スマートフォン版はこちら

サイクリスト

2017年新春インタビュー<3>今年最大の目標は「ワールドツアーのポディウム」 ヨーロッパ主軸の與那嶺恵理

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 與那嶺恵理(エフデジ・ヌーヴェル=アキテーヌ・フュチュロスコープ)は2016年、全日本選手権女子エリート、タイムトライアルに勝利し、2冠に輝いた。リオデジャネイロ五輪出場を果たすと、舞台を北米からヨーロッパへ移し活動の幅を拡張。今シーズンもフランスを拠点に女子ワールドツアーを中心に活動をしていくという與那嶺と、コーチで代理人を務める武井亨介氏にインタビューを行った。

2017シーズンもフランスへ渡り、ヨーロッパを中心に活動する與那嶺恵理 (提供写真)2017シーズンもフランスへ渡り、ヨーロッパを中心に活動する與那嶺恵理 (提供写真)

「3万ドルのオファーもあった」

――昨シーズンはどんな年でしたか

昨シーズンを振り返り、今年の展望を述べた與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO昨シーズンを振り返り、今年の展望を述べた與那嶺 Photo: Shusaku MATSUO

與那嶺:2016年の前半は北米のハーゲンス・ベルマン・スーパーミント プロサイクリングチームで走っていましたが、チームの資金がなくなってレース活動ができなくなってしまったんです。そこで、以前からオファーを頂いていた今のチームから声がかかり、移籍しようとしました。「しかたがない、完全にフランスで走ろう」と思ったんです。でも、スーパーミント側がリリース(契約解除)を出してくれなくて、新チームと契約できない期間があったんです。なぜか日本自転車競技連盟(JCF)が海外活動出場許可を出さず、アメリカの自転車競技連盟の力を借りて、フランスでの活動をスタートすることが出来ました。

2016年の全日本選手権でロードとタイムトライアルで勝利し、2冠を果たした Photo: Shusaku MATSUO2016年の全日本選手権でロードとタイムトライアルで勝利し、2冠を果たした Photo: Shusaku MATSUO

 今シーズンの契約については、フランスのチーム以外に、北米のチームからはオファーもありました。契約金の提示は3万ドルと女子選手の中では破格だったと思います。ビザ取得代金や、代行業務、日本と北米間の飛行機チケットも必要な回数分、契約に入っていました。武井コーチはかなり迷っていました。しかし、私はより高いレベルのヨーロッパの女子ワールドツアーを走るため、フランスチームのオファーを優先しました。

――ヨーロッパからみた日本人選手の印象は?

與那嶺:現チームのゼネラルマネージャー(エフデジのティボ・ピノーと同じU23のチームで走っていた元選手)から「日本の選手は男子を含めてよくヨーロッパのレースに来ていると思うけど、なかなか育ってないよね」と言われました。

武井:単独やチームで海外へと渡り、活動している選手は以前から見受けられました。しかし、次の世代に現地のポジションを残すことなく帰国するケースが散見していたと思います。紡ぐことなく、活動が断裂してしまっていたんです。それでは後から同じ地で走ろうとする日本人選手にとって有益ではありません。ゼロからのスタートを強いる必要は無いのです。今走っている選手は、欧州で次の世代へ席を残し、席を空け、バトンタッチする必要があると考えています。

「どんどん選手を欧州に送り、日本人の居場所を作る必要がある」と強調した武井氏 Photo: Shusaku MATSUO「どんどん選手を欧州に送り、日本人の居場所を作る必要がある」と強調した武井氏 Photo: Shusaku MATSUO

武井:今回、私はご縁がつながり、オランダのチームへ牧瀬翼選手と坂口聖香選手を送り出すことができました。恵理さんも今後、将来の日本のために現地で日本人選手のポジションを確保していく必要がありますね。より日本人が強くなるために、次世代が同じ苦労をしないために、血を濃くする必要があります。

――悩まされたことは?

與那嶺:11月20日に行われたUCIマキノ高原のシクロクロスの時もそうでしたが、大事なレースに生理が重なることがありました。今までは薬が嫌いという理由でピルを飲んでいませんでしたが、現在では服用し、生理の周期をコントロールしています。

 日本では服用している人が少ないようですが、海外では結構普通です。チームメイトも全員使っていました。ロードレースは練習時も高い負荷がかかり不順になりがちです。生理不順が長すぎると、将来妊娠が難しくなることも考えられるでしょう。デリケートな問題かもしれませんが、女性アスリートにとって切っても切れない重要な問題です。現在は、私をサポートしてくださる、群馬県の舘出張佐藤病院の佐藤雄一院長先生と順天堂大学医学部非常勤助教の本田由佳先生とともに自分にとってのベストを探っています。

ワールドツアーのポディウムが目標

――シーズンの展望を教えてください

與那嶺:1月のシクロクロス世界選手権ルクセンブルクが終わったら、チームに合流します。2月のスペインでのトレーニングキャンプを含めながらゆっくりとした立ち上がりになりそうです。チームのGMから狙って行けと指示されているのが、3月から始まるアルデンヌクラシック、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュなどのクラシックレースです。シーズン初めの平坦系クラシックレースは出場しないか、出ても結果を狙わず、アシストにまわります。私の得意コースじゃないですからね。

2016年後半からヨーロッパの活動に重きを置いた (提供写真)2016年後半からヨーロッパの活動に重きを置いた (提供写真)

與那嶺:今年の最大の目標はヨーロッパのワールドツアーでポディウムに登ること。そして9月にノルウェーで開かれる世界選手権(上りが非常に厳しいコース)で、第一集団でゴールすること。今までのワールドツアーでの最高位はアメリカ・フィラデルフィアでの11位です。もちろん、全日本選手権は再び2冠を狙いますよ!

――新しい試み、変化はありますか

2017年シーズンの與那嶺用チームジャージデザイン (提供写真)2017年シーズンの與那嶺用チームジャージデザイン (提供写真)

與那嶺:まず、チーム自体が新しいですね(笑)。私が所属するチームに今年からエフデジがスポンサーにつきました。チームはフランスのエリートナショナルチームの意味合いがより濃くなり、パワー計測が専門のフランスの会社と契約をしました。よく男子のプロチームがシーズン前に行うあれを、私も2月のトレーニングキャンプでやります。そのデータは武井コーチとも共有しながら、よりパフォーマンスを高められるように、科学的な解析機会を増やします。

 今年は牧瀬さん、坂口さんをはじめ、吉川美穂さんもスペインのUCIチームに所属するようですし、ヨーロッパで活動を行う日本人選手も多いので、同じレースを走る機会が多くなることは楽しみです。

 フランスのチームの寮で生活することに対しては、結構自由気ままに動けるので楽ですね。好きな時間に買い物も行けるし、練習も自分でできます。ほっとかれている方が自分の性に合ってるんです(笑)。みんなが思っているより厳しい環境ではないですよ。

――最後にファンへ一言

與那嶺:日本の皆様、いつも応援ありがとうございます! リオオリンピックが終わり、キャリアとして次のステージに入りました。今年もたくさんの挑戦をしてきます。ワールドツアー、世界選手権での目標達成を主眼において、シーズンを過ごしていこうと思っています。そして、所属チームのシーズン通しての目標達成をサポートする走りができるように、強い意志のもと取り組んでいきます! また、日本の皆様にレースのことをより知って頂けるよう、私のFacebook、ツイッター、ホームページでの発信もしっかり行っていきますので、今年も熱い応援よろしくお願いします!

関連記事

この記事のタグ

2017年新春インタビュー インタビュー 與那嶺恵理

  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

わたしらしく自転車ライフ

スペシャル

サイクルトーク

来年のジャパンカップとさいたまクリテに来日してほしい選手は誰ですか?
 10月に行われたジャパンカップサイクルロードレース、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムには、今年も海外のトップロードレーサーたちがこぞって出場しました。…

続きを読む/投稿する

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載