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つれづれイタリア~ノ<89>レースはもう飽きた? イタリアでグラベルロードを楽しむロングライドが人気急上昇

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 日本は空前の「サイクリングルート」ブームになっているようです。「自転車+観光資源=貴重な財源」と悟った全国の自治体が、サイクリストたちを誘致するためこぞってモデルルートを作成しています。愛媛県と広島県を繋ぐ「しまなみ街道」はすでに絶大な人気を誇っていますが、滋賀県でも琵琶湖を一周する「ビワイチ」、神奈川県では三浦半島のサイクリングロードマップなど、続々と増えています。そして新たに「四国一周1000キロルート」が生まれました。過疎化や人口流出に悩む四国4県にとっては貴重な計画です。こうしたサイクリストたちに優しい場所は、すぐにでも行ってみたいです。

ヴェネトトレイル ©ASD Team Discovery MTB

イタリアで“レース疲れ”発生

ロディ・レッコ・ロディ ©lodileccolodi 2017

 私の国、イタリアではこういった取り組みはほとんどありません。サイクリングを楽しむより、レースの文化が浸透しているからです。イタリア人は基本的にレース志向が強く、世界最大のビンテージバイクイベント、「L’Eroica」(エロイカ)が行われるトスカーナ州を除けば、誘導標識を設置している地域はほとんどありません。

 「グランフォンド」と呼ばれるロングライドレースが大人気で、全国だと毎年200大会を超えます。5000人を超える大きなレースは60近くもあります。

※日本のグランフォンドとは、普通のサイクリングイベントですが、イタリアのグランフォンドは交通を遮断し一般道で行われる本格的なレース。距離は150~200km、優勝者に高額な賞金も出ます。

 一方、この2~3年でサイクリストたちの間に一種の“レース疲れ”が発生しています。過剰な競争に疲れたライダーたちが、タイムを争うより長い距離と景色を楽しむことができる大会に移っています。エロイカ大会はまさにその先駆けです。

ヴェネトトレイル ©ASD Team Discovery MTB
補給食ではなく、道なりにあるレストランやバーでしっかり食事を楽しむ ©lodileccolodi 2017

 過剰なサポートを受けず、地図を片手にもってコースを選び、道なりにあるレストランやバーで食事をとりながら長い距離を仲間と楽しむ。そんなライドをサイクリストたちは求めているようです。制限時間内に完走すればOK。イタリア人は話し相手がいないと死んでしまう生きものなので、参加者が多いサイクリングイベントを好む傾向は、こういうところにも現れています。

舗装路より悪路の方が魅力的

ヴェネトトレイル ©ASD Team Discovery MTB

 この大会の魅力はコース設定にあります。交通量の多い一般道を避け、ダート(グラベル)ロードやあぜ道などがコースの50%以上を占めています。日本ではほとんど姿を消したグラベルですが、ヨーロッパでは自然に触れたい人が増え、その価値が見直されています。

 そしてコースのもう一つの特徴は、迷いやすさです。最低限の看板しか設置されていないため、頼りとなるのがコースマップ、GPSと他の参加者の助けです。エロイカでもそうですが、知らない人同士の小さなグループが自発的にできて、連帯感と助け合い精神が生まれます。順位を争うグランフォンドではなかなか楽しめない雰囲気です。

 ここで人気急上昇中の大会を紹介します。次にイタリア旅行に行く機会があれば、参考にしてください。

●トスカーナ州

トゥスカニートレイル © Bike Soul

 トスカーナといえばルネッサンスが開花し、数々の世界遺産が点在している世界的に有名な場所です。グルメ天国としても人気が高く、自転車天国でもあります。フラットコースから厳しいアップダウンまで、バラエティに飛んだ練習場所が多いので多くのライダーから好まれています。マリオ・チポッリーニもアレッサンドロ・ペタッキ、パオロ・ベッティー二もトスカーナ出身です。

Tuscany Trail(トゥスカニートレイル)

トスカーナの山間部を北から南へ横断するコースがこの大会の特徴。未舗装道路区間は65%に上ります。途中で花の都、フィレンツェにもより、景色の壮大さと美しさで3回目の開催ですでに500人超えしました。これからもっと伸びる大会です。
 
開催日:6月2日
距離:540km
獲得標高:1万m以上
タイムリミット:なし
推奨バイク:グラベルバイク、シクロクロスバイク
参加賞:ホテル宿泊2泊分、オリジナルキャップ、オリジナルグッズなど
開催回数:4回

●ヴェネト州

ヴェネトトレイル ©ASD Team Discovery MTB

 ヴェネトといえば水の都ヴェネツィア、ロミオとジュリエットで永遠の愛を誓ったヴェローナ市が有名な観光地です。一方、ドロミティ山脈もあり、ジロ・ディタリアに登場する名峠が数多くあります。ダミアーノ・クネゴ(NIPPO・ヴィニファンティーニ)もこの地域の出身です。

Veneto Trail(ヴェネトトレイル)

この大会のコースの特徴はトレイルランで使われるコースを走ることです。アルプスに入ると、峠越え三昧です。コースの40%未舗装道路、15%は山道。どちらかというと山好きな健脚の持ち主向けのコースです。
 
開催日:6月24日
距離:500km
獲得標高:9500m
タイムリミット:なし
推奨バイク:グラベルバイク、MTB
参加賞:ピザパーティ、オリジナルグッズなど
開催回数:3回

●ロンバルディア州

ロディ・レッコ・ロディ ©lodileccolodi 2017

 ロンバルディア州は日本で馴染みのない名前ですが、ミラノが州都です。自転車産業が盛んな地域で、ビアンキ、デローザ、クオタなどがここで生まれています。

 クラシックカー大会の「ミッレミリア」はブレーシャ市、バイオリンの街であるクレモーナ市もこのロンバルディア州にあります。

Lodi-Lecco-Lodi(ロディ・レッコ・ロディ)

初心者向けの大会です。コースがほとんどフラットで、スタートもルールもゆるい。どちらかというと仲間と和気あいあい走るコースです。エントリー無料でほとんどエイドステーションはないももの、毎回100人以上が参加しています。ミラノ南部にあるロディ市をスタートし、コモ湖に面するレッコ市を目指し、Uターンをするだけ。コースの50%以上は未舗装道路。途中でボランティアが用意してくれたBBQで食事をするなど、アットホームな雰囲気が楽しめる大会です。参加者が増えたらきっと有料になるでしょう。
 
開催日:4月8日
距離:165km
獲得標高:200m程度
タイムリミット:10時間
推奨バイク:自由
参加費:無料
参加賞:なし(タイム記載のみ)
開催回数:5回

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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