スマートフォン版はこちら

サイクリスト

ブルーノで行く!ヨーロッパ自転車旅<3>フランスからイタリア、そしてスイスへ 峠の先にある出会い 

  • 一覧

 旅する自転車「BRUNO」(ブルーノ)が取り組むキャンペーン「BRUNOが応援する『旅』 ~世界の自転車旅をサポート~ 若者よ旅に出よ!」で挑戦者に選ばれた溝口哲也さん(20)は、偶然にペテル・サガン選手(ティンコフ)に応援してもらい、その勢いのままフランスからイタリアへと入りました。現在はスイスを走行中とのことですが、今回はトラブルが発生してしまったとか?!

マッターホルンを背景に出会ったMTBライダーに愛車ブルーノとのツーショットを撮ってもらう Photo: Tetsuya MIZOGUCHIマッターホルンを背景に出会ったMTBライダーに愛車ブルーノとのツーショットを撮ってもらう Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

無茶ぶりに返した熱唱が大ウケ

 お世話になったおじいさんに別れを告げてフランスとイタリアの国境である標高2400mのロンバルド峠を越えれば、トリノまで下り基調の道が続く。とうもろこし畑の真ん中を貫く一本道はとても気持ちよく走れた。

フランスとイタリアの国境までおじいさん(バイク)と一緒に登る Photo: Tetsuya MIZOGUCHIフランスとイタリアの国境までおじいさん(バイク)と一緒に登る Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
陽が傾いてきて野宿場所を探している Photo: Tetsuya MIZOGUCHI陽が傾いてきて野宿場所を探している Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 平坦に安堵しているのも束の間、目の前にアルプス山脈が迫ってくる。やっとのことでキャンプ場のバーに辿り着くと、何やら陽気なおじさんが話しかけてくる。

美味しそうな匂いにつられて入ったピザ屋さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI美味しそうな匂いにつられて入ったピザ屋さん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 彼の名はシモンさんで、趣味でオペラを歌っているといい、突然大声で歌いだす。私に酒を飲ませると、何か歌えと無茶ぶりされ、「Maroon5」の曲を熱唱させられた(笑)。それは大ウケで、バー内から謎の拍手をもらった。「日本人はもっとシャイだと思っていた」などと言われたが、素面だったら絶対にできないだろう。

朝日に輝くマッターホルンに思わず走り出す!

 4日間かけて、アルプス山脈を3度登った。1日目はイタリアとスイスの国境、アルプス山脈を越えるのは標高2500mのグラン・サン・ベルナール峠だ。35kmの長い登りは本当に辛かったが、楽しかった。

 マッターホルンといえば、世界で最も有名な山の一つであろう。その山の見えるスイスの観光地ツェルマットを目指す。昨日登ってきたアルプス山脈を今度は逆から登り返すが、だんだんと雲が立ち込めてきて、マッターホルンは見えなかった。それを見ずには帰れまいと、明日見えることを期待してキャンプした。ツェルマットは有名な観光地なだけあり、多くの日本人と出会った。日本から遠く離れた地で、日本語で応援してもらえて嬉しかった。

 朝日が昇る前、テントから顔を出すと晴れ渡った空にマッターホルンが鮮明にそびえていた。

美しかったマッターホルン Photo: Tetsuya MIZOGUCHI美しかったマッターホルン Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 私は興奮ぎみに飛び出して、徐々に朝日を浴びて輝く名峰に感動を覚えた。当初の予定では、そこで引き返すはずだったが、あまりの美しさに気が付いたら自転車でマッターホルンめがけて上り出していた。

MTBトレイルをBRUNOで攻める Photo: Tetsuya MIZOGUCHIMTBトレイルをBRUNOで攻める Photo: Tetsuya MIZOGUCHI
マッターホルンまでオフロードを進む Photo: Tetsuya MIZOGUCHIマッターホルンまでオフロードを進む Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 登山道は舗装されておらず、長野県で行われるMTBレースのSDA(セルフディスカバリーアドベンチャー)王滝のような道が続いた。

Simplon Passの頂上で見た女神 Photo: Tetsuya MIZOGUCHISimplon Passの頂上で見た女神 Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 私のBRUNOはオフロード仕様ではないが、通りすがりの人に応援され、苦戦しながら登っていた。また、ツェルマット周辺にはMTB用トレイルが整備されている。途中で出会ったMTBライダーと一緒にトレイルを走った際、タイヤの細い私は転んでしまい、笑いあっていた。

 アルプス山脈を上るのはこれが最後なので、噛み締めるように標高2000mのシンプロン峠を越え、イタリアに戻ってきた

自転車が引き寄せた出会い

エミリオじいさんと朝日を浴びながらサイクリング Photo: Tetsuya MIZOGUCHIエミリオじいさんと朝日を浴びながらサイクリング Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 イタリア のバヴェーノまで走っていると一人のロードバイクのおじさんと一緒になった。彼は時速35kmで走行していたので、歯を食いしばり、必死でついていった。しばらくしてやっと止まったかと思うと、自転車を乗り捨て、おもむろに岩場から海パンを取り出して湖に飛び込んだ。

 その行動にびっくりしたが、好奇心で私もジャージのまま湖へとダイブ。彼の名はエミリオさん。63歳にしてそのアクティブさは尊敬だった。ピザをご馳走になり、月夜の下で一緒にカヌーを漕ぎ、酒を交わしながらベッドの上で一緒にサッカー観戦した。疲れのせいでいつの間にか眠っていて、気が付いたら朝になっていた。

ボードゲームをするエミリオじいさん Photo: Tetsuya MIZOGUCHIボードゲームをするエミリオじいさん Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 翌日、エミリオおじさんと一緒にサイクリングに出かけた。彼の服を着させてもらい、イタリアンスタイルでマッジョレー湖を横目に、話をしながらのライド。カフェに寄って、景色の良い場所に案内してくれ、湖の前にあるベンチに座った。私が自転車でウィリーを披露すると「ブラボー!」と大変ご機嫌だった。一緒に自転車で走っているといろんな事が分かってくる。その人の性格や思考が走りに出てくるからだ。今回の旅の出会いは、自転車が引き寄せてくれたのかもしれない。

雪降る峠も沿道の声援で温かく

 地中海性気候により3週間続いた晴天の日々から一転し、空は厚い雲に覆われて雨が降り続いた。

 イタリア北部の都市ミラノから離れて徐々に山が近づいてくる。これからアルプスを抜けるまで再び山岳地帯に突入だ。今回の旅行で最高標高2757mを誇るステルヴィオ峠も越えなければならない。まずは力試しといったところか、標高1300mのプレソラーナ峠が目の前に現れる。ヨーロッパを旅してきて、海外のスケールの大きさに驚いている。どの風景も日本にはないヨーロッパ大陸ならではのものだ。

降り続いた雨が止むと壮大な山岳風景が姿を現した Photo: Tetsuya MIZOGUCHI降り続いた雨が止むと壮大な山岳風景が姿を現した Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 これまで気温が35度にまで達する平野部を走っていたが、鈍色の雲に日光は遮られ、気温は15度を下回った。その落差にすぐに順応できず、凍えながら走っていた。

雨が降り続く峠道を進む Photo: Tetsuya MIZOGUCHI雨が降り続く峠道を進む Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 イタリア北部の山々を越えて北へと進む。その先にあるのはイタリア最大の関門であるステルヴィオ峠だ。夕方から大雨が振り出したが、かまわず自転車を漕いでいると声を掛けられる。一緒にバーに入ると「これから登るのか、雨が酷いし、やめた方がいい」と心配してくれた。途中で野宿することを告げ、握手を交わした。たくさんの応援やアドバイスのおかげで旅が続けられている。

 ついに絶壁のように見えるステルヴィオ峠が迫ってきた。天気は曇り、肌寒いくらいが登るには丁度よかった。

 絶壁に見えるステルヴィオ峠へとつづく道路が奥に見える Photo: Tetsuya MIZOGUCHI 絶壁に見えるステルヴィオ峠へとつづく道路が奥に見える Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 21kmの上り坂を走っていると多くのサイクリストとサポートカーに出会う。どうやらサイクリングのイベントがあったようだ。

ステルヴィオ峠を登っているとたくさんの人から応援してもらった Photo: Tetsuya MIZOGUCHIステルヴィオ峠を登っているとたくさんの人から応援してもらった Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 そんな中ではやはり私の荷物満載の自転車は目立ったのだろう。たくさんの人から「リスペクト!」「君はヒーローだよ!」と応援の言葉をもらった。頂上が近づいてくると雨が降りだし、それは次第に雪へと変わった。まさか9月に雪が降るなんて。

 しかし最後はサイクリストたちに背中を押されて「GO!」の合図と同時にゴールスプリント。標高2757mの峠を制し、最高の気分になった。

モン・ヴァントゥーを共にしたユルゲンさんとの再会

気持ちの良い緩やかな下り道を進む Photo: Tetsuya MIZOGUCHI気持ちの良い緩やかな下り道を進む Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 平坦、それは最も自転車移動に適した地形なのだとつくづく思った。数々の峠を越えてきてまるでウィニングランのような気分だった。

 しばらくするとヨーロッパでは最大面積を誇るボーデン湖が見えてくる。今日の目的地はドイツとスイスの国境の街コンスタンツだ。

ユルゲンさん特製のパスタ Photo: Tetsuya MIZOGUCHIユルゲンさん特製のパスタ Photo: Tetsuya MIZOGUCHI

 そこにはフランスで出会い、共にモン・ヴァントゥーを上ったユルゲンさんが住んでいる。あれから約2000kmの道のりを経て3週間ぶりの再会だ。ユルゲンさんはパスタを売る仕事をしているため、特別なパスタを用意してくれた。その晩は、日本では見たことない各種のチーズが混ざった美味しいパスタを頬張りながら、ユルゲンさんの友人であるマイケルさんと3人で食事を楽しんだ。

◇         ◇

 溝口さんはこれから予定を変更し、スイスのバーゼルに向かうそうです。そこにはフランスのカルカッソンヌで出会ったご夫婦が住んでいて、再会の約束をしたとのこと。しかし、今回の旅で数々の美しい写真を撮ってきたデジタル一眼レフカメラを道中スイスで紛失。さらに、親知らずの歯が痛み出し、歯医者に行く可能性もあるかもしれないというメールが届きました。旅程というのはあって無いようなもので、天候、出会い、地形などによって変わっていくものです。 

 次回のレポートで無事であることを祈りつつ、旅の続きの朗報を待ちたいと思います。

関連記事

この記事のタグ

ツーリング ブルーノ ブルーノで行く!ヨーロッパ自転車旅

  • 一覧

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

スペシャル

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載