう。

世界に誇れる「サイクリングアイランド四国」に

 一行はさらに移動し、松山市へ。スタート地点の愛媛県庁を経て、松山が誇る「道後温泉」へと向かう。小説『坊ちゃん』ゆかりの温泉としても有名な道後温泉には、駅前の放生園に午前8時から午後10時まで1時間ごとに音楽とともに人形が動く「坊っちゃんカラクリ時計」があり、この日も大勢の観光客が定時を待ち構えていた。ちなみにカラクリの動きを初めて目にした感想は「予想を上回る展開」。道後温泉を訪れたら、定時に合わせて確認していただきたい。

松山市の愛媛県庁に到着 ©愛媛県
坊ちゃんカラクリ時計が6時を告げる ©愛媛県
愛媛の道後温泉にゴール!四国一周を果たした一青妙さん(写真中央)、門田基志選手(同右から2人目)らPR隊 ©愛媛県

 そこから徒歩5分ほどの「道後温泉本館」に到着し、PR隊全員で無事ゴールを果たした。ゴールを喜ぶ声と惜しむ声とが入り混じる。PR大使の一青さんは四国一周ツアーを終えた感想について、「今回はバスと自転車を交えた駆け足なツアーだったけど、それでも十分に四国の魅力を感じ、大好きになった。次回は自転車で一周して、もっと深く四国を堪能したい」と語った。

「サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー」の門田基志選手(チームジャイアント) ©愛媛県

 一周ルートを監修し、PR隊を率いた「サイクリングアイランド四国プロジェクトパートナー」の門田基志選手(チームジャイアント)は「瀬戸内、太平洋、宇和海に囲まれた、海も景色も料理も人も違う四国の独特な空気感を楽しんでもらいたい」と述べ、「四国一周1000kmを一気に回らずに、空港や公共交通機関もあるので連休などを活用して数回に分けても良い。それぞれの走力に合わせて四国を楽しんでほしい」とアドバイスした。

 そして最後に、「日本中のサイクリストが『四国一周を一度は走ってみたい』と憧れる場所に、そして訪れる海外のサイクリストたちに『日本を走るなら、しまなみ海道、四国一周』と思われるような、日本を代表する場所になってほしいと思う」と今後の展開に期待を寄せた。

<完>

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