スマートフォン版はこちら

サイクリスト

県をあげて研修会を開催インフラ整備の次は「おもてなしの心」 愛媛が模索するサイクリストの観光ニーズ

  • 一覧

 サイクリストの観光誘致を目的とした「サイクリスト観光サービス向上事業研修会」が2月19日に愛媛県松山市内で開催されました。会には地元の宿泊事業者や飲食店関係者、運輸事業者、行政関係者など総勢85人が参加し、サイクリスト側が語るニーズについて熱心に耳を傾けました。当日、ゲストとして基調講演を行った日本自転車普及協会事業評価委員の瀬戸圭祐さんによるレポートをお届けします。

来島海峡大橋を望むしまなみサイクリング Photo: Keisuke SETO

◇         ◇

自転車に「本気」の愛媛県

瀬戸内海に浮かぶ島々。多くのサイクリストを魅了するしまなみなみの風景 Photo: Keisuke SETO

 愛媛県が元気だ! 県内全域をサイクリングパラダイスにすべく「愛媛マルゴト自転車道」プロジェクトを推進し、3月をめどに「サイクリングアイランド四国」構想を具体化する。今年11月には国内最大にして唯一の全国自転車会議「自転車利用環境向上会議in松山」を開催する。さらに、全世界から何千人もの参加者が集まる世界最大の自転車国際会議「Velo City」を誘致しようと積極的に動いている。

インドネシアから来たサイクリスト。装備も本格的でやる気満々! 提供: AP Star Consulting

 米国大手メディアにも世界の「7大サイクリングコース」の1つとして選ばれた「しまなみ海道」を核に、自転車で未来を開こうとしている。そのためにハード面のインフラ整備だけでなく、ソフト面の充実にも意欲的に動いており、全国からサイクリストに来てもらうため、そして激増しているインバウンド(訪日外国人旅行者)に自転車ツアーを楽しんでもらうため、何をすれば良いのかをエリア全体で模索している。

相手の特性を知ることから始まる

基調講演を行う筆者 Photo: Kazunari UTSUNOMIYA

 そんな地元の「もてなし力」をさらに底上げすべく開催された研修会で、筆者は「自転車は救世主!サイクリストを呼び込もう!」と題して講演を実施。「サイクリストを理解する」「サイクリストが宿に求めるもの」「サイクリストと食事」という観点からプレゼンを行った。その内容を一部以下に紹介すると──

サイクリストの行動特性

・盗難防止等のため、サイクリストは自転車を室内で保管する
・美味しいものが走る目的になる
・うんちく好きが多く、食べ物には味はもちろん栄養素などにこだわる人が多い
・基本的に軽装を好むので、おみやげは‟荷物”とみなされがち

会場はほぼ満席で、積極的な意見交換がなされた Photo: 愛媛県

 参加者の中には自転車やサイクリストの行動特性をよく知らない方々が多く、こうした話にも「目からウロコ」な内容が多々あったようだ。参加者からは「今まで知らなかった話で興味深かった」「サイクリスト受け入れの今後の展開を考えるうえで参考になった」など新鮮な感想がたくさん寄せられた。

 後半は、インバウンドをターゲットとしたテーマで、実際にインバウンド向け観光業のコンサルトをしている方のアドバイスをもとに、インバウンドの受入れや呼び込みのアイデアについて見解を述べた。

インバウンドを取り込むには?

・言葉(英語)を理解しようとすること
・カタコトでも単語の羅列でも、ボディランゲージや表情でのコミュニケーションが大切
・インターネットやSNSを情報源としている人が多いので、魅力的な写真をたくさんアップすると効果的
・説明書きは英単語を並べれば大丈夫。地名だけでもOK
・関西空港からしまなみ海道までの自転車の輸送が課題

 サイクリストのみに限定した話ではなく、海外旅行者全般に対して求められる接客サービスだが、参加者からは「インバウンドの受け入れには消極的だったが、今後は積極的に行っていきたい」といった声や「新たな視点で取り組むためのヒントとなった」という前向きな声が聞かれた。

もてなす側がサイクリストに!

自転車は室内保管が望ましい。客室でなくても良いが、安全がしっかり確保されていることが重要 Photo: Keisuke SETO

 その他、各宿泊施設が取り組んでいる事例なども紹介された。今治駅前にある「ゲストハウスシクロの家」では、チェックインに15分~20分の時間をかけ、サイクリストのニーズなどを聞き、コースやグルメなどの情報を細かく提供しているという。

 最後に「一番の願いは、皆さんがサイクリストになっていただき、自転車の楽しみにハマッていただくこと。サイクリストの視点で何をしてもらいたいのかを身をもって体験すれば、こころに響くおもてなしができるようになる」とメッセージを送り、研修会は締めくくられた。

 愛媛県では、今後もこのような研修会を継続して行っていくという。本気で「サイクリングパラダイス愛媛」の実現に邁進する一方で、愛媛にとどまらず日本全体にサイクリングパラダイスを広げるパイオニアになっていただきたい。その実現に向け、皆で愛媛を応援して行こう!

瀬戸 圭祐瀬戸圭祐(せと・けいすけ)

中学高校時代にランドナーで日本全国を走り、その後北米大陸ロッキー山脈、北極圏スカンジナビア山脈、欧州アルプス山脈、西ヒマラヤ/カラコルム山脈、ヒンズークシュ山脈などを単独縦断走破。著書は「ジテツウ完全マニュアル」「爽快!自転車バイブル」「自転車ツーリング ビギナーズ」「自転車生活スタートガイド」など多数。現在は自動車会社に勤務しつつ、NPO自転車活用推進研究会理事や(財)日本自転車普及協会の事業評価委員、(社)グッド・チャリズム宣言プロジェクト理事などを務め、より良い自転車社会に向けた活動をライフワークとしている。

現在募集中のイベント情報

関連記事

この記事のタグ

しまなみ海道

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

イベント情報:御神火ライド

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載