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サイクリスト

自転車文化のメジャー化を象徴大阪の一等地にサイクリング関連店が続々オープン、富裕層にも照準

by 上野嘉之 / Yoshiyuki KOZUKE
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 高速で快適に走行できるスポーツ用自転車「ロードバイク」の市場拡大を受けて、大阪市の中心街、梅田と難波を代表する大型商業施設にサイクリング関連店舗が続々オープンしている。全国各地でサイクリングイベントが増え、自転車通勤も広まり、ロードバイク愛好者の裾野は拡大している。経済の活況が続く大阪での出店ラッシュは、サイクリング文化のメジャー化を象徴している。

世界最大の自転車パーツメーカー、シマノが開設した展示・交流スペース「シマノスクエア」 =大阪市北区のグランフロント大阪内「ナレッジキャピタル」 Photo: Junichiro MAEKAWA

自転車系を「狙って誘致」

 キタの繁華街、梅田の新しいシンボルとなった「グランフロント大阪」。この大型複合施設内にある産官学交流拠点「ナレッジキャピタル」に今年2月、世界最大の自転車部品メーカー、シマノが新しい展示・交流スペース「シマノスクエア」をオープンさせた。

シマノスクエアに展示されている歴代の自転車パーツ =大阪市北区のグランフロント大阪内「ナレッジキャピタル」 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 300平方メートルを超える広々としたスペースに、歴代のレース用自転車パーツや、同社のもう一つの事業の柱である釣り具などを一堂に展示。サイクリングに関連するアクセサリーなどを販売するほか、カフェも併設し、自転車愛好者が集ってサイクリング談義に花を咲かせている。

 グランフロントでは昨年9月、サイクリングウェアを中心とするスポーツアパレルブランド「レリック」の直営店が進出した。ランニングやゴルフのウェアも併売するが、店内に並ぶサイクリングウェアの品揃えは目を見張るほどだ。

 翌10月には、サイクルウェアブランド「カペルミュール」の直営店も進出。同ブランドは、本格的な機能を備えながらカジュアルにも着こなせるウェアが人気を呼び、急成長してきた。大阪でも、ライフスタイルにマッチした自転車の装いを提案している。

スポーツアパレルブランド「レリック」が昨年9月に開設した直営店「レリック大阪」 =大阪市北区のグランフロント大阪 Photo: Yoshiyuki KOZUKE
サイクルウェアブランド「カペルミュール」の直営店 =大阪市北区のグランフロント大阪 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 相次ぐ出店で、梅田は自転車愛好者の注目スポットに急浮上した。

 シマノスクエアが出店したナレッジキャピタルの広報担当、奥村亜紀さんは、「シマノは歴史ある世界的企業。未来の暮らしを提案しようと誘致した」と経緯を語る。オープン後の来客は順調で、「自転車のファンはこんなにもいるんだなと実感している。今後、さまざまな交流によるイノベーションが起きるのではないか」と期待している。

 また、レリックとカペルミュールが店を構えるグランフロント大阪の広報担当、冨田聖二さんも「自転車系を狙って誘致した」と明かす。もともと東京では通勤を含めてスポーツ自転車の需要拡大が先行していたが、「大阪でもその兆しを非常に感じている」と冨田さん。関西の自転車愛好者が両ブランドの東京直営店を訪ねたり、ネット通販で商品を買い求めたりしていることをリサーチした上で、両店舗の誘致を決めたという。

有名ショップが高島屋に進出

 ミナミのランドマーク、高島屋大阪店(中央区難波)には3月1日、スポーツサイクル専門店「シルベストサイクル難波店」がオープンした。5階ゴルフ用品コーナーの向かいに約100平方メートルの自転車売り場を新設。百貨店らしく、上品でスタイリッシュなサイクリングウェアの展示が目を引く。

 自転車本体は、初心者向けの10万円台から、電動変速機を備えた本格レース仕様までズラリ。100万円クラスの超高級品も、開店直後から商談が進んだという。

 シルベストサイクルはほかに梅田、大阪府箕面市、京都市に店舗を展開。統括店長の山崎敏正さん(61)は幻の1980年モスクワ五輪代表の自転車競技選手(日本は同大会をボイコット)で、今もレースに出場する伝説的サイクリストだ。同社が運営するチームは実業団レースの強豪として知られる。

「レリック大阪」の店内には本格的なサイクルウェアがズラリ =大阪市北区のグランフロント大阪 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 そんな関西一の有名サイクルショップを誘致した理由について、高島屋広報・IR室の小出絵里子さんは「ロードバイク愛好者層と当社のお客様が合致する」と狙いを明かす。

 健康志向や「コト」消費の盛り上がりもあってロードバイクへの注目は高まっているが、自転車本体が10万円から数十万円と高価なこともあり、趣味として始める人は40~50代の男性が多い。顧客に富裕層が多い高島屋では「市場が拡大する余地がある」と判断。梅田など他地域で人気のシルベストサイクルに白羽の矢を立てたという。

びわ湖、淡路島が“追い風”に

 大阪市中心部ではほかにも、シルベストサイクル梅田店が4月28日、西梅田の大型複合施設「ハービスOSAKA」へ移転予定。ホテル「ザ・リッツ・カールトン大阪」やミュージカルの「大阪四季劇場」が入居する高級感あふれるビルで、店舗面積は現在の1.4倍に広げるという。

 近隣には、世界的人気を誇るイギリスのサイクルウェアブランド「ラファ」の直営店「ラファ サイクルクラブ大阪」が平成24年に開店し、昨年4月にリニューアルオープンしている。本格的なカフェを備え、梅田を訪れるサイクリストの定番ルートになっている。

 日本国内の自転車ブームは、1970年代には自転車旅行を中心としたツーリング、80~90年代には山野を駆けるマウンテンバイクが盛り上がりを見せたが、いずれもスポーツとして社会的に定着する前に衰退していった。

カジュアルでスタイリッシュなサイクルウェアが並ぶ「カペルミュール グランフロント大阪店」 Photo: Yoshiyuki KOZUKE

 しかし近年は、「ツール・ド・フランス」など自転車競技の本場ヨーロッパのレースが衛星放送などで生中継され、また「弱虫ペダル」を中心に自転車系の漫画やアニメがヒットするなど、メディアを通じてスポーツサイクルの認知度が拡大。健康志向や自転車通勤の広がりも重なり、ロードバイク愛好者は増加を続けている。

 ただ、高性能のロードバイクを楽しむためには、適切な機材や用具が必要で、安全確保のための整備も欠かせない。このため、高島屋が「専門性の高いショップを挙げた」(小出さん)というように、本格的な商品やサービスを提供する専門店を誘致する動きは今後も広がりそうだ。

 また、普及促進には走りやすい道路環境や、サイクリングイベントなどソフト面の充実も必要だ。関西にはびわ湖、淡路島という人気のサイクリングコースがあり、自治体や地元団体がコース整備や誘客、イベント開催などに取り組んでいることも、ロードバイク普及の追い風になっているという。

産経WESTより)

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