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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<2017新春特別編・前編>ツール・ド・フランス2017大展望 4賞の行方と日本人選手出場の可能性に迫る

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 サイクルスポーツファンのみなさま、新年あけましておめでとうございます。2017年もこれまで同様、Cyclistならびに「週刊サイクルワールド」をどうぞよろしくお願いします。レース内外でのドラマが起きれば起きるほど、この連載は続いていきます。今後の展開にもぜひご期待ください。さて、今回は新春恒例となりました「ツール・ド・フランス大展望」を2回に分けてお届けします。<前編>は、4つのリーダージャージの行方と注目選手、さらには出場が期待される日本人選手の動向について触れてみます。

ツール・ド・フランス2016の4賞獲得選手。左からポイント賞のペテル・サガン、個人総合優勝のクリストファー・フルーム、新人賞のアダム・イェーツ、山岳賞のラファウ・マイカ =ツール・ド・フランス2016第21ステージ、2016年7月24日 Photo: Yuzuru SUNADAツール・ド・フランス2016の4賞獲得選手。左からポイント賞のペテル・サガン、個人総合優勝のクリストファー・フルーム、新人賞のアダム・イェーツ、山岳賞のラファウ・マイカ =ツール・ド・フランス2016第21ステージ、2016年7月24日 Photo: Yuzuru SUNADA

フランスすべての山脈を通過する3週間

 展望の前に、昨年10月18日に発表されたツール2017のコースを確認しておきたい。

ツール・ド・フランス2017ルートマップ © A.S.O.ツール・ド・フランス2017ルートマップ © A.S.O.

 今年のグランデパール(開幕地)は、ドイツ中西部の街・デュッセルドルフ。長い旅は、7月1日に行われる13km個人タイムトライアルで始まる。その後、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルクを通過し、第4ステージでフランスに入国。第5ステージで最初の本格山岳を迎える。第1週の終盤でも本格的な山岳が登場する。

 フランス東部から空路で南部へと移動し、ピレネー山脈を目指す第2週。第13ステージは100kmという短さながら、3つの難関山岳を越える1日。いつになく出入りの激しいステージとなる可能性が高い。ピレネーを終えると、中央山塊を走り、第2週を終える。

 第3週でついにアルプス山脈へと足を踏み入れる。第17ステージはダウンヒルが、続く第18ステージはイゾアール峠での勝負が待つ。第20ステージではマルセイユでの23km個人タイムトライアル。これを終えた段階で、総合首位に立つ選手がツール2017の覇者となるのが濃厚だ。

ツール・ド・フランス2017 第17ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第17ステージレイアウト © A.S.O.
ツール・ド・フランス2017 第18ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第18ステージレイアウト © A.S.O.

 なぜなら、最終の第21ステージはパリ・シャンゼリゼ通りまでパレード走行となるのが慣例だからだ。シャンゼリゼでも、基本は逃げやスプリントを見据えた走りとなり、総合を争ってきた選手たちは安全に走って終えることが多い。天候や路面コンディションによっては、総合時間をニュートラル扱いとし、全選手がステージ優勝者と同タイム扱いとなることさえある。つまりは、前日までの結果がすべてというわけだ。

 閉幕は7月23日で、総距離は3516km。平坦ステージ9、中級山岳ステージ5、上級山岳ステージ5(うち第5、12、18ステージが頂上フィニッシュ)、個人タイムトライアルステージ2、休息日2で構成され、チームタイムトライアルは設けられない。

各賞の有力選手をピックアップ

 ここからは、4つあるリーダージャージををめぐる戦いを予想すべく、有力選手をピックアップしていきたい。有力選手の動向はシーズン序盤からチェックして、ツール本番に向けた予習を重ねていこう。

マイヨジョーヌ(個人総合時間賞)

 まずは、栄光の黄色いジャージ。マイヨジョーヌから。

 近年は“ファンタスティック4”が話題となり、クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、ナイロアレクサンデル・キンタナ(コロンビア、モビスター チーム)、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が戦いの軸と見られてきた。この3人に、一昨年はヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、昨年はファビオ・アール(イタリア、アスタナ プロチーム)が加わるとの見方だった。

 今年もフルーム、キンタナ、コンタドールは中心人物となるだろう。さらに、昨年総合2位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)が入ってくることになる。

山岳で力強い走りを見せるクリストファー・フルーム(先頭)。後ろにリッチー・ポート、ナイロアレクサンデル・キンタナが続く。ツール2017の中心となるであろう選手たちだ =ツール・ド・フランス2016第12ステージ、2016年7月14日 Photo: Yuzuru SUNADA山岳で力強い走りを見せるクリストファー・フルーム(先頭)。後ろにリッチー・ポート、ナイロアレクサンデル・キンタナが続く。ツール2017の中心となるであろう選手たちだ =ツール・ド・フランス2016第12ステージ、2016年7月14日 Photo: Yuzuru SUNADA

 これまでは個人タイムトライアルが総合優勝争いのポイントになることが多かったが、今年のツールは第1ステージ13km、第20ステージ23kmと例年に比べて短い。40km前後の長距離個人TTだと、得意な選手と苦手な選手との差が3~4分程度の開きが発生することがあった。だが今年はそうはいかない。

 やはり登坂力勝負となりそうだ。よほどのアクシデントがない限り、有力選手たちは一団となって難関山岳へと突入するはず。そこから勝負を分けるのは、一瞬の判断力とアタックでのパンチ力、ペースを上げた際のスピード持久力となってくる。

 これらを兼ね備えるのが、現在のプロトンにおける絶対王者であるフルーム。山岳・TTどちらでもタイムを稼げるが、TTの比重が小さくなる今年のツールではどんな戦術を見せるか。好調時は、大会前半の山岳ステージで先手を打ち、そこで得たタイム差を守りつつライバルにスキあらば次なる攻撃へと展開した。

山岳の比重が高まり、チャンスが膨らんでいるナイロアレクサンデル・キンタナ =ツール・ド・フランス2016第19ステージ、2016年7月22日 Photo: Yuzuru SUNADA山岳の比重が高まり、チャンスが膨らんでいるナイロアレクサンデル・キンタナ =ツール・ド・フランス2016第19ステージ、2016年7月22日 Photo: Yuzuru SUNADA

 昨年のツールは総合3位、続くブエルタ・ア・エスパーニャで強さを発揮し初優勝したキンタナ。コロンビアの高地を拠点とし、そこでのトレーニングを経てツールへと確実に合わせてくる。上りでのアタックはフルームをも凌駕し、フィニッシュまでハイスピードを維持する。TTでの遅れが勝負に影響を及ぼすことも少なくなかったが、その意味でTTの距離が短い今年のツールはキンタナ向きと捉えてもよさそうだ。昨年末にジロ・デ・イタリアとのダブルエントリーの意向を表明したが、2つのグランツール出走がどう転がるかも見もの。

ロマン・バルデは上り・下りともに得意とする =ツール・ド・フランス2016第19ステージ、2016年7月22日 Photo: Yuzuru SUNADAロマン・バルデは上り・下りともに得意とする =ツール・ド・フランス2016第19ステージ、2016年7月22日 Photo: Yuzuru SUNADA

 バルデもTTでタイムを失うことが多かったが、今度は上手くまとめられれば山岳での本格勝負に持ち込めるはずだ。ちなみに、昨年のツールでは2度の個人TTステージでフルームにつけられたタイム差は合計3分31秒。単純計算ではあるが、最終的なタイム差が4分5秒だったことを考えると、山岳では互角またはそれ以上に走ることができると見てよいのかもしれない。

リッチー・ポートはベストな状態で3週間を走りきればさらなる上位進出が期待できる =ツール・ド・フランス2016第17ステージ、2016年7月20日 Photo: Yuzuru SUNADAリッチー・ポートはベストな状態で3週間を走りきればさらなる上位進出が期待できる =ツール・ド・フランス2016第17ステージ、2016年7月20日 Photo: Yuzuru SUNADA

 ポートは昨年、総合5位となり初のトップ10入り。かつてはフルームのアシストを務めていた関係もあり、移籍初年が実質エースとして臨む初めてのツールだった。大会序盤はバイクトラブルもあり遅れたが、尻上がりに調子を上げ、大会後半には山岳でフルームと好勝負を演じた。3週間を通してトラブルなく走ったケースは乏しいが、ベストな状態で走り続けられればどれだけ上位に食い込むことができるのか。得意の個人TTで稼ぐことは難しいが、持ち味の積極性とライバルとの駆け引きで勝機を見出したい。

アルベルト・コンタドールは強力アシストを擁して上位返り咲きを狙う =ツール・ド・フランス2016第5ステージ、2016年7月6日 Photo: Yuzuru SUNADAアルベルト・コンタドールは強力アシストを擁して上位返り咲きを狙う =ツール・ド・フランス2016第5ステージ、2016年7月6日 Photo: Yuzuru SUNADA

 一方、軽やかなダンシングでグイグイと前へ進む走りが魅力のコンタドールだが、34歳となり全盛期からの力の衰えは否めない。個の力では勝負が難しいことは織り込み済みで、今年から加わるチームでバウケ・モレマ(オランダ)らのアシストを受けつつ、勝負どころを見定める心積もりだ。また、シーズン前半のステージレースで結果を出し、好調な状態でツールまでの日々を送ることも重要だとしている。そうしたスタンスが功を奏するか。昨年は落車を繰り返し、第9ステージ途中でリタイア。レース中のアクシデントも避けたい。

 フランス国内5つの山脈すべてを通るルートだけに、山岳の比重が高まるわけだが、ステージ頂上フィニッシュは3つ。今年は、最後の上りを終えると、フィニッシュに向かってダウンヒルとなるステージが増えている印象だ。展開次第ではあるが、このところトレンドになりつつある「ダウンヒル勝負」も見られる可能性が高い。昨年のツール第8ステージでは、フルームが下りアタックを成功させてステージ優勝。そのまま総合へとつなげた。また、バルデもダウンヒルを得意とする。テクニカルな下りがマイヨジョーヌ争いを動かすキーポイントになっても不思議ではない。

昨年ツール総合4位と大活躍のアダム・イェーツ。さらなる飛躍が約束される =ツール・ド・フランス2016第18ステージ、2016年7月21日 Photo: Yuzuru SUNADA昨年ツール総合4位と大活躍のアダム・イェーツ。さらなる飛躍が約束される =ツール・ド・フランス2016第18ステージ、2016年7月21日 Photo: Yuzuru SUNADA

 そのほかでは、昨年総合4位と大躍進したアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)も大きなチャンスを秘める。双子の兄弟であるサイモンとの共闘で、どこまで駆け上がれるか。昨年は個人TTで少し苦しんだが、山岳では粘りに粘って上位をキープ。自らレースを動かして、よい流れに持ち込めるか。

 過去2回山岳賞のマイヨアポワを獲得したラファウ・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は、いよいよツールの総合争いに本格参戦。ジロやブエルタでの実績は十分だが、ツールでも実力通りに走ることができれば上位入りは間違いない。

 昨年総合8位のルイ・メインティス(南アフリカ、UAEアブダビ)や同9位のダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)も、個人TTの距離短縮が朗報となっている選手。クライマーの本領発揮で、さらなる上位進出をうかがう。地元期待の選手では、ワレン・バルギル(フランス、チーム サンウェブ)の名が挙がる。前回総合23位に沈んだ雪辱に燃える。

 こうして見ていくと、山岳巧者にも可能性のある3週間といえそうだ。合わせて、ダウンヒルテクニックも兼ね備えるべきポイントとなるだろう。

マイヨヴェール(ポイント賞)

 昨年と同数となる9つの平坦ステージ。ステージ優勝争いはスプリンターが主役となる。レギュレーションの正式発表はまだ行われていないが、前回と同じであれば、ステージの難易度に応じてポイント配分が変わり、平坦ステージであれば上位選手に与えられるポイントが大きくなる。

マイヨヴェールを争うであろう、ペテル・サガン(左)とマーク・カヴェンディッシュ =ツール・ド・フランス2016第5ステージ、2016年7月6日 Photo: Yuzuru SUNADAマイヨヴェールを争うであろう、ペテル・サガン(左)とマーク・カヴェンディッシュ =ツール・ド・フランス2016第5ステージ、2016年7月6日 Photo: Yuzuru SUNADA

 スプリンターの勲章、緑色のマイヨヴェールは、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)が5連覇中。今年はエリック・ツァベル氏(ドイツ)に並ぶ6連覇がかかる。スプリントでのステージ争いはもちろんだが、ステージ優勝を逃したとしても確実に上位でフィニッシュし、ポイントを逸しないのが強み。また、ピュアスプリンターと比較して登坂力に勝っており、山岳ステージでも途中まで逃げグループに潜り込んで、中間スプリントポイントで“貯金”に努めることもできる。基本、逃げグループをともにするメンバーたちは、マイヨヴェールに関係していない限り先着を譲るため、おのずとサガンに高ポイントが舞い込む“システム”と化している。

現行のレギュレーションでは、マイヨヴェール争いにおいてサガンの右に出る者はいない =ツール・ド・フランス2016第11ステージ、2016年7月13日 Photo: Yuzuru SUNADA現行のレギュレーションでは、マイヨヴェール争いにおいてサガンの右に出る者はいない =ツール・ド・フランス2016第11ステージ、2016年7月13日 Photo: Yuzuru SUNADA

 レギュレーションの大幅改正さえなければ、基本的な戦い方はこれまでと同じだろう。誰もがサガンの戦術を知っていながら、太刀打ちができない。それだけ、サガンの力がずば抜けており、走りが巧みだということだろう。「予定通り」ツール出場となれば昨年に続き、世界王者の証であるジャージ「マイヨアルカンシエル」をまとってスタートラインにつく。

 サガンの対抗馬を挙げることすら難しい状況にあるが、スプリントでステージを制するとの観点で見ていくと、実績豊富なマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)といったピュアスプリンターたちが魅せる場面はあるだろう。いずれも強固なスプリントトレインを擁し、力のあるリードアウトマンがエーススプリンターを発射する。レース終盤の各チームトレインの美しさも見どころ。

昨年はシャンゼリゼを制したアンドレ・グライペル =ツール・ド・フランス2016第21ステージ、2016年7月24日 Photo: Yuzuru SUNADA昨年はシャンゼリゼを制したアンドレ・グライペル =ツール・ド・フランス2016第21ステージ、2016年7月24日 Photo: Yuzuru SUNADA
ツール2016第4ステージを制したマルセル・キッテル =2016年7月5日 Photo: Yuzuru SUNADAツール2016第4ステージを制したマルセル・キッテル =2016年7月5日 Photo: Yuzuru SUNADA

 「上れるスプリンター」では、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、チーム カチューシャ・アルペシン)や、マイケル・マシューズ(オーストラリア、チーム サンウェブ)、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)の名が挙がる。脚質的にサガンのポイント賞連覇にストップがかけられる存在ではあるが、彼らがどこまで“本気”になるかで状勢は変わってくる。チームオーダー次第では、総合系ライダーのアシストに回るケースも考えられ、そうなるとポイント賞狙いは大きな負担となってしまう。いずれにせよ、彼らの走りはチームの方針次第となる。

アレクサンドル・クリストフ(左から2人目)はペテル・サガンの対抗馬となれるか =ツール・ド・フランス2016第11ステージ、2016年7月13日 Photo: Yuzuru SUNADAアレクサンドル・クリストフ(左から2人目)はペテル・サガンの対抗馬となれるか =ツール・ド・フランス2016第11ステージ、2016年7月13日 Photo: Yuzuru SUNADA
マイケル・マシューズも「上れるスプリンター」の1人 =ツール・ド・フランス2016第10ステージ、2016年7月12日 Photo: Yuzuru SUNADAマイケル・マシューズも「上れるスプリンター」の1人 =ツール・ド・フランス2016第10ステージ、2016年7月12日 Photo: Yuzuru SUNADA

 地元フランス勢では、アルノー・デマール(エフデジ)、ブライアン・コカール(ディレクトエネルジー)、そしてナセル・ブアニ(コフィディス ソリュシオンクレディ)も悲願の初勝利を狙う。

マイヨアポワ(山岳賞)

 頂上フィニッシュが3つと、前回(4つ)より減ると同時に、複数の上級山岳を越えた後にフィニッシュへと下るステージが多いことから、山岳逃げを得意としている選手が有利となることが考えられる。

山岳賞狙いを公言しているティボー・ピノ。シャンゼリゼでマイヨアポワを着用できるか =ツール・ド・フランス2016第11ステージ、2016年7月13日 Photo: Yuzuru SUNADA山岳賞狙いを公言しているティボー・ピノ。シャンゼリゼでマイヨアポワを着用できるか =ツール・ド・フランス2016第11ステージ、2016年7月13日 Photo: Yuzuru SUNADA

 現時点で山岳賞狙いを公言しているのは、ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)。過去には総合3位を経験し、フランス国内での人気が高いライダーだが、今年はジロで総合を狙うため、その後に臨むツールの戦い方を変える。

 グランツールの山岳賞は基本的に、大会全体の流れと運が左右する。逃げを繰り返した末にポイントを重ねて山岳賞ジャージを獲得するケース。総合争いから大きく遅れたクライマーが狙いをシフトするケース。総合争いが活性化したことで逃げが決まりにくくなり、結果的に総合上位の選手が山岳賞も獲得するケース。昨年のマイカのように、チームリーダーの離脱によって巡ってきたチャンスをものにしたケースなどさまざま。ピノが最有力ではあるものの、大会期間中に新たなライバルが浮上するはずだ。

マイヨブラン(新人賞)

 25歳以下の選手が対象のホワイトジャージ。今年は1992年以降の生まれで、総合最上位の選手がジャージに袖を通す。

2016年のジロ・デ・イタリアで一足早く新人賞を獲得したボブ・ユンゲルス。ツール出場となれば、一躍マイヨブラン候補となる =ジロ・デ・イタリア2016第19ステージ、2016年5月27日 Photo: Yuzuru SUNADA2016年のジロ・デ・イタリアで一足早く新人賞を獲得したボブ・ユンゲルス。ツール出場となれば、一躍マイヨブラン候補となる =ジロ・デ・イタリア2016第19ステージ、2016年5月27日 Photo: Yuzuru SUNADA

 前回はアダム・イェーツが大活躍し、文句なしの新人賞獲得となった。約2分遅れ、惜しくもジャージに手が届かなかったメインティスも、本来なら受賞できたであろう好走を見せた。両者は今年が対象最終年。サイモン・イェーツも含めた、若手の激突が見られそう。

 昨年のジロで総合6位となり一足先に新人賞を獲得したボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)、ブエルタで総合9位となったダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム)も1992年生まれ。こちらはツール出場が未定だが、参加が決まれば有力なジャージ獲得候補となる。

 将来を嘱望される選手たちが、シーズンイン後にどれだけ台頭してくるか、楽しみは尽きない。

日本人選手出場の可能性

 最後に、日本人選手ツール出場の可能性と、出場チームについて押さえておきたい。

 昨年は新城幸也がランプレ・メリダの一員としてツールに出場。第6ステージでは自身通算2度目の敢闘賞を獲得。2年ぶりのツール返り咲きだったが、長年のプロ生活で培った走りで世界を魅了した。

 今年はプロトンきってのビッグチームとしてトップシーンに参入するバーレーン・メリダの創設メンバーとなった。層の厚い国際色豊かなチームだが、これまで通りフランスを拠点とし、ツールをメインターゲットの1つに据える。メンバー入りすれば、8度目の出場となる。

8回目のツール出場を目指す新城幸也。新興のバーレーン・メリダの一員としてスタートラインにつくことができるか =ツール・ド・フランス2016第6ステージ、2016年7月7日 Photo: Yuzuru SUNADA8回目のツール出場を目指す新城幸也。新興のバーレーン・メリダの一員としてスタートラインにつくことができるか =ツール・ド・フランス2016第6ステージ、2016年7月7日 Photo: Yuzuru SUNADA

 別府史之(トレック・セガフレード)は2009年以来8年ぶりの出場を目指している。昨シーズンはツールのメンバー入りを意識したレースプログラムを設定したが、グランツールはブエルタに回った。オールラウンダーらしく、平坦・山岳を問わない堅実なアシストでチームを引っ張る。ベテランとして、精神的支柱としての役割も期待される。

 チームは、移籍加入のコンタドールが中心となる。大きなレースでは、走力はもとより、レースをコントロールできる技術も必要とされる。経験がものをいう仕事は別府の真骨頂。「コンタドールをアシストする別府」の構図がツールで見られるか。

2016年はブエルタ・ア・エスパーニャで快走した別府史之。8年ぶりのツール出場を目指す =ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第8ステージ、2016年8月27日 Photo: Yuzuru SUNADA2016年はブエルタ・ア・エスパーニャで快走した別府史之。8年ぶりのツール出場を目指す =ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第8ステージ、2016年8月27日 Photo: Yuzuru SUNADA

 なお、新城のバーレーン・メリダ、別府のトレック・セガフレードともに、ツール出場の大前提である第1カテゴリー(UCIワールドチーム)に属する。この大会を取り仕切るアモリスポルオルガニザシオン(A.S.O.)を含む、ビッグレース主催者が出走人数の削減を打ち出しており(ツールは1チーム9人から8人出走へ)、今後の動きが気になるところだが、ひとまず両チームのツールへの出場は保障されている。

 自動選出される18のUCIワールドチームは以下の通り。

アージェードゥーゼール ラモンディアル(フランス)
アスタナ プロチーム(カザフスタン)
バーレーン・メリダ(バーレーン)
BMCレーシングチーム(アメリカ)
ボーラ・ハンスグローエ(ドイツ)
キャノンデール・ドラパック プロサイクリングチーム(アメリカ)
ディメンションデータ(南アフリカ)
エフデジ(フランス)
ロット・ソウダル(ベルギー)
モビスター チーム(スペイン)
オリカ・スコット(オーストラリア)
クイックステップフロアーズ(ベルギー)
チーム カチューシャ・アルペシン(スイス)
チーム ロットNL・ユンボ(オランダ)
チーム スカイ(イギリス)
チーム サンウェブ(ドイツ)
トレック・セガフレード(アメリカ)
UAEアブダビ(UAE)

 残る4つの椅子を第2カテゴリー(UCIプロコンチネンタルチーム)が争う。フランスチームが選出されるケースが多く、戦力的にも充実するコフィディス ソリュシオンクレディやディレクトエネルジー、フォルテュネオ・ヴィタルコンセプトは有力。同じくフランス籍のデルコ・マルセイユプロヴァンス・カテエムも力のある選手が多数加入し、晴れの舞台を目指している。

◇         ◇

 <後編>では、各ステージのレース展開を予想していきます。

福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、今ではロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。自転車情報のFacebookページ「suke’scycling world」も充実。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。ウェブサイト「The Syunsuke FUKUMITSU

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