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工具はともだち<108>しなって危険を知らせるスピンナハンドル KTCが「安全」という視点で設計した工具

by 重田和麻 / Kazuma SHIGETA
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危険の予測もKTC工具の設計要素だ ©KTC危険の予測もKTC工具の設計要素だ ©KTC

 2017年、年明け最初の「工具はともだち」ですが、今回は前回ご紹介しました「安全最優先の製品設計」について更に具体的にご紹介したいと思います。

 KTCの開発コンセプトは「安全、快適、能率・効率」です。その中でも「安全」が一番で、仮にその製品が「快適性」が高く、能率や効率を高めるものであっても、「安全」を阻害するものであれば、その製品は発売できない事になります。また、「その工具がどのように壊れるのか」というように壊れる場所と壊れ方を最初に設計するのが「安全最優先の製品設計」の基本になることもお話しました。今週から数回にわたり、こうした考えで設計されている工具をいくつか紹介していきましょう。

壊れる前にシグナル

 まずご紹介するのが、スピンナハンドルをはじめとするロングタイプの製品です。スピンナハンドルは大きなトルクを必要とする作業に用いられるので、自転車ユーザーが使う事はあまりないかもしれませんね。ただ、固く締まって緩まないボルトを回す時などいざという時に役に立つので、是非覚えておいて下さい。

 また、ラチェット機構のようなものが付いていないので不便に思えるかもしれませんが、意外とそうではなく緩んでしまえば後はハンドルをボルトに対してまっすぐにしてクルクルと回せばいいので案外使い勝手は悪くありません。そんなスピンナハンドルですが、どこに「安全」という視点が盛り込まれているかというと、それはハンドル本体にあります。

いざという時に役立つスピンナハンドル ©KTCいざという時に役立つスピンナハンドル ©KTC

 スピンナハンドルはどうしても大きなトルクを掛けますし、大きなトルクを掛けるというのは必ず破損のリスクを伴います。ある意味そのための工具なので当然ですが、壊れるタイミングにこの工具の設計ポイントがあります。それは、壊れる前に作業者に対してあるシグナルを発するのです。

 当然単なる金属加工品ですので、音や光でお知らせするなんてハイテク機能はありません。そこで代わりにお知らせするのが「しなり」です。特にロングタイプはあえて本体を細めにしてある程度のトルクが掛るとしなるようにできています。

 固いボルトを回す際、本体の剛性を高めればボルトは比較的楽に緩みます。しかし、どこかで限界がきて破壊してしまうので、剛性が高すぎると作業者はそれに気づく事なく過大な力を入れてしまいます。そうすると、予想していない作業者は突然起きた破壊に対処できず、怪我をしてしまう恐れがあります。ですから、あえて「しなり」を設け、作業者に対し「そろそろ危ない領域に入っていますよ」と教えているのです。人間大きなトルクを掛けたレンチがしなり出したら多少の恐怖感は感じますので、それによって直観的に危険なトルクだとわかる訳です。

「危険察知」も設計要素

 「固く締まったボルトを緩める」という目的を達する事だけを優先するなら、硬い材料を使ったり太目の形状にして剛性を高めたりすれば良いのですが、そこに「安全」という視点を加えた場合、「剛性を高める」ということの優先順位は下がります。また、安全な作業をする上で大切なものの一つとして「予測をする」と言う事があります。予測ができれば、その時の対処も考えられます。しかし、予測していない事にはなかなか対処はできません。そうした観点からKTCでは「作業者が危険を察知できる」という点も設計要素として大切にしています。

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重田和麻(しげた・かずま)

KTC(京都機械工具)入社後、同社の最高級ツール「nepros」(ネプロス)の立ち上げに携わった後、販売から企画、商品開発とさまざまな立場で同商品と歩みを共にしてきた。スポーツ自転車は初心者だが、工具についてはプロフェッショナル。これまでの経験を生かして、色々な角度からサイクリストに役立つ工具の情報を提供する。

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