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福田萌子の「もう一度、南の島を走りたい」<2>わずかな段差に「怖い、怖い!」 緊張を解き放った「スケートパーク」の特別レッスン

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 落車のトラウマを抱えつつ、何とかしてまた大好きなロードバイクに乗りたいと一歩を踏み出したモデルの福田萌子さん。自転車のプロ、「リンケージサイクリング」代表の田代恭崇さんとの対談で自身の体験や思いを打ち明け、少し前向きになったところで、基礎からの自転車レッスンに臨んだ。ただ、実際に公道に出ると、ちょっとの段差すら大きなハードルに。「やっぱり怖い…」と怯える萌子さんは、その「壁」を越えることができるのか?

←<1>「落車し乗れなくなった」…対談し再チャレンジ

笑顔で海沿いを走る福田萌子さん(右)と指導役の田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO笑顔で海沿いを走る福田萌子さん(右)と指導役の田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO

クロスバイクで再スタート

「僕の目を見て」と田代恭崇さんに言われ真っすぐ見つめてペダルをこぐ福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO「僕の目を見て」と田代恭崇さんに言われ真っすぐ見つめてペダルをこぐ福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

 レッスンをしてくれたのは、前回対談した田代さん。開催するサイクリングイベントやスクールは丁寧な指導で知られている。神奈川県藤沢市のクラブハウスでレッスンが始まった。

 用意されたのは黄緑の鮮やかなキャノンデールのクロスバイク「QUICK 4」。ロードバイクよりも体の上体が起きるため、ビギナーでも扱いやすい。乗り始めたばかりのロードバイクで落車してしまった萌子さんの表情も少しやわらぐ。まずはローラー台にバイクをセットし、シートポストの高さを調節する。

 バイクのセッティングには、元プロライダーでもあるキャノンデール・ジャパンの山本和弘さんが一役買ってくれた。「サイズを合わせていないと、疲れてしまうどころか、体を上手に動かすことができず、回避行動を取れない場合もあります。しっかりとフィットしたバイクに乗りましょう」。

福田萌子さん、田代恭崇さんが練習に使用したキャノンデールのクロスバイク「QUICK 4」(クイック) Photo: Kenta SAWANO福田萌子さん、田代恭崇さんが練習に使用したキャノンデールのクロスバイク「QUICK 4」(クイック) Photo: Kenta SAWANO

 山本さんは今回の企画で萌子さんをサポートするプロのひとりだ。空気圧やクイックリリースのチェックなど、乗る前の点検項目を説明し、萌子さんも真剣な表情で各パーツを確認した。

キャノンデール・ジャパンの山本和弘さんにサドルの高さを調節してもらう福田萌子さん Photo: Kenta SAWANOキャノンデール・ジャパンの山本和弘さんにサドルの高さを調節してもらう福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO
バイクのセッティングを終え、満面の笑み Photo: Kenta SAWANOバイクのセッティングを終え、満面の笑み Photo: Kenta SAWANO

 事前の説明が終わり、バイクに恐る恐るまたがる萌子さん。立ったまま固定ローラーで漕ぎ出すと、漕ぎ始めに片方のペダルに体重が乗り、スムーズにサドルに座ることができず「ガクッとなっちゃう」と慌てた様子。田代さんはすぐに代わって実演してみせ、「視線を下に落とさず、前をしっかりと向いたまま、ゆっくりとペダルを踏み出すことが重要です。公道に出るときはブレーキレバーを握りながらまたがれば、前に進まず大丈夫です」と説いた。

久々の路上「やっぱり不安…」

 一つ一つの指導に対し、萌子さんはうなずきながら実践。少しでも分からないことがあると「もう一度教えてください」と積極的だ。最初こそぎこちなかったが、同じ動作を繰り返すうちにスムーズに乗車できるようになっていった。ローラーの上ではあるが、肩の力が抜け、リラックスしてペダルを回せるところまできた。

 「それじゃあ、そろそろ外に出てみますか!」。田代さんの一声で、いよいよ路上へ。クラブハウスから約3km、江ノ島を眺める鵠沼海浜公園の練習場所まで、10分足らずのライドだ。少し風はあるが、穏やかな日差しが心地よい。ところが、萌子さんは「本当に乗れるかな。やっぱり不安…」とヘルメットのストラップをしめる。その顔に先ほどまでの笑みはない。

久々の「路上」を前に少し緊張気味?の福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO久々の「路上」を前に少し緊張気味?の福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

 田代さんを先頭に狭い路地を進み、踏切を渡って練習場を目指す。途中、萌子さんはわずかな路面の継ぎ目や下り坂でも「怖い、怖い!」とスローダウン。これは先が思いやられると、正直不安がよぎった。

 それでも、一行が海岸に近づき、視界に湘南の海が飛び込んでくると、萌子さんが歓声を上げた。「こんなに見晴らしがいい場所に来れるなんて! 本当に気持ちいい!」と、うれしそうに海を見つめる。開けた景色を堪能する余裕がみえはじめた。

江の島を見渡す海岸沿いに出てリラックスした表情の福田萌子さん。左は田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO江の島を見渡す海岸沿いに出てリラックスした表情の福田萌子さん。左は田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO

 田代さんが練習場に選んだのは、鵠沼海浜公園スケートパークのホッケーリンク。25mプールの跡地で、周りに干渉されず伸び伸びと練習に専念できる。落車の恐怖に“特効薬”はないが、バイクを扱う基礎をしっかり身に着ければ、その自信が余計な恐怖を打ち消してくれるはずだ。

 田代さんはまず、萌子さんに走行中にペダルの上で立たせ、重心を意識するよう指導。バランスを取りつつ、安全に止まる、曲がる際に重心は重要だ。最初はフラフラとして危うさもあったが、リンクを何周もするうちに安定してくる。やがて、「コツがわかったかも!」と無邪気に走り続ける。

一本橋とパイロンで基礎練習

田代恭崇さんの指導でスラロームに挑戦する福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO田代恭崇さんの指導でスラロームに挑戦する福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

 次に田代さんが用意したのは5mほどの細長いシート。これを“一本橋”に見立てて渡りきる。「目線を落とさないで、遠くを見て」と声をかけられ、萌子さんは一本橋をクリア。また、パイロンを使った練習では、初歩的なカーブの曲がり方から八の字走行まで体験。田代さんは自転車の前を動き回りながら、身振り手振りでアドバイスを出していく。やがて萌子さんの表情から緊張は消え、一連の流れをスムーズに行えるまでになっていった。

 休憩もとらずにリンクを回り続けていると思えば、突如「わたし、生まれて初めて立ちこぎしてる! これまでは怖くて大会でもしたことがなかったのに!」と、満面の笑み。「運動自体は好きだし、元々体力には自信がありました。こうしてテクニックを覚えていくことに楽しみを感じるし、いつまでも続けていたい」とレッスンに没頭していた。複雑なコーナリングも笑顔でこなせるようになり、みるみるうちに自信を取り戻したようだ。

一本橋の練習に挑む福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO一本橋の練習に挑む福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO
田代恭崇さん(右)からブレーキングの指導を受ける福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO田代恭崇さん(右)からブレーキングの指導を受ける福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

 夕方、練習を終えた萌子さんからは、出発前の緊張の色はほとんど消えていた。バイクを操る姿には余裕すらうかがえる。ちょうど沈もうとする夕日に脚を止め、「本当にキレイ…」としばし見入った。萌子さんは「こんな景色に出会えるのもサイクリングの魅力。もっと練習を重ねて、安全に楽しく乗れるようになりたい」と決意を新たにしていた。

湘南の海に落ちる夕日を見ながら充実した1日を振り返る福田萌子さん(右)と田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO湘南の海に落ちる夕日を見ながら充実した1日を振り返る福田萌子さん(右)と田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO

◇         ◇

 萌子さんは2月の「サイクリング屋久島完走」という目標に向け、順調なスタートを切った。田代さんのレッスンを受けた後、自らバイクに乗って着々と練習を積んでいる。次回はいよいよロードバイクに再デビューする。屋久島を想定したアップダウンやコーナーにも挑戦し、心と体を慣らしていく。

→<3>「乗れるかな…」ロードバイク再デビューへ

→<番外編>カスタムラボで「萌子号」プレゼント

→<4>完走 「自転車を楽しめる場所に帰ってきた」

→<5>「落車が成長させてくれた」屋久島レポート

◇この日の福田萌子さんの装備

クロスバイク「QUICK 4 (カラー:ACID GREEN)

ヘルメット「サイファー ロード (カラー:GRB)

福田萌子
福田萌子(ふくだ・もえこ)

沖縄県出身のモデル。身長176cmの日本人離れしたスタイルで、2010年ミス・ユニバース・ジャパンでは3位入賞。スポーツ用品ブランドのアンバサダーなどを務める。自転車をはじめマラソンやトライアスロン、ヨガ、セパタクローなど幅広いスポーツをアクティブにこなしてきたが、2015年ホノルルセンチュリーライドで落車し、その恐怖から自転車に乗れずにいた。

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