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猪野学の“坂バカ”奮闘記<5>自転車界にもっと華を! 「チャリダー★坂バカ女子部」オーディションに集まった魅力的な女性たち

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 毎週どこかの山で開催されているヒルクライムレース。大きいレースでは出場者が8000人を超えるポピュラーなイベントだ。実はこのヒルクライム、世界でも日本以外の国ではあまりないタイプのレースの様で、「上るだけで終わるレース」であることを外国人に言うと、そんなアホなレースがあるのか、と呆れられる。ただ、日本ではポピュラーとはいえ、やはり女性の参加者はまだまだ少ない。そもそも女性サイクリストが少ない。私のSNSの友達申請もオッサンばかりで非常に残念だ。そこで、私は番組『チャリダー★』とともに立ち上がることにした。ヒルクライム界、自転車界にもっと華を! もっと女性サイクリストを盛り上げて行こうではないか!

猪野監督率いる坂バカ女子部猪野監督率いる坂バカ女子部

世の中に“坂バカ女子”がいるのか?

坂バカ女子部の個性的な面々。左から大宅陽子、三谷尚子、佐藤綾衣、牧野ステテコ坂バカ女子部の個性的な面々。左から大宅陽子、三谷尚子、佐藤綾衣、牧野ステテコ

 そうして結成されたのが『坂バカ女子部』だ。とはいえ、正直始めは世の中に坂バカ女子がいるかどうか、半信半疑だった。現に私は、昔付き合っていた彼女とサイクリングに行った際に坂の多いコースを選び、途中でブチ切れられた事がある。坂と女子は水と油…私はその時学んだのだ。こんな企画、応募してくれる女性が果たしているのだろうか?

参加者たちの坂バカ度をみるため“ローラー台フルもがき”を実施参加者たちの坂バカ度をみるため“ローラー台フルもがき”を実施

 しかしいざ蓋を開けたら、200人以上の応募があった。文面にも熱い想いが溢れかえっていた。それでも私の中ではいまだ疑問が渦巻いていた…本当に世の中に200人もの坂が好きな女性か居るのだろうか? だってヒルクライムレースの女子出場者が200人を超えるレースなんてほとんどない。これは「テレビに出たいだけ女子」や「ただの賑やかし」も居るかも知れない。書類審査で人数を絞った上で、実際にお会いして確かめてみることにした。

個性的な“坂バカ女子”たちが勢ぞろい

 上は64歳から下は19歳、個性的なメンバーたちが集まってくれた。そしてやはり私の予想通り「ただの賑やかし」や「テレビに出たいだけ女子」もいた…芸人衆だ。 せっかくの坂バカオーディションがネタ披露の場に。う〇こを我慢しながら歌うaikoの物真似や、自転車下ネタ。悔しいが、これがなかなか面白い。

オーディション会場を凍りつかせたステテコさん渾身の持ち芸オーディション会場を凍りつかせたステテコさん渾身の持ち芸
ステテコさんの特技“謝罪”を実演してもらうため、激昂するお芝居を演じる猪野監督ステテコさんの特技“謝罪”を実演してもらうため、激昂するお芝居を演じる猪野監督
一度はスポットライトを浴びてみたい・・・切実な理由でオーディションに参加した崖っぷち芸人・牧野ステテコさん一度はスポットライトを浴びてみたい・・・切実な理由でオーディションに参加した崖っぷち芸人・牧野ステテコさん

 掴みの意味で芸人を入れるのも悪くない。そこで選ばれたのが牧野ステテコだ。決してネタが面白かった訳ではない(破壊力はある意味バツグンだったが)。ただ他の芸人さん達よりクライマー体型だった。結果、ステテコはヒルクライム会場でおじさま達からいじられる人気キャラとなってくれた。

 芸人枠は埋まった。さて後をどうするか?

 ガチンコ系の速い人、美人系、癒し系、奥様系、エロ系と、いろんな女性たちが登場した。みんな魅力的だった。「彼女選びしてませんか?」などと突っ込まれたりもしたほど、どんどん頭の中でイメージが膨らみ、脱線して行く。しかし、妄想を押し戻して考え直す。皆様に愛される部にするにはどうすれば良いのか?

女子部のエースにしてメンバーのまとめ役 大宅陽子さん女子部のエースにしてメンバーのまとめ役 大宅陽子さん

 やはり一人は勝てる人材が欲しい!という事で選ばれたのは優勝経験もある大宅陽子だ。他にも速い人はたくさん居たが、彼女が他と違ったのは、腰痛で挫折を経験していることだった。

 傷ついた天使…これは応援したい。ぜひ一緒に克服して、ふたたび表彰台の一番高い所に乗って欲しい!

へたれキャラ?坂にトラウマを持つ佐藤綾衣さんへたれキャラ?坂にトラウマを持つ佐藤綾衣さん

 おじさま達の心を癒やす「癒やし系」も必要だ。私だって癒やされたい。という事で選んだのが女優の佐藤綾衣。彼女は決して癒し系ではないのだが、過去に自転車の番組に出演し、坂が嫌いになり、トラウマになってしまったという。それをどうにか克服したいと半べそで語る彼女の目に情熱を感じた。初心者の頑張りキャラとして良いし、負けん気も強くすくすくと成長してくれそうだ 。トラウマな天使、決定!

恐るべし…というか恐い「本物」

 あとどうしても欲しいのがやはり本当の坂バカだ。これが一番難しかった。

 「どうしてか分からないけど坂が好きで仕方ない」と満面笑顔の主婦。「坂を登りながらカンチェッラーラの唄を作曲してしまった」と唄を披露してくれたおばさま。「坂を登りたくて就職の内定を辞退し、山の中で働いていた」という女の子。この「本物の坂バカたち」との面談は、正直困ってしまった。

 本物な方々には、「自分って変ですよね」という感覚がなかった。坂が好きなのが当たり前で、それ以外の価値観は世の中に存在しないかのように一途なのだ。ここまで来ると、たいへん申し訳ないけど、ドン引きしてしまった。

 これはあくまで個人的な見解だが、私の中の本物の坂バカは、瞳孔が少し開き気味で、どこか明後日を向いていて、ネジが外れ突き抜けている。話をすると、ああこれは「あっちの」人だな、と感じる。それはまさに中毒患者の様に…そう坂には中毒性がある。

 実は今回も オーディションで2人ほど「やばい坂バカ」が居たのだが、あまりに本物過ぎて選べなかった。

“アウター縛り”が大好き!リアル坂バカママ・三谷尚子さん“アウター縛り”が大好き!リアル坂バカママ・三谷尚子さん

 そんな中、選ばれたのが三谷尚子。番組ではカットされていたが、大判の地元の坂の写真を持ち込んで延々と熱く語る姿には、ちょっと「やばい坂バカ」を思わせたが、彼女自身もバランス感覚を持っているおかげで、私はドン引きせずに済んだ。

 おまけにアウター縛りが好きだと。このドMさには自分と似たものを感じたし、三児の母といった“ママさん坂バカ”としても活躍して貰いたい。

同じ“種族”に出会えた貴重な経験

 まる1日かかった面接は、精根つき果てるほど大変だった。しかし、世の中にはこんなにも坂バカな女子が居るのか…同じ種族に遭遇出来て、貴重な経験だった。

見知らぬ同士だったが、レースを重ねるうちに素晴らしいチームワークが生まれた見知らぬ同士だったが、レースを重ねるうちに素晴らしいチームワークが生まれた

 そして考えを新たにしたこともあった。

 坂バカは、自分以上の坂バカに会うと「引いてしまう」という事だ。私はオーディション中、5回はドン引きした。結婚するなら自分と同じような坂バカ女子が良い、と思っていたが…考え直そうと思う。

  最後に 応募頂いた坂バカ女子の皆様に、この場を借りてお礼を言いたい。お集まり頂き、本当にありがとうございました。今度はぜひ、どこかの坂でお会いしましょう!

(写真提供:NHK/テレコムスタッフ)

猪野 学猪野 学(いの・まなぶ)

俳優・声優。自転車情報番組NHK BS1『チャリダー☆』(毎週土曜18:00~18:25)にレギュラー出演し、「坂バカ俳優」という異名で人気を博す。自転車の他、空手やスキーなども特技とするスポーツマン。俳優として舞台や映画、ドラマなどで活躍する一方、映画『スパイダーマン』のトビー・マグワイアの声優としても知られる。ウェブサイト「マナブログⅡ

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