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工具はともだち<110>「ラチェットレンチの最弱部はどこ?」~ 安全という視点で設計された工具③

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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 やりました! 前回ご紹介した「TOYOTA GAZOO Racing」が2017年FIA世界ラリー選手権、WRC(World Rally Championship)の第2戦であるスウェーデンで優勝しました! 復帰わずか2戦目で18年ぶりの勝利を手にしたトヨタ。その車の整備に使用されているのが、「ネプロス」をはじめとしたKTCの工具なのですから、応援している私たちにとっても喜びもひとしおです。

ラリースウェーデンを疾走するトヨタヤリス(日本名ヴィッツ)

 さて、今回の「工具はともだち」では「安全最優先の製品設計」というコンセプトに基づいて設計されている工具を引き続きご紹介したいと思います。今回ご紹介するアイテムはおなじみのラチェットレンチ(ラチェット)です。アーレンキーが主流の自転車では比較的登場回数は少ない工具かもしれませんが、一般的なメンテナンスの現場ではメジャーな工具の一つです。

メンテナンスの現場ではメジャーなラチェットレンチ ⒸKTC

 ご存知の方も多いと思いますが、ラチェットレンチはソケットと組み合わせて使い、ソケットを抜き差しすることなくボルト・ナットを回す事ができる便利な工具です。元々は早回しに重点が置かれていた事もあって、仮締めや緩める際に主に使用されていました。しかし、近年では標準的な締め付けトルクであれば本締めにも使用できるように改良されています。

 とは言え、金属製品もどこかで限界がきて壊れてしまいます。そこで大切なのが、「壊れ方」で、以前ご紹介したように、工具の設計をするにあたって最初に考えられる点でもあります。ではラチェットレンチの「壊れ方」とはどんなものでしょうか。

ラチェットの分解図 ©KTC

 ラチェットレンチが壊れる箇所は主に3つで、「ギア」「クロウ」そして「ドライブ角」です。その中で、設計面で最初に壊れるように考えられているのはどこだと思いますか。普通に考えると「ギア」や「クロウ」を思い浮かべると思いますが、ところが、意外にも最初に壊れるのは「ドライブ角」なんです。(但し、これはゆっくり力を加える事と「ギア」や「クロウ」に摩耗が無いという条件が付きます)。

 何故なら、「ギア」や「クロウ」が最初に壊れるとすると、元々「ギア」か「クロウ」のどちらかが強い事になります。「ギア」や「クロウ」は常に噛み合して使いますので、どちらかが強いと、もう一方の消耗が激しくなります。そして、「ギア」や「クロウ」のどちらかが最初に壊れるというのは、作業者にとって非常に危険なんです。

ラチェットレンチの断面 ⒸKTC

 作業途中に「ギア」や「クロウ」が壊れると、力を掛けている方向に手がもっていかれ、その勢いで周りに手をぶつけるなどの危険性が高くなります。一方、ドライブ角がねじ切れる場合、そう簡単に破断まではしませんので、壊れた勢いで手を持って行かれるような危険性はかなり少なくなります。

 ですから、理想としては、ドライブ角がねじ切れるという壊れ方が比較的「安全」という事になるのです。ただ、実際は「ギア」や「クロウ」が壊れる事は決して少なくありません。それには意外と知られていない使い方による落とし穴があるからなんですが、それはまた、別の機会にお話しします。

 以上のように、壊れる場所や壊れ方は「安全」に大きく関わってくるという事がお分りいただけたのではないでしょうか。金属であっても「物は必ず壊れる」と考えると「安全な壊れ方」という視点が生まれてくるのです。

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重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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