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中島康晴ら序盤からの逃げに合流ルバが逃げ集団に入り6位、総合もアップ ツール・ド・フィリピン第3ステージ

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 キナンサイクリングチームが出場中のツール・ド・フィリピン(Le Tour de Filipinas、UCIアジアツアー2.2)は2月20日、第3ステージが行われ、キナンはトマ・ルバ(フランス)がステージ6位に入り、個人総合でも6位に順位を上げた。中島康晴が序盤の逃げに乗りレースを先行し、終盤にルバが合流して逃げ切りに成功した。チームからのレポートでレースを振り返る。

終盤の丘越えでアタックしチャンスを作ったトマ・ルバ。ステージ6位で総合順位も6位にアップ Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 暑さと雨に見舞われているフィリピンでの戦いは、いよいよ後半戦に突入した。第2ステージまでを終えて、ジャイ・クロフォード(オーストラリア)が総合5位、ルバが9位につける。また、第2ステージでは人数が絞られた先頭集団に中島が加わったほか、山本元喜と椿大志も序盤の逃げやアシストの動きを通じて調子を上げてきている。

ホテルで出発準備を進める中島康晴(左)と山本元喜 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
スタート直前に石田哲也監督(右)と最終確認をする椿大志 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 第3ステージは、ナガからダエトまでの177.35km。カテゴリー山岳が設けられておらず、スピードに富んだレース展開が予想された。一方で、大小あらゆるアップダウンを利用しての攻撃も考えられ、どのチームにとっても気の抜けない戦いが待ち受けた。

 午前8時のパレードスタート、その後のアクチュアル(正式)スタートで出発したプロトン。キナン勢は中島や山本、椿が逃げを狙って動いた。そして0km地点を過ぎて20分ほど経ったころ、中島を含む複数人の逃げが決まり、その後数人が合流して11人のエスケープグループになった。

逃げ集団に中島康晴が入った Photo: Syunsuke FUKUMITSU
一団となって進むプロトン Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 逃げにはキナンからは中島1人だが、複数の選手を乗せたチームもあり、それぞれの思惑が働く。それでも、キナンとしては前方にメンバーを送り出したことにより、総合上位につけるクロフォードとルバを温存させることができる。同時に、個人総合首位のダニエル・ホワイトハウス(イギリス)擁するトレンガヌサイクリングチームに、レースのコントロール役を任せられる形を作った。

 快調にリードを広げる逃げグループ。中島は、54.50km地点に設けられた1回目のスプリントポイントこそ上位を他選手に譲ったが、102.00km地点に設定された2回目のスプリントポイントでは3位通過。フィニッシュまで50kmを残した時点で6分のリードとなり、メイン集団もトレンガヌの牽引が長く、他チームが同調しないことから、逃げ切りも考えられるレース展開となった。

2回目のスプリントポイントを中島康晴(左)が3位通過 Photo: Syunsuke FUKUMITSU
メイン集団はトレンガヌサイクリングチームがコントロールするが、協力が得られず苦しい展開に Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 このステージの山場は、残り60kmを切ったところから始まる丘越え。山岳カテゴリーこそ設けられていないが、ルートマップには記されない小さなアップダウンが繰り返し訪れる。この中ほどでアタックしたのはルバ。これをきっかけに1人、また1人と合流して、追走グループは11人になった。中島らの先頭集団でもステージ優勝を意識したアタックが起きてはいたものの、決定打は生まれず。残り15kmを切ろうかというタイミングで、ルバらが先頭集団に追いついた。

 メイン集団では、リーダージャージの防衛をかけてホワイトハウスが自ら牽引する。利害が一致する他チームも加わる場面もあったが、前方に迫るまでには至らない。

小集団スプリントを制したフェルナンド・グリハルバ(右から2人目)がステージ優勝 Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 ステージ争いは、トップに生き残った12人のスプリント勝負となり、フェルナンド・グリハルバ(スペイン、クウェート・カルトゥーチョ.es)が優勝。集団の位置取りを整えて最終局面に臨んだルバが6位、序盤から逃げ続けた中島が12位に入った。チーム内総合最上位のクロフォードは1分27秒差でフィニッシュした。

 この結果、ホワイトハウスがリーダージャージこそ守ったものの、遅れてフィニッシュしたため総合2位に浮上したグリハルバが23秒差に迫っている。キナン勢は、ルバが37秒差の総合6位、クロフォードが2分0秒差の同9位につけている。

フィニッシュ後、レース内容の確認をする選手たち Photo: Syunsuke FUKUMITSU

 開催地各地の歓迎ムードに染まる大会も、21日が最終日。ダエトからルセナまでの207.35kmは、今大会の最長ステージ。中盤に2カ所のスプリントポイントがあり、170kmを過ぎたところで2級山岳がそびえる難コース。フィニッシュ直前にも上りがあり、最後は下り基調でのフィニッシュ。総合争いに大きな動きが起こることも考えられ、どのチームもしっかりとした戦術を立てて臨むことだろう。クロフォードとルバが個人総合でUCIポイント圏内に位置するキナンサイクリングチームにとっても、充実するシーズン初戦を良い形で終わらせたいところだ。

監督・選手コメント

石田哲也監督 「予定していた通りのレース展開に持ち込むことができ、チーム力を実感できるレースだった。中島が逃げメンバーの中で最も総合成績が上位であるというシチュエーションが生まれたことによって、展開によってはさらに上を狙えた形になったし、結果的にトマが後方から合流して勝負ができたの積極的なレースができた証拠。総合首位のホワイトハウス選手に迫ることができたのはよかった。一方で、総合上位に位置する多くの選手がトマの動きに対応したあたりは、われわれが良いレースができた中でわずかながら厳しかった側面でもある。もっと良いリザルトにつながっていても不思議ではなかった。連携面では、自分の仕事を理解している選手たちばかりなので不安はない。明日はステージ優勝ももちろんだが、個人総合優勝も視野に入っているので、最後までトライしていくことになる」

ジャイ・クロフォード 「今日は中島さんに素晴らしい形でチャンスが巡ってきた。ステージ優勝やポディウム登壇が実現するようなレースの流れだった。逃げグループがそのままフィニッシュへ行くと思っていたのだけれど、終盤のいくつかのアタックによって、中島さんのチャンスは潰えた。中島さんを追ったメンバーはとても強力だったんだ。注目すべきは、総合上位の数人がホワイトハウス選手にタイムで迫ったことだ。これによって、明日はかなりハードなステージになるだろうし、ホワイトハウス選手はじめトレンガヌサイクリングチームが疲れているはずだ。アップダウンも多いし、われわれに幸運がもたらされることを祈りたい。明日は、数人がアタックして再びそれを追う展開になるだろうけれど、全力を尽くすだけだ。トップから遅れてフィニッシュしたことは、個人的には問題ではない。タクティクスがモノをいうレースであり、山岳も厳しい。何より、コンディションが良いので、チームの好リザルトのために走ることを大切にしたい。トマや中島さんにもチャンスはまだまだ残されているし、みんなでよい結果を得られたらと思う」

山本元喜 「自分も含めて序盤のアタックに参加していた中で、中島さんが逃げに入ってくれたことは良かった。アタック合戦に参加すると、どうしても後半が苦しくなる。これはいつものことではあるが、それ以外にも現時点はコンディションを上げている段階でもあるので、絶好のトレーニングにもなっている」

椿大志 「ステージ優勝を狙っていこうという気持ちでスタートし、アタック合戦にも参加したが、リーダーチームのトレンガヌサイクリングチームが強くて逃げるまでには至らなかった。そうした流れの中で、中島さんが逃げてくれたのでチームとして良い形になった。中島さんたちの逃げに合流しようという動きが近くで起こっていて、それに乗っていれば一緒にレースを先行できたと思うと、躊躇してしまったことが悔しい。ただ、脚の調子が良くなってきている点は収穫だ」

トマ・ルバ 「中島さんが逃げに入ったことはチャンスだった。終盤のアタックにジャイか自分かのどちらがいくかというところで、僕のアタックが決まったのだけれど、総合上位の選手たちも次々と加わる形になった。明日もチャレンジを続けて、さらに良い結果を目指していきたい。今日はフラットステージだと聞いていたのに、難しいアップダウンが続いたね。驚きだけれど、こうした出来事にも対応しかなければならないね。明日は200kmを超えるステージで、厳しい山岳もある。もうひと踏ん張りして結果を求めようと思う」

中島康晴 「逃げ集団ではできる限り協調を保ちながら進もうと心がけていたが、力の差がはっきりと出ていた。主要チームがすべて逃げに入っていて、いずれも総合で遅れていた選手たち。もう少しきれいにローテーションができれば、もう少しタイム差を広げられたと思うけれど、これもレースなので仕方がない」

■ツール・ド・フィリピン第3ステージ(177.35km)結果
1 フェルナンド・グリハルバ(スペイン、クウェート・カルトゥーチョ.es) 4時間34分3秒
2 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト) +0秒
3 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
4 パク・サンホン(韓国、LXサイクリングチーム)
5 ペ・ドンヒョン(韓国、LXサイクリングチーム)
6 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
12 中島康晴(キナンサイクリングチーム)
27 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +1分27秒
49 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +1分34秒
50 椿大志(キナンサイクリングチーム) +1分34秒

■個人総合時間賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)12時間30分54秒
2 フェルナンド・グリハルバ(スペイン、クウェート・カルトゥーチョ.es) +23秒
3 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト) +24秒
4 鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +27秒
5 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、チームUKYO) +37秒
6 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) +37秒
9 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) +2分0秒
13 中島康晴(キナンサイクリングチーム) +7分57秒
41 椿大志(キナンサイクリングチーム) +34分9秒
43 山本元喜(キナンサイクリングチーム) +36分58秒

■ヤングライダー賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム)12時間30分54秒

■チーム総合時間賞
1 チームUKYO 37時間35分6秒
2 キナンサイクリングチーム +7分15秒

■ポイント賞
1 フェルナンド・グリハルバ(スペイン、クウェート・カルトゥーチョ.es) 15pts
8 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム) 6pts
13 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 2pts
15 中島康晴(キナンサイクリングチーム) 1pt

■山岳賞
1 ダニエル・ホワイトハウス(イギリス、トレンガヌサイクリングチーム) 15pts
3 ジャイ・クロフォード(オーストラリア、キナンサイクリングチーム)12pts
8 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム) 3pts

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