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グルメやショッピングだけじゃもったいない自転車“空白”都市という誤解 香港の自転車熱と絶品サイクリングコース

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 「市街地では自転車をほとんど見かけない」とされる香港。超過密都市や公共交通機関の発達が背景ともいうが、自転車を楽しめないと見るのは大きな誤解だ。自然豊かな郊外を中心に魅力的なサイクリングコースが多数あるほか、近年は中心街の高速道路などを封鎖した大規模サイクリング&レースイベントが人気を呼んでいる。日本人にはあまり身近でない香港の自転車文化の盛り上がりと魅力に迫る。

実は走りやすいサイクリングコースが充実している香港 ©香港政府観光局

実は自転車都市、香港

本格的なクリテリウムが香港の市街地で開かれ観衆の注目を集めた Photo: Naoi HIRASAWA

 普段は多くの観光客が行き交い、道路もクルマで溢れている香港の中心的な地区で昨年9月、2回目となる「香港サイクロソン」が開かれた。高速道路や巨大な橋など普段は絶対に自転車で走れない場所をコースとして開放した、香港の一大サイクリングイベントだ。

 ロードレースのみならずファミリーで楽しめるファンライドイベントもあり、子供から大人まで約4500人ものサイクリストでにぎわった。

香港市街の大通りを舞台にした香港サイクロソン Photo: Naoi HIRASAWA
家族で楽しめるファミリーファンライド ©香港政府観光局
70年以上の歴史をもつサイクルショップ「フライングボール バイシクル」。主にキャノンデールのロードバイクを取り扱っている Photo: Naoi HIRASAWA

 参加した若者からは、「狭い箇所もあるけど、すごくいい」「(コースからの)景色がよかった」などと絶賛する声が聞かれ、香港政府観光局も「第1回よりも大きな成果があった」(チェアマンのピーター・ラム氏)と評価した。

 こうした盛り上がりの背景には、自転車文化を大切に受け継ぎ、発展させる地元のサイクリストや自転車ショップの「思い」が欠かせない。創業70年の歴史をもつ老舗ショップ「フライングボール バイシクル」は豊富な商品と知識でサイクリストをサポート。珍しい自転車のアイテムを積極的に扱う新しいスタイルのカフェ&ショップ「ヴェロ6」も自転車の魅力を発信する拠点のひとつだ。観光地の華やかな街並みの中に、香港独自の自転車文化が確実に根付いている。

珍しいアイテムを揃えているという「ヴェロ6」の店内 Photo: Naoi HIRASAWA
自転車乗りが集まるカフェ&ショップ「ヴェロ6」ではエスプレッソコーヒーやアイスクリームなどを提供している Photo: Naoi HIRASAWA
多くの地元の若手サイクリストたちが、香港サイクロソンを満喫した Photo: Naoi HIRASAWA
行列が途切れることのない香港B級グルメの名店「九記牛腩」の牛バラスープのビーフン。香港旅はグルメも欠かせない! Photo: Naoi HIRASAWA

 サイクリングの環境も整備されている。郊外にはバラエティに富んだサイクリングコースがあり、休日ともなると多くの地元サイクリストたちが思い思いにペダルをこぐ姿がみられる。日常生活に溶け込んだコースは「一味違う香港を楽しみたい」という旅行者には特におすすめ。レンタルバイクを使い、手軽に旅程に組み込んではどうだろう。

「ここは香港?」自然あふれる南生園

 そんなサイクリングコースのひとつ、香港北西部の「南生園路(ナムサンワイ・ロード)」を訪れた。香港では珍しい海沿いの湿地帯の中ほど、2つの川に囲まれた風光明媚な「南生園」を巡る約7kmの人気コースだ。観光情報誌の「香港のトップサイクリングコース10」にも選ばれている。

自然が豊かでのどかな南生園(ナムサンワイ)のサイクリングロードの風景 ©香港政府観光局
南生園(ナムサンワイ)は川にぐるりと囲まれた立地で、昔ながらの渡し船が今でも使われている。サイクリングコースは船からスタート Photo: Naoi HIRASAWA

 拠点となる元朗(ユンロン)駅までは、香港中心の市街地から電車で約1時間。駅周辺にはレンタルバイクの店もあり、手ぶらでサイクリングを楽しめる。まずは、1kmほど離れた「スタート地点」へと向かう。路上にはコースの標識があり、観光客でもわかりやすいのがうれしい。

 素朴な集落を抜けて川辺に出ると、待ち構えていたのは古びた手漕ぎの渡し舟。自転車ごと乗り込むスタイルで、異国情緒を感じさせる。目と鼻の先の対岸までゆらりと渡ると、そこは草地や池が連なる南生園だ。

香港では景勝地として知られるナムサンワイ Photo: Naoi HIRASAWA

 舟を下り、南生園を南端から時計回りに進む。小さな林を抜け、棕櫚(シュロ)の並木と、未舗装路が続く。木陰の下を柔らかな風が吹き抜け、揺れる葉の音が心地よい。ところどころ見かける朽ちかけた家屋も、湿地の緑に包まれて風情をかもしていた。15分ほどで、川沿いを巡るナムサンワイ・ロードの舗装路にたどりついた。

 視界の開けた川沿いの道からは、葦原や木々の緑が広がる穏やかな湿地帯を一望できる。川辺には水鳥が羽を休め、思わずここが香港かと疑いたくなるようなゆったりとした時間が流れていた。

ナムサンワイにある広場は、近隣の人々の憩いの場にもなっている Photo: Naoi HIRASAWA
サイクリストが行き交うナムサンワイの外周道路 Photo: Naoi HIRASAWA

 さらに進むと、湿地帯の遥か向こうに深センの高層ビル群が浮かび上がる。青々とした田園風景との不思議なコラボが、また何ともいえない。北側の高台からは、波打ち際のマングローブとともに南生園を一望することができた。

ナムサンワイの休憩スポットはレトロな雰囲気が漂う Photo: Naoi HIRASAWA

 コース沿いには観光客向けのカフェや売店など休憩スポットがあり、地元ならではの食事もできる。そのまま標識に沿って走り続け、元朗の中心街まで戻ったところでゴール。サイクリング後は街でグルメ、ショッピングなどを楽しむのもいいだろう。

 南生園は地元の人にとっても憩いの場で、散歩やピクニックを楽しむ姿もみられる。

甘さ控えめな豆腐のプリンと、中国式の卵入りフルーツゼリー Photo: Naoi HIRASAWA
ナムサンワイではサトウキビなどが採れる Photo: Naoi HIRASAWA

知らない香港を見つける旅へ

西貢(サイクン)のマクリホース・トレイル。全長100km、10ステージから成るコースがある ©香港政府観光局

 距離は約7km、平均所要時間は約2時間で、普段自転車で走り慣れていない人でも無理なく巡れるコースだ。香港の中心部から行っても、半日あれば気軽に楽しんでこれる。なお、3月中はガイド付きツアーも実施している。

 香港にはこのほかにも優れたサイクリングロードが多数ある。サイクリングを通じて山や海の景色を楽しんだり、文化遺産を巡って、知らない香港を見つける旅に出かけてみてはいかがだろうか。

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Cyclist for Woman グルメ・旅(女性向け) 香港サイクロソン

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