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サイクリスト

ガールズトークに潜入取材“クロス女子”が増加中 「一度始めたらやみつき」になるシクロクロスの魅力とは?

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 シクロクロスレースに挑戦する女子、いわゆる“クロス女子”が増えています。2月11・12日に東京・お台場で開催された「シクロクロス東京」では昨年に続いて総勢60人以上の女性が出走し、砂浜コースで自転車を押したり担いだり、林間コースを走ったりと、お台場海浜公園を所せましと駆け巡りました。30~40分にわたって休みなく走り続ける過酷なレースながら、出場した誰もが「一度始めたらやみつきになる」というレース。大会後に開かれた“クロス女子会”に潜入し、女子をひきつけるシクロクロスの魅力について迫りました。

2月12日に開催された「CL1」レースのゴール後、健闘を称えあう女子選手たち。苦しさを乗り越えて弾ける笑顔 Photo: Kyoko GOTO2月12日に開催された「CL1」レースのゴール後、健闘を称えあう女子選手たち。苦しさを乗り越えて弾ける笑顔 Photo: Kyoko GOTO

自転車の障害物競争

11日の「CL2」のスタート時の様子。「逃げ出したい~」という声にドキドキとワクワクが伝わってくる Photo: Kyoko GOTO11日の「CL2」のスタート時の様子。「逃げ出したい~」という声にドキドキとワクワクが伝わってくる Photo: Kyoko GOTO

 まず「シクロクロスって何?」という人のために説明すると、未舗装路を自転車で走る競技のこと。バイクもロードバイクとは違い、砂利道やぬかるんだ道でもパワフルに進める太いタイヤと、ブレーキも砂や泥などの影響を受けにくい形状になっているのが特徴。さらにマウンテンバイク(MTB)より軽量なので、障害物があっても持ち上げれば超えられたり…というロードとMTBの特徴をあわせもつバイクを使ったレースとして近年注目されているのが「シクロクロスレース」なのだ。

お台場名物「サンドエリア」。女子のレースではひときわ温かい声援が飛ぶ Photo: Kyoko GOTOお台場名物「サンドエリア」。女子のレースではひときわ温かい声援が飛ぶ Photo: Kyoko GOTO

 女性のレースは実力によって2つのカテゴリーがあり、ビギナーでも参加できる「CL2」(レース時間30分)とプロ選手も走る「CL1」(同40分)に分けて行われる。今回のレースでは「CL2」に36人、「CL1」には26人が参加。大会を主催するチャンピオンシステム・ジャパン代表の棈木亮二さんよると、自転車の他競技に比べると圧倒的に女性が多く、中でも女性に人気なのが、長野県の野辺山で開催される「Raphaスーパークロス野辺山」と、このシクロクロス東京だという。

シクロクロスがつないだ12人

2月12日、大会終了後に行われた“クロス女子会”には群馬や茨城、栃木からの参加者も。武田和佳さんも駆けつけた Photo: Kyoko GOTO2月12日、大会終了後に行われた“クロス女子会”には群馬や茨城、栃木からの参加者も。武田和佳さんも駆けつけた Photo: Kyoko GOTO

 大会後に開催された“クロス女子会”に集まった女性は12人。年齢もシクロクロス歴もバックグラウンドもばらばらで、10年選手から昨年12月に始めたばかりという人、ロードバイクやMTBに乗ってる人のほかにトライアスロンをやっている女性など、多種多様な顔ぶれが集まった。

 女性ブランド「Liv」のアンバサダーで、この日の大会でJCXシリーズチャンピオンとして表彰された武田和佳選手も“クロス女子”として参加。強くて可愛らしい武田さんは皆からも「和佳ちゃん」と親しまれる、シクロクロス界のアイドルともいえる存在だ。

JCXシリーズチャンピオンとなった武田和佳選手(Liv)=2月12日CL1レース Photo: Ikki YONEYAMAJCXシリーズチャンピオンとなった武田和佳選手(Liv)=2月12日CL1レース Photo: Ikki YONEYAMA
サンドエリアでバイクを担ぐサミエル・ルーネルズ。このセクシーなインナーは、「かっこいい!」と女子の間で評判に=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTOサンドエリアでバイクを担ぐサミエル・ルーネルズ。このセクシーなインナーは、「かっこいい!」と女子の間で評判に=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO

 スター選手を前に、「1月のシクロクロス世界選手権どうだった?」という話題から始まるあたりが「さすがクロス女子!」と思ったのも束の間、「何がおいしかった?」という質問が飛び出す。それに対し、武田さんも「オランダのホテルのクロワッサンが大きくて!」と返答。「自転車女子は食いしん坊」という共通点で、ほぼ初対面同士とは思えない空気で会がスタートした。

 そんな女性たちに今回のレースについて感想をたずねると、皆一様に顔をしかめて「しんどかった~」と一言。とくにシクロクロス東京は砂浜を中心とする長いサンドエリアが有名な大会で、選手たちは皆、毎年この砂地の攻略に苦心する。

 乗って走るには重心をコントロールしながらバイクを乗りこなすテクニックが求められるが、乗れなければバイクを押して走るか担いで走るかという選択を迫られる。ただでさえ走りにくい砂地を自転車を担いで走るのは、非力な女子にとっては相当な負荷。まさに“砂を噛むような”コースなのだ。

乗ったままサンドエリアをクリアしてゆくルーシー・シェネル選手=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO乗ったままサンドエリアをクリアしてゆくルーシー・シェネル選手=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO
福本千佳選手(Toyo Frame)=2月12日CL1レース  Photo: Kyoko GOTO福本千佳選手(Toyo Frame)=2月12日CL1レース  Photo: Kyoko GOTO
重心をコントロールしながら慎重にサンドエリアを漕ぎ進める今井美穂選手=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO重心をコントロールしながら慎重にサンドエリアを漕ぎ進める今井美穂選手=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO

クロスの魅力は「出来るようになる楽しさ」

 そして木々の間を縫って走る林間コースや、林の入り口に設けられた「シケイン」という障害物。巧みなバイクコントロールと集中力、そして車体を持ち上げる腕力が必要となるが、30~40分の間に何度も繰り返すうちに腕は疲労でパンパンに。さらに今大会が初のレース参戦となった金子千鶴さんは途中で集中力がとぎれ、迫り出した枝におでこをぶつけるなど「もうしっちゃかめっちゃか(笑)」だったという。

林間コースを疾走する武田和佳選手(Liv)=2月12日CL1レース Photo: Naoi HIRASAWA林間コースを疾走する武田和佳選手(Liv)=2月12日CL1レース Photo: Naoi HIRASAWA
車体を持ち上げシケインを乗り越えるポタガールの「さおりん」こと後口沙織さん=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO車体を持ち上げシケインを乗り越えるポタガールの「さおりん」こと後口沙織さん=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO
わずかな舗装路がスピードの出しどころ=2月11日CL2レース  Photo: Kyoko GOTOわずかな舗装路がスピードの出しどころ=2月11日CL2レース  Photo: Kyoko GOTO

 ただ、おもしろいのは、しかめ面をしたあとに「それが楽しい」と皆が口をそろえること。「総合力を問われるのがクロスの魅力。1つのレースの中で、自分が弱い部分を強い部分でカバーできる」と話すのはシクロクロス4年目の根本静さん。普段ロードに乗っていて、昨年12月からクロスを始めたという西倉陽子さんも、「ロードと全然違う。クロスはパワーや持久力だけじゃなくてテクニックが重要で、できなかったことが練習してできるようになるのがうれしい」と話す。

CL1で出走した関谷淳子さん。最近はトライアスロンよりもシクロクロスにハマってしまったそう Photo: Kyoko GOTOCL1で出走した関谷淳子さん。最近はトライアスロンよりもシクロクロスにハマってしまったそう Photo: Kyoko GOTO

 また、普段はトライアスロンをやっていて、一昨年から冬のトレーニングにシクロクロスを取り入れたという関谷淳子さんは、「衝撃的な出会いだった。いまはクロスの方が楽しくて仕方ない」とのこと。始める前は「汚れたくない」などと思っていたそうだが、いまは「走っている間、草や風、ほこりとかフィールドの自然を感じる。他のスポーツと違ってどんな天候も逆境にしちゃうじゃないですか。人間主体でなく自然主体なところが好き」と、その魅力を語る。

 その他に「会場のあたたかい雰囲気が好き」という意見も目立った。「あちこちから応援が飛んできて、1人でやっている気がしない」という声や、「へろへろだった人も応援するとスピードアップする。その瞬間を見ると涙が出そうになるよね(笑)」という声もあった。

ゴール後「お台場は何度やってもきついけど、楽しい~!」といっていた2人=2月11日CL2レース Photo: Kyoko GOTOゴール後「お台場は何度やってもきついけど、楽しい~!」といっていた2人=2月11日CL2レース Photo: Kyoko GOTO
完走の喜びを大爆発!=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO完走の喜びを大爆発!=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO

 今回の女子会を主催した藤森なおみさんは、「レースでは競うけれど、皆が楽しく切磋琢磨しているのがクロスの魅力。関西や九州でもシクロクロスを始める女性がすごく増えてきているので、こういうネットワークを広げていければ」と語った。

海外招待選手たちも「テクニカルなコースだった!」と大満足の様子=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO海外招待選手たちも「テクニカルなコースだった!」と大満足の様子=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO
ゴール後、応援に駆け付けた友人たちと。「かっこよかったよ~!」と仲間の頑張りに感動しきりの様子=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTOゴール後、応援に駆け付けた友人たちと。「かっこよかったよ~!」と仲間の頑張りに感動しきりの様子=2月12日CL1レース Photo: Kyoko GOTO

武田和佳さん「動き出したら何かが変わる」

「シクロクロス、やってみたら何かが変わるかも」と話す武田和佳さん Photo: Kyoko GOTO「シクロクロス、やってみたら何かが変わるかも」と話す武田和佳さん Photo: Kyoko GOTO

 かつて自転車を離れてエンジニアの職に就き、自身も一女子としてクロスに接した経験をもつ武田さんは、女子の間でクロス人気が高まっている背景について、「非日常が楽しいのかも。夢中になって泥んこになって走ったり、砂を走ったりすることって大人になるとなかなかないじゃないですか。ストレス発散にもなりますよね(笑)」と笑みを浮かべた。

 そして「どんなジャンルも最初は壁を感じると思うけど、今回の大会を見てクロスがおもしろそうと感じたらとにかくやってみて。動き出したら何かが変わる。競技性はそこからの話です」と未来の“クロス女子”に呼びかけた。

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