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サイクリスト

単独アタックの別府史之が敢闘賞サガンがフルーム、イェーツとの高速バトルを制す 全日本王者の初山翔が2位表彰台

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
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 レースは終盤に飛び出した4人に絞られた。マイヨジョーヌ、全日本チャンピオンジャージ、マイヨブラン、そしてマイヨヴェールによって争われたスプリント勝負は、群を抜いた加速を見せたペテル・サガン(ティンコフ、スロバキア)が圧勝。5年連続マイヨヴェール、2年連続世界チャンピオン獲得の実力を発揮して、さいたまクリテリウム初優勝を飾った。2位にはわずかな差で全日本王者の初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム)が入り、敢闘賞を獲得した別府史之(トレック・セガフレード)らの活躍と合わせ日本人選手も大いに存在感を示した。

さいたまクリテリウム表彰式。(左から)初山翔、ペテル・サガン、クリストファー・フルーム Photo: Naoi HIRASAWAさいたまクリテリウム表彰式。(左から)初山翔、ペテル・サガン、クリストファー・フルーム Photo: Naoi HIRASAWA

4賞ジャージがさいたまに勢ぞろい

スタート前のツール・ド・フランス4賞ジャージの4人。左からラファウ・マイカ、ペテル・サガン、クリストファー・フルーム、アダム・イェーツ Photo: Kenta SAWANOスタート前のツール・ド・フランス4賞ジャージの4人。左からラファウ・マイカ、ペテル・サガン、クリストファー・フルーム、アダム・イェーツ Photo: Kenta SAWANO

 1周3.1kmを20周する計62kmで争われるクリテリウムレースは、さいたま新都心の中心部の公道を使用した特設コースを使用。見通しの良いストレートやヘアピンコーナー、トンネル内のアップダウンが含まれバリエーションに富んでいる。

 レースには国内外から14チーム51人が参加。沿道には大勢のファンが詰めかけ、目の前を駆け抜ける選手たちに声援を送っていた。

沿道から大きな声援を受けるメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA沿道から大きな声援を受けるメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA
ヘアピンカーブを曲がるメイン集団を大勢の観客が見つめる Photo: Naoi HIRASAWAヘアピンカーブを曲がるメイン集団を大勢の観客が見つめる Photo: Naoi HIRASAWA

序盤からアタック合戦に

 レースは2周目、サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)のアタックをきっかけに金子大介(マトリックスパワータグ)が追走。また、小橋勇利(シマノレーシング)らのブリッジにより11人の逃げが形成された。後方ではオリカ・バイクエクスチェンジ勢や新城幸也(ランプレ・メリダ)が集団の先頭に立ちメイン集団をコントロール。その後方ではマイヨジョーヌを着るクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)やサガンが集団前よりでレースを進めた。

序盤の逃げ集団、ツール出場選手のなかで最も小さい、身長159cmのサミュエル・デュムラン(中央)の前を、さらに小さい身長158cmの金子大介が行く Photo: Ikki YONEYAMA序盤の逃げ集団、ツール出場選手のなかで最も小さい、身長159cmのサミュエル・デュムラン(中央)の前を、さらに小さい身長158cmの金子大介が行く Photo: Ikki YONEYAMA
新城幸也が牽引するメイン集団がさいたまスーパーアリーナ内を通過 Photo: Naoi HIRASAWA新城幸也が牽引するメイン集団がさいたまスーパーアリーナ内を通過 Photo: Naoi HIRASAWA
3周目、メイン集団を引っ張る新城幸也 Photo: Kenta SAWANO3周目、メイン集団を引っ張る新城幸也 Photo: Kenta SAWANO

中盤逃げたキッテルがポイント賞

 レース中はポイント賞が3、7、11、15周目のゴールラインに、山岳賞が5、9、13、17周目の上りで設定され、ポイントを獲得したい選手によって集団が活性化した。前半をリードした逃げ集団だったが、山岳ポイントを狙う残り45kmを切ると集団へと吸収。クーン・デコルト(オランダ、チーム ジャイアント・アルペシン)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が積極的に動いた。

中盤、逃げ集団のマルセル・キッテル(右)と窪木一茂ら Photo: Kenta SAWANO中盤、逃げ集団のマルセル・キッテル(右)と窪木一茂ら Photo: Kenta SAWANO
スーパーアリーナから飛び出すクリストファー・フルームらメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWAスーパーアリーナから飛び出すクリストファー・フルームらメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA
線路沿いを走るメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA線路沿いを走るメイン集団 Photo: Naoi HIRASAWA
中盤はジャイアント・アルぺシン勢が集団をコントロール Photo: Kenta SAWANO中盤はジャイアント・アルぺシン勢が集団をコントロール Photo: Kenta SAWANO

 ポイント通過後に緩んだ集団からは窪木一茂(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)やバルデ、マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)を含む6人の逃げが形成。ポイント賞争いが展開されたが、キッテルのスプリント力が抜け出しており、窪木が横に並んだ場面も見られたがキッテルを差すことは叶わなかった。

11周目のスプリントポイントを先頭で通過したマルセル・キッテル Photo: Kenta SAWANO11周目のスプリントポイントを先頭で通過したマルセル・キッテル Photo: Kenta SAWANO
さいたまスーパーアリーナ内を走るロマン・バルデ Photo: Naoi HIRASAWAさいたまスーパーアリーナ内を走るロマン・バルデ Photo: Naoi HIRASAWA
さいたまスーパーアリーナに向けてオーロラビジョンの前を通過する集団 Photo: Ikki YONEYAMAさいたまスーパーアリーナに向けてオーロラビジョンの前を通過する集団 Photo: Ikki YONEYAMA

ツール総合2位のバルデが単独アタック

 スプリント賞はキッテルが手中に収めることが決定的になると、逃げ集団からはバルデが単独で飛び出した。しかし、残り6周に突入し、距離が18kmを切ると、別府史之(トレック・セガフレード)が引く集団が猛追。30秒あった差を詰め、バルデをキャッチした。

残り7周で単独抜け出したバルデ。山岳賞を獲得した Photo: Kenta SAWANO残り7周で単独抜け出したバルデ。山岳賞を獲得した Photo: Kenta SAWANO
残り6周、メイン集団の先頭に立ってスピードを上げる別府史之 Photo: Kenta SAWANO残り6周、メイン集団の先頭に立ってスピードを上げる別府史之 Photo: Kenta SAWANO

 集団が一つになって間もなく、アレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が下りでアタック。先頭付近につけいていた別府が即座に反応し、トンネルに突入した。トンネル内で一瞬脚が止まった隙をつき新城が前方の2人にブリッジをかけて合流。ジャージは違うがツール・ド・フランス ジャパンチームとしてチームメートの別府、新城の2人と、ヴュイエルモーズの計3人がゴールを目指した。

残り6周、カウンターアタックで新城、別府、ヴュイエルモーズが抜け出す Photo: Kenta SAWANO残り6周、カウンターアタックで新城、別府、ヴュイエルモーズが抜け出す Photo: Kenta SAWANO
逃げ続ける別府、新城ら3人 Photo: Naoi HIRASAWA逃げ続ける別府、新城ら3人 Photo: Naoi HIRASAWA
さいたま新都心のビルをバックに逃げる新城幸也(左)、別府史之(右) Photo: Kenta SAWANOさいたま新都心のビルをバックに逃げる新城幸也(左)、別府史之(右) Photo: Kenta SAWANO

別府史之が渾身の独走

 残り3周回に入る直前、後方に付けていた別府が単独でアタック。ヴュイエルモーズは新城に先頭交代を要求するが、新城は拒否し、チームメート単独の逃げをアシストした。一方、メイン集団ではスピードが上がり始め、コーナーの度に縦一列へと形状が変わったいた。スプリントで勝負をしたいエティックス・クイックステップ、オリカ・バイクエクスチェンジ、ティンコフが前方を固めた。

単独抜け出し残り3周に突入した別府史之 Photo: Kenta SAWANO単独抜け出し残り3周に突入した別府史之 Photo: Kenta SAWANO
残り2周、別府史之を追うクリス・フルーム(右から2人目)らメイン集団 Photo: Kenta SAWANO残り2周、別府史之を追うクリス・フルーム(右から2人目)らメイン集団 Photo: Kenta SAWANO
残り2周、クリストファー・フルームら迫る集団を振り返る別府史之 Photo: Kenta SAWANO残り2周、クリストファー・フルームら迫る集団を振り返る別府史之 Photo: Kenta SAWANO

有力4選手が決定的なアタック

 ラスト2周回、チーム スカイの強力な引きで別府は集団へと吸収。その後、トンネルの下りで、前方に位置していたフルームがアタックして抜け出した。それを追ったのはサガン、初山、新人賞ジャージを着るアダム ・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)で、上りでのサガンの踏みでフルームへと合流。抜け出した4人は後続のメイン集団に差をつけた状態で、残り1周の鐘がなるフィニッシュ地点を通過した。

別府を吸収してからのカウンターで決定的な4人の逃げが形成された Photo: Ikki YONEYAMA別府を吸収してからのカウンターで決定的な4人の逃げが形成された Photo: Ikki YONEYAMA
マイヨヴェールのペテル・サガンら4人の逃げ集団 Photo: Naoi HIRASAWAマイヨヴェールのペテル・サガンら4人の逃げ集団 Photo: Naoi HIRASAWA
残り1周、サガンが集団先頭を引く Photo: Kenta SAWANO残り1周、サガンが集団先頭を引く Photo: Kenta SAWANO

イェーツの奇襲は実らず スプリントはサガン盤石

アタックしたアダム・イェーツをクリストファー・フルームら3人が追う Photo: Naoi HIRASAWAアタックしたアダム・イェーツをクリストファー・フルームら3人が追う Photo: Naoi HIRASAWA

 先頭にサガンが含まれていたため、スプリントによる展開を嫌ったイェーツが単独でアタック。50mほどリードするも、フルームがサガン、初山を引き連れ追走した。

 逃げたイェーツだったが、残り300m地点でフルームが捕まえスプリント体制へ。初山が一時トップに躍り出るも、世界チャンピオンでマイヨヴェールを着るサガンがスプリントを開始すると後退。サガンは両手を上げてゴールラインに飛び込み優勝。健闘した初山はフルームを従え2位に入った。

圧倒的なゴールスプリントで先頭に立つぺテル・サガン Photo: Kenta SAWANO圧倒的なゴールスプリントで先頭に立つぺテル・サガン Photo: Kenta SAWANO
初優勝のゴール後、さいたまスーパーアリーナに帰ってきたペテル・サガンがウィリーを披露 Photo: Naoi HIRASAWA初優勝のゴール後、さいたまスーパーアリーナに帰ってきたペテル・サガンがウィリーを披露 Photo: Naoi HIRASAWA

 一方、後方の第2集団でもスプリント争いが行われた。別府がキッテルの番手で勝機をうかがうも、スプリントでも百戦錬磨のデュムランが別府のポジションを奪取。キッテルが集団の頭をとって5位、デュムラン、別府が後に続いた。

 優勝したサガンは「昨年と比べて今年は調子が良かった、世界選手権で優勝したことが力に繋がったと思う」と共同記者会見でコメント。2位に入った初山は「毎年参加しているが、全日本ジャージを着ていたのでいつもとは違う気分だった。このレースは毎年ラスト数周で決まるのが過去の傾向だったので、タイミングを逃さないよう集中し、終盤に勝負をかけた」と振り返った。

ポイント賞のマルセル・キッテル Photo: Naoi HIRASAWAポイント賞のマルセル・キッテル Photo: Naoi HIRASAWA
山岳賞を獲得したロマン・バルデ Photo: Naoi HIRASAWA山岳賞を獲得したロマン・バルデ Photo: Naoi HIRASAWA
終盤の独走で敢闘賞を獲得した別府史之 Photo: Naoi HIRASAWA終盤の独走で敢闘賞を獲得した別府史之 Photo: Naoi HIRASAWA
マイヨブランのアダム・イェーツがさいたまでも新人賞に Photo: Naoi HIRASAWAマイヨブランのアダム・イェーツがさいたまでも新人賞に Photo: Naoi HIRASAWA
日本総合1位チームのブリヂストンアンカーサイクリングチーム Photo: Naoi HIRASAWA日本総合1位チームのブリヂストンアンカーサイクリングチーム Photo: Naoi HIRASAWA
ポイントレースで優勝を飾った新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWAポイントレースで優勝を飾った新城幸也 Photo: Naoi HIRASAWA
表彰された全選手がステージ上に集合 Photo: Ikki YONEYAMA表彰された全選手がステージ上に集合 Photo: Ikki YONEYAMA
共同記者会見で「声援のおかげで勝てた」と語ったペテル・サガン Photo: Naoi HIRASAWA共同記者会見で「声援のおかげで勝てた」と語ったペテル・サガン Photo: Naoi HIRASAWA
2位に入れたことを喜んだ初山翔 Photo: Naoi HIRASAWA2位に入れたことを喜んだ初山翔 Photo: Naoi HIRASAWA

クリテリウムメインレース結果(62.0km)
1 ペテル・サガン(スロバキア、ティンコフ) 1時間22分02秒
2 初山翔(ブリヂストンアンカー サイクリングチーム) +0秒
3 クリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)
4 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +5秒
5 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +12秒
6 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)
7 別府史之(ツール・ド・フランス ジャパンチーム/トレック・セガフレード)
8 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
9 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、チーム ジャイアント・アルペシン)
10 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)

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