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福田萌子の「もう一度、南の島を走りたい」<1>「落車のトラウマで乗れなくなった」 福田萌子さんが田代恭崇さんと対談し再チャレンジへ

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 サイクリストなら誰もが無縁でない「落車」経験。その恐怖ゆえ、自転車から遠ざかってしまう人もいる。モデルとして活躍する福田萌子さんもそんな一人だ。大好きな自転車のライドイベントで落車し、負傷。トラウマに悩みながら、「もう一度ロードバイクに乗りたい」と、熱い思いを抱き続けてきた。その思いにこたえようと、Cyclistでは一流のプロの力を借り、萌子さんのチャレンジを後押しすることにした。「ゴール」までの軌跡を連載でお届けする。

落車でケガをした場所を指差す福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO落車でケガをした場所を指差す福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

買って早々100km、”坂好き”宣言

 「ロードバイクを買った直後なのに、『サイクリング屋久島』を完走できてしまったんです」。にこやかに語る萌子さんは、176cmのスレンダーボディでフルマラソンやセパタクローまでこなすアクティブな女性だ。2015年2月、知人の誘いで参加した世界遺産・屋久島のイベントで、アップダウンが連続する100kmのコースを走り切った。ロードバイクにのめり込むのに、時間はかからなかった。

 数カ月後、3万人が参加するニューヨークのバイクイベントを走り「初心者ですが私もその中の1人になって楽しめた事が本当に嬉しかった」(自身のインスタグラム)と感動をあらわに。「平坦な道程64kmだったので楽々でした。果てしなく見上げる坂道を登りたいなって思ったぐらい(笑)」と、早くも”坂好き”の片鱗すらうかがわせた。

クールにロードバイクのホイールを持つ福田萌子さん(Facebookのプロフィールから)クールにロードバイクのホイールを持つ福田萌子さん(Facebookのプロフィールから)

「全身が凍って涙が出そうに」

「またロードバイクに乗りたい」とキャノンデールのロードバイクの前に立つ福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO「またロードバイクに乗りたい」とキャノンデールのロードバイクの前に立つ福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

 だが、楽しいはずの自転車ライフは突如”暗転”した。その年の9月、ハワイの人気イベント「ホノルルセンチュリーライド」で激しく転倒。顔や体に傷を負っただけでなく、事故の恐怖がトラウマとしてのしかかった。「起きてしまった事は変えられないから、くよくよしてても始まらない」と健気に振る舞ってはいたが、再び乗ろうとすると体はこわばり、冷や汗が出た。

 2016年2月には再び「サイクリング屋久島」参加を目指したが、「事故の瞬間が頭から離れず、小さな段差を越えるだけで全身が凍って涙が出そうに」。結局、スタート直前に参加を断念した。仲間の帰りをただ待つのは耐えられず、「勝手にハーフマラソン」と称して約20kmを走った。

 悔しい現実を突きつけられてなお、「ロードバイクに乗る事を諦めた訳ではありません」と言い切る。「弱い自分に打ち勝ってまた一つ成長できたら」。その時まで体力と筋力を維持しようと、フィットネスバイクのレッスンにも通っている。それなら、走れなかった「屋久島」をゴールに、今一度心の傷と向き合ってみてはどうか。そんな話し合いを経て、2017年2月の「南の島」のイベント完走に向け、萌子さんのチャレンジが始まった。

田代恭崇さんと対談

 自転車に乗れなくなってしまった萌子さんの心の傷を少しでも癒し、自信を取り戻せるよう、Cyclistではまず、対談を用意した。相手は元プロ・ロードレーサーでアテネ五輪代表の田代恭崇さん。サイクリングの魅力を伝える「リンケージサイクリング」でツアーやコーチングを手掛け、ビギナーから上級者まで幅広い支持を集めている。

 「自転車では長い距離も走ることができる。こんなに気持ちがいいことはありません。何とか乗れるようになりたい」と悩みを打ち明ける萌子さんの話に、田代さんは熱心に聞き入った。自身の落車経験なども織り交ぜ、「落車を防ぐためには素早い状況判断と技術が必要です。一緒に身に着けていきましょう」とアドバイスした。

福田萌子さんの質問に答える田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO Photo: Kenta SAWANO福田萌子さんの質問に答える田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO Photo: Kenta SAWANO

「正しい知識を持つことが大切」

田代恭崇さんに落車体験を話す福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO田代恭崇さんに落車体験を話す福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

田代さん:ロードバイクを乗った経験がないまま100km走れてしまったんですか?それは相当な運動神経だと思います。

萌子さん:フルマラソンも年に何回か出場するし、他にもスポーツは大好きで常に体は動かしていました。運動が大好きなんです!サイクリング屋久島では仲間よりも上りは速かったですね。でも、下りは本当に怖くて、ブレーキを握りっぱなしか、急な斜度の箇所は降りて歩いていました。

田代さん:その状態でロードバイクに乗るのは危ないですね。スピードにもよりますが、3秒もあれば50m近く進んでしまう乗り物です。萌子さんほど体力があればスピードも簡単に出てしまいます。正しい知識を持つことが再び自転車に乗れるようになるポイントでしょう。

福田萌子さんの質問に答える田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO福田萌子さんの質問に答える田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO

田代さん:ホノルルで落車したときの状況を詳しく教えてください。

萌子さん:当日は大雨で、落車はコーナーに差し掛かったときでした。気がついたら目の前に鉄板があって、避けたかったのですが反対車線に出ると車が前から来るかもしれません。雨で濡れた鉄板にブレーキを握ったまま乗ってしまい、フロントタイヤがスリップして、わけがわからないまま激しく転んでいました。以来、ジョギング中でも鉄板の上を走ることが怖くなりました。

田代さん:それは状況判断と予測が遅れてしまったことが原因のひとつですね。余裕を持ってライドして、しっかりと前を見ていれば止まることもできたかもしれません。ところで、萌子さんは自転車のブレーキのかけ方って知っていますか?

萌子さん:え、レバーを握ればいい・・・のでしょうか?あらためて言われるとわからないです。

田代さん:日本の自転車は右レバーがフロントブレーキ、左レバーがリアブレーキの場合が多いです。右のレバーを握りすぎるとフロントタイヤが滑ったり、後輪が浮いて転んでしまいす。左のレバーを強く握ると簡単にリアタイヤが滑ってしまいます。基本は両方一緒に均等の力で握りましょう。まずは安全に「止まる」「スピードを落とす」ことができれば落車のリスクは減少します。

萌子さん:わかりました!気をつけます。

「重心の位置が重要」と教える田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO「重心の位置が重要」と教える田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO

田代さん:正しいポジションで、フォームを意識することも大切です。どうやってポジションを合わせましたか?

萌子さん:サドルの高さはこのくらいかなぁ・・・って何となく決めました。

田代さん:ポジションは人によって全然違います。間違ったポジションで乗ってしまうと上半身に力が入りすぎてしまったり、視線が下がってしまう危険もあります。ハンドルに体重を乗せすぎると体幹を使えないですし、バランスを取れません。急な動きにも対応でき、リラックスできるポジションを出しましょう。

「落車の恐怖からどうやって克服できましたか?」

過去の落車体験を体を使って振り返る田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO過去の落車体験を体を使って振り返る田代恭崇さん Photo: Kenta SAWANO

萌子さん:田代さんは今まで落車したことはありますか?

田代さん:もちろんありますよ!服の下は傷だらけです(笑) レース中は50km/hを超えるスピードで走ることもあります。他の選手と接触したり、コーナーを曲がりきれずに転ぶことが多いですね。

萌子さん:トラウマになったり、怖くなったりはしませんでしたか?

田代さん:正直言って怖くなります。ただ、僕たちの場合は仕事だから走り続けなければなりません。プロの選手でも精神的にダメージを負うので、一般の方が怖いと感じるのは当たり前です。

萌子さん:どうやって克服しましたか?

田代さん:僕は車のレースゲームをして気を紛らわせたりしていました(笑) 走りながら克服する選手も多いのではないでしょうか。なぜ転んだのか原因がわかっているので、怖いのは最初だけかもしれません。

田代さん:基本的に自転車は車道を走らなければなりません。車と一緒に走ることになります。最初にも言いましたが、状況判断と予測、最低限の技術は必要です。20km/hくらいのスピードなら安全に楽しく走れると思うので、クロスバイクから始めてみるのはどうでしょうか。

「またロードバイクに乗りたい」とリンケージサイクリングの田代恭崇さん(右)に相談に来た福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO「またロードバイクに乗りたい」とリンケージサイクリングの田代恭崇さん(右)に相談に来た福田萌子さん Photo: Kenta SAWANO

 対談を終えた萌子さんは「ちょっとだけ自信が出てきました!乗れるかなぁ~」と不安そうながらも笑顔で答えた。次回は田代さんが萌子さんにライディングをレッスン。田代さんからのアドバイスどおり、まずはクロスバイクで練習を始める。

→<2>段差に「怖い」スケートパーク特別レッスン

→<3>「乗れるかな…」ロードバイク再デビューへ

→<番外編>カスタムラボで「萌子号」プレゼント

→<4>完走 「自転車を楽しめる場所に帰ってきた」

→<5>「落車が成長させてくれた」屋久島レポート

福田萌子
福田萌子(ふくだ・もえこ)

沖縄県出身のモデル。身長176cmの日本人離れしたスタイルで、2010年ミス・ユニバース・ジャパンでは3位入賞。スポーツ用品ブランドのアンバサダーなどを務める。自転車をはじめマラソンやトライアスロン、ヨガ、セパタクローなど幅広いスポーツをアクティブにこなしてきたが、2015年ホノルルセンチュリーライドで落車し、その恐怖から自転車に乗れずにいた。

「リンケージサイクリング」概要

■住所:神奈川県藤沢市片瀬4-14-4
■電話:0466-51-8497
■アクセス:江ノ島電鉄線 湘南海岸公園駅から徒歩約5分、小田急江ノ島線 片瀬江ノ島駅から徒歩約10分
■営業時間:9:00~18:00(木曜休館)
■スポーツレンタルサイクル:クロスバイク1日 4,320円(税込)傷害・賠償責任保険付
電動アシストロードバイク1日 4,320円(税込)傷害・賠償責任保険付

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