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一から始めるパワートレーニング<2>20分間の最大出力テストにチャレンジ 白戸太朗さんがFTPを計測

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 パワーメーター「SRM」をバイクに取り付けた、パワートレーニング“初心者”の白戸太朗さん。コーチの宮澤崇史さんからパワートレーニングを教えてもらうべく、まずはメニュー作りの指標となるFTP計測にチャレンジした。白戸さんは20分間全力で漕ぎ続け、FTP「249w」を計測。有効なデータを取ることに成功し、今後のトレーニングメニュー作りが始まった。

FTPテストに臨んだ白戸太朗さん(左)と、指示を出す宮澤崇史さん Photo: Shusaku MATSUO

←<1>“ビギナー”白戸太朗さんが初めて使うパワーメーター FTPって何のこと?

テスト前にはウォームアップを

徐々に上げるウォーミングアップを行う白戸さん。タイムトライアル向けの方法が有効だという Photo: Shusaku MATSUO

宮澤さん:計測にはいくつか方法がありますが、最も一般的な『20分間の最大平均ワット数から5%差し引いた数値』を測りましょう。

 理想は「FTP=1時間の最大平均出力」なので、1時間ペダルを漕ぐにほかなりません。しかし、1時間全力を振り絞るのは容易ではありません。体調によっても1時間続けることは容易ではないため、20分間の方法でより多くデータをためて行った方が有効な数値が計測可能なので、こちらを試してもらいたいです。

 FTP計測前はコンディションを整えて、そのときの全力で臨むことが必要です。タイムトライアル(TT)前のウォーミングアップ方法を適用するとよいでしょう。

TT前のウォーミングアップ方法

体重の2倍のワット数からスタート

1分ごとに10~15Wずつ増やし、FTPの110%まで上げる

1分レスト

(30秒の全力スプリント→30秒レスト)×3セット

ゆっくり5分流す

 これがヨーロッパでプロ選手をしていた頃に皆行っていたウォーミングアップ方法です。TTもそうですが、最初からアゲアゲで始めてしまうと後半に踏めなくなってしまいます。「後半に向けて上げていく」が世界的なトレンドにもなっていますね。

白戸さん:計測中のケイデンスはどのくらいで回せばいいのですか?

宮澤さん:自身が回しやすいケイデンスでOKです。後に組むトレーニングメニューでもそうですが、コーチの評価方法でケイデンスの指示は変わってきます。『トルク×ケイデンス=出力(W)』なので、たとえ同じ300wの出力でも、ケイデンスが低い300wもあれば高い300wもあります。

 パワー解析ソフトで見ることができ、仕事量として表されるトレーニングストレススコア(TSS)やパフォーマンスマネジメントチャート(PMC)は、ケイデンスを評価していません。このあたりの指示は担当コーチによって異なるでしょう。テストは息が上がって踏めなくならないように走るのが大事です。今回は白戸さんが気持ちよく回せるケイデンスで行ってください。

「力量を計る意味でもFTPは重要」

 いよいよFTPのテストを始める白戸さん。側には宮澤さんが立ち、「スタート!」の号令で20分間のテストが始まった。軽快にペダルを回し始めた白戸さんだったが、5分ほど経つと額には汗がにじみ出てきた。「これは結構辛いぞ…」と独り言も発せられる。

額に汗を浮かべ、集中して挑む白戸さん Photo: Shusaku MATSUO

 「今何分くらい?」と問いかける白戸さんに宮澤さんは「もう少しで折り返しの10分」と答えた時、白戸さんの顔は苦痛にゆがんでいた。17分を過ぎると完全に下を向き、最後の追い込みをかける。ようやく終わりが見え「3、2、1、ストップ」と宮澤さんがSRMの「パワーコントロール8」のタイムストップボタンを押し、テストが終了した。

「まだ半分かぁ」と落胆する白戸さん Photo: Shusaku MATSUO
ペダリング中の出力は「300w」前後を推移していた Photo: Shusaku MATSUO

宮澤さん:20分の平均出力は262wだったので、5%差し引くと249wですね。これが白戸さんのFTPになります。大体270wくらいかなぁと予想していたので、まずまずの結果といえますね。

クールダウン中「開始5分から既に辛かった。ペース配分が難しいし大事だね」と話す白戸さん Photo: Shusaku MATSUO

白戸さん:20分間って長いですね。決意が必要です(笑)。アドバイスどおり「上げないように」と心がけていても結果的に上げてしまい、5分からが辛くなってきました。自分のパワーをリアルタイムで見たことがなかったのですが、少し踏んだつもりでも300w超えてしまうし、力を抜くとすぐに200w付近まで下がりバラつきが出てしまう。一定で踏むのって難しいことがわかりました。また、側に誰か立って鼓舞してくれると頑張れると思います。

 パワーメーターを使ったFTP計測はトライアスリートにとって非常に有効だと思う。事前に自らのFTPが分かっていれば、力を保つ練習になります。本番だからといってFTP以上の力が出ることもないでしょう。若い選手や経験のない選手ほど自らのペースが分からない選手も多いと思うので、試合で失敗しないためにもパワーメーターとパワートレーニングは必要だと感じました。

「20分で262wの平均出力だから、FTPは249wだね」と算出した宮澤さん Photo: Shusaku MATSUO

宮澤さん:FTPはどんどん変化していきます。上昇すればもちろん良いですが、体重が軽くなり、FTPの値が減っても体重1kgあたりのパワーが落ちていなければ、パフォーマンスは上がっているということになりますからね。なので、1回計測すれば終わりということではなく、シーズン中に少なくとも3、4回は行う必要があります。いま行っているトレーニングの方向性を細かく見極めるためにも、2カ月に1回ほどは行いましょう。

◇         ◇

 FTPを計測した白戸さんは後にパワーデータをダウンロードし、宮澤さんへオンラインで送った。次回は白戸さんのデータを元に宮澤さんがトレーニングメニューを構築。5月14日に開催される「ホノルルトライアスロン」へ向けて、白戸さんのパフォーマンスが上がる最適で効率の良いプランを練るという。その方法やエッセンスを紹介する。

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