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実走レポート<1>台湾一周サイクリング「フォルモサ900」 海、山、大都市を駆け抜ける7日間に挑戦

by 澤野健太 / Kenta SAWANO
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 台湾一周サイクリングイベント「FORMOSA900」(フォルモサ900)が10月22日から11月13日まで行われ、台湾のみならず世界から集まった25チーム、総勢777人のサイクリストが台湾の各地を起点にそれぞれのペースで走破した。台湾政府が主催し、世界的自転車メーカーの「GIANT」(ジャイアント)がサポートする年1度のイベント。日本から参加した「日本騎士」(日本人サイクリスト)チームにCyclist編集部記者が同行取材。3回に分け、台湾一周サイクリングの魅力に迫る。第1回は「フォルモサ900」の概要と、その魅力について。

FORMOSA900に挑戦した「日本騎士」チームは台湾のチームと合流し、台北のビルをバックに基隆河沿いのサイクリングロードを快走する Photo: Kenta SAWANOFORMOSA900に挑戦した「日本騎士」チームは台湾のチームと合流し、台北のビルをバックに基隆河沿いのサイクリングロードを快走する Photo: Kenta SAWANO

ポルトガル語で「美しい島」

強風の中、台湾東岸の海岸沿いを進む Photo: Kenta SAWANO強風の中、台湾東岸の海岸沿いを進む Photo: Kenta SAWANO

 「フォルモサ」とはポルトガル語で「美しい島」。中国語では福爾摩沙とも表記される台湾の別称だ。海に囲まれた、九州とほぼ同じ面積の美しい島の外周を一周する約900km以上のサイクリングは「環島」(ファンダオ)、「環台」(ファンタイ)と呼ばれる。

 日本とは異なる右側通行で、美しい海に沿って走るために、通常は、反時計回りに1日平均130km(記者が参加した11月5日から11日まで7日間コースの場合)を走り続ける。前半は、平野が多く、農村や工業地帯、台中、高雄などの大都市をつなぐ平坦な道のり。中央から東側は最高4000m級もある山岳地帯を遠くに見ながら海沿いのアップダウンが続き、自然豊かなコースを楽しめる。

朝は暗いうちにホテルを出発することも。海沿いは朝から強風だった Photo: Kenta SAWANO朝は暗いうちにホテルを出発することも。海沿いは朝から強風だった Photo: Kenta SAWANO

 台湾一周を広めたのは、ジャイアントのキング・リューこと劉金標会長だ。2007年、73歳の時に15日間で台湾一周に挑戦、見事に完走し台湾全土で話題になった。それまで自転車産業では世界の中心だった台湾だったが、サイクリング文化という点では遅れていた。

 劉会長も今年5月の来日時にCyclistのインタビューに対し「最初のうちは自転車の楽しさ、サイクリングの楽しさをいくら説明しても分かってもらえず寂しかった。しかし、時間をかけて伝道師のつもりで、みんなに(自転車の)楽しさを伝えていきました」と述べている。73歳の時に続き、80歳でも台湾一周を完遂したことが、台湾で大々的に報道された。国を挙げてのサイクリングロードの整備も進み、今では多くの人が台湾一周サイクリングに挑戦するようになっている。

ジャイアント本社で台湾一周の魅力について話すキング・リュー会長 Photo: Kenta SAWANOジャイアント本社で台湾一周の魅力について話すキング・リュー会長 Photo: Kenta SAWANO
フォルモサ900の開会イベントで話すジャイアント社長のトニー・ロー氏 Photo: Kenta SAWANOフォルモサ900の開会イベントで話すジャイアント社長のトニー・ロー氏 Photo: Kenta SAWANO
フォルモサ900、7日間コースの行程(完走状より) Photo: Kenta SAWANOフォルモサ900、7日間コースの行程(完走状より) Photo: Kenta SAWANO

 今回のイベントで9回目の環台挑戦となるジャイアントのトニー・ロー社長も「今や台湾は自転車製造だけでなく、自転車にやさしい国に進化しました。台湾だけでなく、アメリカ、シンガポール、日本、韓国からも多くのサイクリストが来てくれるようになりました」と開会イベントでスピーチ。台湾一周が世界のサイクリストに根付いてきたことを強調した。

 「フォルモサ900」は台湾一周の象徴的イベントだ。台湾の自転車フェスティバル(台湾自行車節)のメーンイベントとして毎年秋開催。今年は10月22日から30日までに14チーム、11月5日から13日までに11チームの合計25チームが参加した。台北をメーンに、台湾の各地から総勢777人が各地からスタート。自らの体力に合わせ5日、7日、9日間の日程で各地を巡った。

台北政府前で開会イベント

formosa900の開会イベントには様々な国から様々な自転車が集まり、朝から歓声が上がった Photo: Kenta SAWANOformosa900の開会イベントには様々な国から様々な自転車が集まり、朝から歓声が上がった Photo: Kenta SAWANO

 11月5日、台北政府前の広場には朝8時前から5チーム、総勢300人近くのサイクリストが終結。午前8時前から元気な掛け声や、仲間と再会を喜ぶ歓声が上がった。台湾自転車協会理事長も務めるトニー社長を中心にあちこちで記念撮影。ステージ上では女性司会者が各チームを紹介。道路には全行程をサポートする「捷安特旅行社」(ジャイアント・アドベンチャー)のサポートカーが並び、広場には数百台のスポーツバイクがズラリ。サイクリストの顔には、これから始まる長旅への興奮と緊張が混じった表情が浮かんでいた。

ジャイアントのトニー・ロー社長(右から8人目)とスタート前に記念撮影する「日本騎士」チームのメンバー Photo: Kenta SAWANOジャイアントのトニー・ロー社長(右から8人目)とスタート前に記念撮影する「日本騎士」チームのメンバー Photo: Kenta SAWANO
日本からは作家の野島剛さん(左)、一青窈さんの姉・一青妙さんも参加 Photo: Kenta SAWANO日本からは作家の野島剛さん(左)、一青窈さんの姉・一青妙さんも参加 Photo: Kenta SAWANO
台北市政府前で行われた開会イベント。背後には101階の「台北101タワー」 Photo: Kenta SAWANO台北市政府前で行われた開会イベント。背後には101階の「台北101タワー」 Photo: Kenta SAWANO
ジャイアントのグローバル・マーケティング・ディレクターのアン・リー氏もアメリカから初参加 Photo: Kenta SAWANOジャイアントのグローバル・マーケティング・ディレクターのアン・リー氏もアメリカから初参加 Photo: Kenta SAWANO

 日本からは「日本騎士」チームとして、ジャイアント・ジャパンの中村晃社長ら6人、同ブランドも扱う大手自転車販売チェーン「サイクルベースあさひ」から下田佳史社長ら9人が参加。ここ数年スポーツバイクの販売に力を入れている「あさひ」チームはほとんどが初の台湾。自転車文化を肌で感じに来たという。ほかにも台湾についての著作でも有名な作家の野島剛さん、一青窈の実姉で舞台女優、歯科医師の一青妙さんも9日間コースで初挑戦した。

ハンドサイクリングのチームも続々と登場 Photo: Kenta SAWANOハンドサイクリングのチームも続々と登場 Photo: Kenta SAWANO
開会イベント中、最も元気だった留学生チーム Photo: Kenta SAWANO開会イベント中、最も元気だった留学生チーム Photo: Kenta SAWANO

 今回の参加者のうち20%は台湾以外からのサイクリスト。元気な留学生チームのほか、ジャイアントのグローバル・マーケティング・ディレクターを務めるアン・リー氏はアメリカから参加。「今までは仕事でしか来たことがなかったけれど、今回はトニー(社長)と走って台湾を感じてみたいです」と台湾の自転車文化を肌で感じにきたという。

ジャイアントの「プロペル」とリブの「エンヴィ」に乗って5日間で一周する「馭風騎士五日団」 Photo: Kenta SAWANOジャイアントの「プロペル」とリブの「エンヴィ」に乗って5日間で一周する「馭風騎士五日団」 Photo: Kenta SAWANO

 会場にはズラリと並んだハンドサイクルのほか、目を引いたのはジャイアントのPROPEL(プロペル)とプロペルをベースにした女性ラインLiv (リブ)のENVIE(エンヴィー)。広場では展示会のように50台近く並び圧巻だった。台湾一周を早く回るためにも、ジャイアントのエアロロード・プロペルにチームで揃って乗るのが最先端の楽しみ方だという。

フレームには「にしきのまきは僕の嫁」? Photo: Kenta SAWANOフレームには「にしきのまきは僕の嫁」? Photo: Kenta SAWANO
930kmの行程を考え、プロペルにも泥除けを装備 Photo: Kenta SAWANO930kmの行程を考え、プロペルにも泥除けを装備 Photo: Kenta SAWANO

地元ジャイアント「プロペル隊」ずらり

台湾一周の相棒PROPEL ADVANCED PRO1。台湾東岸の花蓮市の芭崎瞭望台で Photo: Kenta SAWANO台湾一周の相棒PROPEL ADVANCED PRO1。台湾東岸の花蓮市の芭崎瞭望台で Photo: Kenta SAWANO

 今回もたった5日で一周する「馭風騎士五日団」には28人のサイクリストが集結。中心的人物の王新富(ワン・シンフ)さんは「28歳から52歳のメンバーです。今回は毎日200km近く乗りますが、だいたい週末にそれぐらい乗っているから問題ないです。この前も日本に行き、札幌から函館までを2日間で走りました」とプロペルとともにロングライドを満喫している。

チューブレスレディタイヤ「GAVIA SLR」。太さは25c Photo: Kenta SAWANOチューブレスレディタイヤ「GAVIA SLR」。太さは25c Photo: Kenta SAWANO

 筆者もプロペル・アドバンスド・プロ1をレンタル。プロペルアドバンスドSLのエアロ性能を引き継ぐアドバンスドグレードのフレームに、ISPに迫るエアロ性能を発揮するというベクターカーボンピラーを装着。ホイールはリムハイト55㎜のSLRエアロカーボン。光沢のブラックにアクセントでオレンジが入ったカラーリングの1台は全行程中、誰ともかぶることがなかった。

 また今回装着したのが、新発売のチューブレスレディタイヤ「GAVIA SLR」。台湾一周の中でパンクしないかはもちろん、チューブがないことでの転がり性能、乗り心地、コーナリングのしやすさ、などを山あり、平地あり、雨や真夏日の930kmで試したかった。

 台湾一周をより身近にしたのが、サイクリングツアーを専門とするジャイアントグループの旅行会社「捷安特旅行社」(ジャイアント・アドベンチャー)の存在。安全な走行を支えるサポート、休憩時の食事サポートやツアーガイドとしての役割だけでなく、各所で先回りしての写真撮影や準備運動までを5人のチームで完璧にサポートしてくれる。

ズラリとならんだジャイアント・アドベンチャーのサポートカー Photo: Kenta SAWANOズラリとならんだジャイアント・アドベンチャーのサポートカー Photo: Kenta SAWANO
サポートカーの後部には常に新鮮なフルーツや、補給食がいっぱい Photo: Kenta SAWANOサポートカーの後部には常に新鮮なフルーツや、補給食がいっぱい Photo: Kenta SAWANO

 クルマの後部には常に新鮮なフルーツや水、補給食やお菓子を満載。さらに車2台に旅行中のトランクや手荷物を預けられることで、より身軽で、高速なロングライドが可能に。初心者でも挑戦しやすいイベントになっていった。これまで日本人が挑戦することは多くなかったが、日本語を話せるガイドもおり、より挑戦しやすくなった。

 午前9時過ぎ、期待と少しばかりの不安を胸に、いよいよ台北をスタートした。

→<2>笑いも補給も満載のサポートカー

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