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「ノッてる!ガールズ」のとっておき愛媛女子旅<2>自転車でタイムスリップ 愛媛県の隠れ里「内子町」を探検サイクリング

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 愛媛県の自転車好き女性ユニット「ノッてる!ガールズEHIME」がプロデュースする愛媛の温泉×自転車女子旅の初日、松山空港から南へクルマで30分ほどの内子町(うちこちょう)にやってきた。宿に着くなり、独特な存在感を放ち我々を出迎えた不思議な蝋燭や和紙。多くの自転車乗りになじみの深い愛媛とはちょっと違う雰囲気が漂う。「愛媛はしまなみだけじゃない」─彼女たちの言葉を思い出しながら、この“隠れ里”に息づく文化を紐解くべく自転車を漕ぎ出した。

江戸末期から明治時代にかけて「木蝋」という蝋燭の生産で栄えた内子町。白壁の商家が連なる町並みは、まるで自転車でタイムスリップしたような気分に Photo: Naoki OHOSHI

木蝋の町、内子町

松山空港に到着2時間後に内子町でサイクリングスタート!レンタカーを使った旅ならではの早業 Photo: Naoki OHOSHI

 内子町は愛媛県の南予地方に位置する町で、江戸時代後期から明治にかけ、ハゼの実から採取した油で作る和蝋燭「木蝋(もくろう)」の生産で栄えてきた。その町家や屋敷が伝統的建造物として保存され、当時の面影を今なお色濃く残している。こうした家屋は飲食店や雑貨店などとして再利用され、暮らしに溶け込んでいる。

登録有形文化財に指定されている築140年の商家を改築した「下芳我(しもはが)邸」でおそばランチ Photo: Naoki OHOSHI

 旅をプランした「ノッてる!ガールズ」の加藤涼子さん、芳ノ内奈央さんとともに漕ぎ出して30分ほどすると、腹時計が鳴った。時計を見るとそろそろランチタイム。東京で朝ごはんを食べ、内子でランチ。数時間でここまで移動できることに「飛行機+レンタカー+自転車」の醍醐味を感じる。

 「ここのお蕎麦がおいしいんですよ」と案内されたのが築140年の商家を改築した「蕎麦つみ草料理 下芳我(しもはが)邸」。国の登録有形文化財に指定されている、趣のある店構えだ。

歴史的な趣のある店内で、地元の野菜にこだわった料理のほか、国産そば粉のそばを堪能 Photo: Naoki OHOSHI
「全部食べられるかな~」といいつつ、ぺろりと完食 Photo: Naoki OHOSHI

 国産そば粉を使用したそばの他、地元の野菜にこだわった料理が味わえる地元でも人気の店。3人が選んだのは内子の旬の味が楽しめる「野遊び弁当」。味はもちろん、ボリュームも大満足な盛り付けが女子の心をわしづかみにする。「全部食べられるかな~」といいつつ、3人ともデザートまでぺろりと完食。

伝統工芸「大洲和紙」で女子力開花!

レトロな店舗を改築した和紙屋「neki」 Photo: Naoki OHOSHI

 満腹になったところで、休憩がてら訪れたのは蕎麦屋から数軒離れたところにある和紙の店「neki」。内子町で平安時代から伝わる技法「流し漉き」で生産される「大洲(おおず)和紙」を取り扱っている。大洲和紙は薄くて強く、漉きむらがないのが特徴で、書道用紙のほか寺院や茶室の障子用紙に使用されるなど、高級和紙として知られる。

「流し漉(す)き」という伝統技法で作られる内子町の「大洲和紙」 Photo: Naoki OHOSHI
きれいでやさしい色合いの和紙に癒される Photo: Naoki OHOSHI
店主の渡邉真弓さんに作り方を教わりながら和紙を使ってメッセージカード作りに挑戦 Photo: Naoki OHOSHI

 その大洲和紙を使ったメッセージカード作りに挑戦。500円で1人3枚のカードが作れる。色の異なる2枚の和紙を重ね合わせ、それをリボンで留めるという簡単なものだが、ただのカードと侮るなかれ。和紙選び、リボン選び、そしてカードに沿えるメッセージのスタンプ。自分の“女子力”を問われるような作業に、思わず真剣になる。

淡いピンクやグリーン、ブルーの中から好みの色を選ぶ Photo: Naoki OHOSHI
繊細で味のある千切れ目。その丈夫さが伝わってくる Photo: Naoki OHOSHI
出来上がり。三者三様で“女子力”が浮き彫りに Photo: Naoki OHOSHI

 加藤さんは「これ正解なのかな~」と迷いながら完成させ、芳ノ内さんは「『女子旅』って『女子力を確かめる旅』かも」という名言を放った。サイクリングの合間ににその土地の文化に触れる体験は、実に味わい深い。休憩がてらちょっとサドルを下り、気分を変えるのにおすすめだ。

「『女子旅』って『女子力を確かめる旅』かも」と笑う芳ノ内奈央さん(中央)と加藤涼子さん(右) Photo: Naoki OHOSHI

時が止まったような「八日市・護国地区」

いよいよ伝統的な造りの町家や豪商の屋敷が立ち並ぶ八日市・護国地区の町並みへ Photo: Naoki OHOSHI

 次はいよいよ、伝統的建造物が密集する「八日市・護国地区」の町並みへ。約600mの通りに伝統的な造りの町家が当時のまま軒を連ねている。スピードを落としてゆっくりと走ると、浅黄色の土壁が目につく。地元の土で塗られたもので、白漆喰と黄土が織りなすコントラストが独特の温かい風景を作り出し、まるでタイムスリップしたかのような感覚を覚える。

大正5年に建てられた内子座。町の文化財にも指定されている Photo: Naoki OHOSHI
いまは木蝋資料館となっている上芳我(かみはが)邸 Photo: Naoki OHOSHI

 通りに軒を連ねる古い家屋には、大正時代に建設された歌舞伎劇場・内子座や、昔の暮らしや文化を学べる博物館・資料館もある。

道の駅内子フレッシュパーク「からり」。地元サイクリストのオアシスにもなっている Photo: Naoki OHOSHI

 少し漕ぎ進んだところに現れたのが「道の駅内子フレッシュパーク からり」。内子町で採れた新鮮な野菜や果物を販売しているほか、それらを使ってできたジェラートやパンなど地元産にこだわった商品を堪能できる。加藤さんによるとここは地元サイクリストにとってオアシス的な場所で、補給を楽しみに多くのサイクリストが足を運んでくるという。

地元の柑橘などを使ったジェラートが食べられる Photo: Naoki OHOSHI
今回食べたジェラートはこの「じゃばら」味 Photo: Naoki OHOSHI

 ここでおやつのジェラートを。数あるフレーバーの中から、一際目を引いたのが「じゃばら」という柑橘。加藤さんによると、このじゃばらは花粉症の症状緩和に効果があるそう。

愛媛の隠れたパワースポット「弓削神社」

いよいよ山へ。夕飯に向けてカロリー消費! Photo: Naoki OHOSHI

 すっかりポタリング気分を楽しんでいる筆者に、「ジェラート食べたら消費しないと夕飯が食べられないですよ」と芳ノ内さんから厳しい一言。食べるために走る、もはや「“食ってるガールズ”では?」と笑いつつ、山へ向けてペダルを回し始める。30分ほど走ったところで「弓削(ゆげ)神社まであと3km」という看板が目に入ってきた。

視界の先に広がる棚田 Photo: Naoki OHOSHI

 どうやらこの神社が目的地らしい。「あとちょっと」と思っていると、この3kmが本番。いきなり斜度がアップして完全ヒルクライムモードになった。冬眠明けのなまった体を引きずる筆者をよそに、軽々と上ってゆく2人。まさに「ノッてるガールズ」の真の姿を見た思いだ。

 程よくがんばったところでゴール。一息ついてふと顔をあげると、大きな沼地が目の前に広がる。普段は「パワースポット」なるものに無関心な筆者だが、龍神か仙人でも現れそうな神秘的な雰囲気に思わず息をのむ。

坂を上ったところに突如現れる弓削神社。まるで龍神が現れそうな神秘的な雰囲気に、思わず「わぁ~!」と声があがる Photo: Naoki OHOSHI

 室町時代に創建されたといわれる弓削神社。社殿を囲むようにある弓削池には、“屋根付き橋”として知られる木造の「太鼓橋」が架けられている。神社につながる、いわば参道だ。境内全体が景勝地と言われるように、池に映る橋の様子が独特な風景を作り出す。池の周りには梅や桜の木が植えられ、美しい四季折々の景色が楽しめるという。

社のある島へと渡る太鼓橋。 Photo: Naoki OHOSHI
この橋は、いわば神社にお参りをするためのが参道になっている Photo: Naoki OHOSHI

 お参りの効果が早速現れたのか、帰り道に地元の方から暖かい飲みものをいただいた。少し陽が落ち、肌寒くなってきたところに嬉しい差し入れだった。それにしても、今回の旅は道中で人に話しかけられることが多い。加藤さんらによると、これが四国に根付くおもてなしの「お遍路文化」なのだという。

3人揃って弓削神社にお参り Photo: Naoki OHOSHI
冷え込んできた道中、地元の方から温かい飲み物をいただいた。お参りの効果? Photo: Naoki OHOSHI

和蝋燭が灯す夜

たっぷり遊んで夕方5時すぎ、宿に到着 Photo: Naoki OHOSHI

 約40km、寄り道だらけのサイクリングをたっぷり堪能し、出発前に立ち寄った本日の宿「オーベルジュ内子」に到着した。お待ちかねの温泉と夕食に、3人のテンションは上がりっぱなしだ。

 愛媛といえば道後温泉が真っ先に思い浮かぶが、ここ内子は「大登(おおと)温泉」。なめらかな肌ざわりの強アルカリ性の温泉が、ライド後の冷えた体にじんわりと沁みこむ。館内には石造りの大浴場と内子町を一望できる露天風呂があるほか、各ヴィラにも浴室が設けられている。

女子旅の夜は“浴衣じゃんけん”でスタート Photo: Naoki OHOSHI
浴場の他に各ヴィラに1つずつ浴室がついている Photo: Naoki OHOSHI

 温泉のあとはいよいよディナー。ランチもジェラートもどこへやら、の空腹を抱えてダイニングへと向かった。するとそこには内子町の繁栄を支えた和蝋燭(木蝋)が、森の中に浮かぶように灯をたたえていた。

木蝋燭の優しい光に包まれ、お待ちかねのディナータイム。気取ってみるけれど、おなかはぺこぺこ Photo: Naoki OHOSHI
内子で採れた素材をふんだんに使った体に優しいフランス料理 提供: オーベルジュ内子

 「宿泊設備を備えたレストラン」という意味の「オーベルジュ」を冠する宿だけあって、料理は絶品。内子でとれた素材をふんだんに使ったフランス料理が体に優しく沁み込む。

 いつもシクロクロスの大会で内子町を訪れていたという芳ノ内さん。「内子町は歴史ある街だと知っていたけれど、一度こういう形でちゃんと巡ってみたかった」と、このプランを思いついたきっかけを話してくれた。

「美味しい~」と芳野内さん。全てを物語る表情 Photo: Naoki OHOSHI
ワインも内子産。甘口で飲みやすい Photo: Naoki OHOSHI

 予想以上の楽しさに、プランを作った当の2人も大満足の様子。でも、まだ旅の半分。後半はどんなプランが待っているのか。ほど良い疲れにまどろみつつ、ふかふかのベッドに体を埋めるのだった。

⇒<3>いちご狩りは水分補給! よく食べ、よく走るローカルグルメ・サイクリング

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