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福田萌子の「もう一度、南の島を走りたい」<5>「落車が私を成長させてくれた」福田萌子さんの屋久島100km完走レポート

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 連載「もう一度、南の島を走りたい」で目標だった「サイクリング屋久島」100kmを無事完走した福田萌子さんが、これまでの思い、喜びをCyclist編集部に寄せてくれました。落車のトラウマでしばらくロードバイクに乗れないほどでしたが、念願のロングライド後には、「落車のおかげで自分が成長することができました」と気持ちがさらに前向きに変化していました。本人のレポートでお届けします。

←<1>「落車し乗れなくなった」…対談し再挑戦へ

←<2>段差に「怖い」スケートパーク特別レッスン

←<3>「乗れるかな…」ロードバイク再デビューへ

→<番外編>カスタムラボで「萌子号」プレゼント

←<4>完走 「自転車を楽しめる場所に帰ってきた」

サイクリング屋久島の後夜祭で完走の喜びをスピーチ Photo: Yosuke SUGA

今まで以上に自転車が好きに

 自転車ってやっぱり楽しい!!
今回の企画が、今まで以上に自転車を好きにさせてくれました。

 初めてロードバイクで自転車イベントに参加したのが、2015年2月のサイクリング屋久島でした。最高のロケーションに魅了された100kmでした。ランニングでは走れない距離を自分の身体を使って駆け抜ける爽快感。登り坂で重くなっていくペダルを回す気持ち良さ。自転車が楽しいと感じた日から一転、その年9月のハワイで落車をして目の前に血の海が広がっていた光景は今でも鮮明に覚えています。

サイクリング屋久島を前に心境を話した福田萌子さん Photo: Yosuke SUGA

 とっさに思ったのは「お仕事どうしよう」でした。救急車で運ばれ顎を4針縫い、日本に帰ってからの仕事は全てキャンセル。趣味のスポーツも出来ない日が続きました。モデルという仕事上、傷が出来る事への恐怖心がより強くなってしまった気がします。

 その後傷は癒えても、お友達と出ようと楽しみにしていたホノルルトライアスロンや前々から行こうと話していた「しまなみ海道」のサイクリングも参加出来ず、寂しい思いをしていました。

 自転車が嫌いになったわけじゃないけれど、乗りたい気持ちと、リスクを考えてもう乗らない方が良いのかも知れないという気持ちが入り混じり、もう一度サイクリングを楽しめるのか分かりませんでした。もう二度とあの屋久島を走った楽しさを体験する事はないかもしれない。そう思いながらも、いつかまた100kmが走れるように、ジムで自転車エクササイズは続けていました。

 そんな私に今回の企画を提案してくれたのがcyclistでした。その名も『福田萌子のもう一度、南の島を走りたい』。このタイトルを見るだけで、嬉しくて涙がでます。自転車に乗る技術が乏しい私のために準備して下さったプロライダーとの練習会。教えてもらった事を毎日お家の駐車場で自転車に乗って復習し、1人では怖くて距離が乗れない分を補うため、音楽に合わせてスピニングバイクを漕ぐ「FEEL CYCLE(フィールサイクル)」というジムに入会。よりロードバイクに乗る感覚に近い環境で、週に3回練習を積みました。

リンケージサイクリングでは田代恭崇さん(左)とクロスバイクで第一歩 Photo: Kenta SAWANO
1月、山本和弘さん、大宅陽子さんとロードバイクで再び路上へ Photo: Kenta SAWANO

「弱ペダ」でイメトレ

 夜はロードバイク漫画『弱虫ペダル』を読んだり、ツール・ド・フランスの映像を見てイメージトレーニング。練習会とは別で週に一度cyclistの記者で元プロレーサーの松尾さんが自主練に付き合ってくれました。一緒に走りながら、1人で練習した中で生まれる『ハンドルの持ち方はどのタイミングで変えるの?』といった初歩的な疑問からプロレースのルールまで、様々な質問に答えてくれました。お話をしていると恐怖心も和らいで、純粋にサイクリングをする楽しさを改めて教えてもらった気がします。

山本和弘さんに祝福されながら揃って笑顔でゴール Photo: Yosuke SUGA

 知識が増えたおかげか、練習中にコーチ役のキャノンデール・ジャパンの山本和弘さん(カズさん)のペダリングが飛び抜けて美しい事に気付き、自宅でカズさんの選手時代の映像を夜な夜な観始めました。自らは語らないけどトップ選手だった事、キャノンデール一筋の経歴、みんなに愛される人柄に魅せられ、屋久島へ行く頃にはカズさんの大ファンになりました。(ちょっと遅いね。笑)

 屋久島サイクリング中、自分でも一番驚いたのは、前を走るカズさんのペダリングを見るのに一生懸命で、怖かったはずの下りでブレーキを握るのを忘れていたことです。カズさんに付いていきたくて、初めて「速くなりたい」と思いました。

仲間の輪を広げた自転車

2月18日のサイクリング屋久島では友人と笑顔で走る Photo: Yosuke SUGA

 サイクリング屋久島は沢山のお友達が前を走っているのが嬉しくて、姿は見えないけど追いつきたい気持ちが大きく、ペダルを回すのが楽しかったです。みんなとまたサイクリングを楽しめる場に戻って来れたことが本当に嬉しい。

 そのお友達に感謝しながら走っていました。私が落車した時には、途中で走るのを辞めて自分達のことのように心配してくれました。

 落車後、集団走行のお勉強になるよと言って『弱虫ペダル』全巻をプレゼントしてくれました。しまなみ海道に行くことが出来なかった私のために、わざわざコースを外れてお土産のリモンチェッロを買ってきてくれました。

 何よりもロードバイクに乗って遊ぶという人生の楽しみ方を教えてくれました。まだまだ沢山あるけど、いつも見守っていてくれて本当に有難う。

 そして、連載中や屋久島の会場であたたかい声をかけて下さった皆さんに、沢山の勇気をもらいました。「私も落車を経験したけど大丈夫だよ!」と話してくれた方もいて、とても心強かったです。自転車が仲間の輪を広げてくれた気がします。

ゴール後、仲間に祝福され笑顔を見せる Photo: Yosuke SUGA

 経験は人生における最大の財産だと思っています。落車という経験は私自身を強く成長させた出来事でした。落車後、傷を早く綺麗に治すために自分の身体をもって正しい湿潤療法の知識を身につけました。おかげでこの2年間、目の前で怪我をした人に的確な処置ができた場面が何度もありました。自分で苦しんだ分だけ、同じ状況の人に少しでも寄り添うことが出来る。

 怪我の回復は時間がかかります。身体も気持ちも傷つきます。だけど、それを乗り越えた先にはもっと強い自分、楽しい世界が待っている。

 この経験と繋がりをくれた自転車、それをサポートしてくれた皆さん、本当に有難うございました!

福田萌子
福田萌子(ふくだ・もえこ)

沖縄県出身のモデル。身長176cmの日本人離れしたスタイルで、2010年ミス・ユニバース・ジャパンでは3位入賞。スポーツ用品ブランドのアンバサダーなどを務める。自転車をはじめマラソンやトライアスロン、ヨガ、セパタクローなど幅広いスポーツをアクティブにこなしてきたが、2015年ホノルルセンチュリーライドで落車し、その恐怖から自転車に乗れずにいた。

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