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最高品質のチタンを国内で加工製作「機材の妥協は絶対にしない」 窪木一茂が選んだチタンボルト「βチタニウム」

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 自転車を構成する部品として欠かせない「ボルト」。パーツがいくら高価でも、繋ぎとめるボルトが弱いと性能を発揮できない。リオ五輪にオムニアム代表として出場した窪木一茂は、自身で準備するトラックバイクや使用するパーツ全てに対して妥協はない。ボルトも例外ではなく、強度と剛性に徹底的にこだわって選んだのが日本特殊螺旋工業が作るチタンボルト「βチタニウム」だった。

チタンボルト「βチタニウム」の有用性を語る窪木一茂 Photo: Shusaku MATSUOチタンボルト「βチタニウム」の有用性を語る窪木一茂 Photo: Shusaku MATSUO

優れた強度と剛性のチタンボルト

 βチタニウムのボルトは国内の工場で一本ずつ切削、転造加工を行っている。Ti-6Al-4V「TAB6400」というJIS(日本工業規格)に規定される最高級素材を採用。製造過程において、かじりつきや焼きつきを押さえ、優れた強度と剛性を実現した。また、陽極酸化処理が施され、酸化皮膜により発色する美しさも特徴のひとつだ。βチタニウムは精度と強度が求められる現場で既に結果を出している。

陽極酸化処理が施された美しいボルト Photo: Shusaku MATSUO陽極酸化処理が施された美しいボルト Photo: Shusaku MATSUO
「ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチーム」の車両各部に採用されている(2016参戦レーサー) 画像提供:株式会社ヨシムラジャパン「ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチーム」の車両各部に採用されている(2016参戦レーサー) 画像提供:株式会社ヨシムラジャパン

 二輪モータースポーツシーンでは、“鈴鹿8耐”など最高峰のレースで活躍する国内トップチームの「ヨシムラスズキレーシングチーム」が使用。時速300km/hの高速域で、高負荷がかかる環境のなか、10年間で1本のボルトも折れることなくライダーの走りを支えている。また、航空機、宇宙衛星、産業ロボットなどにも組み込まれ、信頼を獲得している。

窪木が求める“ハイエンド機材”でインプレッション

 NIPPO・ヴィーニファンティーニに所属する窪木は、ロードレースシーンではチームがメーカー側からスポンサードされている機材(ネジを含めた純正品)のみを使用している。一方、並行して打ち込むトラック競技で使用するトラックバイクは、チームの機材サポートの範囲外となるため、自らこだわって選択した機材を投入。 βチタニウムのボルトやパーツは窪木のトラックバイクのいたるところに装着されていた。

「スピードプレイ」のペダルのシャフト、プレート、ボルトをβチタニウムに換装している Photo: Shusaku MATSUO「スピードプレイ」のペダルのシャフト、プレート、ボルトをβチタニウムに換装している Photo: Shusaku MATSUO

 今回はあらためてβチタニウムボルトの性能に迫るべく、窪木に屋外バンクで実走してもらった。レース時のシチュエーションに限りなく近づけるため、トラックの国際大会で高い使用率を誇るLOOK(ルック)のトラックバイク「L96」を使用し、カンパニョーロの前後ディスクホイール「ギブリウルトラ」にヴィットリアのトラック専用タイヤ「PISTA 23mm」を装着した。

機材に妥協がない窪木がこだわったトラックレース用バイク Photo: Shusaku MATSUO機材に妥協がない窪木がこだわったトラックレース用バイク Photo: Shusaku MATSUO

 「こだわっているのは軽量性と剛性です。軽くて硬いほどいい」と、窪木は機材に求める性能を明かす。トラックレースにおいて、パワーは少しもロスしたくないという。また、「わずかな重量減でも、積み重ねることで大きな差に繋がる」とこだわりを語った。

左右でコンパウンドとパターンを分けたトラック専用のヴィットリア「PISTA23mm」 Photo: Shusaku MATSUO左右でコンパウンドとパターンを分けたトラック専用のヴィットリア「PISTA23mm」 Photo: Shusaku MATSUO
窪木が「このホイールでないとダメ。随一の性能だ」と明言し評価したカンパニョーロ「ギブリ」を前後に装着 Photo: Shusaku MATSUO窪木が「このホイールでないとダメ。随一の性能だ」と明言し評価したカンパニョーロ「ギブリ」を前後に装着 Photo: Shusaku MATSUO

 今回使用したギブリについても言及。「トラックレースにおいてこのホイールを超えるものはない」と断言した。「振りが軽く、パリパリとしたフィーリングが特徴。踏めば踏むほどパワーを推進力に変換していく感じ。頭打ちがない伸びも魅力的」と絶賛した。

 装着されたPISTA23mmは、トラック用タイヤにしては太めな印象。窪木は「バンクの走路で、いつも感じる以上に走行感が軽い。カントがきついバンクで、上からかけ下ろしても安定した加速感が得られました」と評価。機材に対して徹底的にこだわる窪木が太鼓判を押す組み合わせだ。

周回を重ね、感触を確かめる窪木一茂 Photo: Shusaku MATSUO周回を重ね、感触を確かめる窪木一茂 Photo: Shusaku MATSUO

窪木「パワーの平均、最大値を更新した」

 窪木のエルゴステムには全てのボルトにβチタニウムを採用。上半身の力をバイクに余すことなく伝える役目を果たしている。ねじる方向に力を加えるため特に有効だという。「トラックレースのように、常に高いパワーを出しつつ、アタックも頻繁に行う環境で絶対にステム、ハンドルでパワーロスをしたくない。ボルトを変えてからそれは無くなった」と証言する。また、目を引くのが陽極酸化処理が施されたスピードプレイペダルのシャフトだ。

窪木が使用するバイクにも採用され、「パワー伝達率と安定性が変わる」と評価したβチタニウム製ペダルシャフト Photo: Shusaku MATSUO窪木が使用するバイクにも採用され、「パワー伝達率と安定性が変わる」と評価したβチタニウム製ペダルシャフト Photo: Shusaku MATSUO
ステム周りのボルトはパワー伝達に直結するため全てβチタニウム化している Photo: Shusaku MATSUOステム周りのボルトはパワー伝達に直結するため全てβチタニウム化している Photo: Shusaku MATSUO
ポジション調整に触れることが多いサドル廻りのボルトも換装 Photo: Shusaku MATSUOポジション調整に触れることが多いサドル廻りのボルトも換装 Photo: Shusaku MATSUO

 「このペダルはノーマルシャフトに比べて全く違う。パワーロスを抑えられることもさることながら、ペダリング時の安定感が変わった。左右が均等に安定し、高いパワーで踏み続けることができた。データにも表れている」と語り、βチタニウムを投入し始めてから平均パワーと最大パワーの値を更新したことを明かした。

 窪木は実走を終えると「あらためてボルトの良さを感じた。今回は最高の機材を用意して走りましたが、パーツ全てのメリットを引き出せています。また、僕は自分で機材をいじることが多いのですが、ナメづらく、扱いに神経質にならなくてもよいので助かっています」と感想を述べた。

トレーニング時、バンク走行でも安定した数値を示すSRMのデータ (提供写真) トレーニング時、バンク走行でも安定した数値を示すSRMのデータ (提供写真) 

チタンボルトのイメージを変えたい

βチタニウムの素材、効果を語る日本特殊螺旋工業の木内宏昌社長 Photo: Shusaku MATSUOβチタニウムの素材、効果を語る日本特殊螺旋工業の木内宏昌社長 Photo: Shusaku MATSUO

 βチタニウムを製作する日本特殊螺旋工業の木内宏昌社長は「チタンボルトが折れやすい、焼きつき、かじりやすいというイメージを払拭したい」と意気込む。「世の中には粗悪な素材を使用したチタンボルトが出回りすぎた。品質に差があり、強度を保っていないチタンボルトが折れるのは当然です」

 「しかし、βチタニウムは最高品質の素材と、優れた精度の製作過程で生み出されます。モータースポーツ業界でも信用を得ています。自転車競技においても選手の力を100%発揮するための機材として使用してもらいたい。選手のフィジカルをさらに上げる手助けにもなるでしょう」と自信をみせた。

 βチタニウムのボルトは規格を伝えると基本的に全てのボルトがオーダーメイド可能だ。オーダーにはボルトの頭の形、ピッチ数、長さなどをショップを通して伝える必要がある。関東では東京・秋葉原の「RAMON BIKES」、関西では大阪・天王寺の「BICYCLE STUDIO MOVEMENT」がオーダーに対応。ステムやシートポスト、シャフトなどを“βチタニウム化”してカスタムを堪能してみてはいかがだろうか。

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