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一から始めるパワートレーニング<1>“ビギナー”白戸太朗さんが初めて使うパワーメーター FTPって何のこと?

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 プロ選手が使用していることで、脚光を浴びたトレーニングデバイス「パワーメーター」。豊富な機種と手ごろな価格帯で今や一般サイクリストにも身近になったが、それでも未経験という人は少なくない。意外なことに、プロトライアスリートの白戸太朗さんもその一人だという。そこで、元プロロードレーサーの宮澤崇史さんにお願いして、「パワートレーニング」の基礎を一から“伝授”してもらうことにした。パワーメーター初心者が知っておくべきポイントを、連載でお届けする。

クランク型パワーメーター「SRM」を持つ宮澤さんと、サイクルコンピューター「PC8」を手に取る白戸太朗さん(右) Photo: Shusaku MATSUOクランク型パワーメーター「SRM」を持つ宮澤崇史さんと、サイクルコンピューター「PC8」を手に取る白戸さん(右) Photo: Shusaku MATSUO

ひずみゲージを内蔵しワットを計測

白戸さんのバイクに取り付けるSRMとコンピューター「PC8」 Photo: Shusaku MATSUO白戸さんのバイクに取り付けるSRMとコンピューター「PC8」 Photo: Shusaku MATSUO

 パワーメーターとは、走行中のライダーが自転車へと伝える力を計測するデバイスだ。クランク、ハブ、ペダルなどに内蔵された「ひずみゲージ」で漕いだ時の各パーツのひずみを測り、パワーを算出する。パワーは「トルク(回す力)×ケイデンス(回転数)」で計算され、W(ワット)の単位で表される。

SRMを開発し、現在は同社代表のウルリッヒ・ショーバーさん (SRM提供画像)SRMを開発し、現在は同社代表のウルリッヒ・ショーバーさん (SRM提供画像)

 パワーメーターの歴史を紐解くと、ドイツのブランド「SRM」が“元祖”といえる。同社によると、現代表のウルリッヒ・ショーバーさんが1986年、世界初のパワーメーターとして製造。ライダーのコンディションを正確、客観的に測ることを目的としており、当時からプロ選手が愛用した。また、「パワートレーニング バイブル」の著者、ハンター・アレンさんが、パワーメーターを用いたトレーニングを提唱。1980年代当時、心拍数をコントロールするトレーニングがプロ選手間で主流だったが、それに加えてパワーを用いた新しい練習方法を提言し、ライダーのパフォーマンスアップに貢献した。

1986年に開発されたSRM (SRM提供画像)1986年に開発されたSRM (SRM提供画像)
SRMはハンドメイドで製作される (SRM提供画像)SRMはハンドメイドで製作される (SRM提供画像)
ペダル型のパワーメーター「Vector2J」 (いいよねっと提供画像)ペダル型のパワーメーター「Vector2J」 (いいよねっと提供画像)

 現在ではSRMのほかに、クランクタイプではパイオニアの「ペダリングモニター」、ドイツ発の「Power2Max」、ハブタイプでは長い歴史を持つ「パワータップ」、またペダルタイプではガーミンの「ヴェクター 2J」などが代表的なパワーメーターとして知られている。

 宮澤さんは、「心拍数は体のコンディションを表す指標となり、これまでのトレンドとなっていました。通常は朝の安静時心拍で体調を計り基準としますが、上がりやすい、上がりにくいなどその時の体調に依存してしまい、トレーニング中の心拍は安定しません」と説明する。「一方でパワーという値は体のコンディションなどの内面的な要因や、風や道の斜度などの外面的な要因があったとしても、出てくる数字はライダーがその瞬間に出した客観的で正直な数字です」と、その利点を指摘する。

 ヨーロッパで活動していた際はパワーメーターを使ったトレーニングが中心だったという。「調子が良いと思っていても、実際はパワーが出ていないと疲れている証拠です。コンディションが落ちており、休まなければならないですよね。そのタイミングも蓄積されたデータから読み取れます。またその逆もあって、疲れたと思いこんでいただけで、データは正直。コーチからGOサインが出ることもしばしばです」と、自らの経験を語った。

パワトレの基礎「FTP」

パワーメータを用いたトレーニングは初めてとなる白戸太朗さん Photo: Shusaku MATSUOパワーメータを用いたトレーニングは初めてとなる白戸太朗さん Photo: Shusaku MATSUO

 白戸さんは30年間、トライアスロン競技に取り組んできたベテランアスリート。しかし、いままでパワートレーニングの経験はなかったという。「トライアスロン業界、特に国内においてはロードレース業界ほどパワーメーターが浸透している様子は見受けられないですね。ハートレート(心拍数)を測ったトレーニングが主流かな。パワーメーター付けているだけという人をよく見かける(笑)。僕を含めてまだパワートレーニングのメリットがわかっていないのかも」と、興味はあるが踏み出せないトライアスリート心を表した。

 宮澤さんは、「トライアスリートはパワーメーターとパワートレーニングの恩恵を大いに受けられるでしょう。バイクパートでは、比較的平坦な道を一定の負荷で走ることが求められます。レース本番にペース管理する際にも有利ですし、トレーニングを更に深く掘り下げることができる。まずは『FTP』を計測しましょう」と切り出した。

自らの経験を生かし、パワーメーター初心者の白戸さんを指導する宮澤崇史さん Photo: Shusaku MATSUO自らの経験を生かし、パワーメーター初心者の白戸さんを指導する宮澤崇史さん Photo: Shusaku MATSUO

 FTPは「Functional Threshold Power」の略で、「1時間持続可能な最大出力」のこと。アレンさんがエンデュランス系アスリート向けに考案した概念だ。「1時間当たりの最大平均ワット数を表した値で、ライダーのフィジカルレベルを測るものです。全力でペダルを漕いだ平均から算出します。コーチングや、トレーニングメニューを組む際はFTPが大きな要素となります」と宮澤さんは言う。

 SRMクランクがインストールされたバイクを固定ローラーにセットする白戸さん。はたして、人生初計測となるFTPはいかほどなのだろうか!? 次回はFTPの正しい計測方法や、計測に臨む注意点を宮澤さんが解説する。

→<2>20分間の最大出力テストにチャレンジ 白戸太朗さんがFTPを計測

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