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サイクリスト

自転車のプロが実演【動画】手軽に走りを快適にする「チェーン清掃・注油」の小技 初心者向けから上級者の本格メンテ術まで

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 「いつかやろう」と思いつつ、後回しにしがちなのがチェーンなどの清掃・注油。道具の準備や面倒な作業をイメージする人が少なくなさそうだが、実はほんの一瞬で驚くほど走りが快適になる“技”があることをご存じだろうか。さらに、より本格的に手入れしたい人向けのコツもプロが動画で実演する。この機会に、駆動系メンテの“達人”になってみては?

清掃とオイルの注油を定期的に行い、快適なサイクルライフを Photo: Shusaku MATSUO

チェーンは日々汚れ、磨耗する

メンテナンスを行ったSAKURAMENTの鈴木久仁寛さん Photo: Shusaku MATSUO

 ロードバイクからいわゆる“ママチャリ”まで、自転車に欠かせない構成パーツがチェーンだ。コマとコマをピンで繋ぎ合わせたもので、ギアの歯と摩擦を繰り返しながらパワーを伝達していく。外を走るとホコリや砂がコマとの間に入り込み、汚れてしまうほか、オイルが乾き、摩擦量が増加。適正な状態でないとチェーンが磨耗するだけでなく、ギアの歯も削れてしまう。チェーンが伸びたり、激しく消耗したら交換する必要があるが、日々のメンテナンスでライドに適した状態をなるべく保つことも可能だ。

 今回、メンテナンスを教えてくれたのは埼玉県鶴ヶ島市にあるプロショップ「SAKURAMENT」(サクラメント)の鈴木久仁寛(くにひろ)さん。元Jプロツアーの選手で、過去にはプロチームのメカニックを経験。店を経営する傍ら、東京サイクルデザイン専門学校で講師を務めている。

オイルだけで清掃と注油も可能

 「最初に紹介するのはビギナーでも簡単に行うことができるメンテナンス方法です。特にクロスバイクやシティサイクルを楽しむ方はぜひ実践してみてください」と取り出したのはフィニッシュラインのケミカル「1ステップクリーナー&ルーブ」。クリーニングとオイルの両方の機能があるケミカルだ。

フィニッシュラインの「1ステップクリーナー&ルーブ」は清掃と注油が1本で行える優れもの Photo: Shusaku MATSUO

 クリーナーが飛び散らないようにウエス(布切れ)でチェーンを覆うようにして吹きつける。しばらくおいて汚れを浮かし、ウエスでふき取って、さらにもう一度塗布する。ほんの数分の作業だが、チェーンを良好な状態に保つことができるという。

ディグリーザーがない場合はオイルを塗布した後に汚れをふき取り、再び塗布することで代用することも可能 Photo: Shusaku MATSUO

 1ステップクリーナー&ルーブなどを持っていない人には、もっとお手軽な方法がある。鈴木さんは「他の自転車用のオイルや、一般的な機械用のオイルを塗るだけでも大丈夫でしょう。一度塗布するとチェーン表面のオイルを落としやすく、また、その後に再び塗布することでも対応できます」と話す。準備が整っていないから放っておくのではなく、「持っているもので小まめにメンテナンスを行うことも重要です」。

コマの間の汚れも除去し、より綺麗に

(左から)チェーン清掃ツール「サイクロン」とクリーナー「バイオドライブトレインクリーナー」、オイルの「C3ドライ・セラミック・ルブ」。これにウエスが加わる Photo: Shusaku MATSUO

 こうした”最小限の”メンテナンスでも、何もしないのと比べると格段に走りはよくなり、パーツへの負荷も減る。しかし、あくまで他に十分な対応ができない場合の措置ととらえた方がいい。

 「次に紹介するこのメンテナンスは上級者向けです。よりチェーンを綺麗に掃除し、本来の性能を保つためにはこちらがおすすめです」という本格的な方法は、パークツールのチェーン清掃ツール「サイクロン」とマックオフの「バイオドライブトレインクリーナー」、オイルの「C3ドライ・セラミック・ルブ」、また、ウエスやギアフロスを使用する。≪作業工程の動画は文末参照≫

汚れた状態のチェーンとスプロケット。古いオイルで黒ずんでいる Photo: Shusaku MATSUO

 まずは指定のラインまでバイオドライブトレインクリーナーをサイクロンに注入。その状態でチェーンにサイクロンを挟み込み、蓋をした。ギアをアウター×トップの状態にした鈴木さんは「クランクを逆回転させ、サイクロン内部にあるブラシでチェーンを清掃していきます」と説明。30回転ほどがちょうどいいという。

サイクロンの指定ラインまでディグリーザーを注ぐ Photo: Shusaku MATSUO
クランクを逆回転させチェーンをサイクロン内部のブラシで清掃していく Photo: Shusaku MATSUO

注油は一コマずつ行うことが重要

清掃後のサイクロン内部には黒ずんだディグリーザーが溜まっていた Photo: Shusaku MATSUO

 その後、リアスプロケットの位置を一段軽くして回転。同じ動作をギア全てのパターンで行い、チェーンを清掃すると同時に、全ての歯先にディグリーザーを塗布した。清掃作業中、チェーンを見てみるとバイオドライブトレインクリーナーが汚れを分解し、浮き出ているのがよくわかった。

 また、ギアフロスを用意した鈴木さんは「ウエスが入りづらい狭い箇所はギアフロスを使って綺麗にしていきます」とスプロケットの間を清掃。フロントディレーラー内部や、チェーンリングの隙間などにくまなくフロスを入れていく。リアディレーラーに装着されるプーリーにも汚れが塊でつきやすいため、ウエスでふき取っていた。

ディグリーザーが馴染んだスプロケットの間をフロスで清掃していく Photo: Shusaku MATSUO
浮かせた汚れはドライタイプのディグリーザーでしっかりと落とし脱脂していく Photo: Shusaku MATSUO

 一通りバイオドライブトレインクリーナーで汚れを浮かして落とすと、鈴木さんはある程度速乾性のあるパーツクリーナー(ディグリーザー)をチェーンに噴射。ウエスを裏にあて、丁寧に汚れとオイルを落としていった。すると、汚れたオイルの陰に隠れていたチェーンの輝きが顔を出す。チェーンだけでなく、チェーンリングにもディグリーザーを噴射し、駆動系全体を脱脂。ピカピカの状態となった。

脱脂が完了し、ぴかぴかの表面が表れたチェーンとスプロケット Photo: Shusaku MATSUO
完全に乾いた状態でオイルを一コマずつ塗布していく Photo: Shusaku MATSUO

 オイルを落とし、チェーンが完全に乾いたのを確認したら、今度は注油だ。チェーンにオイルを注す前に鈴木さんは「必ず一コマ、一コマ丁寧に注すようにしてください」と強調。チェーン内部のコマとピンにそれぞれオイルを染み込ませることが大事だという。全てのコマに注油が終わると10分間放置し、全てのギアの変速を行って、歯にオイルを馴染ませれば完成だ。

 鈴木さんは「チェーンの清掃とオイルを注すことで、汚れたオイルに比べて走りも軽くなります。砂や砂鉄がチェーンや歯を磨耗することも少なくなるので、長くチェーン本来の機能を発揮することができます」と、日々のメンテナンスの重要性を訴えた。

 また「ライダーのレベルや車種に関わらず、チェーンのメンテナンスは走りの軽さにも直結します。オイル切れでギシギシと音がなった状態で走っては走りが重いほか、トラブルにも繋がります。なるべく日ごろから注油は行うようにしてください」と強調した。

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