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つれづれイタリア~ノ<88>レーサーの胃を支える“友” おいしく飽きないイタリア式補給食「パニーニ」の作り方 

by マルコ・ファヴァロ / Marco FAVARO
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 このコラムが始まって今回は88回を迎えることができました。日本では「88」は縁起の良い数字ですので、今回はお財布にもめでたい(ありがたい?)話をしようと思います。簡単かつおいしい、イタリアのサンドイッチ「パニーニ」(単数形はパニーノ)を使った補給食の作り方です。日本全国どこでも再現できるマルコ式パニーニの作り方も伝授します。

補給食のパニーニ。こうして並べると「88」に見えなくもない…? Photo: Marco FAVARO

食べる力は良いレーサーになる条件

 自転車によく乗る人なら、エネルギー補給はロングライドやレースにおける最大の関心事の一つです。ロングライドの場合、お腹が減るとコンビニや飲食店という避難場所がありますが、レース中のエネルギー補給は簡単なことではありません。

 私もよく耐久レースに出ますので、エネルギー補給に劣った人ほど急に倒れてしまうシーンを何回も見たことがあります。ダイエットを含め、日本では何でも我慢をする傾向がありますが、自転車競技の場合、正しくエネルギーを摂らないと命に関わることがあります。正しく食べることと飲むことは良いレーサーになるための重要なステップの一つです。プロレーサーは、どうしているか見てみましょう。

レース中、補給食のバナナにかぶりつくアンヘル・ビシオソ(スペイン、チーム カチューシャ)=ツール・ド・フランス2016 Photo : Yuzuru SUNADA

 プロレーサーはよく食べます!テレビでは放映されませんが、プロレーサーの仕事は主に3つあります。走ること、寝ること、そして食べることです。レースのスタート時にすでに後ろポケットに補給食が入っています。途中に渡されるサコッシュの中にも補給食が入っています。とにかく食べます。

 主に食べるものが、エネルギーバー、ジェルとパニーニ。イタリアのバーで売られている巨大なパニーニを連想している人は多いかもしれませんが、それと全く違うものです。基本的にバターロールのような大きさです。

レーサーの友、パニーニ Photo: Marco FAVARO

 科学的な研究に基づいて開発されたエネルギーバーで十分なのでは? と思う人がいるかもしれません。もちろん、エネルギーバーは十分に力を発揮しますが、ほとんどの商品が甘すぎて、プロ選手がその味にすぐに飽きてしまうのです。そのため、選手たちは長くつらくレースの中でおいしく補給できるエネルギーを求めており、エネルギーバーのない時代にずっと食べ続けられていたパニーニが、味が洗練されレーサーの友になったのです。

補給食のパニーニを作るNIPPO・ヴィーニファンティーニのチームマッサーたち Photo: Marco FAVARO

 パニーニを作るのは基本的に「チームマッサー」と呼ばれるスタッフ。レーススタートの2時間前に作り始め、チームバスに持ち込み、各選手は自ら必要な量と好きな味を後ろポケットに詰めるのです。レースの補給の仕方は3パターンに分かれます。そのため、食べるものも異なります。

 前半と中盤はもちろん、腹持ちのいいパニーニです。レース前半は歯ごたえと塩気のあるものを食べ、痙攣を避けるためになるべく消化しやすいタンパク質を取り入れます。中盤はレースの終盤に備えて、すぐにエネルギーに転換できるジャム入りのパニーニを食べます。そして終盤は一気に吸い込めるジェルを摂ります。

コンビニの材料で作るおいしいパニーニ

 それでは、ここでパニーニの作り方を紹介しましょう。

塩気のあるパニーニの作り方

材料:ロールパンまたはミルクパン、クリームチーズ、生ハムまたはチキンハム
作り方:①パンの上の部分を切り取り、真ん中の柔らかい部分をくり抜く②中の壁にクリームチーズを塗る③ハムを詰める④切り落とした上の部分で蓋をし、ペーパーホイルで包む
ポイント:体への負担を少なくするために、なるべく天然素材を使用したものを選ぶ

甘みの強いパニーニの作り方

材料:ロールパンまたはミルクパン、クリームチーズ、バナナ、ジャム(オレンジ、イチゴ、ベリーなど)
作り方:①パンの上の部分を切り取り、真ん中の柔らかい部分をくり抜く②中の壁にクリームチーズを塗る③真ん中にバナナのスライスを置く④お好みのジャムを詰める⑤切り落とした上の部分で蓋をし、ペーパーホイルで包む
ポイント:低糖で酸味の強いジャムを塗ると、口の中が爽やかな味に

塩気のあるパニーニと甘いパニーニを1つずつ Photo: Marco FAVARO

 日本のコンビニは素晴らしいものだと日本に来て実感しました。食パンコーナーとお惣菜コーナーを使えば、低価格でプロが食べるパニーニが再現できるからです。菓子パンが多いので、甘いパニーニを作る必要はないですが、塩気のあるパニーニはありませんので、材料だけを買って自分で作ることができます(ほかのコンビニチェーンに申し訳ないですが、個人的にセブンイレブンが材料を一番揃えやすい)。

 ということで、私の即席パニーニの作り方を紹介します。

マルコ式パニーニの作り方

材料:クルミパンまたはレーズンパン、スライスハム、スライスチーズ
作り方:①手を洗う②パンを真っ二つにする③ハムとスライスチーズを挟む④パンを閉じる⑤2つを食べて、残りは元の袋に戻し、後ろポケットに入れる
ポイント:衛生面を考慮すれば、作ったものはなるべく1時間以内に食べる。そして他人に渡さない

 なぜクルミパン、またはレーズンパンを選んだかというと、いずれも熱量が高く、値段も安い。中の部分は潰しやすいし、具が収まる。一石二鳥です。強いて言えばクルミパンのほうをお勧めします。クルミにはオイルが含まれ、エネルギー源になるだけでなく、腹持ちが少しだけ良くなります。

 最後ですが、お腹が減る前に必ず何かを食べるようにしてください。消化までに時間がかかるので、30~40分毎に何かを食べると良いでしょう。

 それでは、おいしい補給食を。Buon appetito!

マルコ・ファヴァロMarco FAVARO(マルコ・ファヴァロ)

東京都在住のサイクリスト。イタリア外務省のサポートの下、イタリアの言語や文化を世界に普及するダンテ・アリギエーリ協会や一般社団法人国際自転車交流協会の理事を務め、サイクルウエアブランド「カペルミュール」のモデルや、欧州プロチームの来日時は通訳も行う。日本国内でのサイクリングイベントも企画している。ウェブサイト「チクリスタインジャッポーネ

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