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シマノペダルユーザーに"朗報“ガーミンのパワーメーター「ベクター2J」がシマノ軸に対応 フィッターも活用する機能搭載

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 パワートレーニングに欠かせないのが、出力を計測するパワーメーターだ。その中でも手軽に装着ができるガーミンのペダル式パワーメーター「Vector2J」(ベクター2J)に、シマノのペダル「PD-6800」軸に対応したモデルが新たに登場した。圧倒的多数が使うシマノのペダルボディに取り付け可能になったペダル式パワーメーターのインプレッションをお届けする。また、踏力や角度を計測できる特長を生かし、プロフィッターの木下智裕さんがフィッティングで活用したレポートも紹介する。

シマノのペダル「PD-6800(アルテグラ)」軸に対応したガーミンのパワーメーター「Vector2J」 Photo: Shusaku MATSUO

約5分で取り付け完了

ペダル軸内部にコネクト部が見える Photo: Kenta SAWANO

 パワーメーターはライダーが走行中、リアルタイムで出力を計測できるツールだ。近年、価格が10万円台と、以前に比べて手が届きやすい製品が出回ってきたこともあり、より多くのサイクリストに利用されている。一般的にパワーメーターはデータの計測箇所によって分類され、クランク、ハブ、ペダルタイプなどがある。ペダリングの負荷がかかる箇所にセンサーとなる「ひずみゲージ」を内蔵。計測したパワーをそのままサイクルコンピューターに表示したり、後にデータをダウンロードしたりして、日々のトレーニングに生かすことができる。

 ガーミンの「ベクター2J」はペダルタイプのパワーメーターだ。ハブやクランクタイプと違って難しい作業はなく、ペダルレンチとアーレンキーだけで取り付けられる。ベクター2Jの軸にひずみゲージが内蔵されており、サイクルコンピューターへの発信機となる「ペダルポッド」を装着。サイクルコンピューターへとデータが送信される仕組みだ。

ペダル軸とペダルポッドを接続し、サイクルコンピュータへとデータを送る Photo: Kenta SAWANO

 従来、ベクター2Jはルックタイプのクリートのみ対応するボディを採用していたが、5月からシマノへのコンバージョンキットが登場し、換装が可能になった。アルテグラグレードの「PD-6800」を用意し、従来の軸とベクター2Jの軸をチェンジすることで、シマノボディを使いながらパワー計測ができる。

 実際にバイクにベクター2Jを取り付けるのにかかった時間は約5分。軸がセンサーとのコネクト部になるため、ペダルレンチを使って脱着する。ペダルポッドは取り付けたベクター2Jの軸に巻きつけ、アーレンキーで固定。どちらも特別な技術は必要なく、スムーズにできた。

 使用したサイクルコンピューターは筆者が愛用しているガーミン「エッジ520J」。はじめに、ベクター2Jとペアリングする必要があるが、トルクの校正まで行えて、スムーズに接続できた。ペアリング後は画面表示項目に「パワー」欄を追加。3秒の平均パワーを表示させる設定にしてトレーニングに臨んだ。

使い慣れたガーミン「エッジ520J」を使用してベクター2Jを試した Photo: Masami SATOU

 筆者は以前からシマノペダルユーザーなので、当然ながら全く違和感は感じない。ボディがシマノというだけで、他の製品では得られない安心感がある。ペダルは好みが反映されやすいパーツなので、そのまま使用できるのはベクター2Jを選ぶ大きな理由のひとつになるだろう。軸の剛性も特段問題は感じられず、シマノ軸との違いは分からなかった。

 全長約5cmのペダルポッドが地面に摺ったり、ぶつかったりしないか心配だったが、トレーニングなど普段どおりの利用では接触することはなかった。レースなどで落車した場合は突起しているのでダメージを負いそうだが、ペダルポッドは別売りされている。高価なのは軸のセンサー部なので、仮に壊れてしまっても最低限の出費で済みそうだ。

 パワーメーターとサイクルコンピューターが同一ブランドなので、相性は抜群。ペダリングの力が直に加わる箇所にセンサーがあるのもデータの信頼性につながっている。今回はバイクに取り付けたが、ペダルタイプなので「パワーマジック」などの室内トレーニングバイクにも簡単に取り付けられるという。より安価な片側のペダルで計測する「ベクター2SJ」も登場し、さらにパワーメーターが身近になったと感じた。

エッジ520Jのデータはスマホ経由でデータ管理アプリ「ストラバ」へとアップロード。パワーや位置情報を駆使して分析ができる Photo: Shusaku MATSUO

左右バランスはフィッター目線からも注目

 ベクター2Jは単に出力を計れるだけの機材ではない。ペダルタイプの特長を生かし、ライダーのペダリングの左右バランスや、踏力やトルク効率など、様々なデータを取得できる。データはリアルタイムでガーミンのサイクルコンピュータ「エッジ」で視覚化され、より正しいペダリングを意識することが可能だ。

ベクター2Jから送られてきたデータをエッジ1000Jでリアルタイムでチェックするフィッターの木下智裕さん Photo: Shusaku MATSUO

 その実力を試すため、元U23ロードレースのアジアチャンピオンでプロフィッターの木下智裕さんに協力してもらい、自身が行うフィッティング「キノフィット」でベクター2Jの有用性を確かめた。

150kmほどライドすると毎回膝の痛みに悩まされていた関幸子さん Photo: Shusaku MATSUO

 フィッティングを受けたのは、トライアスリートの関幸子さん。競技を始めたのは約1年前からで、最近膝の痛みに悩まされており、キノフィットの戸を叩いたという。関さんのバイクをローラー台に固定する際、ベクター2Jも装着。まず木下さんは、フィッティング前のペダリングの左右バランスなどをチェックした。

 木下さんは自身の経験をもとに、「どこが悪いのか」を的確にあてていく。関さんの場合、サドルが低いことととステム長が合っていないことで膝へ負担がかかり、痛みの原因になっていると見抜いた。

バイクに取り付けられたベクター2J Photo: Shusaku MATSUO

 細かなバイクの調整を行いながら、「エッジ1000J」に表示された関さんのペダリングをリアルタイムでチェックしていく。やがて、調整を繰り返すうちに出力の左右バランスが均等に近づいていった。関さんが「全然違いますね! 脚を回しやすい」と驚喜の声を上げる。また、ペダリングだけでなく、うまく使えていなかった上半身を活用し、重心をうまくかけることで、よりバイクコントロールができるようになるという。

ガーミンエッジ1000Jのキャプチャ画像。左がフィッティング前のデータで、右がフィッティング後。左右バランスが整っているのがわかる ©Garmin Japan
体の使い方を指導しながら、より楽に速く、安全に走れるポジションへとフィッティングで導いていく Photo: Shusaku MATSUO

 最終的には、関さんが意識せずにペダリングしても出力は整っていった。木下さんは「軸に対しての踏力も時間をかければ更に良くなっていくはず。フィッティングは1回で終わりではなく、筋肉や体幹が発達していったら再調整する必要があります。ベクター2Jのように成長と結果がわかるツールは、フィッターにとっても受けていただくサイクリストの方々にとっても嬉しい存在ですね」と評価した。

■ガーミン「ベクター2J」概要
税抜価格:128,000円
仕様:スタンダード(クランクアーム幅44mm以下、厚さ12~15mm)、ラージ(クランクアーム幅44mm以下、厚さ15~18mm)
電池:CR2032(ペダルポッド内)
通信規格:ANT+

■ガーミン「ベクター2SJ」(片ペダルモデル)概要
税抜価格:79,000円
仕様:スタンダード(クランクアーム幅44mm以下、厚さ12~15mm)、ラージ(クランクアーム幅44mm以下、厚さ15~18mm)
電池:CR2032(ペダルポッド内)
通信規格:ANT+

■ガーミン「ベクターカートリッジキット」(シマノアルテグラPD-6800)
税抜価格:12,000円
発売日:5月25日

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