スマートフォン版はこちら

サイクリスト

信念は「常に“速い”製品を…」<2>コンマ1秒を争うTTで光るジロ「エアロヘッド」 スピードと品質の両立

by 松尾修作 / Shusaku MATSUO
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 アメリカのバイクアクセサリーブランド「GIRO」(ジロ)が目指すのは「最新で速い」製品だ。そのために、第一線で走る選手の視点に立った研究開発を常に怠らない。そうして培った実力は、例えばわずかな空力の違いが決定的な順位となって表れるタイムトライアル(TT)用ヘルメットにも表れる。コンマ1秒を争うために必要な美しい道具を、一流の選手らが集うツール・ド・フランスの現地で取材した。

2016年のツール・ド・フランス第13ステージでエアロヘッドを被って力走するマルコ・ハラー(チーム カチューシャ) Photo: Yuzuru SUNADA2016年のツール・ド・フランス第13ステージでエアロヘッドを被って力走するマルコ・ハラー(チーム カチューシャ) Photo: Yuzuru SUNADA

“速さ”を具現化したヘルメット

ジロの新作TTヘルメット「エアロヘッド」 Photo: Shusaku MATSUOジロの新作TTヘルメット「エアロヘッド」 Photo: Shusaku MATSUO
シールドと一体感のあるフロントビュー Photo: Shusaku MATSUOシールドと一体感のあるフロントビュー Photo: Shusaku MATSUO

 ツール・ド・フランス中盤、総合上位争いを繰り広げるチーム カチューシャのバスを、ジロのヨーロッパスポーツマーケティングマネージャー、ジーン・ポールさんが訪ねた。チーム関係者から手渡されたのは、最新のTTエアロヘルメット「AEROHEAD」(エアロヘッド)だ。「エアロヘッドはジロが最も大切にしている“速さ”を具現化した製品です」と、しっかりした口調で語り始めた。

 丸みを帯びた美しい流線型のシェルと、視界を広く取ったレンズが特徴的なデザイン。チームカラーの赤に、チームの頭文字「K」と「GIRO」のロゴが映える。「ジロは3~4年のスパンで新しいTTヘルメットを発表します。常に速い製品を作り続ける姿勢が大事なのです」と、自信を見せる。ジロは過去12年間で4つのTTヘルメットをリリースし、その全てが前モデルを上回る記録を叩き出してきたという。

ロードモデルと同じように、頭部を衝撃から守る「MIPS」システムを採用 Photo: Shusaku MATSUOロードモデルと同じように、頭部を衝撃から守る「MIPS」システムを採用 Photo: Shusaku MATSUO
空気の通り道「チャンネル」へと続く額部のエアインテーク Photo: Shusaku MATSUO空気の通り道「チャンネル」へと続く額部のエアインテーク Photo: Shusaku MATSUO

 さらに、「速さだけでなく、安全性とクオリティを重視していることも忘れてはなりません」と、ポールさんはヘルメットを裏返してみせた。内部はロード用ヘルメットと同じく、額部から空気を取り入れ、「チャンネル」と呼ばれる溝を通して、頭部を冷却する。落車時に衝撃を分散させ、頭部のダメージを減少させる「MIPS」(多方向衝撃保護システム)も採用した。ヘルメットとしての機能に妥協はない。

シールドレンズはカールツァイス製

 「こだわりはこの大きなシールドレンズです」。レンズはドイツの高級レンズメーカー「CARL ZEISS」(カールツァイス)製で、汗による曇りを防ぎ、水滴を弾いて、クリアな視界を確保する。

シールドレンズとヘルメット内部にマグネットが内蔵され、必要ないときは上部に取り付けることが可能 Photo: Shusaku MATSUOシールドレンズとヘルメット内部にマグネットが内蔵され、必要ないときは上部に取り付けることが可能 Photo: Shusaku MATSUO

 かぶってみると、左右に大きく面積をとっており、ストレスのない視野が目の前に広がる。晴天用と悪天候用の2枚組みで、ヘルメット後部に収納できる。装着はレンズの縁にあしらったマグネットで本体に固定する方式で、使わないときは取り外してヘルメット上部につけておける。

シールドレンズは天候によって分けることができる2種類の明るさが付属 Photo: Shusaku MATSUOシールドレンズは天候によって分けることができる2種類の明るさが付属 Photo: Shusaku MATSUO

 ポールさんは取り外したレンズを上下逆さまにして、ヘルメット上部にピタリと固定してみせた。カチッと精度よくはまり、煩わしさは感じられない。

 「選手はTTが始まる直前までウォーミングアップを行い、汗をかきたい。しかし、レンズをはめたままだと汗が溜まり曇ってしまう。そこで、レースが始まる直前に装着してスタート台に向かえるよう、ヘルメット上部にマグネットで取り付けておく方法を考えました」

プロ選手の声をいち早く製品に

側部のくぼみにマグネットが内蔵され、シールドレンズを固定する Photo: Shusaku MATSUO側部のくぼみにマグネットが内蔵され、シールドレンズを固定する Photo: Shusaku MATSUO

 ポールさんによると、今年選手がかぶっているモデルは“バージョン2”に当たる。「初めて披露されたのは昨年のツールです。この時点ではマグネットで上部に固定できませんでした。ここからジロがスポンサーにつくUCIワールドツアーチーム選手の意見をいくつも取り入れ、ゼロベースから開発された全く別物の改良品として今季に臨んでいます。皆さんが店頭で買えるのはプロの意見が取り入れられた改良されたモデルの方です」と、ジロがプロ選手からのフィードバックを大切に生かしていることを強調した。

 エアロヘッドは発表されたばかりだが、すでに次のモデルに向けた研究開発は着々と進んでいる。「エアロヘッドを超える製品を作るのはとても難しく、チャレンジングです。しかし『より速く』『より良い』製品を作るのが私たちの信念です」。そう繰り返すポールさんの表情は、すぐれた製品を世に送り続けるメーカーの自負と喜びに輝いて見えた。

曲線はエアロダイナミクスを追求し、風洞実験を繰り返した結果だ Photo: Shusaku MATSUO曲線はエアロダイナミクスを追求し、風洞実験を繰り返した結果だ Photo: Shusaku MATSUO

エアロヘッド アルティメイト MIPS
税抜価格:62,000円(予価)
サイズ:M(55-59cm)/L(59-63cm)
重量:415g(Mサイズ)
カラー:マットカーボン、ホワイト
※8月末日発売予定

エアロヘッド MIPS
税抜価格:26,000円(予価)
サイズ:M(55-59cm)/L(59-63cm)
重量:430g(Mサイズ)
カラー:マットブラック/チタニウム、マットホワイト/シルバー、マットブラック/バーミリオン、マットホワイト/ターコイズ/バーミリオン
※8月末日発売予定

選手は軽量シューズをチョイス

 ジロはヘルメットだけではなく、ウェアなどの総合バイクアクセサリーブランドとして展開している。なかでもシューズは力を入れており、紐靴タイプの「エンパイア」はクラシックな外観ながら、最新のカーボンソールを取り入れ、レースシーンでも活躍している。

軽量モデルの「プロライト SLX Ⅱ」 Photo: Shusaku MATSUO軽量モデルの「プロライト SLX Ⅱ」 Photo: Shusaku MATSUO
ソールはイーストンのカーボン「EC90SLX」を使用 Photo: Shusaku MATSUOソールはイーストンのカーボン「EC90SLX」を使用 Photo: Shusaku MATSUO

 ツール・ド・フランスに出場している選手では、ジロが個人スポンサーをしているアレクシー・ヴュイエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール ラモンディアル)が軽量モデルの「プロライト SLX Ⅱ」を使用しているとポールさんは明かした。

 「山岳ではフレームやバイクを含め、軽量なことが何より大切です。プロライト SLX Ⅱは200gを下回りとても軽量です。なおかつ、イーストン製の高剛性なソールを使用しているため、ダンシングでもパワーをロスしません」と優位性について説明した。

プロライト SLX Ⅱ
税抜価格:42,000円
サイズ:39〜46(0.5刻み)
カラー:マットブラック/グロスホワイト、グロスホワイト/ホワイト、フローレセントオレンジ/ブラック
重量:198g(サイズ42.5)

関連記事

この記事のタグ

ジロ ツール2016・コラム

  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

新着ニュース

もっと見る

ピックアップ

わたしらしく自転車ライフ

スペシャル

SBAA動画

ソーシャルランキング

インプレッション

インプレッション一覧へ

連載