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「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」セミナー&ワークショップ生まれたての「自転車活用推進法」 これからの“成長”に大切なのは市民の声

by 後藤恭子 / Kyoko GOTO
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 自転車のマナー向上と安全意識の啓発活動に取り組む団体「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」(グッチャリ)が2月1日、東京都内で「どう変わる?サイクリストにとっての『自転車活用推進法』」と題したセミナーを開催した。片山右京さんや、今中大介さんら豪華ゲストが登壇し、同法の具体案について語るなか、NPO「自転車活用推進研究会」(自活研)の小林成基理事長は「法律の具体化を推し進める上で重要なのは市民の声。自分の問題として捉え、環境整備に向けて声をあげ続けることが必要」と強調した。

2月1日に開催されたグッチャリセミナー&ワークショップ「どう変わる?サイクリストにとっての『自転車活用推進法』」。左から片山右京さん、栗村修さん、今中大介さん、日向涼子さんら錚々たる面々が集まった Photo: Kyoko GOTO2月1日に開催されたグッチャリセミナー&ワークショップ「どう変わる?サイクリストにとっての『自転車活用推進法』」。左から片山右京さん、栗村修さん、今中大介さん、日向涼子さんら錚々たる面々が集まった Photo: Kyoko GOTO

今後生まれる自転車施策のベース

セミナーの様子 Photo: Kyoko GOTOセミナーの様子 Photo: Kyoko GOTO

 昨年12月に成立し、今年6月15日に施行期日を控えている「自転車活用推進法」は、自転車の活用を推進するための施策の「基本理念」を示したもので、自転車専用道路や通行帯の整備、シェアサイクルの整備、自転車競技施設の整備、交通安全教育および啓発などの施策を定めている。いわば今後の自転車の施策をめぐる方向性を定めるもので、今後これを根拠法としてさまざまな具体案をもとに関連法の策定などが動き出すことになる。

ワークショップでは、参加者が自転車をめぐって「困っていること」「国や自治体にして欲しいこと」などを具体的に考えた Photo: Kyoko GOTOワークショップでは、参加者が自転車をめぐって「困っていること」「国や自治体にして欲しいこと」などを具体的に考えた Photo: Kyoko GOTO
書いた紙を項目ごとに貼り分ける日向涼子さん(肥左)と片山右京さん(右) Photo: Kyoko GOTO書いた紙を項目ごとに貼り分ける日向涼子さん(中央)と片山右京さん(右) Photo: Kyoko GOTO

 こうした同法の趣旨を踏まえ、当日は来場者全員に対して「自転車に乗っていて困っていること」や「国や自治体にして欲しいこと」などについての自由意見を問い、それをもとに自転車活用推進法で推し進めるべき具体案を考えるワークショップを実施した。

「困っていること」には「自転車の逆走」「自転車の交通ガイドラインが曖昧」といった意見も Photo: Kyoko GOTO「困っていること」には「自転車の逆走」「自転車の交通ガイドラインが曖昧」といった意見も Photo: Kyoko GOTO
「国や自治体にして欲しいこと」には「自転車専用道の整備」を求める意見が多く見られた Photo: Kyoko GOTO「国や自治体にして欲しいこと」には「自転車専用道の整備」を求める意見が多く見られた Photo: Kyoko GOTO

自転車の存在感、高まる契機に

日向涼子さん Photo: Kyoko GOTO日向涼子さん Photo: Kyoko GOTO

 ワークショップには、グッチャリのリーダーを務める片山さんをはじめ、今中さん、自活研の小林理事長のほか、サイクルロードレースの解説者として人気の栗村修さん、モデルでサイクリストの日向涼子さん、そして国土交通省道路局環境安全課道路交通安全対策室の酒井洋一室長が登壇した。

 「環境負荷の低減」「災害時の交通機能」「健康増進」など、自転車の活用を推進する文言が法律として明記されたことについて日向さんは、「7年前に自転車に乗り始めたとき『世の中の邪魔にならないように』といわれ、それ以来いわゆる“車が一番えらい”という『クルマ脳』だった。これまで車に幅寄せされても常に『すみません』と思っていたが、もうそう思う必要はないのだと心がすっと晴れた気がした」と語った。

栗村修さん Photo: Kyoko GOTO栗村修さん Photo: Kyoko GOTO

 「国や自治体にして欲しいこと」として「強制」という一言を記した栗村さんは、「日本人はルールを守る国民だが、ルールで決まってないモラルは欧米に比べてまだまだ低く、モラルのみに頼って自転車環境を改善しようというのは日本人にはあまり向いていない」との考えを提示した。「法に基づいた強制力をもつことは、日本人に合った形で自転車文化、ルールを周知する大きなきっかけになると思っている」とし、施策の1つとして自転車の走行ルールも視野に入れた取り組みの必要性を指摘した。

元F1レーサーでグッド・チャリズム宣言プロジェクトリーダーの片山右京さん Photo: Kyoko GOTO元F1レーサーでグッド・チャリズム宣言プロジェクトリーダーの片山右京さん Photo: Kyoko GOTO

 自動車業界にも関わりをもつ片山さんは業界内での同法に対する見方について「ゼロに等しい。まだ知られてもいない」との見方を提示。一方で2020年に向けてクルマの完全自動走行を見据えた環境整備が進んでいることに触れ、「クルマ側の人間から(道路環境が)定義されている」と指摘し、「『車はえらい、自転車は遊び』と思われているところがあるので、先進国のモビリティネットワークに学んで論議の中心にもってきてもらえるよう存在感を高めたい」と自転車とクルマの関係の将来的なビジョンも含めて道路環境を考える必要性を強調した。

元プロ・ロードレーサーの今中大介さん Photo: Kyoko GOTO元プロ・ロードレーサーの今中大介さん Photo: Kyoko GOTO

 今中さんは、自転車の存在を示す社会的インフラの必要性を強調。公共交通機関に自転車をそのままを持ち込める試みが始まっていることのアピールや、自転車専用道路のさらなる拡充などを挙げ、「状態を先に作り上げれば意識づけはあとからくる。まずはわかりやすい形で自転車の存在感、利用の価値、可能性をわかりやすく見せる状態を作ってほしい」と訴えた。

市民の声が「追い風」に

国土交通省の酒井洋一さん Photo: Kyoko GOTO国土交通省の酒井洋一さん Photo: Kyoko GOTO

 国交省では2015年7月から全国の自治体に対し、地域の自転車通行空間をつなぐ「自転車ネットワーク計画」を呼びかけている。市町村をまたがって断片的に設けられている自転車通行空間をつなぎあわせて効率化する事業だが、現時点で計画を作成している自治体は92市町村(2016年4月時点)と、人口集中地区とされる849市町村の約1割にとどまっている。

 国交省の酒井室長はこうした現状に言及し、「環境整備はトップダウンではできない。最初のトリガーを引いていただくのは地元の方でないとできないので、住んでいる自治体の取り組みを気にしてほしい」と呼びかけた。

自転車活用推進研究会の小林成基理事長 Photo: Kyoko GOTO自転車活用推進研究会の小林成基理事長 Photo: Kyoko GOTO

 また、「いまは自転車の活用の推進に関して方針を示した法律が初めてできたという段階で、いわば“生まれたばかり”。世の中がそっぽを向いてしまったら正しい方向へ進めないので、赤ちゃんの状態からちゃんと育て、成人するのかどうかを支えるのがこれからの課題」と例えを用いて集まったサイクリストに協力を求めた。

 自活研の小林理事長は、「重要なのは市民の声。追い風を作り出さないと法律は生きてこない。全国でこのような場を設けて、自治体に繰り返し働きかける努力が必要」と述べた。

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