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cyclist 躍り出た新星・與那嶺恵理 リオ五輪に照準

クローズアップ躍り出た新星・與那嶺恵理 リオ五輪に照準

2012/06/23 07:00更新

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競技歴8カ月で全日本2位

愛車SPECIALIZEDを駆る與那嶺恵理選手愛車SPECIALIZEDを駆る與那嶺恵理選手

 無名の女子大学生が、並みいる強豪プロ選手を置き去りにしてトップを走り続けた―。

 4月29日、岩手県八幡平市で開催された自転車ロードレースの全日本選手権。周回コースの上り坂で與那嶺恵理(21)が集団を引き離すたびに、「あれは誰だ?」と観衆がどよめいた。ゴール直前で第一人者の萩原麻由子(サイクルベースあさひ)に抜かれ、僅差の2位に悔し涙を流した。そんな與那嶺が自転車競技を始めたのは、わずか8カ月前。素人同然のキャリアで、日本の頂点にあと一歩まで迫ったのだ。

心拍数40の強心臓

 神戸女学院中学・高校で過ごした6年間はテニス部で活躍。友人たちが法学部や医学部を目指す中、「好きなスポーツに打ち込みたい」と筑波大学体育専門学群へ進学した。しかしテニスで伸び悩み、家族に悩みを打ち明けたところ、自転車好きの叔父にロードレースを勧められた。昨夏、両親にカーボン製の競技用自転車を買ってもらい、つくば市内のクラブ「チーム・フォルツァ!」の門を叩いた。

インタビューに答える與那嶺恵理選手インタビューに答える與那嶺恵理選手

 そこで天賦の才能が開花した。男性ばかりの練習に必死で食らいつく與那嶺の素質を見抜いた武井亨介コーチが、「本気でやるのなら」と自宅での下宿を勧め、昨年10月に住み込みで特訓を開始。自転車にパワーメーター(出力計)を装着し、高強度のトレーニングに打ち込んだ。

 「練習は一切妥協しない」と胸を張る與那嶺。くじけそうになる時には、「きのうよりも確実に成長している」と自分に言い聞かせているという。

 減量にも必死に取り組み、コーチ夫妻の特別メニューのおかげもあって、半年で10キロも削ぎ落とした。以前の服は「もうぶかぶかで着られない」。

 その結果、心肺機能は劇的に向上した。安静時の心拍数は、女性の平均値65~75に対し、與那嶺は40という驚異的なスポーツ心臓。「上り坂で羽が生えたように軽くなった」という表現も、決して大げさではない。

全日本ロードで有力選手を引き連れて先頭を走る與那嶺恵理 =4月29日全日本ロードで有力選手を引き連れて先頭を走る與那嶺恵理 =4月29日
「世界と戦えるレベルになりたい」と語る與那嶺恵理選手「世界と戦えるレベルになりたい」と語る與那嶺恵理選手

世界と戦うレベルへ

 6月17日に秋田県大潟村で行われた全日本選手権個人タイムトライアルでも、與那嶺は萩原に次いで2位に食い込み、確かな実力を証明してみせた。しかし、與那嶺は悔しさをブログにこう綴った。

 「申し訳ないですが、2位、満足してないです。表彰台で笑えなかった…。まずは、日本でテッペンにたたないと、私のスタートがきれない」

 一連の活躍によって、4年後のリオデジャネイロ五輪は現実的な目標となった。「大学在学中の2年間で、世界と戦えるレベルになりたい。将来は自転車選手として生活したい」。プロとして活躍の場を広げるために、マウンテンバイク種目にも参戦するつもりだ。

 「もっともっと進化、成長します。私自身、楽しみです」。若さと、負けん気と、圧倒的な心肺機能を兼ね備えたシンデレラ・ガールが、大きな舞台へ羽ばたこうとしている。

文 柄沢亜希、写真 上野嘉之

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