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はらぺこサイクルキッチン<69>“王滝”直前講座 「カーボローディングの効果がある人とない人」 この差って何ですか?

by 池田清子 / Sayako IKEDA
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 いよいよ9月18日に迫ってきました、秋のセルフディスカバリークロスマウンテンバイク イン 王滝。この記事を読んでくださっている方の中でも40km・100km・120kmいずれかに出場する、という選手もいらっしゃることでしょう。トレーニングは順調ですか?装備は万端ですか?もちろん体調も最高のコンディションで臨みたいものですよね。

まもなく秋の熱戦、SDA in 王滝が開催されます!食の面からも万全な体調を整えましょう Photo: Sayako IKEDAまもなく秋の熱戦、SDA in 王滝が開催されます!食の面からも万全な体調を整えましょう Photo: Sayako IKEDA

 この時期、カーボローディングを実行しているという方も多いのではないでしょうか。私のところにもカーボローディングについてのご質問が寄せられています。今回は大会前のスペシャル講座として、カーボローディングについて紐解いていきたいと思います。

そもそもカーボローディングって? 
 カーボローディング(別名グリコーゲンローディング)とは、カーボハイドレイト(炭水化物/糖質)を摂取して運動エネルギーとなるグリコーゲンをより多く身体にローディング(充填)すること。グリコーゲンを多く蓄えていると、より持続性のあるパフォーマンスが向上します。運動と食事を組み合わせることで、グリコーゲンの貯蔵量を増やすことができるのです。新旧いろいろな方法がありますが、大まかな方法は以下の通りです。

・レース6日〜4日程前まで低(〜通常の半量程度)の糖質食
・レース3日〜1日前まで高糖質食

追い込みと回復を繰り返しながら、グリコーゲン貯蔵量を増やしていく!? Photo: Sayako IKEDA追い込みと回復を繰り返しながら、グリコーゲン貯蔵量を増やしていく!? Photo: Sayako IKEDA

 低糖質期間中に体の中で起こっていることは、筋肉中に貯蔵されるグリコーゲンが枯渇し「糖質をくれ〜!」と悲鳴を上げている状態。トレーニング期間中でもあるので、人によっては「寝ている時に筋肉がピキピキと音を立てているのが聞こえる」ほど、普段以上に糖質不足になり、体調を崩すリスクも高まっています。

 その後、糖質を一気に増やした食事を取ることで、肝臓と筋肉中にグリコーゲンがグンッと以前より多く貯蔵されます。カーボローディングによってスポンジをぎゅっと絞った状態にし、糖質を一気に吸い取るイメージです。エネルギーが蓄えられ、特に持久系の運動にいい影響を与えてくれるのです。

 この蓄えられたグリコーゲンはレース中のエネルギー源となり、特に持久系のレースに有効と言われているのです。一度枯渇させることで、それ以前よりも吸収率が高まり、貯蔵できる量が増えると言われています。個人差があるものの実施後、筋肉中のグリコーゲンは通常の2〜3倍、肝臓中のグリコーゲンは2倍程度増加すると言われています。「倍」というのは結構大きいメリットですよね。

朝のフルーツは金メダル級に素晴らしい効果をもたらします。糖質の補給にも Photo: Sayako IKEDA朝のフルーツは金メダル級に素晴らしい効果をもたらします。糖質の補給にも Photo: Sayako IKEDA
糖質を摂取したい朝は、フルーツもオススメ。旬のフルーツで糖質だけでなく、ビタミンやミネラルも摂取 Photo: Sayako IKEDA糖質を摂取したい朝は、フルーツもオススメ。旬のフルーツで糖質だけでなく、ビタミンやミネラルも摂取 Photo: Sayako IKEDA
お米も玄米、白米、十穀米等、色々なものを日によって選んで使用しています。この日は白米に具材を混ぜた、炊き込みご飯にしました。ごぼう、人参、しめじ、こんにゃくなどを入れています Photo: Sayako IKEDAお米も玄米、白米、十穀米等、色々なものを日によって選んで使用しています。この日は白米に具材を混ぜた、炊き込みご飯にしました。ごぼう、人参、しめじ、こんにゃくなどを入れています Photo: Sayako IKEDA

トップアスリートはカーボローディングをやっているの? 効果がある人とない人の違いって? 
 カーボローディングを行って「カーボローディングが合っている」という声もあれば「これといった効果を得られなかった」という方まで、効果は人様々。その違いはどこにあるのでしょう。また、「池田祐樹選手(トピーク・エルゴンレーシングチームUSA)もカーボローディングしているんですか」と聞かれることもあります。答えはYESであり、NOでもあります。

追い込みと回復を繰り返しながら、グリコーゲン貯蔵量を増やしていく!? Photo: Sayako IKEDA追い込みと回復を繰り返しながら、グリコーゲン貯蔵量を増やしていく!? Photo: Sayako IKEDA

 というのも、日頃から厳しいトレーニングを行っているアスリートは、日々グリコーゲン貯蔵が枯渇するほど追い込み、トレーニング後の食事で糖質を摂取するということを繰り返しています。つまり、常日頃から1日という短い時間でカーボローディングを行っていることになります。それによって、階段を登る様に徐々にグリコーゲン貯蔵量が増えていきます。そう、回復を繰り返しながら貯蔵量自体を徐々に増やすことができるのです。

 こうして普段の生活がカーボローディングを行っているようなものなので、逆を言えばトップエンデュランスアスリートの筋肉のグリコーゲン貯蔵量は、すでに限界値に達しているとも言えます。というわけでレース前に「あえて枯渇させる期間を設ける必要はない」という意味ではNOという答えになります。

 また、レース前はトレーニング量も徐々に減っていくので、糖質を摂取しすぎて体重の増加にならないように気をつける必要があります。普段から追い込んで、トレーニング後に糖質を摂取しているという方は、一般の人に比べてグリコーゲン貯蔵量も多いはずです。そういった方は、カーボローディングは必要がない(あまり大きな変化を得られない)でしょう。

低酸素ルームで追い込む池田祐樹。この間にも、グリコーゲンが枯渇している!? Photo: Sayako IKEDA低酸素ルームで追い込む池田祐樹。この間にも、グリコーゲンが枯渇している!? Photo: Sayako IKEDA

 一方、一般の方ほどカーボローディングの効果は出やすい結果になります。例えばですが、王滝やフルマラソンの“完走が目的”という方が該当するでしょう。

 そしてトレーニング後は糖質を十分に摂取し、消耗したグリコーゲンを補充する必要があります。糖質が不十分だと筋肉や体全体の回復が追いつかないだけでなく、グリコーゲンの貯蔵量を増していくというチャンスを失ってしまいます。運動後はしっかりと糖質を摂取し、貯蔵できるグリコーゲン量自体を徐々に増やしていきましょう!

脂肪も大事なエネルギー源! 

 体に蓄えられた脂肪も、運動時の重要なエネルギー源として使用することができます。グリコーゲン貯蔵量には限界がありますが、脂肪がエネルギー源になるのは、制限がありません(それぞれの脂肪量によるということ!)。痩せながらエネルギーも得られるなんて、一石二鳥ですね。しかし脂肪だけではエネルギーを作り出すことができず、脂肪がクエン酸に変化する必要があります。

 脂肪がクエン酸に変化するには、脂肪から作られるアセチルCoAとブドウ糖(またはグリコーゲン)が必要になります。つまり糖質量が少ないと、同時にエネルギー源として使われる脂肪の量も少なくなるのです。エンデュランススポーツに糖質は欠かせません。炭水化物をしっかりとって、脂肪を効率よくエネルギー源に変換しましょう!

海苔巻きも糖質がたくさん食べられる工夫のひとつ。きゅうり、人参、アボカドなどを巻いて。私もついつい、手が伸びてしまいます Photo: Sayako IKEDA海苔巻きも糖質がたくさん食べられる工夫のひとつ。きゅうり、人参、アボカドなどを巻いて。私もついつい、手が伸びてしまいます Photo: Sayako IKEDA
カレーと十穀米、野菜のワンプレートは、我が家の定番 Photo: Sayako IKEDAカレーと十穀米、野菜のワンプレートは、我が家の定番 Photo: Sayako IKEDA
黒豆、トマトソースなどをたっぷり乗せたサラダパスタ Photo: Sayako IKEDA黒豆、トマトソースなどをたっぷり乗せたサラダパスタ Photo: Sayako IKEDA

では具体的に何を食べたらいいの? 

 糖質を摂取する際、米、麺類、パン類、根菜類、イモ類、瓜科のカボチャ、フルーツなどいろいろな食材から糖質を摂取できますね。この時期は旬のかぼちゃやさつまいもなど自然の甘みのあるものもオススメです。ただ、消化の負担を加味するとレース直前の食物繊維が多い炭水化物(玄米や全粒粉パン等)や食事は胃腸に負担がかかったり、ガスも多くなったりするので、レース前日と当日はこの限りではありません。

意識して糖質の量を増やす場合は、かぼちゃもオススメ。抗酸化作用物質も豊富で、免疫力も高めてくれます。サラダにして、たくさんの野菜やフルーツ(いちじく)と一緒にさっぱりと Photo: Sayako IKEDA意識して糖質の量を増やす場合は、かぼちゃもオススメ。抗酸化作用物質も豊富で、免疫力も高めてくれます。サラダにして、たくさんの野菜やフルーツ(いちじく)と一緒にさっぱりと Photo: Sayako IKEDA
食欲が湧かない時でも、麺類ならツルッと食べられることも。たくさんのそうめんで糖質摂取 Photo: Sayako IKEDA食欲が湧かない時でも、麺類ならツルッと食べられることも。たくさんのそうめんで糖質摂取 Photo: Sayako IKEDA
我が家では特別に糖質を減らすことはしていませんが、バランスが取れた食事は心がけています。普段からご飯はお代わりしています Photo: Sayako IKEDA我が家では特別に糖質を減らすことはしていませんが、バランスが取れた食事は心がけています。普段からご飯はお代わりしています Photo: Sayako IKEDA

直前の注意点は? 
 焦りと不安からの食べ過ぎにも内臓に負担がかかるので要注意です。例えば、食事の全体量は変えずに糖質の割合を増やす等の工夫で、レース前は体重に大きな変動がないようにしましょう。

 みなさんのご健闘とご活躍をお祈りしています!王滝の会場に私も池田祐樹と一緒におりますので、よろしければお気軽に声を掛けてください。まだまだいける、もっといける。共にがんばりましょう!

池田清子池田清子(いけだ・さやこ)

アスリートフード研究家。モデル事務所でのマネジャー経験を生かして2013年夏よりトピーク・エルゴンレーシングチームUSA所属ライダー、池田祐樹選手のマネージメントを始め、同年秋に結婚。並行して「アスリートフードマイスター」の資格を取得。アスリートのパフォーマンス向上や減量など、目的に合わせたメニューを日々研究している。ブログ「Sayako’s kitchen」でも情報を発信中。

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