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福田萌子の「もう一度、南の島を走りたい」<4>福田萌子さん、夢を叶える涙の完走 「もう一度自転車を楽しめる場所に帰ってきた」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 「このままもっと走り続けたい」―。1年半前の落車のトラウマを断ち切るため、コツコツと練習を重ねてきたモデルの福田萌子さんが、ついに感動の復活を遂げた。2月19日、目標として掲げてきた「サイクリング屋久島」100kmを見事に完走。ヒヤリとするシーンもあったが、最後は仲間の祝福を受けて涙のゴールを果たし、「自転車で走る楽しさを再び感じられました」と感謝を込めた。南の島での復活劇を密着レポートする。

←<1>「落車し乗れなくなった」…対談し再挑戦へ

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←<3>「乗れるかな…」ロードバイク再デビューへ

ゴールで待っていた仲間から祝福を受ける萌子さん Photo: Yosuke SUGA

KTCツールで萌子号をセットアップ

 萌子さんは2015年9月、「ホノルルセンチュリーライド」に出場中、濡れたグレーチングの上で落車し、顔を縫う大怪我を負った。モデルにとって心身ともに大きなダメージで、以来自転車に跨ることすらできなくなった。しかし、「このまま諦めたくない」と一念発起。昨年はスタート地点まで行きながら出走を断念したサイクリング屋久島完走を目標に据え、一から自転車と向き合って練習を積んできた。

KTCの「ボールポイントL形ヘキサゴンレンチ」でハンドルの角度を調整 Photo: Yosuke SUGA

 そして、意を決して上陸した屋久島。大会前日、ホテルで輪行袋からキャノンデールの“萌子号”を取り出し、セッティングする表情は明るい。前月完成したばかりの愛車に「何度見てもかっこいい! 屋久島は自然が大好きで何度も訪れていますが、このバイクで走れるのが楽しみでしょうがないです」と、無邪気に笑う。

 バイクの組み立てに使った工具はKTCのボールポイントL形ヘキサゴンレンチ(4mm)。手になじむ長さと硬度が魅力のツールセットで、シートポストの高さやハンドルの角度調整を行う。事故防止へ、細心の注意で組み立てていく。「ステムボルトを絞める順番は対角線上ですよね。シートポストはトルクをかけすぎないように注意しないと…」と確認しながら、慎重にセットアップ。「これでカンペキ! あしたはコース後半に走る西部林道の上りが楽しみです」と話し、心が弾んでいる様子だった。

整備に使用した工具はKTC「マルチツール 8システム」や「ボールポイントL形ヘキサゴンレンチ」 Photo: Yosuke SUGA
輪行後のバイク組み立ても率先して行う萌子さん Photo: Yosuke SUGA

トラウマの段差を乗り越えスタートラインへ

 大会当日の朝、屋久島上空は晴れやかな青空が広がった。しかし、支度を終えた萌子さんの表情は、昨夜とうってかわって固い。「本当に走りきれるかな、途中で転んだらどうしよう。精一杯頑張りますが…」と、笑顔がぎこちない。会場に到着し、スタート時刻が迫る。「練習はしてきましたが、緊張します。とても楽しみだけど、とても不安」と、本音を漏らした。

キャノンデールのカスタムラボでオーダーした“萌子号” Photo: Yosuke SUGA
ゼッケンはナンバーはフルネーム Photo: Yosuke SUGA

 ふと、萌子さんが受付会場入口の高さ5cm程の段差を指さした。「昨年はこれが越えられなかった。せっかく屋久島まで来たのに、怖くてスタートラインにすらたどり着けなくて、涙が出そうでした」。

 降りてバイクを持てば簡単に越えられる段差だが、1年前は恐怖心が勝り、ここでギブアップしてしまった。「でも、今年は大丈夫なはずです。ロードバイクの練習も繰り返ししたし、『落車』の直後にはなかった自信があります」と自分に言い聞かせるように語る。バイクを押し、緊張の面持ちでスタートラインについた。

萌子さんは楽しみと不安が交差し、スタート前に緊張の表情を見せる Photo: Yosuke SUGA
サイクリング屋久島100kmがスタート Photo: Yosuke SUGA

 スタート1分前のコールがかかり、静かに深呼吸をする萌子さん。しっかりと前を向き、ペダルに足をかけた。号砲とともに、最前列から勢いよくスタート。ついに、目標としていた100kmライドが始まった。

 ところが、スタート直後の急な坂道で、いきなりハプニングが待っていた。隣を走っていた参加者が失速して倒れ、萌子さんと接触。巻きぞいで落車してしまった。一瞬のできごとで周囲の空気が凍ったが、萌子さんはあっけらかんとして「もう一度スタートからやり直しましょう!」と自ら“仕切り直し”を申し出た。後で聞けば、「スタート直後の激坂を登りきれるか挑戦したかったので、落車よりも途中で止まってしまったことの方がショックだった」のだとか。再度スタートに戻り、笑顔でペダルを漕ぎ出した。

先頭でスタートを切った萌子さん Photo: Yosuke SUGA

 メインの通りに出て、まだ表情が固いものの力強くペダリングした。「私、ちゃんと走れてる! 本当に感動。カズさん、私大丈夫かな?」と、サポートライダーを務めるキャノンデール・ジャパンの山本和弘さん(カズさん)に確認する。山本さんは「先日、一緒にロードバイクで練習した時とは大違い。とてもスムーズだよ」と驚いた様子。起伏が多く、平地がほとんどどないコースを順調に進む。

第一エイドステーションを笑顔で出発 Photo: Yosuke SUGA
萌子さんは朝日を浴びながら走る Photo: Yosuke SUGA
「ケイデンス高めでもがきました!」と上り頂上で小休止 Photo: Yosuke SUGA
上り坂ではペースアップして先頭をひく Photo: Yosuke SUGA
南の島の鮮やかな海をバックに進む Photo: Yosuke SUGA

楽しみと期待の世界遺産「西部林道」へ

 早朝にもかかわらず、沿道では数多くの住民が声援を送る。萌子さんは「こんなに応援してくれる人が多かったんだ。まだ怖くて片手を離して手を振れないのが悔しい」といい、大きな声で「ありがとう!頑張ります」と応えていた。また、後ろから追い抜く参加者たちからも「萌子さんファイト」「完走目指しましょう!」と声がかかる。そんな応援に背中を押されてか、表情にも笑顔が戻っていった。

エイドステーションは全てストップし、地元の名産を補給。「いただきます!」 Photo: Yosuke SUGA

 途中のエイドステーションには片っ端から立ち寄った。「この草もちが美味しいんですよ! ついつい食べてしまいます」と地元の特産品に舌鼓。「お腹いっぱいで走れるか不安になってきました。でも、そろそろ西部林道だからエネルギーになります」と意気込んだ。

 コース前半の萌子さんを見た山本さんは、「危なげがないですね。驚きました。毎日続けた練習の成果が見て取れます」と安心した様子だ。鹿屋体育大学のサポートライダー、阿部将大選手も加わった一行は、シダ科の植物が生い茂る約20kmの西部林道へと入っていった。

照葉樹が生い茂る西部林道をペースよく進む Photo: Yosuke SUGA
「目線は先ですね」と確認しながら、西部林道を安定して下る Photo: Yosuke SUGA

 しばらく行くと、萌子さんが前を行く山本さんに「ちょっと待ってください、もう少しペース落として…置いていかないで!」と叫んだ。萌子さんのあまりにスムーズな走りっぷりに元プロ選手の山本さんが安心し、「このペースでも大丈夫だと思って」つい速度を上げてしまったのだ。
 
 とはいえ、練習中から「上りが楽しみ」と宣言していた萌子さんだけに、呼吸の乱れはない。軽快に走り続け、西部林道をハイペースで進む。「以前走った時はもっと辛かったのに、今日はまったく平気。下りは怖かったけれど、止まるほどではなかった」と、笑顔で振り返る。

世界遺産の西部林道にはシカやサルがいたるところで出没 Photo: Yosuke SUGA
切り立った岩肌もアトラクションのひとつ Photo: Yosuke SUGA

 結局、一度も足を地面に着けることなく、20人以上の参加者を追い抜いた。さらに、前を走る山本さんの「ケイデンス」の高さに感服した様子で、「私も合わせたほうがいいのかな。もっと上りを攻めたい」と、早くも次のテーマを見つけたようだ。山本さんは「体がブレないのはさすが。ヨガやランニング、スピニングバイクで普段から追い込んでいるだけありますね。しかも、ビンディングではなくスニーカーでですよ! まさにクライマーです」と驚嘆していた。

初めて足をついたのは長い下り道。ブレーキ疲れで握力が無くなり、しばしの休憩 Photo: Yosuke SUGA

 上りをクリアし、長い下りに入って初めてコース上で休憩。斜度が10%近いダウンヒルに、ブレーキし続ける腕が疲れてしまったためだ。「やっぱり下りは怖いので、ブレーキをかけっ放しにしてしまいます。握力が無くなってきて、止まれないかと思いました」としばし小休止した。

「完走したいけど、ゴールせずに走り続けたい」

 再び走り始めた萌子さんの目に飛び込んできたのは、ゴール地点の尾之間まで約20kmを指す標識。「もうちょっとで終わってしまう…このままもっと走り続けたい。完走したいけど、ゴールしたくない。もっとゆっくり堪能したい」と、名残惜しさを滲ませた。

「完走はしたいけど、まだ走り続けていたい」と複雑な心境を話す Photo: Yosuke SUGA

 緩い下りであればブレーキに指をかけることなく走れるまでにロードバイクに慣れた萌子さんは、言葉とは裏腹に平均速度を上げながら進む。前を行く山本さんが萌子さんを心配して振り返る回数も減った。

 ついに、ゴール地点に表れた萌子さんは、山本さんや阿部選手に祝福されながらフィニッシュラインを切った。友人たちが駆け寄って、拍手と笑顔で快挙をたたえる。「完走できました。もう泣きそう…」と言葉を詰まらせた萌子さんの目に、みるみる喜びの涙があふれた。

自ら歓声を上げながらゴール。嬉しさがこみ上げたフィニッシュとなった Photo: Yosuke SUGA
「完走できた・・・」と声を詰まらせて涙を流した Photo: Yosuke SUGA

 すぐに笑顔に戻った萌子さんは、「つい数カ月前はクロスバイクで道路の白線すら越えられなかったのに、ロードバイクで屋久島を一周することができました。自転車で走る楽しさも、再び感じることができました。みんなありがとう」と、喜びをかみ締めた。

 そして、「来年も必ずこのイベントを走って、もっと成長した姿をみんなに見てもらいたい。魅力的な屋久島がさらに好きになりました。このままもう1周したいくらい。明日も走ろうかしら」とおどけて見せた。落車のトラウマという険しい道のりをクリアした萌子さんにとって、屋久島の100kmは決して長くなかったようだ。

「自転車ライフを続けていきたい」

 ゴール直後の感想を尋ねると、「帰ってきました。もちろんスタート地点と言う意味もありますが、『みんなともう一度自転車を楽しめる場所に帰ってきた』という意味があります。今まで、友達から自転車イベントに誘われても一人だけ参加できずに寂しい思いをしました。でも、今回完走したことで、これからまたみんなと楽しみを共有できるようになったことが一番嬉しいです」と心情を明かした。

ついにロードバイクでサイクリング屋久島100kmを完走 Photo: Yosuke SUGA

 長かったチャレンジを通じて、萌子さんはロードバイクに夢中になった。「もっと厳しい上りにも挑戦したいし、かっこよく“下ハン”を持ってアタックしたい! こんなに楽しい自転車ライフをこれからもずっと続けていきます」と宣言。「もう一度、南の島を走りたい」という夢を叶えた萌子さんは、次なる目標に目を向けていた。

<5>「落車が私を成長させてくれた」萌子さんの屋久島レポート→

輪行袋にも忍ばせたい、KTCのヘキサゴンレンチセット

KTCのサイクルツールセット「CTX316」 Photo: Kenta SAWANO

 萌子号の組み立てに使用した工具はKTCの「サイクルツールセット」にも同梱されている「ボールポイントL形ヘキサゴンレンチ」のセット。手にしっかりと馴染み、トルクの管理がしやすい長さなので、落ち着いて作業する際には重宝する。ボールポイントなので、若干の角度が付いていてもボルトを回すことができる。サイクルツールセットには自転車の整備で最もよく使用する3、4、5、6、8mmのヘキサゴンレンチが付属している。

KTC「サイクルツールセット CTX316」
税抜価格:21,300円
ボールポイントL形ヘキサゴンレンチ:HLDA250-03, 04, 05, 06, 08
差替えドライバセット:DB4
コンビネーションレンチ:MS2-08, 09, 10
薄口コンビネーションレンチ:MS3-15T
ラジオペンチ:PSL‐150
ミニハンマ:TUD3S
タイヤレバーセット(2本組):CTR12

福田萌子
福田萌子(ふくだ・もえこ)

沖縄県出身のモデル。身長176cmの日本人離れしたスタイルで、2010年ミス・ユニバース・ジャパンでは3位入賞。スポーツ用品ブランドのアンバサダーなどを務める。自転車をはじめマラソンやトライアスロン、ヨガ、セパタクローなど幅広いスポーツをアクティブにこなしてきたが、2015年ホノルルセンチュリーライドで落車し、その恐怖から自転車に乗れずにいた。

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