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福光俊介の「週刊サイクルワールド」<181>ツール・ド・フランス2017のルートが明らかに 初登場の山岳を含む難コース

by 福光俊介 / Syunsuke FUKUMITSU
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 今年のサイクルロードレースシーズン閉幕が目前に迫った10月18日、フランスの首都・パリでツール・ド・フランス2017のコースプレゼンテーションが開催された。グランデパール(開幕地)となるドイツ・デュッセルドルフを出発し、パリ・シャンゼリゼ通りを目指す3週間の壮大な旅の全容が明らかになった。そこで、今回はツール2017のルートを解説。注目の山岳ステージや、発表を受けての有力選手たちの反応を探っていこう。

ツール・ド・フランス2017のコースプレゼンテーションに出席した3選手。左からティボー・ピノ、ロマン・バルデ、クリストファー・フルーム © ASO/B.BADEツール・ド・フランス2017のコースプレゼンテーションに出席した3選手。左からティボー・ピノ、ロマン・バルデ、クリストファー・フルーム © ASO/B.BADE

2017年7月1日開幕、総距離3516km

ツール・ド・フランス2017ルートマップ © A.S.O.ツール・ド・フランス2017ルートマップ © A.S.O.

 プレゼンテーションでは毎回、注目選手やVIPが招待され、華やかにルート発表が行われる。今回は、2016年大会覇者のクリストファー・フルーム(イギリス、チーム スカイ)、総合2位に入ったフランス期待のロマン・バルデ(アージェードゥーゼール ラモンディアル)、新人賞のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)らが出席し、来年走るであろうルートのアナウンスを見守った。

 大会は2017年7月1日開幕。かねてから公式発表があった通りドイツ西部の街・デュッセルドルフでの個人タイムトライアルでスタートする。合計2日間の休息日を含み、同23日にパリ・シャンゼリゼ通りで幕を閉じる。総走行距離は3516km。ドイツのほか、隣国ベルギー、ルクセンブルクを通過した後、フランスでの本格的な戦いを迎える。

フランスの全山脈を通る3週間

 それではルートをチェックしていこう。

ツール・ド・フランス2017 第5ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第5ステージレイアウト © A.S.O.

 ドイツ・デュッセルドルフの第1ステージは、13kmの個人タイムトライアル。ここから3日間はドイツ、ベルギー、ルクセンブルクを主に走り、第4ステージ以降はフランスでのレースとなる。大会最初の本格山岳は第5ステージ。頂上を目指すラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユは、フィニッシュ手前で最大勾配20%となる激坂だ。

 第1週終盤は、スタティオン・レ・ルスへの第8ステージ、4つの山を越えてシャンベリーへと下る第9ステージと、総合争いを動かすであろう山岳が待ち受ける。

ツール・ド・フランス2017 第8ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第8ステージレイアウト © A.S.O.
ツール・ド・フランス2017 第9ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第9ステージレイアウト © A.S.O.
ツール・ド・フランス2017 第12ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第12ステージレイアウト © A.S.O.

 最初の週が終わると、フランス南部へと移動し、ピレネー山脈を目指す。おなじみのペイラギュードを上る第12ステージは、大会中盤の重要ステージとなることは必至だ。3つの山を越えて、フォアへフィニッシュする翌日の第13ステージは、100kmと短距離。いつになく出入りの激しい山岳ステージとなる可能性が高い。その後、中央山塊へと針路をとり、第2週を終える。

ツール・ド・フランス2017 第13ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第13ステージレイアウト © A.S.O.
ツール・ド・フランス2017 第15ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第15ステージレイアウト © A.S.O.

 運命の第3週は、アルプス山脈へと突入。4つの山を越えてセール・シュヴァリエへと下る第17ステージ、難関イゾアールの頂上フィニッシュとなる第18ステージで、大会の山岳は終了。特にイゾアールでは、マイヨジョーヌを賭けたアタックの応酬となりそうだ。

ツール・ド・フランス2017 第17ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第17ステージレイアウト © A.S.O.
ツール・ド・フランス2017 第18ステージレイアウト © A.S.O.ツール・ド・フランス2017 第18ステージレイアウト © A.S.O.

 実質、総合争いを締めくくるのは第20ステージ。マルセイユでの23km個人タイムトライアル(TT)で、総合順位がおおむね決定。そして、最終第21ステージでは、完走を目前とした選手たちのパレード走行と、シャンゼリゼ通りでのスプリント勝負で大会が閉幕する。

 ステージの内訳は、平坦ステージ9、中級山岳ステージ5、上級山岳ステージ5(うち第5、12、18ステージが頂上フィニッシュ)、個人タイムトライアルステージ2、休息日2となっている。

有力選手の見方はさまざま

 フランス中部や北西部を通過しない点は、2017年大会の特徴といえそうだ。一方で、1992年以来25年ぶりにフランス国内にある5つの山脈をすべて通過する。通過順に、ヴォージュ、ジュラ、ピレネー、中央山塊、アルプスとなる。

プレゼンテーションでルートの概要を説明する、大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏 © ASO/B.BADEプレゼンテーションでルートの概要を説明する、大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏 © ASO/B.BADE

 総合争いにおいては、個人TTよりも山岳の比重が高いと見られる。個人TTは、第1ステージが13km、第20ステージが23km。近年のグランツールで多く採用される長距離個人TTで、ともすると3~4分程度の開きが上位選手の間でも発生してきたことを考えると、TTを苦手とする選手でも何とかごまかしが利く距離か。

 ただし、山岳ステージも頂上フィニッシュが3つと少なく、上りで決定的なタイム差をつけるのは決して簡単ではない。このところ戦術としてトレンドになりつつあるダウンヒルでのテクニック、そして1位から10秒、6秒、4秒と設けられるボーナスタイムがカギとなるかもしれないことも押さえておきたい。

ルート発表の様子を見つめる、(左から)ロマン・バルデ、クリストファー・フルーム、アダム・イェーツ、リッチー・ポート © ASO/B.BADEルート発表の様子を見つめる、(左から)ロマン・バルデ、クリストファー・フルーム、アダム・イェーツ、リッチー・ポート © ASO/B.BADE

 選手たちの反応はさまざまだ。王者フルームは、「イゾアールに注目している。ワールドクラスの上りであり、(3週間の)レースを決定付けるステージになるだろう」とコメント。

 また、地の利を生かしたいはずのバルデは、「知らない上りがある」と述べるほど、2017年のルートがユニークさに富んだものだと指摘する。さらに、「5つの山脈がすべて含まれるのはとても興味深い。シャンベリーへ行くステージは非常に重要、ここがクイーンステージとなり得る」と、フルームとは異なり第9ステージをクローズアップ。続けて、100kmと短い第13ステージもタフであると見ている。

 頂上フィニッシュの少なさが戦いをより困難にすると述べるのは、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシングチーム)。こちらも、ピレネーステージは動きが活発だと予想する。総合での再浮上を目指したいティボー・ピノ(フランス、エフデジ)は、バランスのよいステージ構成だといい、「マルセイユでのタイムトライアルでよい走りをしたい」と意気込む。

 そして、やはりTTを苦手とする選手にとっては喜ばしいルート設定のよう。ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)は、「頂上フィニッシュこそ少ないが、このルートはかなり狙い目だ。今年、総合上位を狙える力があると確信ができている(2016年大会総合9位)。2017年はキャリア最高の状態で臨むことができるだろう。距離の短い山岳ステージで総合争いを動かすチャンスがあるはずだ」と自信を見せた。

 発表を受けた選手たちの言葉からも、2017年大会は激戦が予想される。選手たちにとっても、われわれにとっても熱い、熱い夏になるはずだ。

ツール・ド・フランス2017 ステージ一覧

第1ステージ 7月1日 デュッセルドルフ(ドイツ)~デュッセルドルフ 13km個人TT
第2ステージ 7月2日 デュッセルドルフ~リエージュ(ベルギー) 202km
第3ステージ 7月3日 ヴェルヴィエ(ベルギー)~ロンウィ 202km
第4ステージ 7月4日 モンドルフ・レ・バン(ルクセンブルク)~ヴィッテル 203km
第5ステージ 7月5日 ヴィッテル~ラ・プロンシュ・デ・ベル・フィーユ 160km
第6ステージ 7月6日 ヴズール~トロワ 216km
第7ステージ 7月7日 トロワ~ニュイ・サン・ジョルジュ 214km
第8ステージ 7月8日 ドール~スタティオン・レ・ルス 187km
第9ステージ 7月9日 ナンテュア~シャンベリー 181km
休息日 7月10日 ドルドーニュ
第10ステージ 7月11日 ペリグー~ベルジュラック 178km
第11ステージ 7月12日 エイメ~ポー 202km
第12ステージ 7月13日 ポー~ペイラギュード 214km
第13ステージ 7月14日 サン・ジロン~フォワ 100km
第14ステージ 7月15日 ブラニャック~ロデーズ 181km
第15ステージ 7月16日 レザック・セヴェリャック・レグリーズ~レ・ピュイ・アン・ヴレ 189km
休息日 7月17日 レ・ピュイ・アン・ヴレ
第16ステージ 7月18日 レ・ピュイ・アン・ヴレ~ロマン・シュル・イゼール 165km
第17ステージ 7月19日 ラ・ミュール~セール・シュヴァリエ 183km
第18ステージ 7月20日 ブリアンソン~イゾアール 178km
第19ステージ 7月21日 アンブラン~サロン・ド・プロヴァンス 220km
第20ステージ 7月22日 マルセイユ~マルセイユ 23km個人TT
第21ステージ 7月23日 モンジュロン~パリ・シャンゼリゼ 105km

ツール・ド・フランス2017のポスターデザインも明らかに © Alexis Boulivet / A.S.O.ツール・ド・フランス2017のポスターデザインも明らかに © Alexis Boulivet / A.S.O.

今週の爆走ライダー-ジ・チェン(中国、チーム ジャイアント・アルペシン)

「爆走ライダー」とは…

1週間のレースの中から、印象的な走りを見せた選手を「爆走ライダー」として大々的に紹介! 優勝した選手以外にも、アシストや逃げなどでインパクトを残した選手を積極的に選んでいきたい。

 シーズンの終了は、現役を退く選手へのお別れムードが漂い、寂しさや切なさが同居する。今年もそんな時期がやってきた。

2016年シーズン限りでの現役引退を発表したジ・チェン =ジロ・デ・イタリア2016第8ステージ、2016年5月14日 Photo: Yuzuru SUNADA2016年シーズン限りでの現役引退を発表したジ・チェン =ジロ・デ・イタリア2016第8ステージ、2016年5月14日 Photo: Yuzuru SUNADA

 トップシーンではプロトン有数の中国人ライダー、ジ・チェンがこのほど、正式に現役引退を発表した。29歳と、これからベテランの域へと差し掛かろうというタイミングでのキャリア終了である。

 勝利を狙うタイプでもなければ、エースを勝利へと導く決定的なアシストを見せるようなタイプでもなかった。だが、プロトンの牽引を任せれば抜群のペースコントロール。かつてエーススプリンターを担った、ジョン・デゲンコルプ(ドイツ)やマルセル・キッテル(ドイツ、現エティックス・クイックステップ)らがスプリント勝利を挙げるうえで、基盤を構築する存在であった。

2014年のツールでは完走を果たした(右から2人目) =ツール・ド・フランス2014第21ステージ、2014年7月27日 Photo: Yuzuru SUNADA2014年のツールでは完走を果たした(右から2人目) =ツール・ド・フランス2014第21ステージ、2014年7月27日 Photo: Yuzuru SUNADA

 また、2014年までにすべてのグランツール出場を達成。この年のツールでは“圧倒的な”タイム差での「ランタンルージュ(総合最下位)」だったが、それは決して力が及ばなかったのではなく、前述のプロトン牽引に総力を注いでの結果だと誰をも理解させる働き振りを見せた。

 あまりに早い引退となったが、「人生における新たな目標が見つかった」のだという。子供が産まれ、父親となったことで家族を守ることの重要性を認識しているそうだ。最後のレースは、現在開催中のツアー・オブ・ハイナン(UCIアジアツアー2.HC)。地元・中国での華々しいフィナーレとなる。

 われわれと同じ東アジアのライダーとあって、多くのファンが親近感を抱いた1人。彼が常々口にしていた「中国自転車界の発展に貢献したい」との思いは、走りによって果たされた。そして、今後どのような形でこの世界に携わっていくのかも楽しみである。

おなじみとなったジ・チェンのプロトン牽引は、今シーズンで見納めとなった =ジロ・デ・イタリア2015第2ステージ、2015年5月10日 Photo: Yuzuru SUNADAおなじみとなったジ・チェンのプロトン牽引は、今シーズンで見納めとなった =ジロ・デ・イタリア2015第2ステージ、2015年5月10日 Photo: Yuzuru SUNADA
福光俊介福光俊介(ふくみつ・しゅんすけ)

サイクルジャーナリスト。自転車ロードレース界の“トップスター”を追い続けて十数年、気がつけばテレビやインターネットを介して観戦できるロード、トラック、シクロクロス、MTBをすべてチェックするレースマニアに。現在は国内外のレース取材、データ分析を行う。自転車情報のFacebookページ「suke’scycling world」も充実。UCIコンチネンタルチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。

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